思ったより続編希望が多かったのでボチボチ書いていこうかと思います
それでは、どうぞ
「いっつつ…」
どうやら俺は前に座り込んでいた少年とぶつかって転んだらしい。
しかしぶつかった少年…何処かで見たような?
そんなことを考えていると、少年が両足を掴んで股の間から顔を覗かせた。
「いってーなお前‼」
「ああ、ごめん。前見てなかったもん…ッ⁉」
そこにいたのは特徴的なエビ頭をした少年ーーー九十九遊馬だった。
「九十九…遊馬…⁉」
「? お前、俺を知ってるのか?」
しまった、驚きのあまりやってまった。
知りもしない人間にいきなり名前を言われては不思議にも思うだろう。
何かうまく言い訳をしなくては…
たしかこの頃の遊馬は…
「えーっと…ほら、WDCで優勝してたからさ」
たしか、WDCが終了しているはず。
これでどうだ…⁉
「あー…そっか」
…なんとかなったらしい。
こう言うのもなんだが、遊馬の人への疑いのレベルはそれでいいのか?
「ってヤベェ‼ このままじゃ遅刻だ‼」
「あ、ちょっと…‼」
俺は走り出した遊馬を慌てて追いながら、横目で顔を眺めた。
九十九遊馬
遊戯王シリーズ4作目の主人公にして恐らく歴代で1、2を争うメンタルの強い決闘者。
初期はトラップと宣言してからセットする等見ているこっちがヒヤヒヤするような危ういプレイングをしてはいたが次第に腕を上げ、困難にチャレンジする「かっとビング」の精神でシャークやカイトを始めとした心強い仲間を惹きつけ、果てはベクターすらも改心させた。
「(まさかもう遊馬と出会うことになるなんて…)」
「なあ‼」
「?」
「お前名前なんていうんだ?」
「ああ…俺は真月零。今日転入する1年だ」
「じゃあ俺と同い年だな‼よろしくな、真月‼」
そう言って遊馬は俺に笑顔を見せた。
カラッとしたその笑顔は、見ているこちらもなんだか嬉しくなる。
「ああ、よろしく遊馬。ところで」
「なんだ?」
「学校ってどっち?」
気付けば俺は、遊馬にそんなことを聞いていた。
「え、そりゃあっちだけど…道はこっちだぜ?」
そう言うと、怪訝な表情のまま、遊馬は学校があるらしい方向を指さした。
このまま走ったところで遅刻は目に見えてる…なら、イチかバチか‼
「こっちだ‼」
そう言うやいなや、俺は遊馬の腕を掴み、走り出した。
「お、おい⁉」
「通学路を走ったって間に合わない‼ なら、こっちの方が断然早い‼」
そう言った俺のテンションは知らず知らず上がっていたらしい。
けど考えてもみてほしい。
真月という原作キャラに憑依したのに加え目の前には主人公である九十九遊馬がいる。
これが上がらずにいられるだろうか? いや、ない。
そして俺達は風になった。
屋上から屋上へ飛び移ったような気もするし、厨房を駆け抜けたような気もするし、下水を駆け抜けたような気もするが気のせいだ…多分。
あれから10分くらいは走り続けただろうか。
なんとか到着した俺は、ヘロヘロの遊馬を引っ張り、職員室で聞いた教室に向かった。
「九十九、九十九遊馬?」
そう呼ぶ声が聞こえる。
なんとか間に合ったか。
「います‼ 九十九遊馬はここにいます‼」
そう叫ぶと俺は遊馬を引き寄せた。
当の本人は返事もできないのか、未だヘロヘロのままだ。
「な、なんだ?」
「遊馬⁉」
「き、君は一体?」
「ああ、えー…今日からこのクラスに転入してきた真月零です。よろしくお願いします」
「…そんなことより、君達2人共遅刻ですけどね」
なん…だと…?
時間は変わって昼休み。
隣の席の親切な女子に色々教わり、それなりに仲良く昼飯をとった俺は遊馬に今朝のことを謝るべくウロウロしている。
授業は大体俺が中学で習った内容で、そこにデュエルが加わったって感じだ。
しかし…この世界デュエルで片付きすぎな気が…なんだよ、卑弥呼がデュエルで金印を貰ったって。
「「「キャーッ‼」」」
「ん?」
見下ろした先にはなにやら赤い上着を着たいかにも好青年といった具合の男が大勢の女子に囲まれていた。
あの男は一体誰だ?
「ちょっといいか?」
「ええ、何かしら?」
「あれは?」
「ああ、あの人は片桐大介っていうプロ決闘者よ。デュエルの戦績はーーー」
プロ決闘者…ね。
やっぱり、この世界はプロ野球選手やサッカー選手みたいに、プロの決闘者がいるのか。
「私の話聞いてる⁉」
俺が思考を逸らしていたのがバレたのか、女子はくってかかってくる。
「え? ああ、えーっと…」
「もう‼」
「ごめん。で、なんだっけ?」
「今日はあの人が講師として来て私達と交流デュエルをする日なの。事前の申し込みがあって今回は参加者しかデュエルは出来ないんだけど。デュエルを見るだけなら出来るよ」
なるほど。
ということは、遊馬もそこにいるかもしれないな。
「それって何処でやるかわかる?」
「え? 多目的ホールだけど」
「わかった。ありがとう‼」
善は急げ、だ。
まずは、遊馬に会いに行こう。
多目的ホールに到着してみると5人に対し片桐という男は1人でデュエルをしていた。
「(フィールドにいるのはベン・ケイ…それにデーモンの斧が2枚に凶暴化の仮面が1枚、魔導師の力が1枚…なんだ、典型的な【ベン・ケイ1キル】じゃないか)」
重装武者ーベン・ケイ
☆4 闇属性 戦士族
ATK 500
DFE 800
このカードは通常の攻撃に加えてこのカードに装備された装備カードの数だけ1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる
デーモンの斧
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする事でこのカードをデッキの一番上に戻す
凶暴化の仮面
装備魔法
装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、守備力は1000ポイントダウンする
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に1000ライフポイントを払う。または1000ライフポイント払わずにこのカードを破壊する
魔導師の力
装備魔法
装備モンスターの攻撃力・守備力は自分フィールド上の魔法・罠カード1枚につき500ポイントアップする
学生側は…モンスター無し、リバース無しか…
随分と徹底的に打ちのめしたらしい。
それとも、手を抜かないと決めているのか?
まあどっちでもいいんだが…
さて、遊馬は何処にいるかなっと。
「エンジョイデュエルだ‼」
どうやら終わったらしい。
しかし…俺が言うのもなんだが、この世界に普通の髪型の奴はいないのか?
奇抜というか…特徴的過ぎて遊馬が見当たらない。
「くぅ〜ッ‼ 俺もデュエルしたいぜ‼」
あ、見付けた。
どうやら遊馬もデュエルできなかったらしい。
…ん?ということは俺が片桐プロに遊馬とのデュエルを取り付けられれば俺は謝れて、遊馬はデュエルが出来る。
一石二鳥じゃないか。
「遊馬‼」
「ん?」
「片桐プロとのデュエルなら任せろ‼ 俺が頼んでくる‼」
そう言うと、俺は急いで探すべく走り始めた…なんか今日走ってばっかだな。
ーーーその時、俺はまだ忘れていた。
片桐大介は既にギラグによってバリアンに洗脳されていたことに。
いかがでしたでしょうか?
行間やらがまだサッパリなもので、こうした方がいいみたいなのがありましたらお願いしますm(_ _)m