ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
Ⅳ・真月・シャークvsクラゲ先輩 3となっております。

城之内君と何処かの喫茶店でダラダラ喋る夢を見ました。
「なあ野球男」
「はい、城之内さん」
「なにか神を倒せるカードはあるか?」
「…眠れる巨人ズシンとか?」
「そうか。じゃあ、使ってみるぜ‼」
マリク相手にレベル1バニラを20ターンかぁ…がんばれ、城之内君。

それでは、どうぞ。


第110話

「………」

 

奴のデッキは一体、どういうデッキなのだろう。

今の所、ノーマルモンスターが3種類の計5体。そしてトリシューラの影霊衣にスノーダスト・ジャイアント。

【バニラ儀式】と言われれば納得出来るが…

「…お前、どういうことだ」

男が唐突に言葉を発する。

その言葉には信じられないものを見たような声色が混ざっているのが見て取れる。

 

「お前のあのドラゴン、アレは…‼」

男がそこまで言ったところでエネアードに残るユニットとなっているスターダストのことについてだと気付いた。

…ああ、そうか。目の前の男は明らかに遊星よりも年上のようだった。

ということは、知っているのだろう。18年前にネオドミノシティーー当時、童実野町沖合で起こった大災害。

通称「ゼロ・リバース」

その時の事について。

 

「何の話だ、真月?」

シャークが俺に質問をぶつけてくる。Ⅳもこちらを見ており、はぐらかすことはできそうにない。

「…俺も聞いただけなんだ。白いカードフレームのカードが昔あったらしい」

「白いカードフレーム?」

「ああ。色々あってそのカード群は存在ごと消滅することになったんだが…それを逃れたカードも何枚かあった。俺が今持っているのもその1枚」

まあ、俺の場合は入手の方法が特殊だったんだけどな。

 

「じゃあ、奴の言っているのは」

「多分、その事なんだろう。不思議なこともあるもんだ」

何処にでもいる平凡な一般人が起きたら『真月零』になっていたとかな。

 

「…俺のターン、ドロー‼」

男は俺に俺がそれ以上何かを言うつもりはないと感じたのか小さく舌打ちすると、ドローする。

…3人がかりとはいえ、ここまでボコボコにすると後味が悪い。

いや、まあ奴が自分から臨んだことなんだが。

「俺は貪欲な壺を発動‼ 墓地のカード5枚を選択し、デッキに戻し2枚ドローする‼」

 

デッキに戻すカード

レインボー・フィッシュ×2

恍惚の人魚×2

スノーダスト・ジャイアント

 

4枚のカードをデッキトップに乗せるとデッキのオートシャッフル機能により、高速シャッフルが行われる。

「いくぞ、ドロー‼」

 

男が思いきりドローする。

すると、口元がニヤリと歪ませた。

「忘却の都レミューリアを発動‼ フィールド魔法の張替えにより、混沌空間は破壊される‼ ウォーターハザードの効果により、ヒゲアンコウを特殊召喚‼」

 

ヒゲアンコウ

☆4 水属性 魚族

ATK 1500

DFE 1600

水属性モンスターを生け贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる

 

フィールドに小さなアンコウを引き連れ、巨大な口を大きく開いたアンコウが現れる。

深海魚らしいグロテスクな姿に眉をしかめる。

「ヒゲアンコウ…」

ダブルコストモンスター…儀式じゃない?

 

レベル4 水族のジェリーフィッシュ…同じくレベル4 魚族のレインボーフィッシュにレベル3 恍惚の人魚…

 

そうやって考えを巡らせていると俺の脳裏にふと一匹の魚の影がよぎった。

「まさか…‼」

 

ある。

この圧倒的不利な状況を打開できるモンスターが1体いる‼

「俺はヒゲアンコウをリリース‼ 現れろ、水属性最強の偉大なる先輩‼ 超古深海王シーラカンス‼」

 

超古深海王シーラカンス

☆7 水属性 魚族

ATK 2800

DFE 2200

手札を1枚捨てる

1ターンに1度だけ、デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する事ができる

このカードの効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃宣言をする事ができず、効果は無効化される

フィールド上に表側表示で存在するこのカードが魔法・罠・効果モンスターの効果の対象になった場合、自分フィールド上の魚族モンスター1体を生け贄に捧げる事でその効果を無効にし破壊する

 

ヒゲアンコウが消え去ると地鳴りが起こる。

すると、地面から巨大な魚が大きく跳ねて現れた。

巨大な体躯に見合った口からは牙を覗かせ、限界まで見開かれているであろう瞳は何処を見ているのかわからない。

「超古深海王シーラカンス…‼」

ようやくわかった。

奴のデッキは奴自身がシンクロを使っていた時のデッキだったわけか…‼

 

「超古深海王シーラカンスの効果発動‼ 手札のカードを1枚墓地に送り、デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り特殊召喚する‼」

「なんだと⁉」

「先輩の下に集え‼ 2体のレインボー・フィッシュ‼ 2体の恍惚の人魚‼」

シーラカンスが大きく吼えると魚影により、俺達の間に壁が作られる。

魚達のいなくなったそこには、4匹の魚族が残されていた。

 

「効果で特殊召喚された魚共は攻撃できず、効果も使えねぇ。だが、そんなもん関係ねぇ‼ 俺はレミューリアの効果発動‼ 俺のフィールドの水属性モンスターの数だけ水属性モンスターのレベルをあげる‼」

 

超古深海王シーラカンス ☆7→12

レインボー・フィッシュ×2 ☆4→9

恍惚の人魚×2 ☆3→8

 

「俺はレインボー・フィッシュ2体でオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ こい、幻子力空母エンタープラズニル‼」

 

幻子力空母エンタープラズニル

★9 風属性 機械族

ATK 2900

DFE 2500

レベル9モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる

・相手フィールド上のカード1枚を選んでゲームから除外する

・相手の手札をランダムに1枚選んでゲームから除外する

・相手の墓地のカード1枚を選んでゲームから除外する

・相手のデッキの1番上のカードをゲームから除外する

 

2体のレインボーフィッシュが球体となり、爆発と共に姿を消すと空が突然暗くなる。

「なんだ…⁉」

思わずそう呟き、空を見上げるとそこには雲を突き破り巨大な空母が浮かんでいた。

 

「エンタープラズニルの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、お前達のフィールドのカードを1枚取り除く‼ 俺が選ぶのは当然、聖刻神竜−エネアード‼」

そう宣言すると、空母から戦闘機が発進し、航空爆撃によりエネアードが悲鳴をあげるも焼かれた。

 

「エネアード…‼」

「まだ俺にはモンスターが残っている‼ レベル8のモンスター2体でオーバーレイネットワークを構築‼ エクシーズ召喚‼ 現れろ、ナンバーズ‼ No.23 冥界の霊騎士ランスロット‼」

 

No.23 冥界の霊騎士ランスロット

★8 闇属性 アンデット族

ATK 2000

DFE 1500

レベル8モンスター×2

エクシーズ素材を持っているこのカードは直接攻撃できる

このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる

そのモンスターを破壊する

1ターンに1度、このカード以外のモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動する

その発動を無効にする

 

2体の人魚が球体となり、爆発するとあがる爆煙が白から薄っすらと紫が交じる。

唐突に爆煙から細い剣先が現れると真っ二つに引き裂き、紫のマフラーを振り乱し、白い騎士が現れた。

腹部には自身の数字である23と描かれている。

「ナンバーズ…」

ランクの割に攻撃力が2000しかないのが気がかりだが、それよりもこのタイミングでナンバーズ…‼

あちらの攻撃力は3000のシーラカンス、2900のエンタープラズニル、2000のランスロット。

対してこちらの攻撃力は2700のトークン1体のみ…‼

 

「いけ、ランスロット‼」

男がそう言うとランスロットは剣を構え勢いよく踏み込んだ。

攻撃力2000で攻撃力2700のトークンに攻撃…?

手札もなく、リバースもない。

「返り討ちにしろ、邪精トークン‼」

俺の言葉に反応した金のリンゴが転がるように跳ねると実の部分に現れた口を大きく開いた。

だが…

 

「何…⁉」

Ⅳの驚きの声が耳に聞こえる。

ランスロットを狙った邪精トークンの攻撃だったが、ランスロットはひらりと身をかわし、そのまま置き去りにして俺に向けて一直線に向かってきた。

「ランスロットはORUがある場合、ダイレクトアタックができる‼」

「なら、リバースカードオープン‼ 次元幽閉‼」

 

次元幽閉

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を選択して発動できる

選択した攻撃モンスターをゲームから除外する

 

「無駄だ無駄だ‼ ランスロットの効果発動‼ 1ターンに1度、ORUを1つ使い、このカード以外のカード効果を無効にする‼」

ランスロットが次元幽閉が開かれた瞬間、爆煙にそうしたようにカードを真っ二つに裂いた。

「かっ…⁉」

 

真月 LP5500→3500

 

ランスロットの剣が裂いた勢いそのままに大きく引き絞り、そのまま俺の胸を突き刺した。

引き抜かれるとまるで支えを失ったかのようにそのまま膝をつく。

「真月‼ …ぐっ⁉」

「凌牙⁉」

 

毒が身体を蝕み始めたのか、シャークが冷や汗を垂らしながら膝をつく。

「これで終わりじゃねぇ‼ ランスロットが相手にダメージを与えた時、相手フィールドの表側表示モンスターを1体破壊する‼ 選ぶのは当然、邪精トークン‼」

ランスロットが恐るべきスピードで転がっている金のリンゴに迫ると、そのままバラバラに切り裂いた。

これでフィールドのモンスターは0…‼

 

「続いてエンタープラズニルでダイレクトアタック‼ くらえ‼」

「ぐあああっ‼」

 

真月 LP3500→600

 

空母からの爆撃で俺達3人は吹き飛ばされ、地面に転がる。

「偉大なる先輩の前に沈め、後輩共‼ 超古深海王シーラカンスでダイレクトアタック‼」

シーラカンスの巨体が俺達に迫り来る。

万事休すか…‼

「まだだ‼ リバースカードオープン‼体力増強剤スーパーZ‼」

 

体力増強剤スーパーZ

通常罠

自分が2000以上の戦闘ダメージを受ける場合、そのダメージ計算時に発動できる

自分は4000回復する

 

「Ⅳ…‼」

Ⅳはそれを伏せていたのか‼

 

真月 LP600→4600→1600

 

「くっ…往生際の悪い…‼ 俺はこれでターンエンドだ‼」

 

クラゲ先輩 LP3700

手札 0

モンスター 3

No.23 霊騎士ランスロット 攻撃

幻子力空母エンタープラズニル 攻撃

超古深海王シーラカンス 攻撃

魔法・罠 1

ウォーターハザード

 

Ⅳの伏せていたリバースのおかげでなんとかライフが残った。

だが、グロッキーな状態のシャークで次のターン大丈夫なのか…?




いかがでしたでしょうか?

ランスロット超便利。
ORUがあればダイレクトアタックができるのでフィニッシャーになれて、オマケにモンスターを1体破壊。
邪魔するカードも1枚は確実に割れるという。
たった1つ。最大の問題があるとするならば【円卓】には入り込めないこと。
湖の騎士のいない円卓に未来はない…‼

それでは。

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