ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
遊馬&シャーク&真月vse・ラー 3となっております。

今更ですが、未OCGが3枚登場します。
今回限りの限定的なものですので、あしからず。
それでは、どうぞ。


第150話

CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス

★12 光属性 悪魔族

ATK 10000

DFE 1000

レベル12モンスター×5

(1):バトルフェイズ終了時に、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する

その後、この効果で破壊された全てのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる

(2):フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の自分フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する事ができる

(3):このモンスターがフィールドに存在する限り「C」と名のついたモンスターは効果が発動できず、攻撃することもできない

 

ドラゴン達が光を放つと、1体ずつエネルギー体へと形を変えていき、それぞれ重なり合いながら、空高く昇っていくと、これまでとは異なる大きな爆発が起こり、爆風がフィールド全体に吹き荒れる。

「うわっ」

「くっ…」

俺達がそれぞれ耐えていると、爆煙が晴れていく。

そこにいたのは、白と紅の2色を基調にした見上げる程に巨大な人の姿があった。

「夢幻虚神ヌメロニアス…‼︎」

『攻撃力1万⁉︎』

「フハハハハハ‼︎ ゆけ、ヌメロニアス‼︎ホープレイVを攻撃‼︎」

『っ、遊馬‼︎』

「おう‼︎ リバースカードオープン、収縮‼︎ ヌメロニアスの攻撃力を半分にする‼︎」

 

CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス

ATK10000→5000

 

「その程度で攻撃は止まらん‼︎」

「ぐっ…うおああああ‼︎」

 

遊馬 LP2700→1600

 

「遊馬‼︎」

「っ、ZW‐風神雲龍剣を墓地に送ることで破壊を無効にする‼︎」

 

CNo.39 希望皇ホープレイV

ATK 3900→2600

 

ホープレイVの手の中にあった赤い剣が光となって弾ける。

だが、ホープレイVはフィールドに残った。

CORUがある以上、まだなんとかなるはず。

「どうだ‼︎ お前の絶望を耐えてやったぜ‼︎」

「阿呆め。我が絶望がこの程度で済む筈がなかろう‼︎ バトルフェイズ終了時、ヌメロニアスの効果発動‼︎ 貴様らのモンスターを全て破壊し、我のフィールドに特殊召喚する‼︎」

『なんだと⁉︎』

ヌメロニアスが光を放つと、紅い光線が飛び、ホープレイVを貫き、爆発を起こした。

フィールドから消え去るとほぼ同時にe・ラーのフィールドにホープレイVが現れる。

「ターンエンド」

 

e・ラー LP500

手札 3

モンスター 2

CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス 攻撃

CNo.39 希望皇ホープレイV 守備

魔法・罠 3

守護神の宝札

サイバー・シャドー・ガードナー セット

⁇?

 

破格の攻撃力に加えてモンスターを破壊し、自分の戦力にする効果…

こんな奴を相手に俺達は勝てる、のか?

「まだだ‼︎」

「‼︎」

遊馬が唐突にそう叫ぶ。

「ライフが0にならない限り、まだ俺達は終わってねぇ‼︎」

「そいつが次の絶望だってなら、俺達がソイツを踏み超えるだけだ。俺のターン、ドロー‼︎ 俺はサルベージを発動‼︎ 墓地のハンマー・シャークとシャーク・サッカーを手札に戻す‼︎ さらに、強欲なウツボを発動‼︎ 今手札に加えた2体をデッキに戻し、新たに3枚ドローする‼︎」

シャークの怒涛のコンボで手札が交換され、新たにドローする。

起死回生の手は引けたか?

 

「きたぜ‼︎ 相手フィールドにモンスターが2体以上いる時、コイツはリリース無しで召喚できる‼︎ こい、パンサー・シャーク‼︎」

 

パンサー・シャーク

☆5 ☆5 水属性 魚族

ATK 1100

DFE 2000

相手フィールド上のモンスターが2体以上の場合、このカードはリリースなしで召喚できる

また、自分フィールド上に「イーグル・シャーク」が存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる

「パンサー・シャーク」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない

 

フィールドに黄色に茶色の斑点模様の豹柄のサメが現れる。

「そして、パンサー・シャークがフィールドにいる時、コイツを特殊召喚する‼︎ こい、イーグル・シャーク‼︎」

 

イーグル・シャーク

☆5 水属性 魚族

ATK 1000

DFE 1800

相手フィールド上のモンスターが2体以上の場合、このカードはリリースなしで召喚できる

また、自分フィールド上に「パンサー・シャーク」が存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる

「イーグル・シャーク」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない

 

パンサー・シャークが咆哮を上げると、フィールドに赤紫色のサメが現れた。

2体のモンスターのレベルは5。

やるつもりか、シャーク。

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎エクシーズ召喚‼︎ こい、No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ‼︎」

 

2体のサメがエネルギーの塊になり、爆発を起こすと、入れ替わるようにしてフィールドに三つ又の槍を握り、青い鎧を見に纏った戦士が現れる。

『遺跡のナンバーズ…‼︎』

「アビス・スプラッシュの効果発動‼︎ ORUを1つ使い、次の相手のターンの終了時まで攻撃力を2倍にする‼︎」

 

No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ

ATK 2400→4800

 

「カードを1枚伏せてターンエンド‼︎」

 

シャーク LP1600

手札 1

モンスター 1

No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ 攻撃

魔法・罠 1

⁇?

 

「我のターン、ドロー‼︎ フフフフ、我を試しているな?」

「こうでもしなきゃ、お前は攻めてこねぇだろうからな」

「ど、どういうことなんだ?」

『シャークは賭けに出たということだ』

アストラルの声を聞いたシャークは口角を上げる。

 

1万という規格外な攻撃力の前に、俺達はこれ以上ない程に追い詰められている。

絶望という牙が俺達に深々と刺さるのも、もはや時間の問題かもしれない。

しかし、だからこそ、シャークは攻撃力を2倍にできるアビス・スプラッシュを攻撃表示で置いた。

重ねがけにすることで、最大攻撃力は9600。

あのリバースカードが攻撃力アップ系なら、1万を超えるのは確実…なはず。

そして、それをe・ラーにわかりやすく見せているということはつまり

 

「できるもんなら仕掛けてきな」

 

ということだ。

問題はe・ラーがそれにノルかどうかだが

「………」

e・ラーはこちらに視線を向けながら、身震いでもしそうな程の笑みを浮かべている。

「フハハハ、攻撃力1万を前に大した胆力だ。よかろう、ノってやろう」

どうやら、ノル気になったようだ。

これで俺達の勝利はーー

 

「ただし‼︎」

「‼︎」

「その目障りなリバースカードは破壊する‼︎ リバースカードオープン、ダブル・サイクロン‼︎ 我のセットしているサイバー・シャドー・ガードナーと貴様のリバースカードを破壊する‼︎」

「なっ⁉︎」

e・ラーのフィールドから竜巻が飛び出すと、シャークのリバースカードを飲み込んだ。

これじゃあ…‼︎

「フハハハハハ。愚か者め‼︎ さて、それでは予定通りーー」

「賭けは俺の勝ちだ‼︎ 俺は破壊された荒野の大竜巻の効果発動‼︎ セットされたこのカードが破壊された時、フィールドのカードを1枚破壊する‼︎ 俺が選ぶのは、夢幻虚神ヌメロニアスだ‼︎」

フィールドに大嵐が吹き荒れる。

 

まんまと騙された。

シャークの奴、『攻撃力アップ』のカードじゃなく『破壊』するカードをセットしていたとは。

 

『これでヌメロニアスは破壊される‼︎ それさえできれば…‼︎』

「いっけぇ‼︎」

遊馬が飛び上がらんばかりにそう叫び、大嵐がヌメロニアスを呑み込んでしまった。

しばらく吹き荒れていた大嵐が止み、辺りには再び静けさが戻ってくる。

 

『何…だと…⁉︎』

「フハハハハハ‼︎ だから愚かだと言うのだ」

笑うe・ラーの背後。

そこには、先程と変わらず、ヌメロニアスが立っていた。

「そこままだと⁉︎」

いや、そのままなわけがない。

何か変化があったはず。

一体何がーーー⁉︎

 

「ホープレイVがいない…⁉︎」

「‼︎」

「そういや…おい、ホープレイVを何処にやった‼︎」

「ヌメロニアスの盾になってもらった。我はヌメロニアスの効果を発動。ヌメロニアスが破壊される時、代わりにフィールドのモンスターをリリースすることで、破壊を免れる」

破壊耐性効果…‼︎

そんな効果もあったのか‼︎

 

「さて、ではゆこうか。我はヌメロニアスでアビス・スプラッシュに攻撃‼︎」

「くっ…アビス・スプラッシュの効果発動‼︎ 攻撃力を更に2倍にする‼︎ ぐああっ‼︎」

 

No.73 激瀧神アビス・スプラッシュ

ATK 4800→9600

 

シャーク LP1600→1200

 

「シャーク‼︎」

余波で吹き飛んだシャークに俺達が声をかける。

シャークの起死回生の賭けすらも乗り切るとは…

「ヌメロニアスの効果…と、いきたいがモンスターがおらんのでは意味もない。我はこれでターンエンド」

 

e・ラー LP500

手札 5

モンスター 1

CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス 攻撃

魔法・罠 1

守護神の宝札

 

じわりじわりと追い詰められていくのが嫌でもわかる。

このターン、俺に何かができなければ負ける。

ドローカードを含めて、手札は3枚。

たった3枚でヌメロニアスを超えることが、俺にできるのか…?

「っ…」

圧し潰されそうな威圧が俺を襲う。

「まだ、希望はある…‼︎」

「‼︎ シャーク‼︎」

見れば、いつの間にか立っていたシャークが身体を引きずるようにして再び戦線へと立つ。

 

「俺の賭けはまだ終わってねぇ」

「ほう?」

「俺は、残ったライフと俺達の想いを全て真月に託した」

「‼︎」

「俺は、真月がこの絶望を乗り越えると信じている」

 

シャーク…

 

「なあ、遊馬?」

「ああ‼︎ 真月ならきっと巻き返してくれる‼︎」

 

遊馬…

 

「零君‼︎」

「‼︎ 璃緒さん」

「大丈夫。私達みんなの信じる力を貴方に託すわ」

 

みんな…

 

「…e・ラー」

「なんだ?」

「俺は折れない。このターンで、お前の言う絶望を俺が叩き潰してやる‼︎」

「やってみせるがいい。その希望が絶望に変わる瞬間を見ていてやろう」

「俺のターン‼︎」

俺の手札は2枚。

幸運にも、このターンでヌメロニアスを倒すには後1枚足りない。

次のドローが何かはわからない。

けど、俺は諦めない。

このドローに全てを賭けて、かっ飛んでみせる。

 

『‼︎ これは…‼︎』

「真月の手が、光ってる…⁉︎」

「この光は、バリアンの…‼︎」

 

いくぞーーー‼︎

「バリアンズ・カオス・ドロー‼︎」

 

光の軌跡をその場に残し、勢いよく引き抜く。

周りの音がいやに小さく聞こえ、ひきかえに心臓の鼓動がうるさいまでに大きく聞こえる。

ドローカードはーーー

「俺はセイクリッド・グレディを召喚し、効果発動‼︎ 召喚に成功した時、手札のセイクリッドモンスターを1体特殊召喚できる。こい、セイクリッド・シェアト‼︎」

 

セイクリッド・シェアト

☆1光属性 天使族

ATK 100

DFE 1600

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる

また、1ターンに1度、このカード以外の自分のフィールド上・墓地の「セイクリッド」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる

このカードは選択したモンスターと同じレベルになる

フィールド上のこのカードをエクシーズ素材とする場合、「セイクリッド」と名のついたモンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない

 

フィールドに現れた白い鎧を着込んだモンスターが手にした杖を振るうと、フィールドに似た白い鎧を着込んだ、幼い雰囲気をしたモンスターが現れる。

「セイクリッド・シェアトの効果発動‼︎ 俺は墓地のセイクリッド・ソンブレスを選択し、同じレベルにする‼︎ ソンブレスのレベルは4。よって、シェアトのレベルも4だ」

 

セイクリッド・シェアト

☆1→4

 

「これでレベル4が2体」

『…真月の持つランク4の中で攻撃力が1番高いモンスターは、効果で攻撃力の上がるセイクリッド・ビーハイブ』

「上がったとしても、攻撃力は3400」

「それじゃあヌメロニアスを倒すことは…」

「いいや、俺がこの手で奴を倒す‼︎ これが勝利の為のキーだ‼︎ 俺はライトニング・チューンを発動‼︎」

 

ライトニング・チューン

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するレベル4の光属性モンスター1体を選択して発動する

選択したモンスターはフィールド上に表側表示で存在する限りチューナーとして扱う

 

「俺はこの効果でセイクリッド・シェアトをチューナーとする‼︎」

いくぞ、e・ラー。

俺は絶望を踏破する‼︎

「俺はレベル4セイクリッド・グレディに同じくレベル4となったセイクリッド・シェアトをチューニング‼︎」

 

俺の言葉に、セイクリッド・シェアトが破裂し、4つのチューニングとなる。

その中に入ったセイクリッド・グレディが光る線だけの姿となり、身体の内側に4つの星が光る。

「これは、さっきのドラゴンと同じ…⁉︎」

 

☆4+☆4=☆8

 

「シンクロ召喚‼︎ 飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン‼︎」

俺の掛け声に合わせ、チューニングリングの中に光の柱が走り抜ける。

柱が弾けると、そこには白い純白の翼を羽ばたかせ、透き通るような美しい咆哮を上げるドラゴンの姿があった。

「スターダスト・ドラゴン…」

「けど、あの黒い鎧がないぞ?」

「あれはシンクロ召喚でなくても戦えるよう、姿を変えていたんだ」

けど、自分を隠す仮面は最早必要ない。

今こそ、仮面を脱ぎ、本当の姿を晒す時‼︎

 

「最後のドラゴンのカードか。だが、攻撃力は僅か2500‼︎ その程度で攻撃力1万のヌメロニアスを破壊することはできない‼︎」

「…俺はこれでターンエンドだ」

 

真月 LP1200

手札 0

モンスター 1

スターダスト・ドラゴン 守備

魔法・罠 0

 

「おい、真月‼︎」

「俺を信じろ‼︎」

シャークが堪らず上げた声を遮る。

たしかに、一見すれば俺のこの行動はただ敗北を認めただけのようにも見えるだろう。

だが、ヌメロニアスには穴がある。

その穴さえ突破できれば…‼︎

 

「何を企んでいるかは知らんが…我のターン、ドロー‼︎ ヌメロニアスの攻撃力の前にたかが2000の守備力など無いも同然‼︎ ゆけ、ヌメロニアス‼︎ スターダスト・ドラゴンに攻撃‼︎」

ヌメロニアスに光が収束していくと、極太の紅い光線が放たれた。

「俺は墓地のタスケルトンの効果発動‼︎」

 

タスケルトン

☆2 闇属性 アンデット族

ATK 700

DFE 600

モンスターが戦闘を行うバトルステップ時、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる

そのモンスターの攻撃を無効にする

この効果は相手ターンでも発動できる

「タスケルトン」の効果はデュエル中に1度しか使用できない

 

スターダスト・ドラゴンに光線が激突する寸前、墓地から黒い子豚が庇うようにして飛び出し、激突した。

「スターダスト・ドラゴンは破壊させない‼︎」

「フン。だが、ヌメロニアスの効果を発動‼︎ そのドラゴンも破壊し、我が力としてくれる‼︎ ゆけ、ヌメロニアス‼︎」

e・ラーの声にヌメロニアスが応えるように紅い光の雨を降らせ始める。

それを待っていた‼︎

 

「俺はスターダスト・ドラゴンの効果発動‼︎ このカードをリリースすることで、カード効果による破壊を無効にし、破壊する‼︎」

「なんだと⁉︎」

「吠えろ、スターダスト・ドラゴン‼︎ ヴィクテム・サンクチュアリ‼︎」

俺の言葉に、スターダストは大きく咆哮を上げながら光の粒になり、消え去った。

同時に、直前まで迫っていた光の雨は動きを止め、その場で反転すると、ヌメロニアス目掛けて降り注いだ。

「くっ…計ったな‼︎」

「高い攻撃力と強力な効果に慢心したな。ヌメロニアスの効果が発動する瞬間を狙わせてもらった‼︎ 自分の絶望は自分で受け止めろ‼︎」

「おのれぇぇぇぇ‼︎」

 

e・ラーが叫びと共に爆煙の中に消える。

「やったぜ、真月‼︎」

「遊馬やシャークが諦めなかったおかげさ。俺1人だったら、折れていたかもしれない」

「大したことはしてねぇよ。ただ、信じただけだ」

でも、その信頼が俺にキーカードを引かせる力を引き出してくれたんだ。

俺はいい仲間をもった。

本当にそう思ーーー

 

「…フフフフ…」

 

俺達が喜んでいると、突然笑い声が耳に届く。

この声は…‼︎

「まさかヌメロニアスの効果の穴を突いてくるとはな」

「e・ラー…‼︎」

爆煙の中からe・ラーが顔を見せる。

 

「だが、それは大いなる間違い。貴様らは触れてはならないものに手を触れた‼︎」

『触れてはならないもの…?』

「怯え、竦むがいい。これが我が絶望の深淵‼︎ 我はヌメロニアスが破壊された時、ヌメロニアス1体でオーバーレイネットワークを構築する‼︎」

「なんだと⁉︎」

「墓地からエクシーズ召喚…‼︎」

ヌメロニアス1体が巨大なエネルギーの塊となり、先程起こした爆発よりも更に大きな爆発が起こる。

 

「降臨せよ、CiNo.1000‼︎ 我が天は長し、地は久し。人のすがる夢は一場の幻に過ぎず。虚無の大神よ、闇をもて、光に鉄槌を‼︎ 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア‼︎」

 

CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア

★13 光属性 悪魔族

ATK 100000

DFE 100000

レベル13モンスター×5

自分フィールド上に存在する「CNo.1000 夢幻虚神ヌメロニアス」が破壊された時、そのカードをこのカードの下に重ねて、このカードを自分のエクストラデッキからエクシーズ召喚する事ができる

このカードはカードの効果では破壊されず、攻撃宣言をする事ができない

このカードが自分フィールド上に存在する限り、このカードを攻撃対象に選択しなければならない

選択しなかったターンのエンドフェイズ時に、相手はデュエルに敗北する

このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる

相手モンスター1体の攻撃を無効にし、自分はその攻撃力分のライフポイントを回復する

 

爆発と共に黒い煙が噴き出す。

その煙はe・ラーのフィールドからまるで這うようにして俺達の足下を覆う。

「なんだあれは⁉︎」

遊馬が指さし、叫んだ先を見る。

そこには、黒い煙から台形の何かが飛び出していた。

あれはまるで…

「翼…?」

 

誰ともなく、そう呟いた瞬間、台形の物体が大きく動き、黒煙が吹き飛ぶ。

動いたそれが翼だと認識できた瞬間、俺達を強風が襲った。

「うわっ」

「くっ…」

余りの強さに、その場にしゃがみ込み、強風に耐えたそこには、何らかの模様の彫り込まれた翼に、紫の模様と穴の空いた円が、まるでセフィロトのようなヌメロニアスよりもさらに巨大な姿をしたモンスターがそこにいた。

 

『ヌメロニアス・ヌメロニア…』

「攻撃力10万…⁉︎」

「これこそ、我が絶望の真の姿。次は貴様らがこれを乗り越えるのだろう? 乗り越えられるなら、乗り越えてみせるがいい。我は2枚伏せてターンエンドだ」

 

e・ラー LP500

手札 5

モンスター 1

CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア 攻撃

魔法・罠 3

守護神の宝札

⁇?×2

 

「このエンドフェイズ、自身の効果で墓地に送ったスターダスト・ドラゴンを特殊召喚する‼︎ 蘇れ、スターダスト・ドラゴン‼︎」

俺の言葉に光がまたたくと、フィールドに現れると、翼を畳み守りを固める。

「フン、守備表示か。次のターン、貴様らが攻撃しなければ貴様らの負けが決まるぞ?」

「…っ」

「フフフフ…もはやヌメロニアスヌメロニアの前に勝利など不可能。さあ、この圧倒的攻撃力の前に絶望するがいい‼︎ フハハハハハ‼︎」

「…諦めねぇ」

もはや勝利を確信したかのように笑うe・ラーの言葉を遮るようにして、遊馬がポツリと呟く。

 

「俺は俺に想いを託してくれたみんなの為にも、絶対に諦めねぇ‼︎ いくぜ、みんな‼︎」

「ああ‼︎」

「当たり前だ‼︎」

「共にいこう、遊馬‼︎」

 

「いくぜ、アストラル‼︎ 俺は俺自身と‼︎」

『私で‼︎』

「『オーバーレイ‼︎』」

遊馬とアストラルが再び赤と青の光を纏い、その光が1つになることで、更に大きな光を放つ。

 

「『熱き情熱が勝利を導く。エクシーズ・セカンド・チェンジ‼︎ ZEXAL‼︎』」

 

光が弾けたそこには、サルガッソでも見たZEXALの姿があった。

「いくぜ‼︎ 俺達のターン‼︎」

 

「『全ての光よ、力よ‼︎ 我が右腕に宿り、希望の道筋を照らせ‼︎ シャイニング・ドロー‼︎』」

 

ZEXALのドローにより、その場に光の軌跡を残すと、着地する。

「俺は貪欲な壺を発動‼︎ 墓地のカードを5枚選択し、デッキに戻した後に2枚ドローする‼︎」

 

デッキに戻すカード

オネスト

ゴゴゴゴーレム

ゴゴゴジャイアント

ゴブリンドバーグ

ガガガザムライ

 

「俺達の力を全部出し切ってやる‼︎」

その言葉と共にZEXALから再び光が放たれる。

 

「『眩き希望の光が未来を導く‼︎アルティメット・エクシーズ・チェンジ‼︎ ZEXAL‼︎』」

 

放たれた光が消えると、そこにはハートランドの時にも見た、ホープを思わせるような輝く鎧を着たZEXALが現れる。

「いくぜ、コイツが俺達のラストドローだ‼︎」

 

「『ダブル・シャイニング・デスティニー・ドロー‼︎』」

 

先程のZEXALよりも強い光が放たれ、デッキからカードを新たに2枚ドローする。

「いくぜ‼︎ 俺はガガガシスターを召喚し、効果発動‼︎ デッキからガガガリベンジを手札に加え、そのまま発動‼︎ 墓地のガガガマジシャンを特殊召喚し、このカードを装備する‼︎」

フィールドに穴が開き、その中から杖を握ったガガガマジシャンが現れる。

これで、3…いや、2体か?

 

「ガガガシスターの効果発動‼︎ ガガガマジシャンを選択し、2体のモンスターのレベルは合計した数になる‼︎」

 

ガガガシスター

☆2→6

 

ガガガマジシャン

☆2→6

 

2体のモンスターのレベルは6。

一体何を呼び出すつもりだ…?

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼︎」

ZEXALの言葉に2体のモンスターがエネルギーの塊になり、眩い光が溢れ始めると、その中に見知った影が見える。

「あれは、ホープ…⁉︎」

「いや、それだけじゃねぇ‼︎ ホープレイ、ホープレイV、ホープレイ・ヴィクトリー…見たこともねぇホープもいる‼︎」

光はどんどん強く輝き、ホープ達の後ろ姿が見える。

「現れろ、No.39‼︎ 人が希望を越え、夢を抱くとき、遥かなる彼方に、新たな未来が現れる‼︎ 限界を超え、その手につかめ‼︎ 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ‼︎」

 

No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ

★6 光属性 戦士族

ATK 3000

DFE 2500

レベル6モンスター×2

このカードはルール上、「希望皇ホープ」と名のついたカードとしても扱う

このカードがエクシーズ召喚に成功した時、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は0になる

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる

自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して除外し、自分の墓地の「希望皇ホープ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する

その後、自分は1250ライフポイント回復する。

この効果は相手ターンでも発動できる

 

ホープ達の後ろ姿が重なり合うと、ヌメロニアス・ヌメロニアが起こしたような大きな爆発が起こる。

すると、その中から巨大なシルエットが姿を見せた。

そこには、全身を白い鎧で固め、背中にはホープの名残りである輝く翼のようなものがあり、まるでホープが巨大化したかのような姿に見える。

 

「ビヨンド・ザ・ホープ…」

これが、ホープの最終形態。

絶望を越えた、希望の化身。

「ガガガリベンジの効果により、攻撃力を300ポイントアップする‼︎」

 

No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ

ATK 3000→3300

 

「ビヨンド・ザ・ホープの効果発動‼︎ このモンスターがエクシーズ召喚に成功した時、相手フィールドのモンスターの攻撃力を全て0にする‼︎」

「何⁉︎」

 

CiNo.1000 夢幻虚光神ヌメロニアス・ヌメロニア

ATK 100000→0

 

ビヨンド・ザ・ホープから放たれた溢れんばかりの光が俺達、後ろで見ている璃緒や小鳥、e・ラー、そして、ヌメロニアス・ヌメロニアを包み込む。

消えたそこには、ドス黒い妖気のような力を滾らせていたのが嘘のように、沈黙しているヌメロニアス・ヌメロニアの姿があった。

「馬鹿な…‼︎」

「さらに、アーマード・エクシーズを発動‼︎」

 

アーマード・エクシーズ

通常魔法

自分の墓地からエクシーズモンスター1体を選択し、 自分フィールド上に表側表示で存在するエクシーズモンスター1体の装備カード扱いとして装備する

装備モンスターはこのカードの効果で装備したモンスターと同じ攻撃力になる。

装備モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時、 この効果で装備したモンスターを墓地へ送り装備モンスターはもう一度だけ続けて攻撃できる

 

「俺は墓地の激瀧神アビス・スプラッシュを選択し、ビヨンド・ザ・ホープに装備する‼︎」

ZEXALの言葉に墓地から現れたアビス・スプラッシュの鎧を纏うと、アビス・スプラッシュの槍をホープが振り回し、構える。

「コイツは、俺が遊馬にやったカード…‼︎」

「見たか、e・ラー‼︎ これが俺達の仲間との絆‼︎希望の力だ‼︎」

「俺達は弱い。でも、人と人が繋がれば、それは何物よりも強い存在になる‼︎」

「いけ、ビヨンド・ザ・ホープ‼︎ ヌメロニアス・ヌメロニアに攻撃‼︎」

「…フハハハハハ‼︎ 馬鹿め、この瞬間貴様らの敗北は確定した‼︎ リバースカードオープン、リビングデッドの呼び声‼︎」

‼︎ 2枚目ーーー‼︎

「蘇るがいい、カードブロッカー‼︎」

 

カードブロッカー

☆3 地属性 戦士族

ATK 400

DFE 400

このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、守備表示になる

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが攻撃対象に選択された時、このカードに攻撃対象を変更する事ができる

このカードが攻撃対象になった時、自分のデッキのカードを上から3枚まで墓地へ送る事ができる

墓地へ送ったカード1枚につき、このカードの守備力はエンドフェイズ時まで500ポイントアップする

 

フィールドに丸い盾を構える小柄な戦士が現れる。

「カードブロッカーの効果により、攻撃表示を守備表示に変更する‼︎」

「だからどうした‼︎ 俺はビヨンド・ザ・ホープでヌメロニアスヌメロニアにーーー」

「待て、遊馬‼︎ あのモンスターは…‼︎」

「フッ…カードブロッカーがフィールドにいる限り、貴様のモンスターの攻撃対象はカードブロッカーに変更できる‼︎」

「なんだと⁉︎」

ZEXALの驚きを他所に、ビヨンド・ザ・ホープは視線をヌメロニアスヌメロニアからカードブロッカーへと向けると、飛びかかった。

ビヨンド・ザ・ホープが繰り出した槍はカードブロッカーを刺し貫く。

 

「残念だったな」

「まだだ‼︎ アーマード・エクシーズの効果により、アビス・スプラッシュを墓地に送ることで、ビヨンド・ザ・ホープはもう一度攻撃できる‼︎ アーマーパージ‼︎」

ZEXALの言葉に、アビス・スプラッシュの鎧が弾け飛ぶと、再びビヨンド・ザ・ホープは構えをとった。

「いけ、ビヨンド・ザ・ホープ‼︎」

「だから甘いと言っている‼︎ リバースカードオープン、マジックアーム・シールド‼︎」

 

マジックアーム・シールド

通常罠

(1):相手フィールドに表側表示モンスターが2体以上存在し、自分フィールドにモンスターが存在する場合、相手モンスターの攻撃宣言時に攻撃モンスター以外の相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる

その表側表示モンスターのコントロールをバトルフェイズ終了時まで得て、攻撃対象をそのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う

 

e・ラーのフィールドに盾が現れると、盾が開き、マジックアームが飛び出した。

その先にいるのはーーー

「‼︎ しまった‼︎」

「貴様のフィールドのモンスター、スターダスト・ドラゴンはいただく‼︎」

マジックアームが守備表示のスターダスト・ドラゴンの翼を両手で掴むと、引っ張り、ヌメロニアスヌメロニアの前に引き寄せられた。

同時に、ビヨンド・ザ・ホープの振り下ろした剣がスターダスト・ドラゴンを切り裂くと、スターダスト・ドラゴンは苦しげな声と共に消え去った。

「貴様‼︎」

「フハハハハハ‼︎ 哀れなものよ。絆や希望など、所詮はまやかしに過ぎんのだ」

「くっ…」

起死回生の策だったスターダスト・ドラゴンが俺達の勝利を阻むことになるなんて…‼︎

 

「まだだ‼︎」

 

「‼︎」

「まだ俺達は、希望は‼︎潰えてねぇ‼︎ 俺はビヨンド・ザ・ホープの効果発動‼︎ ORUを1つ取り除き、ビヨンド・ザ・ホープを除外し、墓地から希望皇ホープを特殊召喚し、ライフを1250回復する‼︎」

 

ビヨンド・ザ・ホープが輝き始めると、その光は天高く伸びる。

 

ーホオォォォォォォォップ‼︎ー

 

ZEXAL LP1200→2450

 

叫び声が聞こえると、光が吹き飛び、ホープが姿を現わした。

「ホープ‼︎」

「バトルフェイズ中に特殊召喚したホープは続けて攻撃ができる‼︎ いけ、ホープ‼︎」

「我はヌメロニアス・ヌメロニアの効果発動‼︎ CORUを1つ取り除き、攻撃を無効‼︎ さらに、その攻撃力分のダメージを回復する‼︎」

 

e・ラー LP500→3000

 

「フハハハハハ‼︎ 貴様らの希望など、所詮この程度‼︎ 無限の絶望たる我に勝てる道理などないのだ‼︎」

そう言って、e・ラーは先程と同じ、勝ち誇った笑い声を上げる。

「忘れてねぇか?」

シャークが不敵な笑みを浮かべてそう呟く。

…ああ。どうやら、e・ラーは終ぞ遊馬を理解できなかったらしい。

 

「…何?」

「いけ、遊馬‼︎」

「正真正銘、俺達のラストアタックだ‼︎」

「馬鹿な⁉︎ 貴様らのフィールドに攻撃できるモンスターは…‼︎」

「おう‼︎ 俺はダブル・アップ・チャンスを発動‼︎」

 

ダブル・アップ・チャンス

速攻魔法

モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスター1体を選択して発動できる

このバトルフェイズ中、選択したモンスターはもう1度だけ攻撃できる

その場合、選択したモンスターはダメージステップの間、攻撃力が倍になる

 

「俺はホープを選択‼︎ ホープは攻撃力を2倍にしてもう1度攻撃する‼︎」

 

No.39 希望皇ホープ

ATK 2500→5000

 

ホープの持つ剣が眩い光を放ち、刀身が天高く伸びていく。

「攻撃力5000だと⁉︎」

「いけ、ホープ‼︎ ホープ剣・スラッシュ‼︎」

「そんな馬鹿な…‼︎ 馬鹿なァァァァァ…‼︎」

 

e・ラー LP3000→0




いかがでしたでしょうか?

自分の効果でおおよそ1ターンくらいしかフィールドに存在できないボスカードがあるらしい。
勝った!おしまい! …では、ありません。
もう少し続くのじゃよ。

それでは。

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