ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
片付けをしていたら東映版の遊戯王が出てきました。
遊戯TUEEEE‼ この時代ってモンスターは全部効果モンスターだったんですよね。
今の遊戯王とたいして変わらない辺り、時代を先取りしていたわけだ。
邪悪な鎖と三体連結のOCG化はまだでしょうか?
それでは、どうぞ。


第23話

「ん…」

 

 私がゆっくりと眼を開くと見慣れた天井、小物やぬいぐるみが置かれていた。ここは…私の部屋?

 窓の外は日が落ちたのか、街頭と家々から漏れる灯りが煌々と輝いており、既に暗闇に包まれている。

「起きたか、璃緒」

「凌牙…私」

 

 一体何が…

 たしか、遊馬君達と零君のお見舞いに行く途中にバリアンとデュエルをして…‼

 

「そうだわ‼零君‼ 凌牙、零君がベクターとかいうバリアンに‼」

「落ち着け。遊馬達から大体の話は聞いてる」

「凌牙。私、零君を探さないと。零君は私を庇ってベクターに攫われたの」

 そう言うと、私は零君を探そうと部屋を出て行こうとした。

「おい、冷静になれ。何処を探すつもりだ」

「そんなの…‼」

 

 …そうだった。

 私はバリアンの居場所を知らない。

 それどころか、バリアンについてロクに知りもしない。

 

 そのことに気付いた私は急速に頭が冷えていくのを感じた。

「…落ち着いたか?」

「…ええ。ごめんなさい、凌牙」

「まずは座れ。俺が聞いたことを話す」

 そう言われ、促されるままに座った私に凌牙はあの後起こったことを話し始めた。

 

 

「飛行船?」

「ああ。ベクターから受け取ったナンバーズについてアストラルが調べた結果、そのナンバーズはある場所を指し示したらしい」

「場所は?」

「わからねぇ。ただ、バリアンの示した場所だ。普通の場所のわけがねぇ」

「ええ」

 あのベクターというバリアンはわずかな時間から、酷く残忍な性格の持ち主だということは理解できた。

 そんな輩が、マトモな場所を示すとは思えない。

 

「俺は明日、その船に乗る。真月のことだけじゃねぇ。アイツには貸しがある」

「私も行くわ」

「何?」

「私も行く。行って、私が零君を助ける」

 

 私は少し前、零君に絵の中から助けてもらった。

 なら、今度は私の番。

 私がベクターの魔の手から零君を救い出してみせる。

 

 そうした想いが凌牙にも通じたのか、凌牙は溜め息を吐いた。

「…わかった」

「じゃあ、早速明日に向けて準備をしましょう?」

 まず、デッキ調整をしないと…

 そう考えながらデッキとカードを取り出そうとした私のお腹から空腹を訴える虫の音が聞こえた。

「その前に飯、だな」

「…そうね」

 

 

 翌朝、凌牙にバイクに乗って連れられるままに行くと、大きな建物の屋上に不釣合いな横長の物体が乗せられていた。

「これが?」

「ああ。船だ」

「へぇ…」

 と私がしばらく眺めていると意思の強そうな青い瞳をした以前一度会ったことのある青年が現れた。

 名前はたしか…天城カイト、だったかしら。

 足下には彼の従者らしきロボット…たしか、オービタルだったかしら?もいる。

 

「遊馬はどうした」

「まだ来てねぇ」

 そう凌牙が返すと溜め息を漏らし、そのまま黙り込んだ。

 そのまま待つこと十数分、リュックサックを背負った遊馬君が現れた。

 

「お前ら早いな」

「お前が遅いんだよ」

「おはようございます、遊馬君」

「妹シャーク⁉ お前も行くのか⁉」

「その呼び方は止めてと何度言えばわかるのかしら?」

「コイツは一度言い出したら聞かないからな」

「零君を今度は私が助けます」

「そっか。頼もしいぜ‼ よっしゃあ‼じゃあ行くか‼」

「…で、どうやって乗るんですか?」

 さっきからずっと観察していたけれど、入り口らしき場所は何処にも見当たらない。

『心配いらない』

 そうアストラルが言うと船の一部から円状の光が照射された。

『ここから操舵室に入ることができる』

「すっげぇ‼ よし、じゃあ行こうぜ‼」

 そう言う遊馬君を筆頭に私達が円に入ると何処から現れたのか、ナンバーズクラブの面々も現れた。

「お、お前ら⁉」

「除け者なんて水臭いウラ‼」

「トドのつまり、僕達もお供します」

「遊馬、私達にとっても真月君は大切は仲間なの」

 …皆さん…

「あーもう‼ わかったよ‼」

『では、転移するぞ』

 そう言うと私達を光が包み込み、晴れた先には操舵室の景色が広がっていた。

 

「うわー…」

『いつでも発進できる状態になっている』

 そう言うとオービタルが座席に座り手際良く船の操舵を始めた。

「準備完了でアリマス」

『遊馬、君が指示を出せ』

「俺が?」

「今回ばかりは華を持たせてやる」

「ほら、さっさとやれ」

 そう2人に促されると遊馬君は頷いた。

「行くぜ‼発進‼」

 そう勢いよく声を上げると船が動き始めた。

 

 待っていて、零君。

 私達が貴方をバリアンから助け出してみせる‼




いかがでしたでしょうか?
いよいよアレが近付いてきました。
ちゃんと書けるか心配だ…
それでは。

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