Ⅳ&真月君vsベクター 3となっております。
スペルビア再録!スペルビア再録!
いやぁ、とうとうスペルビアが再録になりましたねぇ。
これでようやく私の【終世】が完成します(なお勝率)
地味に再録王やもはや有り難みの無いトリシュもくっついてくるようですが。
それでは、どうぞ。
「くっ…‼」
Ⅳの悔しげな声が俺の耳に届く。
それはそうだろう。あの攻撃が通れば、俺達は勝っていた。
このデュエル、始まってから綱渡りな展開が続いている。
巡ってくるチャンスを無駄にはしたくはないが…
「お前らのRUMには驚かされたが、所詮はこんなモンだ。見せてやるよ、本物のランクアップってやつをなァ‼ 俺のターン‼」
ベクターがデッキトップのカードを握るとその手から紅い光が溢れ始める。
その力はさっきミザエル達がしていたーー‼
「バリアンズ・カオス・ドロー‼」
ベクターの掛け声と共に紅い軌跡を残し、デッキトップのカードが引き抜かれる。
「俺がドローしたカードはRUM−七皇の剣‼」
やっぱりか…ということは
「オーバーハンドレッドナンバーズのカオス化…‼」
「その通りィ‼ 墓地の仮面魔踏士シャイニングを特殊召喚し、オーバーレイネットワークを再構築‼ カオス・エクシーズ・チェンジ‼ 来い、CNo.104 仮面魔踏士アンブラル‼」
ベクターのフィールドに再び現れたシャイニングが紅い光を放ちながら空高く昇っていく。
すると、シャイニングが昇った場所から赤いマントをはためかせ、アンブラルが着地した。
俯いていた顔を上げると不気味な仮面の姿が露わになる。
「仮面魔踏士アンブラル…‼」
ついに現れたか、カオスオーバーハンドレッドナンバーズ…‼
「アンブラルの効果は忘れてねェよなァ‼ 特殊召喚に成功した時、フィールドの魔法・罠を1枚破壊する‼ 俺が破壊するのはソイツだ‼」
ベクターが指さし、アンブラルが跳躍と共にⅣの伏せたリバースカードを1枚叩き割る。
破壊されたカードは…フリッグのリンゴ…‼
「いいカードが破壊できたみたいだなァ…クククッ。いけ、仮面魔踏士アンブラル‼ ダイレクトアタックだ‼ 今度こそあばよォ‼」
「リバースカードオープン‼ 体力増強剤スーパーZ‼ 2000ポイント以上のダメージを受ける場合、計算前に4000回復する‼ ぐあっ‼」
Ⅳ LP1300→5300→2300
「っ…さらに、ダイレクトアタックを受けたことで墓地のギミック・パペット−シャドーフィーラーの効果発動‼」
ギミック・パペット−シャドーフィーラー
☆8 闇属性 機械族
ATK 1000
DFE 1000
このカードは戦闘では破壊されない
また、このカードが墓地に存在し、相手モンスターの直接攻撃によって自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる
このカードを墓地から表側攻撃表示で特殊召喚し、自分は1000ポイントダメージを受ける
「ギミック・パペット-シャドーフィーラー」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない
エクシーズ素材となったこのカードが墓地へ送られる場合、墓地へは行かずゲームから除外される
「ライフを1000払い、コイツを特殊召喚する‼ こい、シャドーフィーラー‼」
Ⅳが叫ぶと墓地が開かれ、そこから光る何かが飛び出し、フィールドに降り立った。
光が消えたそこには首のない青いマネキンが向き合うようにして膝と手をついた不気味な姿がある。
Ⅳ LP2300→1300
「お前ら…いい加減諦めて沈め‼」
「まだライフが残ってんだ。諦めるわけねぇだろ」
「ターンエンド‼」
ベクター LP1000
手札 0
モンスター 1
CNo.104 仮面魔踏士アンブラル 攻撃
魔法・罠 1
⁇?
「真月、お前のターンだ‼」
「ああ‼ 俺のターン‼」
今俺の手札にはSinスターダスト・ドラゴンがある。
コイツの召喚にはフィールド魔法が必要不可欠。
ドローとは見えない運命。その運命を俺が呼び込めるかどうか、それだけが問題だ。
いくぞ…‼
「ドロー‼」
ドローしたカードは…‼
「来た‼ 俺は混沌空間を発動‼」
これでSinスターダストを特殊召喚すれば…‼
「リバースカードオープン‼サイクロン‼ 混沌空間を破壊する‼」
「何⁉」
フィールドが混沌空間へと書き換わり始めた瞬間、竜巻が起こり、混沌空間のカードを吹き飛ばした。
「お前の手札にあるSinスターダスト・ドラゴンはフィールド魔法が無いと自壊するンだってなァ?」
ベクターが心底楽しそうにゲラゲラと嗤う。
…シャドーフィーラーは戦闘破壊耐性がある。一先ず、これで耐えてⅣに回すしか…
「…俺は」
シャドーフィーラーを守備表示に、と言おうとしてⅣの視線に気付く。
その視線はまるで、それでいいのか?と問いかけているかのようだ。
「………」
手札へと視線を落とす。
俺の手札にはSinスターダスト・ドラゴンとガード・ブロックで加わったアドバンスドローがある。
フィールドにはⅣが俺へと託したレベル8のモンスターギミック・パペット−シャドーフィーラーがいる。
アドバンスドローを使えば2枚ドローをし、活路が開くかもしれない。
だが、外せば俺達のフィールドにモンスターはいなくなる。
残りライフ1300。外せば俺達は負ける。
「あるんだろ」
「…だが…」
「どうなるかわからねぇくらいなら使っちまえよ」
Ⅳはそう言うとノドを鳴らして笑う。
「まあ、お前が失敗したら盾にでも使って逃げてやる」
…盾、ね。
『助け出す』とか『一緒に』とか言わない辺りⅣも捻くれてるな。
まるでシャークみたいだ。
…いくぞ、Ⅳ。
「俺はアドバンスドローを発動‼」
アドバンスドロー
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8以上のモンスター1体をリリースして発動できる
デッキからカードを2枚ドローする
「フィールドのギミック・パペット−シャドーフィーラーをリリースし、2枚ドローする‼」
シャドーフィーラーが光の粒子になり姿を消すと、俺のデッキトップが光を放ち始めた。
…これが、俺達を運命を決めるラストドローだ。
ーーー行くぞ。
「…ドロォォオオオ‼」
勢いよくカードを引き抜いたことで光る粒子がドローの軌跡となって残り、霧散する。
俺達の運命はーーー
「…ベクター」
「ああ?」
「俺達の、勝ちだ。俺は思い出のブランコを発動‼」
思い出のブランコ
通常魔法
自分の墓地の通常モンスター1体を選択して発動できる
選択したモンスターを特殊召喚する
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンのエンドフェイズ時に破壊される
「俺は墓地のトライホーン・ドラゴンを特殊召喚する‼ 蘇れ、トライホーン・ドラゴン‼」
俺の叫びに応えるように地の底から響くような唸り声が聞こえると暗い穴が開かれ、足元のコンクリートに巨大な爪を立てた。
そのまま威圧的な視線をベクターに向けながら、今度は身体がビリビリと震える程の咆哮をあげる。
「ヒィ…‼ だ、だが、トライホーン・ドラゴンの攻撃力は2850‼ 攻撃力3000のアンブラルには届かねェ‼」
「ーー誰がトライホーン・ドラゴンで終わると言った?」
俺の言葉に僅かながら余裕を見せていたベクターの顔に再び焦りが浮かぶ。
「馬鹿な。フィールド魔法が無い今、Sinスターダスト・ドラゴンは特殊召喚できないはず…‼」
「ああ。Sinスターダストは特殊召喚できない。だがな、D.D.Rを発動‼」
D.D.R
装備魔法
手札を1枚捨て、ゲームから除外されている自分のモンスター1体を選択して発動できる
選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する
このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する
「俺は手札のSinスターダスト・ドラゴンを墓地に送り、除外されているトーチ・ゴーレムを特殊召喚する‼ Ⅳ‼」
「受け取れ、真月‼」
Ⅳが自身のデュエルディスクの除外ゾーンに保管していたトーチ・ゴーレムを取り出すとそのままフィールドに召喚した。
地響きと共に地面から鎖に繋げられた銀の巨人が現れる。
「レベル8が2体だとォ…⁉」
「俺は2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来い、No.22 不乱健‼」
俺達のフィールドのドラゴンと巨人が唸りを上げ、光るエネルギーの塊になり、開かれた穴へと飛び込み、大きな爆発を起こす。
すると、その穴から筋骨粒々の巨大な大男が現れた。
顔を布で覆い、隙間から覗く瞳はアンブラルを捉え、大きな雄叫びを上げる。
「こ、攻撃力4500…⁉」
「散々俺達を舐め切った末がこのザマだ。あばよ、ベクター」
「いけ、不乱健‼」
「ク、クソ…‼ クソがぁぁあああ‼」
ベクター LP1000→0
不乱健の攻撃で吹き飛んだベクターはサルガッソの時のように吹き飛び、地面に倒れた。
「お前の負けだ。ベクター…‼」
「くっ…うるせェ‼ 俺はまだ負けちゃいねェ‼ 他の七皇共の力を奪い、俺は強くなる‼」
そう叫ぶとベクターは紫の光の塊に姿を変えた。
「逃げる気か…‼」
「待て‼」
俺達がとっさに駆け出そうとするも周囲を取り囲む人集りが道を塞いでしまう。
ーじゃあな、真月‼ お前らはそこでせいぜいくたばるまで遊んでなァ‼ー
そう声が聞こえると紫の塊は空へと昇り始めた。
「ベクタァァァァアアアアッ‼」
怒りのままに叫んだ声にも応えることはなく、そのまま遊馬達が向かった方向へと飛んでいってしまう。
「くっ…‼」
お互い膝をついた状態で周囲を見る俺達を先程と同じくデュエルディスクを構えた決闘者達が取り囲む。
ベクターとのデュエルで俺もⅣもボロボロだ。
何度、コイツらのデュエルで受けるダメージに耐えることができるか…‼
「‼ …なんだ?」
唐突に俺達の耳に何かの走る音が聞こえる。
その音は段々と大きく、近くなっていく。
「バイク、か…?」
Ⅳがエンジン音からそう呟いた瞬間黒いドラゴンの登場と共に人集りの一部が吹き飛んだ。
「立ち上がれ、極東チャンピオン‼」
「この声は…⁉」
Ⅳが気付いたのか、声の主を探すように顔を動かすとその姿を見付けたのか動きを止める。
「このジャック・アトラスの前で無様な姿を見せるな‼」
銀のコートを風にたなびかせ、傲慢不遜な顔付きが、しかし嫌味さを感じさせない金髪の男ーージャック・アトラスがそこにいた。
「ジャック・アトラス…⁉」
遊星がいた以上、もしやとは思ってはいたが…何故ここに…⁉
「お前が真月か。『仲間の危機だ』と俺達を説得した遊星に感謝するのだな」
そう言うと赤い流星型のバイクがジャックの隣に止まった。
「真月、無事か」
「遊星さん‼」
「事情は大体わかっている。何をすればいい?」
「ベクターを追いかけてください‼ このままだとみんなが危ない‼」
ベクターの凶刃は今や遊馬や俺達だけじゃない。七皇にまで向いている。
七皇達はきっと遊馬を追いかけているだろう。ということは、下手をすれば遊馬達も危ない‼
「わかった。追おう」
「遊星、ここは俺に任せろ。我が魂ーダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンとこのジャック・アトラスの3歩先を行くデュエルを拝ませてやる‼」
っ…ここまでか。
まったくだらしねぇ。さっきのデュエル、俺が思っていたよりもダメージが大きいみたいだ。
「…俺はここに残る」
「Ⅳ⁉」
俺の言葉に真月が驚いたように言う。
「俺が着いて行ったところで足手まといになるだけだ。あいつらのピンチに駆け付けるのはお前に譲ってやる」
俺が駆け付けるよりも真月が駆け付けた方が璃緒も喜ぶだろうしな。
「…わかった。遊星さん、お願いします‼」
僅かに逡巡した真月だったが、すぐに男に頼む。
「ああ」
そのまま男の後ろに乗り込むとバイクは走り出した。
あの早さならベクターにも追いつけるかもしれねぇ。
「辛いなら下がっていろ、極東チャンピオン」
「ほざけよ、キング。まだ余裕だ」
そう言うと俺は立ち上がる。
ここから先は誰に評価されることのねぇ耐久マラソンだ。
このザマの俺にそれができるか?
「…当たり前だろ」
こんなモン、トロンの復讐の為に戦っていたあの頃に比べりゃずっと楽だ。
「さぁて、ファンサービスの再開といこうじゃねぇか‼」
いかがでしたでしょうか?
ゴッズ勢アンコールでした。
ダクリベの脳筋っぽい効果はキングっぽいと思ったのは私だけ?
それでは。