ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
シャーク&璃緒vsドルべ 4となっております。

皆さん、あけましておめでとうございます。
昨年は年末にインフルでぶっ倒れるという不本意なラストになりまして、更新もできず申し訳ないm(_ _)m
もうしばらく、私と本作にお付き合いいただければ幸いです。
それでは、どうぞ。


第135話

「くっ…‼」

 

ここまでなのかよ…‼

「あら、凌牙。もう諦めるの?」

ふと、そんな声が聞こえ横へと視線をやると璃緒がこちらを見ていた。

「璃緒?」

何を…?

「『最後まで諦めない』…そんな姿を私に見せた人が2人いたわ。1人は零君。彼は大勢の決闘者と戦い、何度もピンチを乗り越えてきた。きっと、今もこの街で戦っている。もう1人は…凌牙。貴方は…獲物に食らいついたら離さないシャークは、こんなところで挫けてしまうような物分かりのいい人間だったかしら?」

 

…チッ…

 

「諦めちゃいねぇよ」

諦めてたまるか。

俺はこんなところで折れるような腑抜けじゃねぇ‼

「リバースカードオープン‼ フュージョン・ガード‼」

 

フュージョン・ガード

カウンター罠

ダメージを与える効果が発動した時に発動する事ができる

その発動と効果を無効にし、自分の融合デッキからランダムに融合モンスター1体を墓地へ送る

 

「私のエクストラデッキに存在する旧神ノーデンを墓地に送り、効果ダメージを無効にするわ‼」

璃緒がエクストラデッキのカードを墓地に送った瞬間、光の勢いは衰えていき、やがて消え去った。

「残念だったわね」

「くっ…だが、例え防御したところでクリスタル・ゼロ・ランサーの攻撃力は200‼ いけ、ノーブル・デーモン‼ クリスタル・ゼロ・ランサーに攻撃‼」

「リバースカードオープン‼ イタクァの暴風‼」

 

イタクァの暴風

通常罠

相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの表示形式を変更する

 

璃緒が叫ぶとフィールドに突如猛烈な風が吹き荒れた。

その風に煽られ、ノーブル・デーモンが膝をつき、スローネの身体が薄っすらとした青から再び緑色に染まる。

 

「どうかしら?」

「フッ…ハハハハッ‼ 面白い‼こうも私の攻撃をことごとくかわすとは‼ ならば私はーー」

 

ー手を焼いているようだな、ドルべー

 

ドルべが動き出そうとした瞬間、辺りに胸の奥にズンと重くのしかかるような声が響き渡る。

すると、ドルべの足下にあった影が大きく伸び、大きな影へと姿を変える。

すると、その影の腹部に紅い眼が開かれ、顔のある部分に両目が現れる。

「コイツが…ドン・サウザンド…⁉」

 

ーお前に更なる力を与えようー

 

「少し待っていただきたい」

影から伸びる腕がドルべに近付くも、ドルべに触れる直前で動きを止める。

「この者達はたしかに私にとって仇敵そのもの。許せるものではない。だが、彼等とのデュエルは私の内にあるものを揺さぶる。私は…私は、その揺さぶるものが何か知りたい。だからこそ、私はバリアンの七皇として、バリアンの戦士として、戦いたい。だからどうか、我らが神よ‼ 私の力で彼等と戦わせてもらいたい」

そう言ってドルべが振り向いた瞬間

「ぐあっ⁉」

「ドルべ⁉」

ドン・サウザンドの手がドルべをまるで人形でも持ち上げるかのように掴んだ。

 

ー貴様自身の力で戦うだと? 既に我が力の影響を大いに受けておきながら何を戯けたことを言うかー

 

そう言うと握るドルべを紅い炎のようなものが纏った。

「ぐっ…あああ…っ」

「ドルべ‼」

 

ーもう一度我が力を受け、我に従順な盾となれ。ドルべ‼ー

 

そう言うとドルべが地面に落ち、ドン・サウザンドが消え去った。

同時に倒れていたドルべがゆっくりと起き上がる。

「………」

ドルべは無言のままこちらを見ると両眼を怪しく光らせ、身体からゆらゆらと先程見た紅い力を立ち昇らせ始める。

「ドルべ、お前…‼」

「まだ私のターンだ。我は貪欲な壺を発動‼ 墓地のカードを5枚選択し、デッキに戻し2枚ドローする‼」

 

デッキに戻すカード

ヴァイロン・ディシグマ

No.91 サンダー・スパーク・ドラゴン

No.102 光天使グローリアス・ヘイロー

光天使セプター

光天使スケール

 

墓地のカードがデッキに戻り、オートシャッフルされるとドルべの片手から同じ力が溢れ始める。

「何をする気だ…‼」

「このデュエルを決定付けるドローというやつだ」

決定付けるだと…⁉

 

「バリアンズ・カオス・ドロー‼」

 

ドルべがそう叫びながら2枚のカードをドローする。

「フッ…私はカードを3枚伏せてターンエンド‼」

 

ドルべ LP450

手札 0

モンスター 2

CNo.102 光堕天使グローリアス・ヘイロー 攻撃

光天使スローネ 攻撃

魔法・罠 3

⁇?×3

 

「チッ…」

くそ、ドルべが操られていると聞いてからずっとだ。

なんでこんなにイライラしやがる。

これじゃあまるで、俺が奴の言うナッシュだと言ってるようなもんじゃねぇか。

「イラっとするぜ…‼ 俺のターン、ドロー‼」

「リバースカードオープン‼ パージ・レイ‼」

 

パージ・レイ

通常罠

自分フィールド上のエクシーズモンスター1体をリリースして発動できる

このターンのエンドフェイズ時、リリースしたモンスターと同じ種族でランクが1つ低い「No.」と名のついたモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する

 

「私はノーブル・デーモンをリリースする‼」

「なんだと⁉」

驚く俺の視界からノーブル・デーモンの姿が弾ける光と共に姿を消す。

これで、奴のフィールドには攻撃表示のスローネが1体だけ。

リバースカードがあるとはいえ、攻撃力はわずか800。

その行いは自殺行為に等しい。

「さあ、どうした? 私のフィールドには攻撃力800の光天使スローネが1体だけ。破壊すればデュエルに勝てるぞ」

「くっ…‼」

たしかに、その通りだ。

俺達のライフは残り500。

余裕のある数字とは言えねぇ。

それこそ、ちょっとの油断で吹き飛びかねねぇ。

だが、あのリバースカード…罠である可能性は高い。

「………」

ドルべは何も反応を示さない。

…俺は

「引き下がらねぇ‼ 俺はハンマー・シャークを召喚‼」

俺のフィールドに顔が銀色に鈍く光るまるでトンカチのようなサメが現れる。

「やれ、ハンマー・シャーク‼ 光天使スローネに攻撃‼」

ハンマー・シャークの攻撃力はフィールド魔法の影響を受けて1900。

スローネとの攻撃力差は1100。

残りライフを上回っている。

「リバースカードオープン、陰謀の盾‼ さらにチェーンして転生の予言を発動‼」

 

陰謀の盾

通常罠

発動後このカードは装備カードとなり、自分フィールド上のモンスター1体に装備する

装備モンスターは表側攻撃表示で存在する限り、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない

また、装備モンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる

 

転生の予言(制限カード)

通常罠

お互いの墓地のカードを合計2枚選択して発動できる

選択したカードを持ち主のデッキに戻す

 

「まず、私の墓地のノーブル・デーモンとお前達の墓地のアビス・スプラッシュをデッキに戻す‼ 続けて、陰謀の盾をスローネに装備する‼」

ハンマー・シャークが自身の身体を大きく逸らし、アゴを叩きつけるように振り下ろした瞬間、スローネとの間に突如現れた盾が弾いた。

「チッ…FA−クリスタル・ゼロ・ランサーを守備表示に変更し、ターンエンド‼」

 

シャーク LP500

手札 2

モンスター 2

FA−クリスタル・ゼロ・ランサー 守備

ハンマー・シャーク 攻撃

魔法・罠 4

⁇?×3

忘却の都 レミューリア

 

「エンドフェイズ、ノーブル・デーモンと同じ種族でランクの1つ下のモンスターを特殊召喚する。こい、グローリアス・ヘイロー‼」

…この為にグローリアス・ヘイローをわざわざデッキに戻したのか。

「私のターン、ドロー‼ わかっているぞ、神代凌牙。お前の墓地にはキラー・ラブカがいることを。まずは遺跡のナンバーズ‼お前からだ‼ 私はグローリアス・ヘイローでFA−クリスタル・ゼロ・ランサーを攻撃‼」

グローリアス・ヘイローが光る弓を構え、そこから矢を放つと構えていた盾を貫き、そのままクリスタル・ゼロ・ランサーを破壊した。

「ぐっ…‼」

また、この痛み…‼

なんなんだ、さっきから…‼

 

「うっ…‼」

隣から物音が聞こえ、見ると璃緒が胸を押さえて座り込んでいる。

「璃緒…⁉」

「胸、が…‼」

「…私はドン・サウザンドの玉座を発動‼」

 

ドン・サウザンドの玉座

永続魔法

相手のエンドフェイズ時、自分はそのターンに戦闘ダメージを受けた回数×500ライフポイント回復する

また、自分フィールド上の「CNo.」以外の「No.」と名のついたモンスターが攻撃対象になった時、このカードを墓地へ送る事でその攻撃を無効にする

その後、その自分のモンスターと同じ「No.」の数字を持つ「CNo.」と名のついたモンスターを、そのモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する

「ドン・サウザンドの玉座」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない

 

フィールドに突如、禍々しい装飾の巨大な玉座が現れる。

すると、その玉座から紅い力が立ち上り、触手のようなものが伸びるとドルべの身体を鎧のように覆った。

「光天使スローネを守備表示にし、ターンエンドだ」

 

ドルべ LP450

手札 1

モンスター 2

No.102 光天使グローリアス・ヘイロー 攻撃

光天使スローネ 守備

魔法・罠 1

ドン・サウザンドの玉座

 

「さあ、お前達のターンだ」

「………」

ドルべの言葉に顔を伏せたまま、璃緒が立ち上がる。

「璃緒?」

不思議に思った璃緒に声をかけると、璃緒はゆっくりと顔を上げた。

その顔つきは何処か璃緒と違うような…?

 

「…まさか、こんな状況になるなんて思ってもみなかったわ、ナッシュ…いえ、神代凌牙」

 




いかがでしたでしょうか?

ボチボチ終わると言ったな?
あれは予定変更だ。
もう2、3話続きます。この展開をどうするかで投稿間隔が空いてしまったのは内緒。

それでは。

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