今回ついに真月君が…‼
それでは、どうぞ。
あれから気付いたら時間がすごく経っている、といったことも無く単に記憶違いだということにし片付けた俺は日常に戻った。
俺が出掛けていた日、遊馬がシャーク達と共にミザエルというバリアンに襲撃され、遊馬がコテンパンに打ちのめされたということを除けば俺の周りは平穏が続いている。
度重なる襲撃を退けていることでバリアン側も遊馬達を相手取って戦える程の手駒が減ってきているということなのかもしれない。
しかし…ミザエルが来たということはいよいよバリアンとの本格的な戦いがすぐそこまで迫りつつある、ということでもある。
俺はたしかに『真月零』なのだがこの身体はバリアンの1人である『ベクター』の仮初めの姿でもある。もう既に片足どころかどっぷり肩までつかっていて何を言っているんだと思わないでもないが、俺はできればそういったゴタゴタは避けたい。
俺はベクターとは違う。力が欲しいわけでもなけりゃ、誰かを貶めたりしたいわけでもない。
…でも、もしその時が来たら俺は一体どうしなければならないんだろうか…
「…い君…零君‼」
「うわっ⁉」
と耳元で璃緒の怒鳴り声が聞こえ意識を戻すと璃緒の不機嫌顔とシャークの呆れ顔が見えた。
「私の話聞いてたかしら?」
「ああいや、ごめん。聞いてなかった」
「もう‼」
「あはは…」
「ったく…」
…まあ今は後回しでもいいか。幸い結論を出すにはまだ時間がある。
今はそんなことよりも、臍を曲げてしまった璃緒の機嫌を直してもらう方が先だな。
「っと、あれは…おーい‼」
と俺が声をかけると前を歩く小鳥は気付いたのか振り向いた。
「おはよう」
「真月君。それに璃緒さんも。おはよう」
「おはようございます、璃緒さん。遊馬君今日からでしたよね?」
「はい。でも多分今頃『遅刻だー‼』って走ってるんじゃないかな?」
「たしかに」
と走る遊馬を想像し笑っていると璃緒が突然笑うのを止めた。
「…璃緒さん?」
「…幾つもの敵意が迫ってくる。遊馬が危ない…‼」
「なんだって…⁉」
「遊馬が…?」
遊馬に危機が…ひょっとして…‼
「Dゲイザーの探知で遊馬を探そう‼」
そう言うと俺達はDゲイザーを取り出し登録してある遊馬のDゲイザーを探知し始めた。
Dゲイザーは互いに登録しておけば登録したDゲイザーのある場所を探すことができたりもする。
正直なところ、ストーカー紛いのこの機能を活かす日が来るとは思ってもいなかったが…
「見付けた‼」
「いくぞ‼多分バリアンだ‼」
「ああ‼」
そう言うとシャークを先頭に俺達は遊馬のDゲイザーの反応のある場所に向けて走り出した。
間に合ってくれよ…‼
学校を飛び出した俺達は遊馬のDゲイザーの反応を追い、港まで辿り着いた。
「遊馬のDゲイザーの反応はこの辺りからだけど…」
「あっちの方が騒がしいな…」
「行ってみましょう」
そう言い騒がしい方向に向かうと遊馬が学生に囲まれていた。
「俺達と同じ学校の生徒か…?」
「いや、シャーク。あいつらの額に…」
そう指さした先には一様にバリアンのマークがありそれを見るとシャークはコンテナの上に飛び乗ると遊馬と学生の間に割って入った。
「シャーク‼」
「朝の運動には丁度良さそうだな」
「遊馬‼」
「真月‼」
「シャークだけにいい格好はさせないさ。それに、助けに来たのは俺達だけじゃないしな」
「遊馬‼アストラル‼」
「小鳥‼」
「容赦はしませんよ‼」
「これだけいれば充分だろ?」
「ありがてぇ‼よっしゃあ‼いくぜ‼」
「「「「デュエルディスク、セット‼Dゲイザー、セット‼」」」」
ARビジョン リンク完了
「「「「デュエル‼」」」」
「いけ‼セイクリッド・ソンブレス‼ダイレクトアタック‼」
「うわあああああ‼」
と対戦相手が吹き飛ぶと倒れこみ大きく息を吐いた。
1度の敗北も許されないとは中々キツイ。みんなと離れてしまったようだし…璃緒達は無事なのか?
などと考えているとデュエルディスクを構えていた学生達の額のバリアンのマークが怪しく光を放ち同時にカードを引いた。
「A・ボムを召喚‼」
A・ボム
☆2 闇属性 機械族
ATK 400
DFE 300
このカードが光属性モンスターとの戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、フィールド上のカード2枚を選択して破壊する
「A・ボム…⁉」
と見ているとあちこちでA・ボムが召喚され俺は思わず後ずさった。バリアンとのデュエルは基本的にダメージをそのまま決闘者が受けることになる。もしこのA・ボム達が一斉に爆発したら…‼
「死ね‼真月零‼」
「死ね‼」
「死ね‼」
「死ね‼」
「死ね‼」
「真月零死ね‼」
「いけ‼A・ボム‼」
「…ッ‼」
と俺が目を閉じ両腕で身を守った次の瞬間爆発が起こった。だが…
「…?」
あれ、爆発はしたのに俺にダメージがない…?
薄っすら目を開くとそこには金髪の男の後ろ姿があり周囲には倒れた学生達がいた。
あれだけいたA・ボムも全て消え去っている。
「…フン」
と倒したらしい男がこちらを振り向いた。一体誰が…?
「情けない。それでも貴様、バリアンの戦士か?」
「…ッ⁉」
そこには貴族のような何処か高貴さを漂わせる服装のオッドアイの青年ーーーミザエルがいた。
いかがでしたでしょうか?
ついにバリアンであることがバリアン側にバレてしまった真月君。
真月君はどうなってしまうのか⁉
舞台裏のアリトと遊馬はどうなってしまうのか⁉
お楽しみに。