ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。

遊馬vs真月零 2となっております。
真月君のエクストラが増えすぎて空きスペースがマッハ。
理由は本編中にて明らかになります。

それでは、どうぞ。


第155話

遊馬がターンを終えたところで、バタバタという足音が聞こえてくる。

 

「遊馬‼」

「零君‼」

 

「小鳥。それに、シャーク」

「…璃緒さん」

どうやら、無事に小鳥と璃緒、それにシャークも合流できたみたいだ。

「? おい、遊馬。なんで真月とデュエルをしてるんだ?」

「‼ それは…」

 

シャークの言葉に遊馬は詰まらせる。

さっきまで燃えあがろうとしていた闘志は何処に置いて来たのかってくらい、今はない。

「…遊馬、その分だと気付いたみたいだな」

俺の言葉に、遊馬はピクリと反応する。

…やっぱりな。

 

「零君、どういうこと?」

「遊馬は今、選択を迫られているんだ」

「選択だと?」

俺の言葉にシャークが訝しむ。

「バリアンとアストラル。2つが相対した時、勝敗が決まればどうなるんだった?」

『…っ、まさか‼』

そうやって返事をしたところでアストラルも気付く。

 

「遊馬は勝ってアストラルを取るか、負けて俺を取るか。どっちかを選ばなきゃならないんだ」

バリアンとアストラル。

2つの相反するモノ同士がぶつかり合った場合はどうなるか。

アストラルはライフが減る毎に存在が薄くなる。

それはつまり、ライフポイントと自分自身が直結しているということだ。

 

ライフ0=自身の消滅

 

こういうことだろう。

 

なら、バリアンは?

取り替えのきく手駒のような考え方で増やしたであろうドン・サウザンドが、駒が負けた後の事を考えているとは思えない。

秘密保持とか、そういった理由もあるだろう。

消滅は免れない。

 

つまり、このデュエル。

負けた方は問答無用で消滅することが確定している。

それこそが、e・ラーの残した最後の絶望。

選んでも選ばなくても、勝っても負けても、必ずどちらかを手放さなければならないという非情な罠。

 

「…俺にはどれかを選ぶなんてできねぇ。できるわけが、ねぇ…‼」

絞り出すようにして、遊馬がそう呟く。

「………」

さっさと、俺を見捨てればいいものを。

遊馬が負けたところで、待っているのは俺とアストラルの消滅だ。

でも、遊馬が勝てばアストラルは残る。

どっちを選んだ方がいいか、なんてのは誰が見ても明らかだ。

それでも、遊馬には選べない。

向こう見ずで、無鉄砲なところはあるけどーーーでも、優しいから。

誰よりも他人を気にかけ、誰よりも他人を信じるから。

だからこそ、俺は遊馬に救われた。

 

「零君、一体どういうことなの⁉︎」

「俺が最後のバリアンだってことだ」

「‼」

「真月が…最後のバリアンだと…⁉︎」

 

俺の言葉に3人は驚いた顔をする…けど、とりあえずは無視だ。

「遊馬」

「………」

 

「わかってるんだろ? 俺が勝っても、遊馬が勝っても、俺が消えるってことくらい」

「…わかってる」

 

「なら」

「っ、けど‼︎ 俺には真月もアストラルも世界も、どれかを見捨てるなんてできねぇんだ‼︎」

 

………

 

「いい加減にしろ」

 

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしろ」

真月の厳しい言葉に俺は真月へと顔を向ける。

「いいか、遊馬。勝とうが負けようが、俺の結末は変わらないんだ。何か変わることがあるとすえば、アストラルの消滅と、直接手にかけるかどうかくらいだ」

「っ…わかってる‼ 俺が、真月を諦めた方がいいってことくらいわかってるんだよ‼」

勝敗に関わらず、デュエルが終われば真月も消える。

そんなことはわかってる。

でも、だからどっちかを選べなんて…‼

 

「俺も諦めない。アストラルも諦めない。世界も諦めない。 …遊馬、お前が優しいのは俺もよく知ってる。それは遊馬のいいところだ。けど、何にでも優しければいいってもんじゃない。時には、選択することが優しさだってこともある」

選択することが、優しさでもある…

「遊馬、お前がそう決めたんなら、俺はそれでも構わない。遊馬の道だ。遊馬が決めろ。でも、決めたその道の先に道はあるのか?」

 

 

 

 

 

 

現実的な道を選べと、俺は言うつもりはない。

それは、これまでの遊馬を否定するようなものだ。

でも、何をとって何を捨てるか。

この道は果たして進める道なのか。

走る為にもきちんと考えた方がいい。

「零君、今の話はどういうこと?」

「…言葉通りだ、璃緒さん」

「零君、それは」

「どうにもならない。俺と一緒に世界を巻き込んで心中するか、俺とバリアン世界を蹴散らして世界を守るか、だ」

そして、俺は璃緒さんを巻き込むつもりはない。

「璃緒さん。何が起ころうとも、璃緒さんだけは確実に守りきってみせるから」

何か言いたそうにしている璃緒に、そう言って黙らせる。

「……いいわ」

「璃緒?」

「零君の言葉を信じてあげる。私を守って」

璃緒さん…

「…ああ。任せてくれ」

 

 

「…意外だな、璃緒。もっと必死に止めると思っていたが」

「止めたいわよ。けど…零君の目が、止めるなって」

「真月の目…」

「止められるわけ、ないじゃない…っ」

 

 

「俺のターン、ドロー‼」

ドローカードは…お前か、スターダスト。

だが、今のフィールドにお前を活躍させてやれる場はない。

けどな…

「トレード・インを発動‼︎ 手札のSinスターダスト・ドラゴンを墓地に送り、新たに2枚ドローする‼︎」

フィールドに無いなら無いで、活躍できるだけの場所はある。

「ドロー‼︎」

…やっぱり引けたか。

カオスの意思…いや、バリアンの、ドン・サウザンドの怨念のようなものがカオスの力に反応しているとでもいうのか?

まあなんだっていい。

力を貸すというなら、貰うまで。

ただ、使い方は俺が決めさせてもらう。

志半ばだろうと、消えた奴が今更出て来て引っ掻き回そうとするな‼︎

「墓地のSinスターダスト・ドラゴンとセイクリッド・ソンブレスを除外し、現れろ‼ カオス・ソルジャー−開闢の使者−‼」

 

混沌空間

カオスカウンター 3→5

 

俺のフィールドに2つの壺が出現すると、何処からか現れたSinスターダストとソンブレスが壺の中に消え去る。

2体の入った壺から猛々と紫煙が上がると、その煙が一瞬で四散し、剣と盾を持った威圧感のある騎士が現れる。

 

「さらに、混沌空間の効果発動‼ カオスカウンターを4つ取り除き、除外したソンブレスを特殊召喚する‼」

 

混沌空間

カオスカウンター 5→1

 

「ソンブレスの効果発動‼ 墓地のセイクリッド・ポルクスを除外し、セイクリッド・カウストを手札に加え、召喚する‼」

 

混沌空間

カオスカウンター 1→2

 

俺のフィールドに、もう何回目かのソンブレスとカウストが並び立つ。

『またソンブレスとカウスト…‼』

「何度目だよ‼」

「3度目だ。俺は2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼」

2体のモンスターがエネルギーの塊になり、大きな爆発が起こる。

視線の端で璃緒の姿を捉える。

 

いくぞ、璃緒さん。

 

「こい、No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ‼」

「ーーーえ?」

フィールドに大きな剣を持った女性型のモンスターが現れると、璃緒から声が聞こえ、慌ててデッキケースを開いて中身を見始める。

まあ、あるはずないんだけどな。

 

「零君、そのカードは」

璃緒の言葉に無言で小さく口角を上げて答えの代わりにする。

「璃緒さんだけじゃない。シャーク、ミザエル、ドルべ…他の七皇のナンバーズもだ」

『七皇のナンバーズ全てだと⁉︎』

アストラルの驚いた声が聞こえる。

俺は、もはやバリアンの悲願を背負った、いわば人柱みたいな存在だ。

当然、バリアンの力の源であるカオスの力の影響を受けた存在は人でもカードでも、俺の下にも集まる。

 

「さあ…いくぞ、遊馬‼ 俺は開闢の使者の効果発動‼︎ このターンの攻撃権を放棄し、マシュ=マックを除外する‼︎ やれ‼︎」

俺の言葉に開闢の使者はマシュ=マックへと大きく跳躍し、剣を突き刺した。

同時に、マシュ=マックは光になって消え、俺のフィールドに再び開闢の使者が降り立つ。

「これでフィールドは空。いけ、ラグナ・ゼロ‼︎」

「遊馬‼」

「させっかよ‼ 俺は墓地のタスケナイトの効果発動‼」

 

タスケナイト

☆4 光属性 戦士族

ATK 1700

DFE 100

このカードが墓地に存在し、自分の手札が0枚の場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる

このカードを墓地から特殊召喚し、バトルフェイズを終了する

「タスケナイト」の効果はデュエル中に1度しか使用できない

 

遊馬のフィールドに突然現れたモンスターが剣を抜くと、ラグナ・ゼロの斬撃を受け止めると、そのまま切り払った。

たたら踏んだラグナ・ゼロは一歩の跳躍で俺の前に戻る。

「2枚伏せてターンエンド」

 

真月 LP1150

手札 0

モンスター 2

カオス・ソルジャー−開闢の使者− 攻撃

No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ 攻撃

魔法・罠 4

混沌空間(カオスカウンター 2)

セイクリッドの星痕

⁇?×2

 

 

 

 

 

 

「首の皮一枚繋がったみたいだな、遊馬」

真月のフィールドにはリバースカードとモンスターが2体。

対する俺のフィールドにはタスケナイトが1体だけ。

状況的には俺の有利だ。

だが…

『いくぞ、遊馬‼︎』

「…おう‼︎」

 

「俺と‼」

『私で‼』

 

『「オーバーレイ‼」』

 

遊馬とアストラルの身体がそれぞれ赤と青のエネルギーに覆われ、溶け合って混ざり合うと、大きな爆発を起こす。

「遠き2つの魂が交わるとき、語り継がれし力が現れる」

 

『「エクシーズチェンジ、ZEXAL‼」』

 

「きたか、ZEXAL‼」

見たところ、第一形態のようだ。

なら、少なくとも俺は後2回は乗り越えなくちゃならないということ。

まったく……

「面白くなってきた」

 

 

 

 

 

 

「いくぜ‼ 俺のターン‼」

このターン、俺達がほしいカードは最低でも、モンスターが1体。

引けなきゃ、俺達の負けだ。

いくぜ…‼

 

「ドロー‼」

勢いよくカードを引き抜く。

ドローしたカードは…魔法カード。

けど、丁度いい‼

「魔力の泉を発動‼」

 

魔力の泉

速攻魔法

「魔力の泉」は1ターンに1枚しか発動できない

(1):相手フィールドの表側表示の魔法・罠カードの数だけ自分はデッキからドローする

その後、自分フィールドの表側表示の魔法・罠カードの数だけ自分の手札からカードを選んで捨てる

このカードの発動後、次の相手ターンの終了時まで、相手フィールドの魔法・罠カードは破壊されず、発動と効果を無効化されない

 

「真月、お前のフィールドの表側のカードは2枚‼ よって、2枚ドローする‼」

さあ、来い‼

「最強決闘者のドローは全て必然‼ ドローカードさえ、決闘者が呼び寄せる‼ シャイニングドロー‼」

ドローカードはーーー

「魔力の泉の効果で、俺は手札のガガガキッドを墓地に送る‼ さらに、エクシーズ・チェンジ・タクティクスを発動‼︎」

 

エクシーズ・チェンジ・タクティクス

永続魔法

自分フィールド上に「希望皇ホープ」と名のついたモンスターがエクシーズ召喚された時、500ライフポイントを払い、このカードの効果を発動できる

デッキからカードを1枚ドローする

「エクシーズ・チェンジ・タクティクス」は

自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない

 

「モンスター・スロットを発動‼ 墓地のゴゴゴゴーレムを除外して、デッキからドローし、同じレベルなら特殊召喚する‼ ドロー‼」

 

混沌空間

カオスカウンター 2→3

 

よし、いいカードだ。

「俺がドローしたのはレベル4、アステル・ドローンだ‼」

 

アステル・ドローン

☆4 地属性 魔法使い族

ATK 1600

DFE 1000

このカードをエクシーズ召喚に使用する場合、このカードはレベル5モンスターとして扱う事ができる

また、このカードを素材としたエクシーズモンスターは以下の効果を得る

・このエクシーズ召喚に成功した時、デッキからカードを1枚ドローする

 

俺達のフィールドにポン、という音と共にステッキみたいな杖を握る魔法使いが現れる。

これで、レベル4が2体。

「いくぜ‼ 俺は2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来てくれ、No.39 希望皇ホープ‼」

俺達のフィールドで大きな爆発を起こると、そこに黄色と白の見慣れた戦士が現れた。

 

「アステル・ドローンの効果で1枚ドローする‼」

ドローカードは…悪くねぇ。

「俺はエクシーズ・チェンジ・タクティクスの効果を発動‼︎」

 

遊馬 LP1300→800

 

「ホープ…だが、ホープの攻撃力は2500。ラグナ・ゼロは倒せても、カオス・ソルジャーには届かない」

「だったらこうするまでだ‼ 俺は希望皇ホープ1体でオーバーレイネットワークを再構築‼ カオス・エクシーズ・チェンジ‼ 現れろ、CNo.39‼ 混沌を光に変える使者‼ 希望皇ホープレイ‼」

ホープが皇の鍵のような姿へと変化し、開かれた穴の中へと沈んでいき、爆発を起こす。

すると、そこに黒く大きな鎧を着込んだホープの姿が現れた。

 

「エクシーズ・チェンジ・タクティクスの効果発動‼︎」

 

遊馬 LP800→300

 

よし、これで準備万端だ‼︎

「ホープレイの効果発動‼ ライフが1000以下の時、CORUを取り除くことで、攻撃力を500アップし、相手モンスター1体の攻撃力を1000ポイントダウンする‼ 俺はカオス・ソルジャーを選択し、ホープレイのユニットを3つを取り除く‼ オーバーレイ・チャージ‼」

 

CNo.39 希望皇ホープレイ

ATK 2500→4000

 

カオス・ソルジャー−開闢の使者−

ATK 3000→0

 

「‼ いけない‼」

ホープレイが白く輝き始めた瞬間、妹シャークがそんなことを言う。

一体何が…

 

「攻撃力の値が変化するのを待っていたぞ、遊馬‼ 俺はラグナ・ゼロの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、攻撃力の値が変化した相手モンスターを1体破壊する‼」

「何⁉︎」

声をあげる俺を他所に、ユニットの1つが弾けたラグナ・ゼロが大きく跳ぶと、ホープレイを真っ二つにした。

 

「うっ…ああああああっ‼」

爆風を受けるとほぼ同時に、俺の身体からアストラルが弾かれるようにして抜け出した。

「遊馬、アストラル‼」

「さらに、1枚ドローだ」

 

渾身のホープレイもやられちまったか…‼

「さあ、どうする?遊馬。これで終わりか?」

「っ…ふざけんなよ、真月…‼」

『私も、遊馬も。まだ、終わってはいない…‼』

俺達の言葉に真月は普段そうするように、小さく笑みを浮かべる。

「なら、こい‼ お前達のカードで俺を喉笛を掻き切ってみせろ‼」

 

言われるまでもねぇ…‼

それに、まだ手は残ってる。

「いくぜ、アストラル‼」

『ああ‼』

 

アストラルの返事と共に俺達は再び暖かい光に包まれ、溶け合って混ざり合っていく。

最初のZEXALじゃダメだった。

なら、より堅く。より深く繋がる姿を…‼

 

『「熱き情熱が勝利を導く。エクシーズ・セカンド・チェンジ‼ ZEXAL‼」』

 

「2度目のZEXAL…こい‼」

「おう‼ 俺はガガガドローを発動‼」

 

ガガガドロー

通常魔法

自分の墓地の「ガガガ」と名のついたモンスター3体をゲームから除外して発動できる

デッキからカードを2枚ドローする

 

「俺は墓地のガガガガードナー、ガガガキッド、ガガガガールを除外し、2枚ドローする‼」

 

混沌空間

カオスカウンター 3→6

 

ホープレイじゃダメだった。

なら、次は…‼

「シャイニングドロー‼」

 

よし、いくぜ。

「俺は死者蘇生を発動‼ 墓地から希望皇ホープを特殊召喚する‼ 蘇れ、ホープ‼」

俺達の言葉に、ホープが再びフィールドに躍り出る。

「いけ、ホープ‼︎ 開闢の使者に攻撃‼︎」

「ハッ、遠慮無しだな‼︎ リバースカードオープン、攻撃の無力化‼︎」

くっ、かわされた…‼︎

「さあ、それで終わりか⁉︎」

「いいや‼︎ 俺はRUM−ヌメロン・フォースを発動‼ ホープ1体でオーバーレイネットワークを再構築‼カオス・エクシーズ・チェンジ‼ 現れろ、CNo.39 希望皇ホープレイV‼」

ホープが大きく跳躍し、大きな爆発を起こす。

すると、曲刀を片手に持った赤と黒の禍々しいホープが現れる。

 

「ヌメロン・フォースの効果で、フィールドの表側表示のカードの効果を全て無効にする‼ …けど、魔力の泉の効果で真月の魔法・罠のカード効果は無効化されない」

「ホープレイV…‼ けどな、遊馬。お前のおかげで、俺のカオス・ソルジャーにかけられたホープレイの攻撃力を0にする効果も無効化される‼︎」

 

カオス・ソルジャー−開闢の使者−

ATK 0→3000

 

俺と真月の友情のモンスター。

ホープレイでダメなら、コイツはどうだ、真月‼

「ホープレイVの効果発動‼ CORUを1つ取り除き、相手モンスターを1体破壊し、攻撃力分のダメージを与える‼ 俺が選ぶのは、カオス・ソルジャーだ‼」

 

 

ー代償として一番大事なものを失うー

 

 

「っ…いけ、ホープレイV‼」

俺の声にホープレイVが曲刀をカオス・ソルジャー目掛けて勢いよく放り投げた。

 

「零君‼」

「リバースカードオープン、ダメージ・ポラリライザー‼︎ 効果ダメージの発動と効果を無効にし、互いに1枚ドローする‼︎」

 

ホープレイVの曲刀がカオス・ソルジャーに当たる寸前、現れたカードが盾になって間に立ちはだかる。

そのまま、ギリギリと不協和音を立てると、剣が弾かれ、ホープレイVの手に戻った。

「っ、ドロー‼︎」

ドローカードは…地砕き‼︎

「地砕きを発動‼︎ 相手フィールドの1番守備力の高いモンスターを破壊する‼︎ 真月のフィールドで1番守備力の高いモンスターはカオス・ソルジャーだ‼︎」

「くっ…」

カオス・ソルジャーの立つ地面が突然砕けると、そのまま中へと落ちていく。

 

ー遊馬、まだ決着には遠い。このターンは手札の増強に努めるべきだー

 

ああ、わかってる。

真月は強い。

勝負をかけられなかった以上、ドローに力を入れておくに限る。

「俺は貪欲な壺を発動‼ 墓地のモンスター5体をデッキに戻し、その後2枚ドローする‼」

 

デッキに戻すカード

ドドドバスター

アステルドローン

カゲトカゲ

ガガガマジシャン

CNo.39 希望皇ホープレイ

 

「ドロー‼ …強欲なカケラを発動。カードを1枚伏せてターンエンド‼」

 

遊馬 LP300

手札 1

モンスター 1

CNo.39 希望皇ホープレイV 攻撃

魔法・罠 3

強欲なカケラ

エクシーズ・チェンジ・タクティクス

⁇?

 

エンド宣言と同時に俺の身体からアストラルが抜け出す感覚と同時に、俺とアストラルへと分かれる。

…まだ、真月の言葉への答えはでねぇ。

真月はどうやっても、このままじゃ消えちまう。

だからこそ、選ぶことが優しさにもなると真月は言った。

それは、そうなのかもしれねぇ。

でも、だからって真月を…大事な仲間を見捨てるなんて。

 

『遊馬、君が真月についてずっと悩んでいることはわかっている』

なんで…って、そうか。

俺達はZEXAL形態になっている。

俺達の心の距離は限りなく0になるあの瞬間なら、俺達がお互いに思うこともわかるはずだ。

 

『遊馬、君は自分自身を勘違いをしている』

「勘違い?」

どういうことだ?

『私の知る九十九遊馬という男は、例えどんな困難があろうとも仲間を見捨てるような人間ではない。少なくとも、私はそうだと信じている』

「…けど。けどよ、アストラル。俺はどっちかを選ばないと…」

『そもそもの前提が間違っているのではないのか?』

前提が間違っている?

『答えは2つしかないのか?』

「だって、それしか…」

『それは、真月の出した答えだろう? まだ、遊馬は自分で何も答えを出してはいない』

 

‼ それは…

 

『今こそ、君のかっとビングを見せる時ではないのか?』

 

かっとビング…

 

「…そうだな」

アストラルの言葉に俺の身体に火がついたみたいに熱く感じる。

 

それは、勇気を持って一歩踏み出すこと。

 

それは、どんなピンチでも決して諦めないこと。

 

それは、あらゆる困難にチャレンジすること。

 

「真月。俺は諦めねぇ」

「………」

「諦めなければ、必ず道は残されている。俺は、それをこのデュエルの中で見つけ出してみせる」

そう言うと真月は口の端を少し釣り上げる。

 

「それが遊馬の答えなんだな?」

「ああ。それが俺のかっとビングだ‼」

そう言うと、真月は小さく口角をあげる。

「…なら‼ 俺に遊馬のかっとビングってやつをみせてみろ‼ 俺のターン、ドロー‼ 俺はRUM−リミテッド・バリアンズ・フォースを発動‼」

‼ ここにきてランクアップするっていうのか…‼

 

「俺はラグナ・ゼロ1体でオーバーレイネットワークを再構築‼カオス・エクシーズ・チェンジ‼ 現れろ、CNo.101 S・H・Dark Knight‼」

 

2体のモンスターがそれぞれ光と闇色のエネルギーの塊になると、空へと駆け上がり、爆発を起こす。

すると、爆煙から巨大な槍が伸びると四散し、シャークの持っていたモンスターが現れた。

『このモンスターはシャークの…‼』

「Dark Knightの効果発動‼ 相手フィールドの特殊召喚モンスターをDark KnightのCORUに加える‼ 俺が選ぶのは、ホープレイVだ‼」

俺の言葉に、Dark Knightが槍を振り、ホープレイVへと矛先を向けると、紅く光を放つ。

すると、ホープレイVが光の粒子になり、Dark Knightのユニットの1つに姿を変える。

 

「ヤバイ…‼ 遊馬のライフは残り300。これを受けたら…‼」

「遊馬‼」

 

「いけ、Dark Knight‼ 遊馬にダイレクトアタック‼」

『遊馬‼』

「おう‼ リバースカードオープン、エクシーズ・リボーン‼ 墓地から希望皇ホープを特殊召喚する‼ きてくれ、ホープ‼」

Dark Knightが槍を振りかぶった瞬間、俺達のフィールドにホープが躍り出た。

『発動したエクシーズ・リボーンは、そのままホープのORUとなる‼』

「なら、ホープに攻撃‼」

「ホープの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、モンスターの攻撃を無効にする‼ 守れ、ホープ‼」

 

Dark Knightが放り投げた槍が俺達に迫るも、ホープのORUが弾けると、背中の羽を盾のように広げて受け止めた。

「一時休戦を発動。ターンエンドだ」

 

真月 LP1150

手札 2

モンスター 1

CNo.101 S・H・Dark Knight攻撃

魔法・罠 2

混沌空間(カオスカウンター 6)

セイクリッドの星痣

 

なんとか、ホープでかわせたけど…真月の奴、無茶苦茶強ぇ。

ビビってたら持って行かれちまいそうだ。

でも、そんな場合じゃねぇ。

俺のかっとビングで、必ず答えを見付けてやる‼




いかがでしたでしょうか。

朧げながらもしっかりと道を示した遊馬。
けどまだ終わらない。
カオスの力はまだまだ牙を向けてくる!
世界の運命や如何に。

次回、ホープ祭り。

デュエルスタンバイ!

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