ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
今回は3つに分けることにしました。なのでデュエルはお預けです。
その方がキリも良かったので。

糖分侵攻中 要警戒。
それでは、どうぞ。


第16話

「璃緒さんと遊馬のカップル報道⁉」

 

 翌日、登校するやいなやクラスメイトから知らされた校内新聞の内容に俺は驚きの声を上げた。

 周りが何事かとこちらを見ているがそんなこと構いやしない。

「ちょ、ちょっと貸してくれ」

「お、おう」

 と言い渡された新聞を覗き込むとそこにはたしかに遊馬と璃緒のカップル報道という見出しと内容が書かれてあった。

「な…⁉」

 

 遊馬と璃緒が付き合っている…?

 な、なんだ…? この、まるで快調に飛ばしていたスポーツカーがエンジントラブルで失速していくかのような急激な落ち込みは。

 まさか…いやしかしそんな…この気持ちの落ち込み具合。俺は本当に璃緒のことが…?

 

「ああ、良かった。ここにいたのね零君」

 と声が聞こえ見た先には喜ぶべきなのかそうではないのか…璃緒がいた。

「零君、あの」

「璃緒さん。ちょっとこっちに」

 そう言うと俺は璃緒の返事も聞かずに手を取り屋上まで歩き出した。

 

 

「璃緒さん」

「は、はい」

 と俺は璃緒の両肩を掴んで璃緒を見た。多分、俺はこの時自分でもわからない程に狼狽していたんだろう。

「あの、零君…?」

「…あの新聞のことは、その…本当に?」

 

 心臓が早鐘を打ち、口内が渇いていくのが自分でもよくわかる。

 焦るな、落ち着け…こんな緊張、ミザエルに正体がバレた時やギラグとのデュエルでも無かったぞ。

 

「…違うわ。私は別に遊馬君と付き合ったりはしてない。誓ってもいい」

 そう言うと璃緒は真剣な眼差しで俺を見つめ返してきた。

 

 そのまま数秒程互いに向き合い黙り込むと

 

「…そっか」

 と言うと俺は何を思ったのか璃緒のことをそのまま抱きしめていた。

「あ、あの、零君…⁉」

「良かった…」

 もし「遊馬と付き合っている」なんて言われたら俺は

 

「あの、零君?そろそろ…」

 という璃緒の声が耳元で聞こえ抱きしめていたことに気付き慌てて離れた。

「あ、ああ。悪い」

「あ…」

「「………」」

 

 …き、気まずい。

 なまじ俺の気持ちを俺が把握しかけただけにこれは辛い。

 多分、俺の顔も璃緒の顔も今馬鹿みたいに赤くなっているんじゃないか?

 にしても、璃緒は柔らかかった…じゃない‼ そうじゃなく

 

「あー…その、とにかく遊馬とのことは関係ないしシャークのあれは全く知らない…でいいんだよな?」

「え、ええ。関係ないわ」

「じゃ、じゃあ遊馬にも言って誤解を解かないとなー」

「そ、そうね。そうしましょう」

 そう言うと俺達は微妙な空気のまま並んで遊馬を探すべく歩き出した。

 

 

 遊馬の目撃情報を聞きながら歩き回っているとどうやら遊馬は鉄男と共に渡り廊下に向かったらしい。

「ああ、いたいた。おーい、遊」

「シャークが璃緒さんの相手認めたのは遊馬‼お前だったんだ‼」

 そう言い放った鉄男の言葉に俺は声をかけかけようとした姿勢のままはたと動きを止めた。

 

 …シャークが公認? あの、璃緒のファンが近寄ろうとすれば何処からともなく出張ってひと睨みまでするシャークが?

 

 そんな考えていると隣で聞いていた璃緒が2人に近付いた。

「…そういうことでしたか」

「り、璃緒さん…?」

「ネタ元は凌牙だったのですね…‼」

 そう言い拳を固める璃緒の背後には…なんだろうか、炎が幻視できた。

 

 しかし、遊馬を相手に選ぶって…一体どういうつもりなんだ? シャーク




いかがでしたでしょうか?
糖分系の話を上手く書く人を尊敬する今日この頃。

次回はデュエル回です。真月君はおそらくデュエルしませんが。
特に他意はないんですけど…
こういうフラグって上げるだけ上げると落とす時が楽しいですよね(ゲス顔)

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