ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
vsハートランド 導入回です。

遅くなって申し訳ないm(_ _)m
今しばらく…具体的には早くても来週の水曜までは色々と立て込んでいますので、間隔が開くことになると思われます。

それでは、どうぞ。


閑話3 vsバリアンの刺客
第114話


翌日。

俺とシャークは検査を終え、退院となった璃緒を迎えに来ていた。

 

「どうだった?」

廊下にいた俺の前に診察室から何処となく気怠げなシャークと少し不機嫌そうな璃緒が現れる。

「どうかしたのか?」

「『私は後何回君達に会うのかしらね?』ですって」

「ったく…」

「ああ…」

そういえば、シャークも璃緒も入院していることって多かったっけ。

 

「その顔は何かしら、零君?」

膨れっ面の璃緒が眉を寄せて俺に問いかけてくる。

璃緒のそんな表情すらも可愛い、なんて思うのは…惚れた俺だけかな。

 

「いや、璃緒さんに初めて会ったのも病院だったなって思ったんだ」

「ああ…そういや、俺に着いて来たんだったな。あの時は、たしかカードショップから出てきたお前に会ったんだっけか」

「ああ」

その後、着いて行った病院で璃緒に会った、となるわけだ。

 

思えば、あの頃の俺はまだまだ世界に対して現実味をあまり持っていなかったな。

遊馬達に出会い、生まれて初めてのソリッドヴィジョンでのデュエルに興奮し、闇のゲームにビビり、璃緒と出会い、ベクターとのデュエルに負け、璃緒や遊星に助けてもらい…いつの間にか、世界の命運を懸ける戦い、なんてテレビの向こうにしかなかったものに参加するなんて遠いところまで来た。

 

…以前の生活が恋しくないわけじゃない。

もう以前の俺は思い出せないが、両親や妹、仲の良かった友人…いろんな物を置いてきた。

でも、それらを捨ててでも、俺にはやらないといけない、守りたい人ができた。

なら、頑張らなくちゃな。

「さて、それじゃあ退院も無事にできたわけだし。何処か行きましょう?」

「…悪いが俺は先に帰る」

璃緒の言葉を聞くや否やシャークがそう言い放った。

「シャーク?」

「真月、お前が付き合ってやれ」

そう言うと璃緒の荷物を片手にシャークは手をヒラヒラとさせ、歩き去った。

 

シャークの奴…

「…逃げたな」

俺は小さく呟く。

璃緒の買い物はその日1日は潰れることを覚悟しなければならない程に長い。

なにせ、買い物中に見たい物ができたらそちらへと向かってしまうのだ。

璃緒と共にいることは苦痛というわけではないが…しかし、辛くないかと言われれば辛い。

「それじゃあ零君、行きましょう?」

俺の気持ちとは裏腹に璃緒は笑顔で俺に手を差し出した。

 

「ああ、行こう」

そう言うと俺は応えるように、璃緒の手を握った。

惚れた弱みという奴だ。

何処にでも付き合おうじゃないか。

 

 

「………」

ハートランドシティ中枢部に存在する多くのビル群。

その1つの屋上にMr.ハートランドが1人、陣取り足下で往来している人間を見下ろしている。

 

 

 

「ベクター様、これは?」

時間は巻き戻り、ドン・サウザンドの居城。

ハートランドの目の前には赤く点滅する巨大な塊があった。

そこから生えたようなカプセルの中にはオレンジ色に輝く液体が満たされており、その中で光るカードのようなものが漂っている。

 

「クククッ…それはなァ、俺が作った偽りのナンバーズだ」

「偽りのナンバーズ…?」

「そうだ。コイツを人間界にバラまく。そして、バリアン世界の力を人間世界で最大限に発揮させることで、2つの世界を融合させる‼」

「おお…‼ この偽ナンバーズにそのようなブラボーな効果があろうとは‼」

「貴様はそのナンバーズをバラまきに行き、奴らのナンバーズをブン捕ってこい」

「お任せを‼ 必ずやナンバーズを」

そう言い、ベクターに背を向けたハートランドを見ると何かを察知したベクターは片手を紅く光らせ、拳を作った。

途端にハートランドが苦悶の表情を浮かべ、手に持っていたステッキを床に落とす。

 

「調子のいいことを…わかってンのか? 俺は気が長い方じゃない。これが最後だ」

「わかっております…‼ 次こそは必ず…‼」

「チッ…」

ベクターが舌打ちと共に投げ捨てるように動かすとハートランドは床に転がる。

 

「しょうがねェ、ラストチャンスを恵んでやる。そうだなァ…成功したらお前を七皇の1人に加えてやるよ」

「わ、私めを七皇に⁉」

「ああ」

「あ、ありがたき幸せ‼」

 

 

 

「…ふむ、九十九遊馬の姿はないか」

 

ハートランドが使役する小蝿が伝える情報に目をやりながら呟く。

九十九遊馬がいない。

それはつまり、奴らは戦力的にダウンしている。

失敗は許されない現状、それは絶好の機会といえるだろう。

手には件のナンバーズがある。

いかに優れた決闘者がいるとはいえ、対するは100万枚のナンバーズ。

先に潰れるのは間違いなく奴ら。

 

「さあ、行きなさい‼ 偽りのナンバーズ達よ‼」

そう叫ぶとハートランドはカードをバラまいた。

ナンバーズ達は紅い光となり、ビルを中心にハートランドシティへと広がっていく。

 

「私の立身出世のため、ナンバーズを狩りつくすのです‼ ハーッハッハッハッ‼」




いかがでしたでしょうか?

さらっと沢渡さんがLDSの一員として大会参加していて草。
来週はネオ沢渡さんの勇姿が見れそうですね。
ダーツ、メビウスときて次は何を使うのやら。

それでは。

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