ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
vs四悪人導入篇です。

フリーダムウォーズに疲れたので、PSP版TOEをかなり久しぶりにプレイ中。
ちなみに私の初テイルズだったりします。
最近のは最近ので面白いんですが、覚束ないながらも楽しんでプレイしていたEが1番好きです。
最近のテイルズはテントも無くなっちゃいましたしね。

それでは、どうぞ。


四悪人篇 vsクラゲ先輩
第105話


「申し訳ございません、ベクター様‼」

 

バリアン世界にあるとある居城。

そこには片膝をつき、許しを乞うMr.ハートランドの姿があった。

ハートランドの背後に浮かぶ鉱石にはハートランドの送り込んだ刺客と戦い、勝利する遊馬の姿がある。

「蝉丸めは今一歩まで追い詰めたのですが、九十九遊馬の前に勝利は叶わず」

 

そう言って顔を上げた先、長く続く階段の先には玉座に座り、ふんぞり返るベクターの姿があった。

その姿は以前までのそれとは違い、胸には赤い巨大な球体に黒いスジという、まるで瞳のようなものがあり、口には黒い酸素マスクのようなものが取り付けられている。

そのマスクから伸びる先を見る事は叶わず、まるで拘束されているかのような有様だ。

 

「おいハエ野郎。ベラベラと調子のいいことを…しくじりはもう許さねぇぞ」

そう言い、瞳が紅く光ると、ハートランドの背後で映像毎岩が消え去った。

 

「は、はい‼ しかし、もう大丈夫。次の決闘者は強さは折り紙付き。ですが上下関係に厳しく、特に後輩である私には」

「ナメてんのかテメェ」

ハートランドの芝居がかったような言い方にベクターが拳を握るとハートランドが苦悶の表情を浮かべ、宙へと浮かんだ。

 

「す、すみません。しかし、本当に強いのです。せ、先輩は水属性デッキ最強の使い手」

「水属性」

そう言ったところでベクターは拳を解く。

力が解けたハートランドが床に落ちるがそんな光景は視界にも入れず、思案を始める。

 

「たしか神代凌牙…奴も水属性デッキの使い手。なんだかよォ…奴のことを思い出すと胸くそ悪くなる。よし、ハートランド。その先輩に奴のナンバーズを奪いに行かせろ」

「御意」

 

 

 

「………」

「ドルべ。おい、ドルべ‼」

思考に耽っていた私の耳にミザエルの鋭い声が届く。

 

「…どうした。ミザエル」

「『どうした』ではない。頼みの綱であった遺跡のナンバーズは奴らに全て奪われ、我々は戦力的に不足している。決戦は近い。もはや手をこまねいている暇はないのだぞ」

 

たしかに、我々は遺跡のナンバーズを手に入れることはできなかった。

結果、奴らにより戦力を与えることになり、我々との戦力差はまた開いた。

何か手を講じなくてはならないだろう。

だが…

 

「…すまない、ミザエル。今は1人にしてくれないか」

そうやって突き放すように言うとミザエルは何か言おうとしたが結局何かを言うことはなく

 

「…わかった」

そう言うとミザエルは歩き去った。

その場に再び静寂が戻る。

 

「ナッシュ…」

あの遺跡で、私は神代凌牙と璃緒がナッシュとメラグである可能性。

そして、私が生前は人間であったことを知った。

それなりにショックではあったが、天馬の遺跡の一件、そしてミザエル達の話から薄々その可能性はあった。

 

まあ私のことはどうでもいい。ナッシュとメラグだ。

本当なら今すぐにでも飛び出し、2人を迎えに行きたい。

…だが、どうも引っかかる。

 

あの遺跡での戦いの記憶。

ナッシュは生前のベクターを相手に戦い、そしてメラグを失うことで2体の海の神を支配下に置いていた。

敗北寸前のベクターは切り札とも呼ぶべき神を失ったのだ。

あの場で絶命。運がよくても敗走だろう。

 

そして、あの天馬の遺跡へと繋がるのだが…あの伝承通りだとおかしい。

私の知るナッシュの通りなのだとしたら、王を裏切る騎士が現れるとは思えない。

 

メラグを失ったことで我を忘れた…

いや、あのナッシュがそれだけで信頼を失うような程に暴虐の道を進むとは思えない。

それこそ、私の知るナッシュとは縁遠い存在だ。

 

となれば、あの海底遺跡から天馬の遺跡までの間に何かが起こっているはずだ。

…私も、神代凌牙があの遺跡でそうしたように生前の私と向き合わなければならないということか。

 

「ならば私がまずすべきことは…」

天馬の遺跡の伝承を探ることから始めるとしよう。

決戦まで時間は無いが、全く無いわけではない。

それに、場合によってはベクターを問い詰める必要もある。

 

…そういえば、最近奴の姿をまた見かけなくなったが何処にいるのだろうか。




いかがでしたでしょうか?

川´_ゝ`)<クラゲ先輩がいない? なに、気にすることはない。

それでは。

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