ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
デートからのデュエル回になっております。

ゴールドパックの抱き合わせみたいなパックを発見しまして、購入しました。
内容はゴールドパック、CBLZ、ABYRが各1パックずつ。
決して充実していたとは言えませんが…まあ、天キ出たしいいかな。
それでは、どうぞ。


第115話

「ありがとうございましたー」

自動ドアが開かれると背後から店員の声が聞こえてくる。

 

病院を出て、早数時間。

市街地まで出てきた私は零君の手を引くようにして歩く。

私の足音とほとんど同じペースで歩く足音に私の頬は緩む。

思えば、こんな風に零君と何処かに出掛けるのは久しぶりな気がする。

特に最近はバリアンやナンバーズの遺跡だなんてモノに関わっている時間が多かったわけだし。

 

「璃緒さん。次は何処に行く?」

「そうね…」

そう言うと私は零君の姿を見る。

零君はシャツにズボンという無難な服装をしている。

「そういえば零君ってあまり服に頓着しないわね?」

「ん? ああ…そう言われてみればそうかもしれないな」

そう返事をする零君は改めて自分の服を見下ろす。

 

「俺はそういうのにはあんまり興味が沸かないからなぁ…」

「ダメよ、零君。もっと自分の姿に興味を持たないと」

そうね、いい機会だし…

「決めたわ、次は零君の服を見に行きましょう」

そう言うと私は馴染みの服屋へと、零君の手を引いて歩き出した。

 

 

 

「はぁ…」

服屋に程近いベンチ。

璃緒が花を摘みに行き、手持ち無沙汰になった俺は小さく溜め息を吐いた。

 

疲れた。

フィッティングルームに押し込まれ、ああでもない、こうでもないと言いながらようやく決まったのはつい数十分前のことだ。

その間俺はといえば、着せ替え人形の如く璃緒の持ってくる服を着ては脱ぐを繰り返していた。

…少しは衣服にも気を遣おう。次もこれでは俺が精神的に保たない。

 

「でも、まあ…」

久しぶりにああやって璃緒に振り回されるのはとても楽しかった。

なんというか、空いていた穴がピッタリ埋まるというか…特に最近は璃緒と時間を作って出掛けることができない日が続いていた。

埋め合わせ、というわけではないが、今日くらいは璃緒と楽しく過ごしたいな。

「お待たせ、零君」

「いや…璃緒さん、そろそろ何処かお昼に入ろうか」

「そうね、少し早いけれど混む前には入りたいし…いいわ、それじゃあ行きましょうか」

そう言い、璃緒の手をとり歩き出そうとすると目の前に大柄な男が立ち塞がった。

何処ぞのオラオラ系主人公にでも憧れたのか、休日にも学ランを着ている男はいかにも無骨そうな顔をしており、いい印象は持てない。

 

「…なんですか?」

「お前ら、カップルか?」

「そうですが」

そう璃緒が返すと男はニタリとした。

「そうか。なら、コイツと別れて俺に乗り換えてみないか? コイツよりも楽しい所に案内してやるぜ?」

「結構です。それに私、貴方のようなガサツで粗暴な人とお付き合いなんて死んでもごめんですわ」

そう璃緒が返すと男に青筋が立った。

 

「行きましょう、零君?」

「え? あ、ああ…」

「待て‼」

先程の男が再び俺達の前に立ち塞がる。

「…まだ何か? 私はしつこい男も嫌いです」

「デュエルだ」

「デュエル?」

「そうだ‼ 俺が勝ったら、お前は俺を辱めた罰としてこの場で土下座しろ‼」

「おい、アンターー」

「いいでしょう」

 

いい加減にしろ、と俺が不満を口にしようとするとそれに重なるようにして璃緒が口を開いた。

 

「…璃緒さん?」

「フフフ…あら、零君。何か?」

「いや…なんでもない」

そう言うと璃緒はDパッドを取り出した。

Dパッドを待機モードにすると、デッキをセットする。

…顔には笑みが張り付いているが、俺にはわかる。

今の璃緒は相当怒っている。

相手の男には悪いが、今の璃緒に勝てるとはーー

「…ん?」

今、男の瞳が一瞬紅く光ったような…?

 

「「デュエルディスク、セット‼ Dゲイザー、セット‼」」

 

ARビジョン リンク完了

 

「「デュエル‼」」

 

男 LP4000

璃緒 LP4000

 

「先攻は俺だ‼ドロー‼ クッハハハッ‼ いきなりラッキーカード引いたぜ。俺はワン・フォー・ワンを発動‼ 手札のADチェンジャーを墓地に送り、デッキからハウスダストンを守備表示で特殊召喚‼」

 

ハウスダストン

☆1 光属性 悪魔族

ATK 0

DFE 1000

フィールド上に表側表示で存在するこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時に発動できる

自分の手札・デッキから「ダストン」と名のついたモンスターを任意の数だけ選び、お互いのフィールド上に特殊召喚する

この時、お互いのフィールド上に特殊召喚する数は同じ数でなければならない

 

「1枚伏せてターンエンドだ‼」

 

男 LP4000

手札 3

モンスター 1

ハウスダストン 守備

魔法・罠 1

⁇?

 

「私のターン、ドロー‼」

ダストン…ダストン…ダメだ、わからない。

バニラにそんなモンスターがいたのは覚えているが…どういうモンスターだったっけか?

まあ、なんにしてもワン・フォー・ワンを用いてまで召喚したモンスター。

何かあるのは間違いないだろう。

 

「私は否定ペンギンを召喚‼」

璃緒のフィールドに×印の立て札を持ったペンギンが姿を現した。

片手は違う違うといった具合にパタパタと横に振っている。

 

「そのハウスダストンというモンスターが何かは知りませんが、守備表示では無意味‼ いきなさい、否定ペンギン‼」

璃緒の宣言と共に否定ペンギンが走るとハウスダストンに立て札を振り下ろした。

埃が舞い上がると、そのまま消え去さる。

「どうですか?」

「馬鹿が‼ お前は自分で自分の首を締めたんだ‼ 俺は破壊されたハウスダストンの効果発動‼ 手札、デッキから互いのフィールドにダストンと名のついたモンスターを特殊召喚する‼ 俺は自分のフィールドにハウスダストン、ホワイト・ダストン2体‼ お前のフィールドにレッド・ダストン、グリーン・ダストン、イエロー・ダストンの3体をそれぞれ特殊召喚‼」

 

ホワイト・ダストン

☆1 光属性 悪魔族

ATK 0

DFE 1000

ちっちゃな悪魔、ダストンズの白いヤツ

自身でも驚きの白さである事をホコリに思っているらしい

 

レッド・ダストン

☆1 炎属性 悪魔族

ATK 0

DFE 1000

このカードはリリースできず、融合・シンクロ・エクシーズ召喚の素材にもできない

フィールド上のこのカードが破壊された時、このカードのコントローラーは500ポイントのダメージを受ける「レッド・ダストン」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない

 

グリーン・ダストン

☆1 風属性 悪魔族

ATK 0

DFE 1000

このカードはリリースできず、融合・シンクロ・エクシーズ召喚の素材にもできない

フィールド上のこのカードが破壊された時、このカードのコントローラーは自分フィールド上の魔法・罠カード1枚選択して持ち主の手札に戻す

「グリーン・ダストン」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない

 

イエロー・ダストン

☆1 地属性 悪魔族

ATK 0

DFE 1000

このカードはリリースできず、融合・シンクロ・エクシーズ召喚の素材にもできない

フィールド上のこのカードが破壊された時、このカードのコントローラーは自分の墓地のモンスター1体を選択してデッキに戻す

「イエロー・ダストン」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない

 

男と璃緒のフィールドにそれぞれ、白・赤・緑・黄のモンスターが現れる。

段々思い出してきた。ということは奴のデッキタイプは…

「私のフィールドにもモンスターを…?」

「ソイツらは戦闘破壊以外ではフィールドから離れることのできないモンスター。精々足掻いてくれよ?」

そう言うと男はニタニタと笑みを浮かべた。

 

「くっ…1枚伏せてターンエンド‼」

 

璃緒 LP4000

手札 4

モンスター 4

否定ペンギン 攻撃

レッド・ダストン 攻撃

イエロー・ダストン 攻撃

グリーン・ダストン 攻撃

魔法・罠 1

⁇?

 

「俺のターン、ドロー‼ クククッ、あのカードを手に入れた俺に負けはねぇ‼ 勝つのはこの俺だ‼」

手に入れたカード…?

「俺はキングゴブリンを召喚‼」

 

キングゴブリン

☆1 闇属性 悪魔族

ATK 0

DFE 0

自分フィールド上にこのカード以外の悪魔族モンスターが存在する場合、このカードを攻撃する事はできない

このカードの攻撃力・守備力は、フィールド上のこのカード以外の

悪魔族モンスターの数×1000ポイントになる

 

男のフィールドに王冠をかぶった緑色の小柄なゴブリンが現れた。

豪奢な椅子に座るそのミスマッチさにシュールさを感じる。

「キングゴブリンはフィールド上のこのカード以外のフィールドのモンスター1体につき、攻守が1000ポイントアップする‼ フィールドの悪魔族は6体‼ よって攻守は6000ポイントアップだ‼」

 

キングゴブリン

0→6000

0→6000

 

力を受けたキングゴブリンの姿が小柄なものから精悍な身体つきに変化していく。

「攻撃力6000…‼」

「いくぜ、キングゴブリンでレッド・ダストンに攻撃だ‼」

「リバースカードオープン‼ ガード・ブロック‼ ダメージを0にし、1枚ドローする‼」

「チッ…だが、レッド・ダストンの効果により、お前に500ポイントのダメージを与える‼」

 

璃緒 LP4000→3500

 

なんとか最小限のダメージで済んだか…

「安心するにはまだ早ぇ‼ バリアンの力を手に入れた俺にひれ伏せ‼」

「何…っ⁉」

バリアンだと…⁉

見間違いではなく、男の瞳が先程と同じように紅く光ると額にバリアンの紋章が現れた。

ということは、コイツバリアンに…‼

「俺は3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来い、No.56 ゴールドラット‼」

 

No.56 ゴールドラット

★1 光属性 獣族

ATK 500

DFE 600

レベル1モンスター×3

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる

自分のデッキからカードを1枚ドローし、その後手札を1枚デッキに戻す

 

フィールドに全身がくすんだ金色のブロックに包まれた機械の印象を感じさせるネズミが現れる。

後頭部には自身の数字である56が描かれており、男動揺に紅く光る瞳に身震いをしてしまう。

「ナンバーズ…‼」

 

まさか、まだナンバーズのカードがあっただなんて思いもしなかった。

しかし、だとするならバリアンの力というのはおかしくはないか…?

「ゴールドラットの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、デッキから1枚ドロー‼ その後、手札を1枚デッキに戻す‼」

 

男はドローするも、RUMを発動する素振りは見せない。

カオスナンバーズになる…というわけでも無いようだ。

「1枚伏せてターンエンドだ‼」

 

男 LP4000

手札 3

モンスター 2

No.56 ゴールドラット 守備

キングゴブリン 攻撃

魔法・罠 2

⁇?×2

 

ナンバーズにダストンとキングゴブリンのコンボ…璃緒さんに突破する術はあるのか…?




いかがでしたでしょうか?

もうネタ産廃ナンバーズとは言わせない!
ドローソース『は』美味しいですしね。

それでは。

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