ヴァルハラの乙女   作:第三帝国

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史実を調べてみると割とバルクホルンは怪我しているし、
撃墜王としては遅咲きの方だそうです、意外なことに。

あと、ハルトマンはロシア語、
フランス語が会話可能なのは史実です、リアルチートやろ・・・。


第38話「魔女たちの覗き見」

「・・・髪を下ろしているバルクホルンさんって、新鮮ですよね」

「・・・言われてみればそうダナ」

「・・・私、バルクホルン大尉が寝ているのを初めて見ました」

 

バルクホルンが全世界で魔法少女デビューを果たしている最中。

宮藤、エイラ、サーニャはサウナの後の水浴びで居眠りしているバルクホルンをこっそり覗いていた。

 

蛇足であるが少女3人。

野外かつ素っ裸で仲良く覗き見である。

 

「明るい場所で見るとバルクホルンさん。

 髪とか意外と長くて綺麗で、筋肉もあってカッコいいけど、傷も色々・・・」

 

宮藤が躊躇しつつもバルクホルンの裸を見た感想を述べる。

異世界TS転生者として知る【原作】に至る道中まで得た数々の傷。

火傷だったり、切り傷だったり、とバルクホルンには色々な傷跡があり、

そのあり方は頻繁に負傷しつつも戦い続けた【史実】のバルクホルンに近かった。

 

「あれでもまだましだぜ、宮藤。

 大尉の戦友なんて背骨が折れたって、聞いているし・・・」

 

「背骨・・・」

 

この3人の中でも実戦経験が豊富なエイラが語り部として語り、宮藤が恐怖を覚える。

実家が診療所を営んでいるだけに、背骨を損傷した際の恐ろしさは知っていたからだ。

 

「エイラ、その人は・・・」

 

「安心しろって、サーニャ。

 ラル少佐は薬とコルセットこそ必要だけど、

 ウィッチとして同じ空を飛んでいるってさ・・・まったく凄い人ダヨナ」

 

心配そうにするサーニャに対してエイラが優しげに語る。

 

「あれ・・・ラル少佐、

 聞いたことがあるような、ないような・・・?」

 

「グンドュラ・ラル少佐。

 第502統合戦闘航空団、通称『ブレイブウィッチーズ』の隊長。

 大尉とはかつて同じ部隊にいた戦友で、全世界で2番目に撃墜250機を達成したウィッチだぜ」

 

「に、250機!す、すっごーい!!

 そんな強い人とバルクホルンさんは知り合いなんだー!」

 

魔法力も含めた潜在能力こそ非常に高いが経験不足、

技術不足な宮藤からすればネウロイ撃墜250機という単語は現実として想像できない話であった。

 

「・・・ってか、意外だな宮藤、

 大尉とは一緒にいる印象だけどあんま話をしないのか?

 せっかく坂本少佐以外で扶桑語が分かる人なのに・・・?」

 

バルクホルンを知るウィッチならばある程度分かる事実。

しかもエイラから見てバルクホルンと宮藤はかなり仲が良さそうに見えた。

 

「確かにバルクホルンさんの扶桑語は扶桑人そのもので、

 ここでの生活で私がどうしても分からない時だけ扶桑語で教えてくれますが・・・。

 普段の訓練とか座学とかではずっとブリタニア語で会話をしています。

 それにバルクホルンさんは自分の事をあまり話さないし、坂本さんともそうですけど、

 2人だけの時間なら兎も角、基本みんなと一緒にいるので日常会話も普段からブリタニア語です」

 

「あー、そういえば。

 大尉にハルトマン中尉、

 それとミーナ隊長は同じカールスラント人だけど、

 私達がいる前ではずっとブリタニア語で話していたよナー」

 

昼間のブリーフィングや、息抜きのティータイム。

それに戦闘中の会話などの記憶や光景をエイラは思い出す。

同じ国出身人同士でも外国語で会話するのは国際的な部隊ゆえの宿命であった。

 

「私は来た当初、少しだけバルクホルン大尉と2人でオラーシャ語で話したけど、

 夜間哨戒で時間帯が合わなくなってから、そもそもお話自体全然していない・・・。

 それに私はバルクホルン大尉じゃなくて、ハルトマンさんとはよくお話をしています」

 

「ハルトマンさんと?」

 

予想外の人物が出てきて宮藤が驚く。

 

エーリカ・ハルトマン。

 

人類を代表するスーパーエース。

あるいはエクスペルテに対してついこの前来た宮藤からすれば天上人。

同じ天上人なバルクホルンは坂本少佐と共に宮藤を日々訓練でしごいているので接点はあるが、

エーリカとはあまり話をした印象がなく、人物像をイマイチ把握できていなかった。

 

「でもあのハルトマンさんですよ?

 自堕落で毎回毎回バルクホルンさんがお世話しているハルトマンさんですよ?

 この前なんて『私のズボンがないから、ちょっと借りるね~』なんて言って、

 ミーナ隊長のズボンを無断で借りたから、浴槽から上がった隊長が怒ってましたよ・・・」

 

しかし、第三者として見た感じでは自堕落な生活無能力者。

お風呂から上がった戦友のパンツ・・・ではなくズボンを無断で借用。

エーリカにズボンを盗まれたミーナはスースーする羽目に陥っていた。

 

「えー・・・、あったな、ウン」

 

その時の騒動を思い出してエイラが頭痛を覚える。

スオムスでも仲間と一緒に馬鹿騒ぎをした経験はあるが、

流石に上官、しかも中佐のズボンを中尉が強奪するような真似はしたことがない。

 

「うん、どちらかと言えば、

 ハルトマンさんの方から一方的に話している感じだけど、

 オラーシャ語はバルクホルン大尉よりもずっと上手です、はい。

 それとペリーヌさんとはガリア語でお話できるって、言ってました」

 

「えぇ!?ハルトマン中尉。

 オラーシャ語だけでなくガリア語も話せたのカヨ!!」

 

サーニャとエーリカが長時間会話をしているのを密かに見ていたため、

エイラはエーリカの語学力について把握していたつもりであったが、

まさかガリア語もできるとは思わず目を見開いて驚きを露わにする。

 

「え、じゃあ。

 ハルトマンさんはオラーシャ語とガリア語。

 バルクホルンさんは扶桑語とオラーシャ語が話せることになるんだ・・・」

 

口にした内容を改めて咀嚼した宮藤が愕然とする。

ブリタニア語を坂本少佐のスパルタ特訓でなんとか習得した宮藤からすれば、

2か国語を操れるエーリカとバルクホルンは最早理解の範疇から外れた存在である。

 

「私たちが今話をしている言葉。

 ブリタニア語も加えれば3か国語ダゾ。

 しかも2人揃って今年中に前人未到の撃墜数300機に行くかもしれない。

 なんて言われているし・・・改めて考えると結構凄いよナ、あの2人・・・」

 

エーリカ・ハルトマンの撃墜数は既に250機を超えて280機へと近づいている。

ゲルトルート・バルクホルンも1944年に撃墜数250機を記録してからさらに記録を更新しつつあった。

 

「・・・でも、胸はバルクホルンさんの方が凄いですよね!」

 

「凄い」の一言で淫獣モードへ切り替わった宮藤。

どうしてそうなるかは不明であるが確実に言える現実として、

宮藤の頭の中は今や「おっぱい」の一言しかなく、瞳もキラキラと輝いている。

 

「ウン、宮藤の言うとおりだ、

 胸の大きさはハルトマン中尉とは全然違うな。

 大尉のを揉んで思ったのは、色よし、張り良しバルクホルンって感じだったナ」

 

オッパイマイスターとして先輩格なエイラが大いに賛同する。

隣にいるサーニャの視線が心なしか厳しいものになってい事に気づいていない。

 

「色良し、張り良しバルクホルン・・・」

「オイ、待て宮藤」

 

宮藤がフラフラと居眠りをしているバルクホルンに寄ろうとする。

見かけたエイラが宮藤の肩に手を置いて制止させる。

 

「どうして止めるんですか、エイラさん!」

 

「マア、落ち着け」

 

「エイラさんはこの前、バルクホルンさんと胸を揉み合いましたけど、

 ・・・私、私は・・・私はまだバルクホルンさんの胸を揉んでいません!!!」

 

真剣極まる態度でエイラに問い詰める宮藤。

なお、口から出てくる単語とか内容が完全に趣味嗜好100%なアレであるが。

 

「あのな、宮藤。

 忘れたのか?胸を揉むなら普段の時。

 今みたいに意識がない時に揉むなんて卑怯ダロ?

 普段の生活で油断している一瞬の隙を突いて胸を揉む!それが醍醐味ダ!」

 

そして制止させたエイラもエイラで、

別にバルクホルンの身を案じていた訳でなく自身の信念に反するので制止させたに過ぎず、

高らかに、力強く、そして誇りと供にオッパイマスターの心得を宣言した。

 

「・・・っ、そ、そうでした、って、エイラさんっっ!!」

 

「これは授業料、授業料。

 う~ん、やっぱり残念賞ダナ。ニヒヒ」

 

エイラの宣言に我を忘れかけていた宮藤が原点を思い出す。

だが、我を忘れていた代償、授業料としてエイラに胸を揉まれてしまう。

 

「ねえ、エイラ。

 宮藤さんの胸は揉むけど、

 ーーーーなんで私のは揉まないの?」

 

突然サーニャが静かに、

しかし確固たる意思を抱きつつ言葉を発した。

 

「・・・・・・へ、え、あ。さ、サーニャ?」

 

好き放題宮藤の胸を堪能していたエイラが硬直する。

 

「そう言えばエイラの肌----すっごく白くて綺麗ね。

 血管が透き通って見えるほど薄くて、私と同じくらい白くて」

 

「・・・え、ええええええ、!!?」

 

まさかサーニャの方から積極的に動くとは思わなかったエイラが赤面し、

後退して逃げようにも逃げる勇気すら今のエイラにはなかった。

 

「エイラの瞳。

 紫色の綺麗な瞳。

 本当に、本当に綺麗よね」

 

「ふええええええ、サーニャ!!?」

 

エイラの顔、瞳をじっくりと観察するサーニャ。

対してエイラはヘタレなだけあってか攻められると弱く、防戦一方である。

 

「うんうん、エイラさんって胸がこう、

 手のひらに収まる程度にあるのがポイント高いよね、サーニャちゃん!

 腰から太ももの形とかもすっごっく綺麗だし、あと・・・って痛ぁ!?痛いです!エイラさん」

 

「馬鹿馬鹿、馬鹿ーーー!!

 私をそんな目で見んなーーーー!!?

 オマエ、本当にドコ見てるんダヨ~~~~!!?」

 

サーニャの勢いに便乗し調子に乗る宮藤。

言われたエイラは羞恥心で涙を浮かべつつ淫獣をポカポカと殴る。

 

「・・・やっぱりエイラは、大きい方が好き?」

 

シュン、とサーニャが気落ちする。

 

「ち、違うんだサーニャ!胸の大きなんて関係ない!

 私は・・・私はありのままのサーニャがいいんだっ!!」

 

落ち込むサーニャを見てエイラは動揺するが、

同時に素直な気持ち、飾らない気持ちを獅子咆哮する。

たとえヘタレであっても、この変わらぬ一途な想いを口にする。

 

「エイラ・・・」

 

ようやく聞けた本当の気持ち。

エイラの一途な想いを知ってサーニャは感情が揺さぶられる。

 

「サーニャ・・・」

 

ぶつかる視線。

何をすべきであるか?

何を望んでいるのか?

 

普段のエイラならヘタレる所であったが、

覚悟を決めた今なら行動に移せた。

 

 

ーーーー何故ならウィッチに不可能などないのだから。

 

 

「お、おおおお・・・・。

 あわ・・・ーーーーあわわわわわ」

 

第三者として2人のやり取りを見届けていた宮藤。

2人で胸を揉んでいるだけだが、何だかイケナイ物を見ている気分に陥っていた。

 

そんな最中、唐突にふと視線を感じた宮藤が顔を動かすとーーーー。

 

「あ」

「あ、」

 

いつの間に目が覚めたバルクホルンがこちらを見ていた。

 

「・・・バルクホルン大尉?」

「へ・・・大尉?」

 

サーニャ、エイラもバルクホルンが見ている事に気づいて硬直する。

 

「・・・・・・ごゆるりと」

 

空気が読める日本人。

いや、今はカールスラント人である、

バルクホルンがそっとその場を後にしようとする。

 

「待て待て待て待てーーーー!!!

 大尉、これはその、スキンシップ!スキンシップだからナ!!」

 

今更ながら狼狽するエイラ。

 

「ああ、知っている。

 スオムス式の挨拶として、

 親しい人間の胸を揉むのがマナーらしいからな」

 

バルクホルンはわざとらしく澄ました表情で言う。

 

「いや、違うし!それは私の趣味嗜好ダ!!

 絶対分かってわざと言っているダロ、大尉!!」

 

エイラが全力で突っ込みを入れる。

 

「これはこれはーーーー失礼、かみました」

 

「絶・対・わざとダロ!

 ってか、かみましたって何なんだよ!?」

 

「・・・さあ、な?」

 

「ぐ、ぐぬぬぬぬぬぬ・・・」

 

得意顔なバルクホルン。

対してエイラが悔しそうに睨む。

 

「・・・・・・・・・・プッ、ふっ、ふふふふ」

「ぶふぅ・・・・あは、あはははは」

 

傍で2人のやり取りを聞いていたサーニャと宮藤が笑う。

 

「へ、へへへへ・・・」

「く、くくくく、あはははは・・・」

 

さらにエイラとバルクホルンもつられて笑いあう。

和やかで温か雰囲気、こんな時間がずっと続けば良いのにーーーー誰もが、そう思った。

 

 


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