ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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「「なーにっかな、なーにかな? 今回はコレ!」」

偽りの種
ムーン・スクレイパー
増幅する悪意
ブラックホール
堕落

「? ブラックホールや堕落は強力なカードだけど、他のカードは?」
「物語を読めば、わかるらしいわ」

…ゴッズのこれ、結構好きでした。
それでは、どうぞ。


第29話

遊馬 LP1000

手札 2

モンスター 1

CNo.39 希望皇ホープレイV

魔法・罠 2

リビングデッドの呼び声(対象なし)

⁇?

 

ベクター LP200

手札 0

モンスター 0

魔法・罠 2

異次元の古戦場ーサルガッソ

vainー裏切りの嘲笑(CNo.39 希望皇ホープレイV)

 

「なっ…」

真月が…

「グッジョォォオオブ‼」

ベクターの心底愉快そうな声が響き渡る。

 

「璃緒ちゃんよォ、これでお前の命は一先ず助かったってわけだァ」

「お前‼ お前が真月を襲わなければこんな‼」

「ことにはならなかったかァ? 違うだろうがよォ。遊馬、お前がアイツをここに連れて来なけりゃこうはならなかったんだろうがよォ‼」

「…‼」

俺が、俺が連れて来たから…

そうだ、俺があの時無理矢理にでも引き止めていれば…‼

 

[違うわ]

妹シャーク?

 

[私はどんなことがあっても、自分の意思で必ず着いて来ていた。でしょう?]

[ああ]

シャーク…

 

[遊馬、俺はアイツに借りがある。その借りを返す為なら何処にでも行くし、何処まででも追い詰める]

[ああ]

カイト…

 

[遊馬、俺達は俺達の意思でするべきことをする為、ここに来た。ならば、遊馬。お前もするべきことをしろ]

俺のするべきこと…

 

「俺のターン、ドロー‼ マジック・プランターを発動‼」

 

マジック・プランター

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在する永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる

デッキからカードを2枚ドローする

 

「裏切りの嘲笑を墓地へ送り2枚ドロー‼」

よし、これでホープレイVが復活した。

これで攻撃することができる。

「チッ…死者蘇生を発動‼ 墓地のシャイニングを特殊召喚する‼蘇れ、シャイニング‼」

ベクターのフィールドに墓地からついさっき破壊したシャイニングが蘇った。

 

「ターンエンド‼」

 

ベクター LP200

手札 1

モンスター 1

No.104 仮面魔踏士シャイニング 攻撃

魔法・罠 1

異次元の古戦場ーサルガッソ

 

…俺が今すべきこと。それは

「アストラル。俺、色々すまん。本当にごめん」

アストラルに謝ることだ。

思い返せばこのデュエル、頭に血がのぼってばっかだった。

俺がもっとアストラルの助言を聞いていれば…

 

『遊馬』

頭を下げた俺にアストラルが声をかけ、アストラルを見るとアストラルはこちらをまっすぐに見つめていた。

 

『勝つぞ、このデュエル。真月の為にも‼』

「ああ‼」

『いくぞ、ゼアルだ‼』

 

「おう‼ 俺と‼」

『私で‼』

『「オーバーレイ‼」』

そう叫んだ俺達は赤と青の光に包まれ同時に高く飛び、ゼアルになるべく互いにぶつかり合うように飛んだところで

「総仕上げといくか…なあ、アストラル‼」

そう叫ぶベクターの声が聞こえた。

 

ーホントに遊馬と1つになれるのか?

『………』

 

ーお前は今、自分の話をちゃんと聞こうとしない、自分よりも真月を優先する遊馬を心の底から信じているのか?

『………』

 

ー疑っているんじゃないのか? 遊馬のことを。

『……ッ』

 

ー自分の心の奥底までよく覗いてみるんだ。よーくな…

 

そうベクターの声が聞こえると、パキッという何か割れたような音が聞こえた。

「アストラル?」

『遊馬、私は…』

 

ーお前の心に小さな黒いシミができてンだろ? そいつを素直に認めるんだな。

アストラルに小さなシミ…?

 

ー今まで遊馬を執拗に責めてたのはなァ…アストラル、自分を裏切った相手に疑いの根を張らせ、怒りという芽を出させる為だったんだよ。

「な、なんだと…⁉」

 

ー貴様は純潔で、疑うことを知らない。そして、裏切られることに免疫がない。

ーだから、小さなシミで充分。それだけで命取りだ。

ー今その小さなシミを、無限の絶望に広げてやるよォ‼

 

「ふざけんな‼ アストラルはそんなもんに負けやしねぇ‼」

そうだ、アストラルが負けるわけがねぇ。

実際、俺とアストラルは今ゼアルという形で1つになろうとしているのを感じることができる。

 

「どうかな? 今のアストラルに闇を拒むことが出来るかな?」

『何…⁉』

「忘れたのか‼ ホープレイVはバリアンの力だ‼」

 

そう言った瞬間、俺達は無理矢理2人に分離してしまった。

俺はもんどりうって倒れ、アストラルは吹き飛ばされるようにして離れると胸に開いた暗い穴から何かが飛び出し、アストラルを包み込んでしまう。

 

『っ⁉ ぁぁああああ⁉』

「アストラル⁉ おい、どうしたんだ⁉」

一体、何がどうなってんだ⁉

 

『あ…ああ……』

完全に繭のように包まれ、叫び声が聞こえなくなったかと思うと、引き裂きながら、全身が濁った黒に染まったアストラルが現れた。

「アストラル…?」

『ゼアル…ゼアル‼』

そう叫ぶアストラルは俺に近付き、肩を掴んだ。

その顔はアストラルらしくない、悪意に歪みきった表情をしている。

 

「ア、アストラル⁉」

『ゼアル‼』

そう叫ぶとアストラルは俺を連れてそのまま空高く飛び始めた。

そのまま、いつもの感覚とは違った、俺がアストラルに引き込まれるような感覚を感じる。

 

「アス、ト…‼」

そう呼びかけるもアストラルは返事をせず、ますます俺を強く引き込まれていく。

そして、何かに沈む不快な感覚を全身で感じながら、俺は意識を手放してしまった。




いかがでしたでしょうか?

冒頭の意味がわかった貴方は一級決闘者。現実よりも充実した決闘者生活が認可されます。
わからなかった貴方はⅣさんの楽しいファンサービス。今ならもれなく大満足時代の満足さんも憑いてきます。
それでは。

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