ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
夕飯にカツ丼食べました。
痛んでいたらしく腹の調子が崩れました。
一緒に食べた父はなんの変化もなし。
…どうしてこうなった。

それでは、どうぞ。


第31話

さて、帰ってきて早々で、何が何だかといった具合なんだが…

とりあえず、ベクターはゼアル…いや、ダークゼアルと言うべきか…に負けたようだ。

しかし、ダークゼアルはライフが0になった後も攻撃を止めなかった、と。

こんなところだな。

 

「テメェはたしかに俺が…‼」

聞こえるままに振り向くと片翼がもがれ、まさに満身創痍といった様相のベクターがいた。

「お前自身が弱ったこと、砕かれた俺の心のカケラがお前を通して俺に帰還したことで、お前に貼り付けられたコイツらの力が弱まったんだ」

そう言うと俺は胸ポケットから罰ゲーム!と靄がかっているマインド・クラッシュを取り出し、ベクターに見せつけた。

 

罰ゲーム!

通常罠

相手の手札が4枚の時、次の効果から1つを選択して発動する

・相手は次のドローフェイズにカードをドローできない

・このターン相手は魔法・罠カードを発動できない

 

マインド・クラッシュ

通常罠

カード名を1つ宣言して発動する

宣言したカードが相手の手札にある場合、相手はそのカードを全て墓地へ捨てる

宣言したカードが相手の手札に無い場合、自分は手札をランダムに1枚捨てる

 

「くっ…‼」

…まあ、『それだけ』なら俺は多分、ベクターの内側に潜み続けるだけで精一杯だっただろう。

とてもじゃないが、ベクターから離れられなかった。

 

 

「この扉を開く者は新たなる力を得る。しかし、その者は代償として一番大事なものを失う」

 

 

…あの扉から得た力の代償はかなり大きい。正直、舐めていたと言わざるをえないだろう。

でも、俺は遊馬や…なにより、璃緒を裏切りたくはない。

その結果、『あちらの俺自身のことが思い出せなくなった』としてもーー‼

 

「…ベクター、何処へなりと消えろ。俺からも一発ぶん殴るつもりだったが、その分じゃもう必要はないみたいだ」

「憐れみのつもりか、真月…‼」

「違う。俺は遊馬とアストラルに元に戻ってほしいだけだ。その為には、お前にいられると邪魔なんだよ」

「…クククッ…」

 

「…何が可笑しい?」

「2人が元に戻ることはありえねェ。決してな。一度芽吹いた疑いは、2人の関係を蝕み続けるだろうよ」

そう言うと、笑いながらベクターは開いた穴の中に姿を消した。

 

「………」

さて、問題はこのダークゼアル。

名もなきファラオや遊城十代のように融合解除を掲げることで分離できるのならそれで終わるが、あいにくと俺にそこまでの不思議パワーはない。

さて、2人をどうやって分離したものか…

 

[零君…?]

「ああ」

画面越しの璃緒は信じられないものを見たかのような、中々拝めそうにない珍しい顔をしている。

 

[本当に?]

「本物の真月零だ」

[実は本物のベクターだった‼ とか]

…ベクターの奴、一体何をしたんだ?

「ない。正真正銘、本物の真月零だ」

そう言うと、璃緒はボロボロと泣き始めた。

 

[わた、私…零君を手、手にかけて…]

「大丈夫だ。俺はこの通り、生きてる」

そう言うと璃緒はますます涙を流した。

まいったな。側にいれば、背中をさするくらいはできるんだが…

 

[真月]

璃緒とは別の画面にシャークの顔も映る。

「シャーク」

[ったく…生きてたんならそう言え]

そう言ったシャークの口には笑みが浮かんでいる。

どうやら、心配をかけてしまっていたらしい。

「心配をかけた」

[俺よりも璃緒に言ってやれ]

「ああ。璃緒さん、心配をかけた」

[…まったくよ‼ 私が心配した分は、必ず返してもらうんだから]

「ああ。約束する」

[真月君‼]

[無事だったんだな‼]

「鉄男、みんなも。心配させて悪かった」

[まったくだウラ‼]

[トドのつまり、これは真月君には何かしてもらいましょう‼]

まったく…みんな、こんなところにいても変わらないな。

「ああ。学食くらいで良ければ何か奢るさ」

 

そうやってみんなと話していると、突然フィールドからホープレイVが消え去った。

ダークゼアルの方を見ると、フィールド・手札・墓地のカードをデッキに戻している。

…なるほど。

 

[零君]

「俺とデュエルがしたいらしい」

[わかってるわ。零君、あのダークゼアルはアストラルが遊馬君と強引に合体した姿なの]

強引に…なるほど、ならダークゼアルの中には確実に遊馬がいて、多分アストラルを説得しようとしているはず。

なら、俺がやることは1つ。

 

「わかった。ありがとう、璃緒さん」

[ええ…零君]

「何?」

[死なないで]

そう不安げに言われた言葉に思わず俺は口元が緩んでしまった。

 

「璃緒さんは心配性だな」

[私は本気よ?]

璃緒さんは不満げにこちらを見ている。

ホントに…

「俺は消えないさ」

[ホントに?]

「ああ。約束する」

そう言うと璃緒さんとしばらく見つめ合い、やがて璃緒さんは固い表情を和らげた。

[信頼しているわ]

それだけ告げると俺は頷いて返した。

 

「さて…遊馬、アストラル。聞こえているか? 今度は俺の番だ。中にいるって言うんなら、俺がお前達を引っ張り出してやる」

いくぞ。遊馬、アストラル‼

 

「デュエルディスク、セット‼Dゲイザー、セット‼」

 

「「デュエル‼」」




いかがでしたでしょうか?

推奨BGM:遊戯王DM 次回予告BGM

代償を払い、帰ってきた真月君。
しかし、その代償は決して軽くはなかった!
頑張って、真月君!真月君の肩には遊馬とアストラルの未来もかかっているのよ!
あ、あのカードは…リミテッド・バリアンズ・フォース⁉

次回、ゼアルⅡ大勝利! 希望の未来へレディー・ゴーッ!

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