ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
vsMr.ハートランド篇 導入となっております。

カードゲームもできるギャルゲー…もとい、TAG FORCE SPECIAL今冬発売!(ただしDLのみ)
いやぁ、遊戯や社長と並んでデュエルができるとか楽しみですねぇ。本田と杏子も参加するっぽいですが…
遊戯の声は不安ですが(DTの前科)
まあ、元日本チャンプのHA☆GAがインゼクターぶん回すのを楽しみにしましょう。

それでは、どうぞ。


四悪人篇 vsMr.ハートランド
第119話


「来たな、凌牙」

ドルべの襲撃から数日、突然の呼び出しに港に到着した俺と璃緒を呼び出したⅣが出迎える。

傍には真月もおり、どうやら先に来ていたらしい。

 

「おはよう。シャーク、璃緒さん」

「おはよう、零君」

「何の用だ、Ⅳ」

「こっちだ」

「っ、おい‼」

「いいから着いて来い…遊馬のことだ」

「遊馬だと…?」

 

 

それ以上何も言わないⅣの後に続いた先には潜水艦と飛行艇が止まっていた。

内部には小鳥や鉄男といったいつものメンバーに加えて、カイト、Ⅲ、Ⅳ、Vの4人がいる。

 

「…もう一度だけ聞く。何の用だ。遊馬がどうした」

ここに遊馬の姿はない。

たしか、少なくとも外に出るくらいには元気になったらしいことは真月から聞いてはいる。

 

「今現在、遊馬はアストラル世界にいる」

Vがそう前置きをすると、アストラル世界について研究をしていたことや、そこへ向かう為のゲートのこと、遊馬がアストラル救出の為に単身向かったことを俺達に説明した。

 

「問題はここからだ。そのゲートが閉じてしまった」

「閉じた?」

「そうだ」

聞き返した鉄男の言葉にカイトが答える。

 

「潜入していたバリアンの刺客が何か細工をしたのか、電源復旧すら行えない状態だ」

「そ、それじゃあ遊馬はどうなっちゃうの…⁉」

「…わからない」

「なんで遊馬を見捨てたウラ‼」

徳之助がいつになく肩を怒らせ、カイト達に詰め寄る。

「落ち着けって、徳之助‼」

「放すウラ‼ なんで、なんで遊馬を…‼」

「落ち着け」

「シャーク…」

「カイト、遊馬には出発前に閉じ込められる可能性を説明したんだろ?」

「ああ」

「それでも行くと決めたんなら、遊馬も覚悟はしているはずだ。それに、向こうでアストラルと合流できれば、アストラル世界からこっち側に戻ることもできるはず」

そう言って宥めるも、俺の中で不安感が沸き上がる。

 

アストラル世界は未知の世界。

そんな世界に単身乗り込んだ遊馬が無事でいる保証はねぇ。

そんな世界で俺達の目の前で消えたアストラルと合流できるかは絶対の保証は…

「…俺達がハートランドにいた間に起こったことも説明させてくれ」

空気を察したのかそう言うと真月が割って入った。

 

「つい数日前から大量の偽のナンバーズが街中に…いや、世界中にバラまかれているらしい」

「偽のナンバーズ?」

「ああ。知り合いとも連絡を取り合って確認したんだが、ここ数日中で起こった大小いろんな事件の背景に偽のナンバーズを所持している人間が現れている。俺と璃緒さんも絡まれたし、シャークは…ドルべに襲われた」

真月がそう言うとドルべを知るナンバーズクラブの面々の顔色が変わる。

 

「ドルべ?」

「バリアン側の主要な奴らの1人…なんだが、どうも様子がおかしかった」

「様子がおかしい?」

「皮だけそのままで中身が入れ替わったっていうか…とにかく、雰囲気からガラッと変わっていたんだ」

 

…たしかに。

あの時、ドルべの様子は以前会った時と比べ、あまりにも変化が大きかった。

「まあドルべのことは置いておくとして、遊馬のいないこのタイミングでのバリアン側の行動だ。何かの前触れなのかもしれない」

真月がそう締めくくると再び沈黙が起こる。

コイツらはバリアンとの戦いを何度も見ている。

バリアンの力は強力だ。あの力が自分達に向けられるかもしれないとなれば、困惑だってするだろう。

 

「おい、テメェら。そのナンバーズを持ってねぇだろうな」

「持ってニャい」

「僕もです」

「そんなの、初めて聞いたぜ」

Ⅳの言葉にナンバーズクラブの奴らは返事を返す。

偽のナンバーズのカードを持った奴らの態度はわかりやすい。

それに、今までのことを考えれば…大丈夫だろう。

 

「…ともかく、今は遊馬の帰還を信じて待つしかないだろう」

カイトの言葉に全員が頷いて返した、その時ーー

 

[美しい]

 

何処かで聞いた声と共に映し出されていた映像が一瞬にして男の姿へと変化した。

[じつに美しい友情ですねぇ、皆さん]

「お前は…‼」

「Mr.ハートランド⁉」

[ですが、貴方方と九十九遊馬の再会は永遠に訪れない。 …さあ、外に出てくるがいい‼]

そう言うと同時に映像が来れる。

外ってことは…奴は甲板か‼

 

 

 

「ボンジュール、皆さん」

ⅢとⅣを先頭に俺達が甲板へと飛び出すと頭上からふざけた調子の声が聞こえてきた。

見上げたそこにはシルクハットにタキシード姿の右手にステッキを持った男がいる。

「ゆっくり思い出話などをしたいところですが…そうもいかないようです。ねえ、カイト?」

「貴様…‼」

ハートランドの言葉にカイトは怒った様子で睨む。

「さて、では皆さん。あちらにご注目」

そう言ってハートランドが示した先には穏やかな海が広がっており、空には暗雲が立ち込めている。

 

「イッツ…ショータァーイム‼」

ハートランドが叫ぶと共に空から紅い光が落ちてきた。

大きな揺れと共にその光は拡散すると、1つの大きな光の柱へと姿を変える。

「くっ…‼」

「なんだ…⁉」

ナンバーズクラブの面々やⅢ、Ⅳ、V、カイトが苦しげな表情に変化する。

「おい、どうした⁉」

「身体が…重てぇ…‼」

「空間質量の変化を確認‼ あの光の柱はバリアン世界のエネルギーでアリマス‼」

「何⁉」

バリアン世界のエネルギー…⁉ ハートランドはそんなものを使って何をしようっていうんだ…⁉

 

「‼ …もしや、あの光の柱は我々の世界とバリアン世界を繋げるものなのか⁉」

「大正解‼ 賞品はあの世への旅立ち団体様ご招待」

ハートランドの声が聞こえると共に飛び降りると、苦もなく着地した。

「フッ…やはり、バリアンに程近い3人にはあまり影響もないようですね」

「貴様、どうやってこの場所を探知した‼」

「フッフッフッ…それは我々がこの世界にお配りしたナンバーズのおかげですよ」

「何…?」

「心に欲望を持ち、抑えきれない…いわば、心の弱い者の下に引き寄せられたのです。そして手にした方は特殊な周波を発してくれます。それを辿ってここに来たのです」

「…っ‼おい、テメェら‼ さっきはナンバーズを持ってねぇって言ったじゃねぇか‼」

「だから知らねぇって‼」

「僕もです‼」

「ニャいニャい‼」

Ⅳの言葉に先程と同じように持っていないと答える。

 

「………」

徳之助…?

「…徳之助君?」

小鳥が黙り込んだ徳之助を不思議に思い声をかけると、ポケットから1枚のカードが出てきた。

カードにはNo.10 黒輝士イルミネーターと書かれた黒い騎士の姿がある。

「そのカードは…」

間違いなく、偽のナンバーズ。

 

「チッ…馬鹿が」

「お前、なんで…」

「これ、俺…このカードがあれば遊馬を助けられると思って。俺、いっつも弱くて役に立たないウラ。だから、だから…‼」

そう涙ながらに告白する徳之助の言葉に対し、拍手音が聞こえる。

拍手しているのは言うまでもなく、ハートランドだ。

 

「役に立ちたい。その健気な想いが大迷惑な事態を招いた。 …実に素晴らしい‼その想いはカオスとなり、バリアン世界に更なる力を与えるでしょう‼ そして、その力によりまもなくこの世界は飲み込まれる‼ バリアン世界に‼」

「飲み込まれるだと⁉」

何故このタイミングで…?

それができるのなら、バリアンの刺客を送り込むようは面倒な真似をしなくても…

 

「その為のナンバーズ、というわけかしら?」

何かに思い至ったらしい璃緒がハートランドにそう投げかける。

「その通り‼ 我々の送ったナンバーズを手にした者は己の欲望と感情のコントロールが効かなくなり、ドス黒いエネルギーとなってバリアン世界とこの世界を繋ぐ柱に吸い寄せられ、互いの世界を引き合う力となる‼ つまり、今まさに2つの世界は融合しようとしているのだよ‼」

「そうか…世界中で暴動が起こったのも、徳之助君がいつになく感情的になったのもそのせいだったのか‼」

「目的はなんだ‼」

「それはーー」

「…戦力補強とアストラル世界への攻撃だろう」

ハートランドの言葉を遮るようにして呟く。

「そんなところだろうな。ハルトがかつてやっていたように、アストラル世界への攻撃ができる」

カイトが俺の言葉を補足するようにして呟く。

 

妥当なところだろう。

バリアン世界が単体でアストラル世界へ攻撃できるのなら、そもそも人間界へバリアンが出向く必要はない。

そうしないのは、バリアン世界単体ではアストラル世界との戦いに勝ち目がないからだ。

だからバリアン世界は人間界というエネルギーを取り込み、アストラル世界への全面戦争へと打って出るつもりなのだろう。

「このままでは奴の言う通り、我々の世界はバリアンに吸収され、消滅する可能性もある‼」

吸収…っ、まずい‼

 

「そのナンバーズを今すぐ捨てろ‼」

ギラグやベクター達は消える際、異空間が開かれ、そこへと消えていく。

だが、あの絡んできた奴はデュエル終了後に光となって消えた。

あれがもし、吸収されたのだとしたらーー

 

「もう遅い‼ 貴方にも人柱になっていただきましょう‼ アデュー‼」

そうハートランドが言うと同時にステッキの先に着いていた玉が紅い光を放った。

同時に徳之助の持つナンバーズが紅い光へと変化し、徳之助を取り込むとそのまま柱へと吸い込まれていった。

「ご安心なさい。どうせ皆さん、間も無く消えるのです。この世界諸共‼」

「くっ…‼」

あの柱がパイプのようにエネルギーを送り込む装置のようなものなのだとしたら、あの柱を壊せば一先ずこの融合状態は解けるとみていいだろう。

だが、あの柱をどうやって壊せば…‼

 

「おっと…その前に、貴方方の持つナンバーズ、全て回収させていただきましょう」

「ならば、腕ずくで奪い取ってみろ‼」

「カイト…言われなくともお前は腕ずく力ずくで叩きのめすつもりだ‼ 貴様をナンバーズハンターにまでしてやった恩を忘れた裏切り者め‼」

「貴様に恩などと…虫酸が走る。第一、貴様如き雑魚の配下になった覚えなどない‼」

「黙れ黙れ黙れぇ‼ さあ、デュエルだ‼」

「言われるまでもない‼ デュエルモード・フォトンチェンジ‼」

カイトが叫ぶと共に片目に青い刺青が入る。

同時に黒い服が白くなり、腕にデュエルディスクが現れた。

 

「今日こそ地獄へ送ってやろう、カイト‼」

対するハートランドは眼鏡が片方変色するとデュエルディスクを放り投げると腕にセットし、構える。

 

「「デュエル‼」」




いかがでしたでしょうか?

シャーク&璃緒:バリアン寄りの人間
真月君:人間寄りのバリアン

こんな感じです。それでは。

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