真月vsシャーク 4となっております。
100話以上やっておいて今更ですが、本作の主人公こと真月君。
デュエルしては負けることが多々ありますが…どうなんでしょう?
やはり、主人公たるものどんなデュエルにも勝った方がいいんでしょうか?
それでは、どうぞ。
わからない…シャークは一体。
「立て、真月‼」
考え込む俺の耳に容赦の無いシャークの声が届く。
「お前が倒れたら、誰が璃緒を守るつもりだ‼」
…っ‼
「…ちょっと、考え事してただけだ」
『誰が璃緒を守る』か…シャーク、それはつまりーー
「俺のターン、ドロー‼ 俺はセイクリッド・グレディを召喚‼ さらに、グレディの効果でカウストを特殊召喚する‼」
グレディが杖を振るうと、俺の手札のセイクリッド達が光を放つ。
その光に応えるままに、俺がカウストを置くと光の中からカウストが飛び出した。
「カウストの効果により、グレディとカウスト自身のレベルを1つあげる‼」
セイクリッド・グレディ ☆4→5
セイクリッド・カウスト ☆4→5
「グレディにカウスト…真月、お前の必勝パターンだな。となれば」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 現れろ、セイクリッド・プレアデス‼」
フィールドの2体のモンスターが球体へと形を変え、爆発を起こす。
発生した爆煙が晴れるとそこには宇宙のような裏地のマントを翻し、黄色と白の甲冑を着た戦士が立っていた。
「セイクリッド・プレアデスの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、カードを1枚手札に戻す‼ 俺が選ぶのはシャーク・ドレイク‼」
そう宣言すると、プレアデスは手に持つ自分の武器を振り回し、シャーク・ドレイクに突き付けた。
すると、シャーク・ドレイクは光となりフィールドから消え去ってしまう。
「シャーク・ドレイクはエクシーズ。よって、戻るのはエクストラだ‼」
「…相変わらず強力なモンスターだ」
シャークがそう言いながらもシャーク・ドレイクをエクストラへと片付ける。
さて、どうする。
これでシャークのフィールドには攻撃力2600のバハムート・シャークと攻撃力2100のFA−ブラック・レイ・ランサーの2体。
プレアデスの攻撃力は2500。FA−ブラック・レイ・ランサーには勝てる。
だが次のターン、最低でもバハムート・シャークはかわさなくてはならない。
もし、攻撃力2600以上のモンスターが並べば俺のライフは尽きる。
ならトレミスか…?
幸い、攻撃力の高いシャーク・ドレイクはエクストラに戻っているし、攻撃力アップの効果をもったアビス・スプラッシュは墓地にいる。
だが、トレミスの効果は相手ターンで発動はできない。
攻撃力2700は魅力的だが、シャークのドロー次第では越えてくる可能性は高い。
…俺は…
「俺はプレアデスでオーバーレイネットワークを構築‼ランクアップ・エクシーズ・チェンジ‼ 現れろ、セイクリッド・トレミスM7‼」
プレアデスが大きく跳躍すると、開かれた穴の中へと飛び込んでいく。
プレアデスの姿が見えなくなると爆発が起こり、湧き上がる爆煙からプレアデスのマントと同じ、宇宙色の翼が現れた。
続けて大きく咆哮を上げると、黄色と白の機械の巨竜が姿を現した。
「いけ、トレミス‼ FA−ブラック・レイ・ランサーに攻撃‼」
「くっ…‼」
シャーク LP900→300
「ターンエンド‼」
真月 LP100
手札 1
モンスター 1
セイクリッド・トレミスM7 攻撃
魔法・罠 0
「俺のターン、ドロー‼ 俺は貪欲な壺を発動‼ 墓地のカードを5枚選択し、デッキに戻す‼」
デッキに戻すカード
潜行母艦エアロ・シャーク×2
FA−ブラック・レイ・ランサー
シャーク・サッカー
ダブルフィン・シャーク
「ドロー‼ …真月、答えは見えたか?」
「…いや。アビス・スプラッシュが出て、シャーク・ドレイクが出て…シャークの意図がわからなくなった」
そうやって言うとシャークは溜め息を吐いた。
「真月、お前にとって答えは2つしかないのか?」
2つしかない…?
「別に『過去』か『今』必ずどちらかを選ばなきゃならねぇってわけじゃねぇ。俺は死者蘇生を発動‼ 蘇れ、アビス・スプラッシュ‼」
シャークのフィールドに水飛沫と共にアビス・スプラッシュが再び現れる。
「そしてーーこれが、俺の答えだ。受け継がれる力を発動‼」
受け継がれる力
通常魔法
自分フィールド上のモンスター1体を墓地に送る
自分フィールド上のモンスター1体を選択する
選択したモンスター1体の攻撃力は、発動ターンのエンドフェイズまで墓地に送ったモンスターカードの攻撃力分アップする
「俺はアビス・スプラッシュをリリースし、バハムート・シャークに攻撃力を加える‼」
バハムート・シャーク2600→5000
「受け継がれる力…‼」
アビス・スプラッシュの力を受けたバハムート・シャークの姿がより強く、より大きく変化していく。
その姿はーー
「シャーク・ドレイク…?」
色など細かいところを除けば、限りなくシャーク・ドレイクに近い姿をしていた。
「そうか、シャークは過去や今を捨てたわけじゃなく」
過去を受け入れたのかーー‼
「いけ、バハムート・シャーク‼ セイクリッド・トレミスM7に攻撃‼」
「…っ‼ 迎え撃て、トレミス‼」
バハムート・シャークが口から吐いた水圧はトレミスの吐く光線と激突すると、拮抗する。
だが、バハムート・シャークの背後にうっすらと現れたアビス・スプラッシュが槍を振るうと、水圧の勢いが増し、トレミスを呑み込んだ。
真月 LP100→0
再び吹き飛ばされ、芝生に寝転ぶ俺の耳にシャークの勝利を告げるブザーが聞こえ、0と1の数字が現れ、ARビジョンが解けていく。
「ああ…また負けた」
これで、俺の対シャーク戦の連敗記録が更新された。
あの時、プレアデスにしておけば負けなかったのだろう。
臆した俺のミスだ。
でも…今は別にどうでもいい。
決闘者としてはダメなのだろう。だが、今の俺は不思議と勝ち負けなど些細な事のように感じている。
シャークの気持ちを知ることができた。
そして、それはきっと俺が心の何処かで臨んでいた答えだったのだろう。
そんな気がする。
「よう」
倒れた俺の視界にシャークの顔が入り込んでくる。
「答えは見付かったか?」
「…ああ」
そう言うと差し出された手を掴み身体を起こす。
「シャークはシャークだった」
遠い昔ーーかつての自分を知っても、シャークの芯はブレてはいなかった。
俺の目の前にいるのは王様ではなく、他の誰でもない。
孤独を気取り、でも世話焼きな俺や遊馬のよく知る神代凌牙だ。
「それはそれとして…璃緒を任せるのはまだまだ先だな」
「え? いや、シャーク。さっき俺が倒れた時『お前が倒れたら誰が璃緒を守るんだ』って」
「璃緒を任せられるのは、俺に勝てた奴だけだ」
そう言うとシャークは俺を追いて先に歩き出した。
「ちょ、待てよ。シャーク‼」
シャークを追って俺も走り出す。
シャークに認められたらって…俺はいつになったら
いかがでしたでしょうか?
シャークの決意の程が伝わればいいなぁと思ったり。
例によって今回の裏話を活動報告に載せましたので、よろしければそちらもどうぞ。
それでは。