ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
遊馬vs真月零 3となっております。

遅れて申し訳ないです。
色々と見直していたら時間が過ぎてしまいまして。

Q.今欲しいものはなんですか?
A.時間とエクシーズ・トレジャー

それでは、どうぞ。


第156話

「俺のターン、ドロー‼」

 

ドローカードは…よし‼

「まずは強欲なカケラの効果からだ。通常ドローをしたことで、強欲カウンターを1つ乗せるぜ」

 

強欲なカケラ

強欲カウンター 0→1

 

「俺は二重魔法を発動‼」

 

二重魔法

通常魔法

手札から魔法カード1枚を捨て、相手の墓地の魔法カード1枚を選択して発動できる

選択した魔法カードを自分フィールド上の正しいカードゾーンに置き、使用する

 

「俺は手札の2枚目のガガガ学園の緊急連絡網を墓地に送り、真月‼ お前の墓地にある魔法カードを使わせてもらうぜ‼ 俺が使う魔法はーーー」

そう言うと、二重魔法が光を放ち、墓地から1枚のカードがゆっくりと出てくる。

そのカードはーーー

 

「リミテッド・バリアンズ・フォースか…‼」

「俺は希望皇ホープ1体でオーバーレイネットワークを再構築‼カオス・エクシーズ・チェンジ‼」

ホープレイでも、ホープレイVでもダメだった。

なら、次はコイツだ。

いくぞ、真月‼

 

「こい、CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー‼」

ホープが皇の鍵みたいな形に姿を変えると、ゆっくりと開いた穴に沈み込み、爆発を起こす。

すると、赤と白のホープよりも一回り以上大きなホープが姿を現した。

「ホープレイ・ヴィクトリー…‼」

「いくぞ、真月‼ 俺はーーー」

「させるか‼ リバースカードオープン、威嚇する咆哮‼」

俺の勢いに、剣を抜こうとしたホープレイ・ヴィクトリーは、突如フィールドを襲った咆哮の前に動きを止める。

 

「威嚇する咆哮の効果で、このターン攻撃宣言はできない。Dark Knightへの攻撃は不発だな、遊馬」

『くっ…ホープレイ・ヴィクトリーの効果の穴をつかれたか…‼』

後少しの壁がすっげぇ分厚い。

けど…

『遊馬?』

「けどさ、なんかすっげぇワクワクする」

どうやったら真月を攻めきれるのか。

どうやったら受け止めきれるのか。

そんなことばっか考えて、つい楽しくなっちまう。

 

「遊馬、デュエルは楽しいか?」

突然、真月が俺に声をかけてくる。

「え?」

「最近、笑ってデュエルをしてなかったからな」

どうだ?

そう言って、真月が俺に投げかけてくる。

俺はと言えば、そんな言葉に思わず呆然としちまっていた。

 

思い返せば、最近、俺はデュエルを楽しむ余裕すら無かった。

襲いかかってくるバリアンに支配された人や、七皇、ナンバーズの守護者、アストラル世界の住人に、e・ラー。

誰も彼もが俺達に牙を向けてきて、それを打ち払うのに必死になって、泣いて、怒って…

デュエルって、もっとワクワクして楽しいものだったはずなのに。

「まさか…」

真月、お前その為に…?

 

「さあ、遊馬。まだお前のターンだ」

『遊馬。どうやら、我々はいつの間にか見えなくなっていたようだな』

「…ああ」

真月風に言うのなら、『見えるんだけど見えないモノ』ってやつだ。

けど、なら本当のデュエルはここからだ。

「1枚伏せてターンエンドだ」

 

遊馬 LP300

手札 0

モンスター 1

CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー 攻撃

魔法・罠 3

強欲なカケラ(強欲カウンター 1)

エクシーズ・チェンジ・タクティクス

⁇?

 

「俺のターン、ドロー‼ …フッ」

‼ 真月の奴、笑った。

一体何を引いたんだ?

「俺はDark Knightの効果発動‼ ホープレイ・ヴィクトリーをDark KnightのCORUにする‼」

真月の言葉に、Dark Knightが槍を振るうと、ホープレイ・ヴィクトリーが光になり、CORUへと姿を変えて地面に突き刺さった。

「さらに、混沌空間の効果発動‼︎ 除外したセイクリッド・ポルクスを手札に加える‼︎」

 

混沌空間

カオスカウンター 6→2

 

「セイクリッド・ポルクスを召喚‼︎」

真月のフィールドに2つの刃のついた剣を握る騎士が姿を見せる。

「これで遊馬君のフィールドは空…」

「これでもし、真月のダイレクトアタックが通れば遊馬のライフは…」

 

「尽きる」

 

「いくぞ、遊馬‼ S・H・Dark Knightでダイレクトアタック‼」

真月の言葉に従うようにして、Dark Knightが弓を引くようにして槍を構える。

「やれぇ‼」

真月の言葉と同時に、槍が放たれる。

スピードに乗ってぐんぐん飛び、俺達にーーー

 

 

 

 

 

 

ードオォン…ッー

 

放たれた槍が遊馬達へと飛び、派手な音と共に土煙を舞い上がらせる。

「遊馬‼」

静かになったフィールドに小鳥の悲痛な声が響く。

 

「っ…真月‼ 次は俺とーーー」

「無理だ。今、この世界はアストラル世界との衝突の危機を迎えている」

「なんですって⁉︎」

「時間がないんだ。デュエルはこれ以上受けることはできない」

さっきよりも、かなり近付いているのがわかる。

これ以上、最初から誰かとデュエルをしていたら、2つの世界は吹き飛ぶだろう。

 

「それにーーー」

 

段々と土煙が晴れていき、槍の矛先の2人のシルエットが見えてくる。

 

「まだ、終わってない」

 

 

 

 

 

 

「っ…あっぶねぇ…」

土煙が晴れ、俺の視界に真月や小鳥達の姿が見えてくる。

 

「遊馬‼」

「アイツ…心配かけさせやがって…‼」

 

『一時休戦で得たカードが無ければ、負けていたな』

「ああ」

そう言って俺達のフィールドへと目をやる。

 

「俺は攻撃の無敵化を発動した‼︎ このターンのバトルフェイズで俺が受ける戦闘ダメージは0になる‼︎」

そこには、Dark Knightの槍の矛先と俺との間に壁のように立つ1枚のカードの姿があった。

「フン…1枚伏せてターンエンドだ」

 

真月 LP1150

手札 1

モンスター 2

CNo.101 S・H・Dark Knight 攻撃

セイクリッド・ポルクス 攻撃

魔法・罠 3

混沌空間(カオスカウンター 2)

セイクリッドの星痕

⁇?

 

『遊馬、このチャンスを無駄にするわけにはいかないぞ』

「おう‼」

 

これが多分、このデュエル最後のZEXALだ。

「いくぜ、アストラル‼ 俺と」

『私で‼』

 

「『オーバーレイ‼』」

俺達の身体が再び心地のいいエネルギーみたいなものに包み込まれ、溶けて1つに混ざっていく。

 

「『眩き希望の光が未来を導く‼』」

これが、俺達の最強の形。

絶望という闇を振り払い、希望という光の形。

 

「『アルティメット・エクシーズ・チェンジ‼ ZEXAL‼』」

 

 

 

 

 

 

「3度目のZEXAL…‼」

俺の眼前には、まるで遊馬そのものがホープへと姿を変えたかのような姿がある。

その姿は覚えている。

ついさっき、e・ラーとの戦いで見た形態だ。

なら、あの姿は正しく2人にとっての最強の形。

「いくぜ。俺のターン、ドロー‼ ドローしたことで、強欲カウンターに更に1つ乗せる‼」

 

強欲なカケラ

強欲カウンター 1→2

 

「強欲なカケラの効果発動‼ カウンターの2つ乗ったこのカードを墓地に送り、2枚ドローする‼」

ZEXALの言葉に、強欲なカケラが光になって消えると同時に、手から強い光が放たれ始める。

 

「決闘者はカードを導く‼ 我が身が放つ一点なる光を目指し、来たれ勝利と希望のカード‼ シャイニング・ドロー‼」

そんな言葉と共に勢いよくドローすると、光がアーチのようにその場に漂い、消え去る。

さあ、何をドローした?

 

「いくぜ。俺はエクシーズ・リベンジを発動‼ 墓地から希望皇ホープを特殊召喚し、真月‼ お前のフィールドのDark Knightのユニットになっているホープレイ・ヴィクトリーをORUにする‼」

ZEXALの言葉と共に、フィールドに光が溢れると、Dark Knightのユニットが1つ消え、同時にホープがフィールドに現れた。

 

「またホープ…‼」

何度倒しても、また俺の前に立ちはだかってくる。

まったく、嫌になるくらいしぶとい。

「何度だって俺達と共にあるものさ‼ RUM−アストラル・フォースを発動‼」

 

RUM−アストラル・フォース

通常魔法

(1):自分フィールドのランクが一番高いXモンスター1体を対象として発動できる

その自分のモンスターと同じ種族・属性でランクが2つ高いモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分ドローフェイズのドロー前に発動できる

墓地のこのカードを手札に加える

この効果を発動するターン、自分は通常のドローを行えず、自分は「RUM−アストラル・フォース」の効果以外でモンスターを特殊召喚できない

 

「俺は希望皇ホープ1体でオーバーレイネットワークを再構築‼ 現れろ、No.39‼ 人が希望を越え、夢を抱くとき、遥かなる彼方に、新たな未来が現れる‼ 限界を超え、その手につかめ‼ 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ‼」

ホープが大きく跳躍し、空高く跳び上がると、墓地やエクストラ、Dark KnightのCORUが光を放ち、ホープレイ、ホープレイV、ホープレイ・ヴィクトリーの姿がホープと並ぶ。

その姿がホープと完全に重なり合った瞬間、大きな爆発が起こる。

すると、ホープのいたそこにはホープレイ・ヴィクトリーよりもさらに巨大な白いホープの姿があった。

「ビヨンド・ザ・ホープの効果発動‼ エクシーズ召喚に成功した時、相手モンスターの攻撃力を0にする‼」

 

CNo.101 S・H・Dark Knight

ATK 2800→0

 

セイクリッド・ポルクス

ATK 1700→0

 

「くっ…‼」

ビヨンド・ザ・ホープが光を放つと、Dark Knightとポルクスが膝をつく。

くっ…だが‼︎

「いくぞ、俺はビヨンド・ザ・ホープでーーー」

「リバースカードオープン、強制終了‼︎ Dark Knightをリリースし、このターンのバトルを終了する‼︎」

俺の言葉に、フィールドからDark Knightが光になると、攻撃の姿勢をとっていたビヨンド・ザ・ホープが構えを解いた。

 

「攻撃はさせない」

ZEXALから光が放たれると、1つだった人影が2つになる。

『これすらも読まれていたか』

「ああ、流石は真月だぜ。俺はこれでターンエンドだ」

 

遊馬 LP300

手札 1

モンスター 1

No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ 攻撃

魔法・罠 1

エクシーズ・チェンジ・タクティクス

 

さて、俺のターンだ。

遊馬のフィールドには遊馬達にとっての最強の形であるビヨンド・ザ・ホープ。

対する俺のフィールドのモンスターは攻撃力0のポルクスが1体。

攻撃力0をフィールドに残すよりかは、ランク4の可能性に賭けるべきだと残しはしたが、リバースカードも無く、手札にも即効性のカードが無い以上このドローで決まる。

そのカードを、俺が引き寄せることができるかどうか…

 

ーチッ、いつまでボヤボヤと考え事してるつもりだ?ー

 

「……?」

不意に、何処からか聞き馴染みのある、しかし懐かしさは感じない声が聞こえる。

遊馬達に代わった様子はない。

ということは、俺にだけ聞こえている…のか…?

 

ーほら、手を添えろ。この俺様が力を貸してやろうじゃねェかー

 

……いくぞ。

「俺のターン、ドロー‼」

…ドローカードは…

「俺がドローしたカードはコイツだ。RUM−七皇の剣‼」

『ここでそのカードだと⁉︎』

 

わかる。

わかるぞ。

あの声。

お前が、俺にコイツを引かせたな。

ベクター‼

「俺はエクストラデッキのNo.104 仮面魔踏士シャイニングを特殊召喚し、オーバーレイネットワークを構築‼」

俺のフィールドに現れたシャイニングが一度屈むと、空高く跳躍する。

 

「カオス・エクシーズ・チェンジ‼ 現れろ、CNo.104 仮面魔踏士アンブラル‼」

 

 

 

 

 

 

「仮面魔踏士アンブラル…‼」

ベクターの…そして、真月のオーバーハンドレッドナンバーズ。

まさか、最後の最後。

こんな場面でコイツが出て来るなんて…っ⁉︎

 

『遊馬、私の目がおかしくなければ…』

「ああ…俺にも見えたぜ、アストラル」

真月の真横に、ベクターの姿が見える。

真月にもシャーク達にも変わった様子は見えない。

ということは…俺達にしか、見えていないのか?

「アンブラルの効果発動‼ 遊馬のフィールドのエクシーズ・チェンジ・タクティクスを破壊する‼︎」

アンブラルが杖を振るうと、杖先でそのまま叩いて破壊する。

「だが、貪欲な壺を発動。墓地のカードを5枚デッキに戻し、新たに2枚ドローする」

 

デッキに戻すカード

CNo.101 S・H Dark Knight

No.104 神葬零嬢ラグナ・ゼロ

星輝士セイクリッド・ダイヤ

セイクリッド・トレミスM7

カオス・ソルジャー−開闢の使者−

 

このタイミングの貪欲な壺…

Dark Knightが墓地にいくのも計算してたってわけか。

「2枚ドロー。 …ポルクスを守備表示に変更し、おろかな埋葬を発動。デッキのモンスターを1体墓地に送り、カードを2枚伏せてターンエンド」

 

真月 LP1150

手札 1

モンスター 2

CNo.104 仮面魔踏士アンブラル 攻撃

セイクリッド・ポルクス 守備

魔法・罠 4.

混沌空間(カオスカウンター 2)

セイクリッドの星痣

強制終了

⁇?×2

 

真月のエンド宣言と同時に、足元がグラグラと揺れ始める。

「きゃあっ‼」

「地震…⁉︎」

「いや、違う。アストラルなら、わかるんじゃないか?」

『ああ』

そう言うとアストラルは雲の覆われた空を見上げる。

『アストラル世界がかなり近付いている…‼』

「なんだって⁉︎」

アストラル世界が近い…

それはつまり、真月の言っていた世界の衝突が近いってことじゃねぇか。

世界同士の衝突。

それがどんなことになるのかはわからねぇ。

けど…アストラルの様子で、かなりヤバイことはわかる。

わかるってのに…

「くそっ…」

わからねぇ。

どうすれば、真月を救うことができるんだ…‼︎




いかがでしたでしょうか?

次回、ラストバトル。

それでは。

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