ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。

祝!100話!
まさかこんなに書くとは…思いもよりませんでした。
本作はもうしばらく続きますので、お付き合いのほどよろしくお願いします。

それでは、どうぞ。


閑話2 vsシャーク
第100話


「忘却の決闘者?」

 

放課後。

ナンバーズクラブの面々に交じって喋っていた俺に鉄男が話を振ってきた。

「真月は知らないウラ?」

「ああ。どんな話なんだ?」

 

「ここ最近、誰かとデュエルをした決闘者が記憶を無くした状態で発見されているんです」

「今のところ、被害に遭ってるのはガラの悪い奴らだって話なんだけどな。でも、目が覚めたそいつらの記憶から、何もかも消えちまってるんだそうだ」

 

「で、ついたあだ名が忘却の決闘者、と」

俺がそう締めくくると全員が頷いて返した。

忘却の決闘者…ね。

どちらかといえば、『消える』というよりは『奪い取る』という印象だ。

なんにしても、マトモな奴ではないだろう。

 

「俺達で見付けて捕まえようぜ」

「トドのつまり、ナンバーズクラブ出動ですね‼」

「オーッ‼」

俺が思案に耽っている間にいつの間にか話はドンドン進んでいたようで、気付けばそんなことを言い出していた。

 

「あ、ちょっと」

「真月、行くぜ‼」

そう言うと俺が喋る前に鉄男達は飛び出して行き、その場には俺だけが残された。

 

「…やれやれ」

まあ、いいか。

バリアンにしろそうでないにしろ、学生がちょっと探した程度ではそう簡単に見付かるとも思えない。

飽きたら違うことをやり始めるだろう。

それに…馬鹿騒ぎでもしてなけりゃ、やっていられない。

 

「…遊馬」

 

俺の視界に遊馬の机が写る。

アストラルが消えたあの日から、もう5日は経った。

あの日以降、俺は遊馬と顔を合わせてはいない。

遊馬は部屋に引きこもっているらしい、ということを訪ねた際遊馬の姉から聞いた。

常に行動を共にしていた存在が消えてしまったのだ。当然だと言える。

 

「はぁ…」

俺の口から思わず溜め息が零れてしまう。

だが、こうしてばかりもいられない。

アストラルがおらず、ナンバーズが無防備というバリアンにしてみれば千載一遇の機会を何もして来ないとは思えない。

 

遊馬には早く元気を取り戻してもらう必要がある。

だが、俺自身も小鳥達と共に遊馬の下へ訪ねてはなんとか元気付けようと努力はしているが、上手くいってはいない。

当たり前だが、元気を出せといって出すことができるわけではない。

かといって、さっさと割り切れと言えるはずもない。

 

「…帰るか」

誰もいない教室で1人、そう呟くと俺は鞄を持ち、教室を出た。

そのまま階段を降りようとしたところで

 

「真月」

「‼ シャーク」

同じく鞄を持ったシャークに出会った。

 

「まだいたんだな」

「ああ」

そうシャークが返事したところで沈黙が生まれてしまう。

 

「シャーク」

「なんだ?」

「その…遺跡でのことなんだが」

そう切り出すと、シャークの顔色が少し変わった。

 

「真月、少し付き合え」

「…わかった」

 

 

 

真月を連れて、俺は学校を離れ近くの公園までやって来た。

真月はあの遺跡の記憶を見たんだろう。

それは別にいい。

たしかに悩んではいたが、もう結論は出た。

あれは前世であり、今の俺ではない。

あの時、アビスにも言ったが俺は俺。神代凌牙だ。

 

でも、どう伝えるか…

真月に『俺はもう大丈夫だ』と言ったところで、素直に応じるとは思えない。

コイツはコイツで、意外と頑固なところがある。

 

真月の憂いを払う方法か…『アレ』しかねぇか。

ったく、俺も遊馬を馬鹿にはできねぇな。

 

「ここらでいいか…真月。デュエルだ」

「デュエル?」

俺の突然の言葉に真月は訝しみながら聞き返してくる。

 

「ああ。真月、お前俺があの記憶で悩んでいると思ってるんだろ」

「違うのか?」

「違う。俺はもう答えを見付けた」

 

そう言うと意外そうな顔をした。

…俺はそんなにウダウダ悩む奴に見えるのか?

「真月、お前に俺がここで答えを言ったところで納得するとは思ってねぇ」

「だからデュエル…?」

「そうだ。デュエルの先に答えはある」

 

「…わかった」

そう言うと真月は鞄を降ろした。

 

「行くぞ、真月‼」

「来い、シャーク‼」

 

「「デュエルディスク、セット‼ Dゲイザー、セット‼」」

 

ARビジョン リンク完了

 

「「デュエル‼」」




いかがでしたでしょうか?

超☆難☆産
シャークさんとのデュエルになんとかこぎ着けたという感じです。

それでは。

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