友情 YUーJYO
好敵手の記憶
闇をかき消す光
RUMーヌメロン・フォース
CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー
「よし、希望皇ホープだ!」
「がんばって、遊馬!」
「必殺!」
「「 ホープ剣ダブル・ヴィクトリースラッシュ!」」
それでは、どうぞ。
「「デュエル‼」」
真月 LP4000
ダークゼアル LP4000
「俺の先攻、ドロー‼ まずはコイツだ‼フィールド魔法、混沌空間を発動‼」
混沌空間
フィールド魔法
モンスターがゲームから除外される度に、1体につき1つこのカードにカオスカウンターを置く
1ターンに1度、自分フィールド上のカオスカウンターを4つ以上取り除く事で、取り除いた数と同じレベルを持つ、ゲームから除外されているモンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する
フィールド上のこのカードが相手の効果によって墓地へ送られた時、このカードに乗っていたカオスカウンターの数以下のレベルを持つ光属性または闇属性のモンスター1体をデッキから手札に加える事ができる
フィールドがサルガッソから至る所で白い渦を巻いた空間へと姿を変える。
「エクリプス・ワイバーンを召喚‼」
エクリプス・ワイバーン
☆4 光属性 ドラゴン族
ATK 1600
DFE 1000
このカードが墓地へ送られた場合、デッキから光属性または闇属性のドラゴン族・レベル7以上のモンスター1体をゲームから除外する
その後、墓地のこのカードがゲームから除外された場合、このカードの効果で除外したモンスターを手札に加える事ができる
俺のフィールドに赤いイレズミの走る黒と白のドラゴンが現れた。
何処となく、青眼の白龍を小さくしたような印象を受ける。
「1枚伏せてターンエンド‼」
真月 LP4000
手札 3
モンスター 1
エクリプス・ワイバーン 攻撃
魔法・罠 2
混沌空間
⁇?
「俺のターン、ドロー。強欲なカケラを発動する」
強欲なカケラ
永続魔法
自分のドローフェイズ時に通常のドローをする度に、このカードに強欲カウンターを1つ置く
強欲カウンターが2つ以上乗っているこのカードを墓地へ送る事で、自分のデッキからカードを2枚ドローする
ダークゼアルのフィールドに割れた強欲な壺が現れた。
「そして、俺のフィールドにモンスターがいないので、俊足なカバ バリキテリウムを特殊召喚する」
俊足なカバ バリキテリウム
☆4 風属性 獣族
ATK 1600
DFE 600
このカードは手札から特殊召喚できる
この方法による「俊足なカバ バリキテリウム」の特殊召喚は1ターンに1度しかできない
この方法で特殊召喚に成功した時、相手はレベル4モンスター1体を自分または相手の墓地から選択して特殊召喚できる
俺の墓地にもダークゼアルの墓地にもモンスターはいない。
上手い一手だ。やはり、暴走していても遊馬とアストラルというわけか。
「さらに、ガガガマジシャンを召喚」
ダークゼアルのフィールドに俺にとっても馴染み深いモンスターでもある、不良魔法使いが現れた。
レベル4が2体。ということは
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚。 現れろ、No.39 希望皇ホープ」
バリキテリウムとガガガマジシャンが球体になり、空へと昇っていくと爆発と共にホープが現れた。
「出たな、ホープ‼」
「希望皇ホープでエクリプス・ワイバーンに攻撃」
「リバースカードオープン‼デモンズ・チェーン‼ 対象はホープだ‼」
とりあえず、これでホープの攻撃と効果を無効にはできた。
「ターンエンド」
ダークゼアル LP4000
手札 3
モンスター 1
No.39 希望皇ホープ 攻撃
魔法・罠 1
強欲なカケラ
「俺のターン、ドロー‼ よし、アレキサンドライドラゴンを召喚‼」
アレキサンドライドラゴン
☆4 光属性 ドラゴン族
ATK 2000
DFE 100
アレキサンドライトのウロコを持った、非常に珍しいドラゴン
その美しいウロコは古の王の名を冠し、神秘の象徴とされる
――それを手にした者は大いなる幸運を既につかんでいる事に気づいていない
俺のフィールドに2本足で立つドラゴンが2体現れた。
キラキラと輝くウロコは神秘的な美しさを放っている。
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ これが俺の新しい力の1枚だ‼No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング‼」
No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング
★4 地属性 岩石族
ATK 0
DFE 3000
レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる
ターン終了時まで、このカードの守備力を0にし、攻撃力を3000にする
このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる
また、エクシーズ素材の無いこのカードは、攻撃された場合ダメージステップ終了時に攻撃表示になる
「No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない
俺のフィールドで爆発が起こると先程ホープレイVの攻撃を受け止めた巨大な青いカニが現れた。
ダイヤモンドを背負ったカニの左腕には52の数字が書かれている。
「ナンバーズ…⁉」
「いくぞ‼遊馬、アストラル‼ ダイヤモンド・クラブ・キングの効果発動‼ORUを1つ使い、このターンコイツの攻守を入れ替える‼」
No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング
0→3000
3000→0
「墓地に送られたエクリプス・ワイバーンの効果発動‼ デッキからドラゴン族モンスターを除外‼さらに、カオスカウンターを1つ乗せる‼」
カオスカウンター 0→1
「いけ、ダイヤモンド・クラブ・キング‼ホープに攻撃‼」
俺の声に応えるかのように両ツメを上げると、鎖で縛られたホープを摘まんでそのまま握り潰した。
「くっ…」
ダークゼアル LP4000→3500
「バトルフェイズ終了時にダイヤモンド・クラブ・キングは守備表示になる‼ ターンエンド‼」
真月 LP4000
手札 3
モンスター 1
No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング 守備
魔法・罠 1
混沌空間(カオスカウンター 1)
「どうだ。遊馬、アストラル‼ 中々のもんだろう?」
「…ならば、そのモンスターを越える力を手にするのみ。俺のターン」
そう言ったダークゼアルの手に闇色の炎が集まり、そのままデッキトップに手をかけた。
来るのか…⁉
「暗き力、ドローカードさえ闇に染める。ダークドロー‼」
デッキトップのカードが集まった炎に包まれると、そのままカードを引いた。
何が来る…?
「ドローフェイズ、強欲なカケラにカウンターを1つ乗せる」
強欲カウンター 0→1
「Vサラマンダーを召喚」
Vサラマンダー
☆4 炎属性 魔法使い族
ATK 1500
DFE 1300
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「希望皇ホープ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる
自分のメインフェイズ時、フィールド上のこのモンスターを自分の「CNo.39 希望皇ホープレイV」に装備できる
このカードが装備されている場合、1ターンに1度、装備モンスターのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる
装備モンスターの効果を無効にし、相手フィールド上のモンスターを全て破壊し、その数×1000ポイントダメージを相手ライフに与える
ダークゼアルのフィールドに1つの身体に4つの首の生えたモンスターが現れた。
「召喚に成功したことにより、墓地の希望皇ホープを特殊召喚する」
「…ホープがもう蘇ったか」
しかしORUは0…フィールドには守備力3000のダイヤモンド・クラブ・キングがいる。
突破はできないはず…いや待て、この流れは。
「RUMーリミテッド・バリアンズ・フォースを発動。希望皇ホープを対象にカオス・エクシーズ・チェンジ‼ 現れろ、CNo.39 希望皇ホープレイV」
やはり、RUMか…‼
ホープが大きく跳躍し、爆発が起こると濃紺を基調とした鋭角的な印象をもったモンスターが現れた。
「ホープレイV…」
俺が遊馬に渡したRUMから生まれ、ダークゼアルの力の象徴としたようなモンスター。
向かい合って見て、コイツのいびつさがようやくわかった。
ナンバーズでありながら、バリアン側の力の影響を受けたコイツの姿は、たしかに歪んでいるといえる。
「VサラマンダーをホープレイVに装備」
VサラマンダーがホープレイVに絡みつくと、いびつな羽のようなものになった。
「Vサラマンダーの効果発動。装備したホープレイVのORUを1つ取り除き、ホープレイVの効果を無効にし、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する」
そう言うと背中の羽がORUを飲み込み、ビームが空に向けて放たれると雨のようにフィールドに降り注ぎ、ダイヤモンド・クラブ・キングを破壊した。
「ぐっ…くそっ‼」
真月 LP4000→3000
「いけ、ホープレイV。ダイレクトアタック‼」
「ぐおあっ‼」
真月 LP3000→400
ホープレイVの攻撃に吹き飛ばされた俺はそのまま数回バウンドし、地面に叩きつけられた。
「1枚伏せてターンエンド」
ダークゼアル LP3500
手札 1
モンスター 1
CNo.39 希望皇ホープレイV 攻撃
魔法・罠 3
強欲なカケラ(強欲カウンター 1)
Vサラマンダー(CNo.39 希望皇ホープレイV)
⁇?
「まだまだァ…‼ 負の感情の力じゃ、俺は倒せないぞ」
「敗北を受け入れろ。お前のライフは残り僅か400。フィールドにモンスターは無し。この状況をひっくり返すことは不可能だ」
「忘れたのか?遊馬、アストラル。俺はこの程度で諦める程、諦めのいい奴じゃない」
「………」
「見ていろ、このターンでホープレイVを倒してお前達を元に戻してやる。俺のターン、ドロー‼」
ドローカードは…よし、これで‼
「召集の聖刻印を発動‼」
召集の聖刻印(準制限カード)
通常魔法
デッキから「聖刻」と名のついたモンスター1体を手札に加える
「デッキから聖刻龍ードラゴンヌートを手札に加え、そのまま召喚‼」
聖刻龍ードラゴンヌート
☆4 光属性 ドラゴン族
ATK 1700
DFE 900
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった時に発動する
自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する
この効果は1ターンに1度しか使用できない
「そして、モンスター・スロットを発動‼」
モンスター・スロット
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、
選択したモンスターと同じレベルの自分の墓地に存在するモンスター1体を選択してゲームから除外する
その後、自分のデッキからカードを1枚ドローする
この効果でドローしたカードをお互いに確認し、選択したモンスターと同じレベルのモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚する
「対象は聖刻龍ードラゴンヌート‼ ドラゴンヌートが対象になったことにより、ドラゴンヌート自身の効果も発動‼ デッキからトライホーン・ドラゴンを守備表示で特殊召喚する‼」
トライホーン・ドラゴン
☆8 闇属性 ドラゴン族
ATK 2850
DFE 2350
頭に生えている3本のツノが特徴的な悪魔竜
フィールドに巨大な3本ツノの生えたドラゴンが現れた。
攻撃力が0なせいか、弱々しく首を下げてこそいるが、ホープレイVを睨む紅い眼はギラついている。
「そしてモンスター・スロットの効果で墓地のエクリプス・ワイバーンを取り除く‼」
カオスカウンター 1→2
「ドロー‼ ドローカードはモンスターカード‼よって召喚できる‼ 来い、エクリプス・ワイバーン‼」
俺のフィールドに再びレベル4が2体揃った。
だが、まだだ‼
「さらに、除外したエクリプス・ワイバーンの効果発動‼ このカードが除外された時、除外したカードを手札に加える‼」
除外されたエクリプス・ワイバーンが、最後の力を振り絞り光線を吐くと、除外されていたモンスターが手札に加わった。
「そして、エクストラデッキのスターダスト・ドラゴンをゲームから取り除き、現れろ‼ Sin スターダスト・ドラゴン‼」
Sin スターダスト・ドラゴン
☆8 闇属性 ドラゴン族
ATK 2500
DFE 2000
このカードは通常召喚できない
自分のエクストラデッキから「スターダスト・ドラゴン」1体を
ゲームから除外した場合のみ特殊召喚できる
「Sin」と名のついたモンスターはフィールド上に1体しか表側表示で存在できない
このカードが表側表示で存在する限り、自分の他のモンスターは攻撃宣言できない
フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、表側表示で存在するフィールド魔法カードは効果では破壊されない
エクストラデッキのスターダスト・ドラゴンを取り除くと、フィールドに現れたスターダスト・ドラゴンの両膝にトゲ付きの黒い装甲が付けられた。
顔半分にも、同様に黒い仮面が取り付けられ、白い翼の一部が黒く染まると、美しくも力強い咆哮を上げる。
これが、あの扉から受け取った力の中でも際たるもの。
本来なら、シンクロモンスターのいないこの世界ではあり得ないモンスター。
だが、あの扉は俺にこのカードを寄越した。
一体、どういうつもりだったのだろうか?
それに、このスターダスト…
こいつからはナンバーズには及ばないものの、力のようなものを感じることができる。
…やはり、世界が違ってもスターダスト・ドラゴンは特別なカード、ということなのだろうか?
カオスカウンター 2→3
「レベル8が2体…‼」
…まあいい。
あの扉がどういうつもりであれ、俺がやることに変わりはない。
せっかく代償を払ってまで、貰ったんだ。
せいぜい、上手く使うまでだ。
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 現れろ‼No.22 不乱健‼」
No.22 不乱健
★8 闇属性 アンデット族
ATK 4500
DFE 1000
闇属性レベル8モンスター×2
このカードはエクシーズ召喚でしか特殊召喚できない
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、手札を1枚墓地へ送り、相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる
このカードを守備表示にし、選択したカードの効果をエンドフェイズ時まで無効にする
この効果は相手ターンでも発動できる
フィールドに爆発が起こると、褐色肌の筋骨隆々の巨漢があらわれた。
自身のナンバーである22が記された緑の布に隠れたその顔は、自ら見られないよう隠したのか、伺うことはできない。
「2体目のナンバーズ…‼」
「さらに、もう2体でオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 現れろ、輝光子パラディオス‼」
輝光子パラディオス
★4 光属性 戦士族
ATK 2000
DFE 1000
光属性レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる
選択したモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする
また、フィールド上のこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからカードを1枚ドローする
不乱健の隣に青と白の甲冑を身につけた騎士が現れた。
青く透けた剣の切っ先をホープレイVに向けて油断なく構えている。
「パラディオスの効果発動‼ ORUを2つ取り除き、ホープレイVの効果を無効にし、攻撃力を0にする‼」
CNo.39 希望皇ホープレイV 2600→0
パラディオスがホープレイVに接近し、そのまま切り結びから払うと、手にしていた剣を弾き飛ばした。
「ホープレイVの攻撃力が…‼」
「さらに、墓地のエクリプス・ワイバーンの効果によりデッキのレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを除外‼ カウンターをさらに1つ乗せる‼」
カオスカウンター 3→4
「くっ…‼」
ダークゼアルが一歩後退したのが見えた。
一気に畳み掛けるなら、ここくらいしかないだろう。
「わかるだろう? 怒りや憎しみはたしかに力になる。だが、そんなもの、いくら束ねたところで脆い‼」
「‼」
「帰って来い‼ 遊馬、アストラル‼」
取り戻せ、お前達の本当の姿を‼
「いけ、不乱健‼ ホープレイVに攻撃‼」
そう命令すると不乱健はホープレイV目掛けて躍り出た。
そのまま、拳をホープレイVへと伸ばしていき爆発が起こる。
これでどうだ。遊馬、アストラル…‼
モクモクと上がる爆煙が晴れるとそこにはホープレイVとダークゼアルの姿はなく、不乱健の拳が間近に迫ったままのホープと、遊馬と傍らに立つアストラルの姿があった。
「ホープ…⁉」
「俺はトラップカード、エクシーズ・リベンジ・シャッフルを発動したのさ‼」
エクシーズ・リベンジ・シャッフル
通常罠
自分フィールド上のエクシーズモンスターが攻撃対象に選択された時、自分の墓地のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる
攻撃対象となったエクシーズモンスターを持ち主のエクストラデッキに戻す
その後、選択したモンスターを墓地から特殊召喚し、このカードを下に重ねてエクシーズ素材とする
なるほど、ホープレイVをデッキに戻しホープを特殊召喚。
しかし不乱健が攻撃を止めたのは…?
そう考えながら不乱健を見ると、不乱健の周りを小さなモンスターが飛んでいた。
「‼ 虹クリボーか‼」
虹クリボー
☆1 光属性 悪魔族
ATK 100
DFE 100
「虹クリボー」の以下の効果はそれぞれ1ターンに1度ずつ発動できる
・相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる
このカードを手札から装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する
この効果でこのカードを装備しているモンスターは攻撃できない
・相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる
このカードを墓地から特殊召喚する
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される
「真月、お前の声聞こえた。ありがとな」
「友達だろう?」
「‼ …だったな。俺達は友達だ」
『ところで真月、確認するが、君は本物の真月で間違いないな?』
「ああ、本物の真月零だ。にしても…そんなにベクターは俺を真似るのが上手かったのか?」
『大丈夫そうだ、遊馬。あの態度は真月で間違いない』
それは一体、どういう意味なんだ?
「ま、とにかく無事でよかった」
「それはこっちのセリフだぜ。真月が生きていて、本当に良かった」
「さて、なら続きといこうか」
「え?」
そう言って遊馬は惚けた顔をした。
「さっきまでは遊馬とアストラルを取り戻す為のデュエル。ここからは勝敗の関係ないただのデュエル。さ、いくぞ遊馬、アストラル‼」
「…‼ おう‼来い、真月‼」
「パラディオスじゃホープは倒せない。カードを1枚伏せてターンエンド‼」
真月 LP400
手札 1
モンスター 2
No.22 不乱健 攻撃
輝光子パラディオス 攻撃
魔法・罠 2
混沌空間(カオスカウンター 4)
⁇?
「俺のターン」
『遊馬』
遊馬がデッキトップに手をかけようとしたところでアストラルが声をかけた。
『遊馬。私はもう、今までのように君に無償の信頼をおくことはできない』
「アストラル…」
『だが、諦めない君のそのかっとビングの姿勢を、私は信じたい』
「ああ…いくぜ、アストラル‼ 俺は俺自身と‼」
『私で‼』
「『オーバーレイ‼』」
アストラルと遊馬はそれぞれ赤と青の光に包まれると大きく跳躍した。
「『俺達2人でオーバーレイネットワークを構築‼』」
…先程のダークゼアルが頭をよぎる。大丈夫なのか?
そんな俺の疑念を吹き飛ばすかのように強烈な光が発せられる。
『真の絆で結ばれし2人の心が重なった時、語り継ぐべき奇跡が現れる』
「『エクシーズチェンジ、ゼアル‼』」
そこには先程の暗い力を放つダークゼアルとは打って変わり、明るい色の力を放つ少し姿の変わったゼアルがいた。
…良かった。2人は新しい絆を繋いだんだな。
「『最強決闘者のデュエルは全て必然‼ ドローカードさえ、決闘者が創造する‼』」
そう言うとゼアルの手に今度は光が集まっていく。
「『シャイニングドロー‼』」
そうして光の集まった手をデッキトップに添え、ドローした。
…一体何をドローしたんだ?
「いくぜ、まずはドローフェイズに強欲なカケラにカウンターが乗る‼」
強欲カウンター 1→2
「強欲なカケラの効果により、このカードを墓地に送って2枚ドローする‼ そして、魔法石の採掘を発動‼」
魔法石の採掘(準制限カード)
通常魔法
手札を2枚捨て、自分の墓地の魔法カード1枚を選択して発動する
選択したカードを手札に加える
「手札を2枚捨てて、墓地のリミテッド・バリアンズ・フォースを手札に加える‼」
‼ リミテッド・バリアンズ・フォース。
「まさか、ホープレイVを…?」
「いいや、違う‼ 答えはこれだ‼」
「『重なった熱き想いが、世界を‼ 希望の未来に再構築する‼ リ・コントラクト・ユニバース‼』」
そう叫び、リミテッド・バリアンズ・フォースを掲げるとリミテッド・バリアンズ・フォースはそのカードの姿を変えた。
「カードが…⁉」
「俺はRUMーヌメロン・フォースを発動‼」
RUMーヌメロン・フォース
通常魔法
自分フィールド上のエクシーズモンスター体を選択して発動できる
選択したモンスターと同じ種族でランクが1つ高い「CNo.」と名のついたモンスター1体を、選択した自分のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する
その後、この効果で特殊召喚したモンスター以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を全て無効にする
RUMーヌメロン・フォース…それが、リミテッド・バリアンズ・フォースの真の姿…‼
「希望皇ホープを対象にオーバーレイネットワークを再構築‼現れろ、CNo.39‼ 未来に輝く勝利をつかめ‼重なる思い、つながる心が世界を変える‼ 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー‼」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー
★5 光属性 戦士族
ATK 2800
DFE 2500
レベル5モンスター×3
このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない
また、このカードが「希望皇ホープ」と名のついたモンスターを
エクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る
・このカードが相手の表側表示モンスターに攻撃宣言した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる
ターン終了時まで、その相手モンスターの効果は無効化され、このカードの攻撃力はその相手モンスターの攻撃力分アップする
「ホープレイ・ヴィクトリー…‼」
ホープがいた場所にはホープレイVの黒さとは正反対の、白を基調とした赤い腕を4本生やしたホープよりも大きな騎士がいた。
左肩にはホープやホープレイVと同じく、39の数字が描かれている。
「これが遊馬とアストラルの新しい力…‼」
何故だろう。
向き合うホープレイ・ヴィクトリーからはシャイニングやタキオン、ジャイアント・ハンドと同じかそれ以上の力を感じる。
だが、俺は今、ガラにもなくワクワクしている。
遊馬とアストラルの見せた新しい形に俺も応えたくてたまらない。
「いくぜ‼ ホープレイ・ヴィクトリーで不乱健に攻撃‼ 攻撃宣言時ヴィクトリーの効果発動‼ ORUを1つ使い、攻撃する相手モンスターの攻撃力分攻撃力を上げる‼」
CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー 2800→7300
「攻撃力7300⁉」
「いけ、ホープレイ・ヴィクトリー‼」
ホープレイ・ヴィクトリーの4本の手が握る剣から眩しい光が放たれ、不乱健がVの字に切られると爆発した。
「ぐあああああ‼」
真月 LP400→0
俺が地面に倒れ込むとゼアルの状態を解いた遊馬とアストラルが近寄ってきた。
「大丈夫か? 真月」
「ああ。まったく…パラディオスに攻撃してきていれば返り討ちにしてやれたのに」
「うわ、お前オネスト持ってたのかよ」
『遊馬はそのパターンで何度もやられたからな。そうかもしれないと思ってはいたが…やはりパラディオスを外して正解だったか』
そう言う2人の言葉があまりの懐かしく、俺は思わず目を細めた。
「どうした?」
「いや、なんでも」
そう言いかけた時、ゴゴゴゴ…という地鳴りに似た、しかし地鳴りとは違う異音が聞こえ始めた。
ついで、強烈な風と共にサルガッソに転がる瓦礫が少しずつ吸い上げられ始めた。
「な、なんだ⁉」
『これは…』
「多分、この空間が安定を失ったんだ。早く脱出しないと、この空間ごと、何処とも知れない異次元に呑み込まれる…‼」
「な、なんだって⁉」
『真月を助けるという目的を達した以上、この空間に長居する理由もない。脱出するぞ‼』
「お、おう‼ 真月、お前も早く」
[待て、真月零]
その声と共に映像越しにドルべとミザエルが現れた。
[お前はバリアンか、人間か。どちら側に立つつもりだ]
そう言ったドルべの瞳は真剣そのものだった。
おそらく、ベクターと同一の存在でありながら遊馬達と話す俺の姿に、判断を決めかねているのだろう。
いい機会だ。
ここらで、俺もハッキリさせておこう。
「…俺は、遊馬達と行く」
[だが、お前はバリアンなのだろう?]
「ああ。俺は何処まで行ってもバリアンだ。遊馬達人間とは、違う存在なんだろう」
[ならば何故]
「俺がバリアンでも、それが遊馬達と仲違いする理由にはならない」
そう、俺はきっと、この先もバリアンのままだろう。
だが、それだけだ。
人間じゃないから人間と仲良くしてはいけない。元人間の感性の影響かもしれないが、そんな排他的である必要はない。
「ベクターなんて関係無い。それが、他ならぬ『真月零』である俺の意思だ」
[…いいだろう。我々とお前の進む道は異なった。ならば、我々はお前を敵対者として迎えよう]
「上等だ。全力で迎え撃ってやるさ」
それだけ言うとドルべは映像ごと消え去った。
[真月]
「なんだ?」
[…いや、多くは語る必要もないだろう。今は、素直にお前が生きていたことを喜ぼう。そして‼ 次相対する時、カイト共々私とタキオンドラゴンがお前を倒し、私が真のギャラクシーアイズ使いとなる‼]
「また返り討ちにしてやるだけだ」
そうやって互いに言うと、ミザエルはフッと笑い
[楽しみにしているぞ。我が2人の好敵手よ]
そう言うとミザエルも映像ごと消え去った。
…ん? なんか俺、今ミザエルにとんでもないことを言われなかったか?
[零君、そろそろ限界よ]
何を考えているのか、璃緒の不機嫌そうな顔が映像と共にアップで現れる。
…なんか、その顔も久しぶりに見たなぁ。
「わかった。さあ、遊馬。帰ろう‼」
「おう‼ いくぜ‼」
そう言うと俺達もアストラルの船に向けて走り出した。
いかがでしたでしょうか?
長い長いサルガッソ篇もようやく終了。
活動報告に裏話をまとめましたので、よければどうぞ。
デッキレシピは要望があればということで。
それでは。