投稿処女作なんで改行とか地の文とかはよくわかりませんが、楽しんでいただけたら幸いです
それではどうぞ
第1話
やあ、はじめまして。
いきなりだが「憑依」という言葉を知っているだろうか?
いわゆる霊が乗り移ったり憑いたりするアレのことだ。
「わかんねー」って奴はとある海賊のオッサンが目印の週刊雑誌に連載されてた主人公なんかをイメージするとわかりやすいかもな。
で、だ。なんで今俺が急にそんなことを言い出したかと言うとだな…
「…は?」
そう、俺はどうやら憑依してしまったらしい…死んだわけじゃないと思う。けど、そうとしか考えられない。
オレンジ色の特徴的な髪型の少年ーーー真月零に。
「(待て待て、まあ落ち着け。まずは昨日のことを思い出せ。昨日はバイト終わって帰ってきてーーー)」
「おかえり、兄ちゃん」
「おう、ただいま妹」
「見た?」
「何が」
「新しい制限改定。異次元の帰還禁止とか」
「【征竜】大暴れだしなぁ…まだしばらく環境荒れるんじゃね」
「ファンデッカーに優しい環境は来ないかねぇ」
「悔しいでしょうねぇ」
「てめぇ!」
「で?」
「デュエルしよ」
「はいはい、今日は何?」
「【シャーク】」
「またドレイク?」
「いいじゃん、好きだし。兄ちゃんは?」
「【地縛神】」
「兄ちゃん好きだね」
「アドバンス召喚は寝てるだけだから」
「(ーーーって感じで妹とデュエルして飯食べて寝た…はず)」
そう、俺のいた日常に遊戯王はあった。アニメも…まあネタがわかる程度に見てはいたし二次創作もそれなりに読んで憧れたりもした。けど…
「(真月って…)」
真月零…もとい、ベクター
彼は主人公九十九遊馬の前に転入生として現れ、「良かれと思って」裏目裏目に出る行動をとるもいい仲間として過ごしていた。
しかし実態はバリアン七皇の1人にして黒幕の1人、ベクター。
遊馬達をハメ、仲間を裏切り、最期は吸い込まれて消えた。
「(ベクターに憑依した理由はわからないけど…ベクターはマズイ。何がマズイって最終的に俺が吸い込まれる未来しかない)」
そう、俺ことベクターは最後はドン・サウザンド(という名のダイソン)に吸い込まれる‼
「(ならいっそこの状態を他の七皇に言ってみるか?)」
ナッシュ→まだシャーク
メラグ→まだ妹
ギラグ→何処にいるかわからん
アリト→同じく
ミザエル→(無言の手刀)
ドルべ→やめろミザエル
「(ダメだ、詰んでる。というかまずバリアン世界への行き方もわからないし)」
どうすりゃいい。ベクターとして生きるとか難易度が高過ぎる
「(ん…?いや、ちょっと待て)」
とそこで俺は鏡を見て思い出した。
そうだ、俺は『ベクター』じゃない。ギラグやアリトすら欺いた『真月零』だ。
「(ならまだ可能性はある。バリアンの使命も何もかも放り出して生きていける。バリアン世界と俺は関係ないわけだし)」
そうと決まれば俺の心は軽くなった。
そう、こんなに心が軽くなったのは初めて。世界が俺を優しく包み込んでくれるかのようだ
もう何も怖くない。
「さて、そうと決まれば…まずは真月君のデッキでも見てみようか」
結論から言うと真月零のデッキは【セイクリッド】と呼ばれる光属性戦士族デッキだ
DCで何度か回した経験はあるから全く使えないということもないと思う。プレアデス召喚しときゃええねん!
「ん?なんだこの紙。転入…?」
どうやら真月君の転入届けらしい。真月君は転入生という肩書きで遊馬と仲良くなっていくのがアニメの本筋だったしそういうことなんだろう。
「転入日は…へぇ、今日か」
さて、どうしようか。
まあ興味が興味がないわけでもないし…
「(この世界をアニメでしか知らない俺が生きるのは限りなく危うい。まあ興味もある。し…)ところで今何時だ?」
と時計を見ると8時20分。
学校の位置を調べるとちょっと離れているらしい。
「…遅刻‼」
と俺は慌てて立ち上がると着替え教材を適当に突っ込むとデッキを片手に家を飛び出した。
…今思い出せばこの時はまだスタート地点にすら立ってなかったんだと思う。
この時の俺にはそもそも『転入しない』という考えがなく…それどころか真月零になったという実感もなく、物語に関わらないなんて心底思っていた。
「(こっちだ‼)」
けど、『真月零』である俺がそんな甘っちょろいことを考えて生きていられるような世界なんかじゃなく。
「(ひ、人⁉)ど、退いて退いて‼」
「え?う、うわっ⁉」
強くなければ自分の意思は通せないーーー自分がオモチャだと思っていたカードに『全て』を懸けなければ生き残れない世界だった。
いかがでしたでしょうか?
一応大体の流れは考えてありますが具体的なものは一切ありません
まあ書いてみてもいいかな?くらいに思っています
それでは