ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。

⁇?改め、vs真月零導入(後編)となっております。

貴重な【伝説の騎士】使いと出会いました。
地味に強いぞ、クリティウス!
たまにウザいぞ、ティマイオス!
なんか墓地サーチが使いにくいぞ、ヘルモス!

それでは、どうぞ。


第153話

「真月が…中心点…⁉︎」

 

真月が告げた言葉に、俺は呆然としてしまう。

「ああ」

「でも、なんで…‼ だって、真月はーーー」

真月は、俺達とずっと一緒にいて。

バリアンとだって戦って。

 

 

「忘れたか? 俺はバリアンだ」

 

 

「ーーーッ‼」

真月の言葉に俺は今度こそ黙り込んでしまう。

そうだった。

忘れてしまっていたけど、真月はベクターと別れたとはいえ、バリアン。

本来なら、俺達の側じゃなく、ベクターの側にいるべき存在。

「で、でも‼ 真月にはオーバーハンドレッドナンバーズが無かったはず‼」

『いや…真月がベクターと同じだというのなら、真月のオーバーハンドレッドナンバーズは…』

まさか…

「仮面魔踏士シャイニング…⁉︎」

 

俺の言葉に、真月は黙って頷いて返す。

「e・ラーとの戦いが終わった後、俺の身体に何かが当たったは覚えているか?」

「ああ」

e・ラーの悪あがきから走って逃げてる時だ。

あの時、たしかに真月に何かが当たったのは見た。

 

「あの時、e・ラーから溢れ出たバリアンの力が、残ったバリアンである俺へと受け継がれたんだ」

あれが、バリアンの光…

「で、でも、あそこにはミザエルもいたはずだ」

「ああ。けど、ミザエルはあの時点で既に弱っていた。バリアンとしての力を極力使わなかった俺よりもな」

 

そう言うと、真月は一度口を閉じる。

「遊馬、バリアンの力は強力なんだ。それは今、この世界の有様を見ればわかるだろ? だから、当然それに耐えられるだけの強い器も必要になる」

道理だろ? そう言って真月は肩を竦める。

「e・ラーとのデュエルが終わったあの時、あそこにいたのはバリアンとしての素質を持った人間のシャークに璃緒さん。バリアンとしての力がかなり弱っていたミザエル。そして、バリアンの肉体を持ち、カオスの力に適正が高かった俺。もうわかるだろ?」

『真月は、あの瞬間に限ればバリアンとして最も力を持っていた…ということか』

そう言うと、真月は黙って頷いた。

そんな、そんな理不尽があってたまるか‼

考えろ。

何か、何か戦わなくても済む手が残ってるはず…

何か、何かーーー

「ーーそうだ‼ ヌメロンコード‼」

たしか、ヌメロンコードはすげぇ力があるって話だ。

なら、真月1人を助けるくらいはできるはず。

 

「ヌメロンコード…ヌメロンコード、ね」

そう言うと、真月は溜め息を吐く。

「なら、何か改変しようか。俺がバリアンだってこと…いや、バリアンの存在そのものってのもいいな」

 

真月がバリアン。

ーーーいや、ダメだ。

真月はベクターに連れて来られた存在。

バリアンじゃなかったとして、なら真月は何になる?

いや、そもそも変わった後も真月がここにいるかどうかもわからねぇ。

下手したら、真月がいた場所にベクターがいることになるかもしれない。

なら、バリアンの存在そのものを…って、そんなことしたらバリアンである真月もまとめて消えちまうじゃねぇか。

 

「まあ、どっちにしても役に立ちそうなキーカードがこの有様じゃあどうしようもないけどな」

そう言うと、真月はカードを俺達に向けて投げた。

アストラルが受け取り覗き込んでみると、そこには文字も絵も何も書かれていなかった。

かろうじて、黒いカードフレームでこのカードが何のカードなのかがわかる。

 

「そう簡単にはいかないってことだ。それに、ヌメロン・コードを探すだけの時間もないみたいだ」

そう言うと、真月は空を見上げる。

すると、分厚い雲に穴が開き、空が見える。

そこにはーーー

 

巨大な白い渦。

まるで、授業で聞いた銀河系ってヤツを極端に明るくしたような姿。

ここからでもハッキリと見える。

あれはーーー

『アストラル、世界ーーー⁉︎』

 

アストラルを助ける為に乗り込んだ時に見た世界の姿。アストラル世界だ。

「な、なんでアストラル世界が⁉︎」

「バリアン世界のせいだ」

バリアン世界の?

「ど、どういうことだ⁉︎」

「暗い欲望をエネルギーにしたバリアン世界が七皇やドン・サウザンドの手引きで人間世界を取り込むことで、更に大きな力になる。するとだ、次が欲しくなる」

『それで、アストラル世界を狙っているというのか…‼』

「ああ。けど、何ヶ月…いや、何年か? それだけの時間をかけて人間世界を手に入れた方法とは全く別。欲望の赴くままにアストラル世界へと手を伸ばすバリアン世界が、このままアストラル世界と接触すれば…」

『お互い、タダでは済まない…‼︎』

世界同士の衝突。

それがどんなことになるか、俺には想像もつかねぇ。

けど、いい予感もしねぇ…‼︎

 

「さて、どうする? このペースなら…そうだな、1度くらいならデュエルをする余裕ならありそうだ。バリアンの倒し方はわかってるだろ?」

『デュエルでライフを0にする…』

「俺を倒せば、器がない以上、今度こそ中心点が無くなり、バリアン世界は力を失い、人間世界との融合も解けて、アストラル世界と離れるはずだ」

真月を、倒す。

それはつまり、真月が負ければ真月は消えるということ。

「そんなこと、できるわけがねぇ…‼」

俺に真月を手にかけるような真似なんてできるわけがねぇ。

 

「…なら、遊馬はそこで見ているといい」

『何か手があるのか?』

「1つだけな」

そう言うと、真月は門を軽く叩く。

「コイツの向こう側には強力な力が渦巻いてる。この門を開き、カオスの力を使ってバリアン世界を強引に砕く。どの程度の力が必要かはわからないが、まあなんとかなるだろ。俺が契約した時に払ったものも取り戻せるかもしれないし」

バリアン世界を砕く。

いや待て、真月が何か大事なことを言っていたはず。

思い出せ。思い出せ。

たしか…そう、たしか真月はバリアン世界の力は危険で、だから門で制御してるって言っていたはず。

その門を開いて、力を引き出したらーーー

 

 

ーボン、だー

 

 

「待て、真月‼」

俺の言葉に真月はピタリと動きを止める。

「お前、さっき言ってたよな。もし、門から際限なく力を受けたら」

「ボン、だろうな」

「ーーーッ‼ わかってんなら…‼」

「止めろ、か? けどな、遊馬。なら、俺を消滅から回避させ、バリアン世界を人間世界から引き離し、アストラル世界との衝突を止める。そんな奇跡みたいな方法があるのか?」

「それは…」

そんな都合のいい方法、あるわけがねぇ。

でも、俺はーーー

 

「…なら、そうだな。こういうのはどうだ。俺と戦えないのなら、遊馬。俺は今、この世界で生き延びている人間に取り込んだ決闘者達をけしかけてやろう」

『なんだと⁉︎』

「邪魔してほしくないから引っ込ませていたが、なんなら今すぐにでも世界中へと送り出してやろう。そうやって人間世界とバリアン世界が1つになれば、衝突してもバリアン世界は生き残るかもしれないな」

世界中の人が、バリアンに襲われる。

そんなこと…

 

「そんなことさせねぇ‼︎」

姉ちゃんが、婆ちゃんが、小鳥が、みんなが‼︎

世界の為に、生き残る為に、バリアンに襲われるなんて許さねぇ‼︎

「なら、どうする‼︎ そうやって叫ぶだけか⁉︎ ヒーローが通りかかるまで待ち続けるのか⁉︎」

「決まってるだろ‼︎ デュエルだ、真月‼︎」

 

「「デュエルディスク、セット‼︎」」

 

俺達の腕に、それぞれDパッドが取り付けられ、広がるとディスクの形になる。

 

「「Dゲイザー、セット‼」」

 

ARビジョン、リンク完了

 

「「デュエル‼︎」」




いかがでしたでしょうか?

次回よりデュエルが始まります。
お楽しみに。

それでは。

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