「魔猫と呼ばれたオイラが、今じゃTBT捜査官で、歴史を守るなんて仕事をしているんだから。でも、それ以上におもしろい事がある・・・・・・幸吉郎たちとオイラは確かに紡ぐことが出来たんだ、繋がりって奴を」
「サムライ・ドラ、『鋼鉄の絆誕生編』最終話・・・その結末はいかに!?」
人の一生は、重き荷を負うて、遠き道を往くが如し―――その昔、徳川家康が言ったとされる有名な言葉の一文だ。
一応この言葉にはまだ続きがあるが、全文はあまりに長いので話す気にはなれない。ただ、こいつには家康の一生そのものが反映されている。
最初聞いたときは、何を爺臭いことぬかしやがると思ったけど、なかなか昔の人の言葉を馬鹿にすることは出来ないものだと、つくづく思った。
荷物ってわけじゃないけど、最初は誰でも大事に抱えているもんだ。だけど、その重さに気付くことは少ない。
それに気づくのは、全部手元から滑り落ちたときだ。
守るものも無ければ、得るものも無かった魔猫・・・・・・それがオイラの死ぬまでの真実だと思っていた。
けど、あの人はその真実を容易く覆した。
そして、オイラに一言も言わずに・・・・・・逝った。
何の断りも無く・・・・・・逝きやがった。
西暦5522年 5月9日
小樽市 某寺院
午前11時頃。
故・武志誠の告別式が行われていた。
葬儀には嘗て誠が勤めていた職場の同僚や後輩、大学時代の友人が参列。この中には誠と特に親しい関係にあった杯夫妻が含まれていた。
参列者全員が喪服を着ている中、一人だけ喪服を着ていない―――喪服自体を持っていない者がポツンと彼の棺の前で佇んでいる。
誠の死に際に立ち会った彼がこの世に残したたったひとつの遺産―――ドラである。
「え~、本日は亡き武志誠のためにお忙しい中お集まり頂き大変感謝いたします」
出棺の直前。
ドラが故人を偲ぶ参列者に向かって、遺族を代表して最後の挨拶を行う。
複雑な気持ちで迎えた今日の葬儀。
ドラは涙を拭いきれない参列者たちを見ながら、誠との短い生活を振り返りながら、おもむろに言葉を紡ぐ。
「オイラはですね・・・今から10年くらい前に博士に拾われました。生まれて直ぐに親に捨てられ、孤児で凶悪なネコだったオイラを見つけて、犬好きだというのにどうして拾ったのか・・・未だにその真意も謎ですし、神経がおかしいのではないかとも思いました。しかしあの人はまぁ・・・・・・オイラ自身もかなり変わっているのですが、それ以上に変わった人でしたね」
無表情に、そして淡々と。
前もって書き溜めた言葉など無いにも関わらず、次から次へとドラの口から語られる誠と過ごした鮮明な思い出の数々。
「興味はなかったのですが、週に一回は博士の趣味に付き合わされて必ず『ドラえもん』のDVDを見ていましたね。その上、本物のドラえもんを模してオイラと言う存在を作ったりして、あの人のドラえもん愛は呆れるほどでした。だってあれですよ・・・目覚まし時計までドラえもんなんですから。毎朝ですね、タケコプターの形したスイッチを押すとですね・・・『あっさですー!あっさですー!あさですよー!あっさですー!あっさですー!おっきましょー!!』って、耳障りでしたね~。おまけに自分の研究に没頭するあまり家事とかがおろそかになっちゃって、結局はオイラがあの人の衣食住の面倒を見ないといけないハメになるし、碌な思い出がありません。仕事で疲れて一人で風呂に浸かっていたいのに、何を血迷ったか断りも無くいきなり入って来るし・・・オイラが寒いの知ってるくせして雪まつりに出かけようなんて言い出すし・・・やることなす事すべて自分勝手!典型的な社会人失格野郎でしたよ!」
これは生前の故人を偲んでいるというよりも、単にドラが誠に対して抱いていた鬱憤(うっぷん)、恨み辛みを晴らしているようにも思える。
誰もがそう思っていると、不意にドラの声のトーンが低くなり始める。
「しかしまぁ・・・何のメリットも無かったというと、必ずしもそうではありません」
ドラの発言に訝しげな表情を浮かべる参列者。
杯夫妻もドラの心境の変化に機微に反応する。
「こんな性格のオイラですからね。魔猫をペットにしたなんて噂が広がれば、博士の立場もあったもんじゃないってことは分っていた筈なんですが・・・あの人は逃げずにオイラを堂々と世間に見せつけました。保健所の職員が何と言っても、あの人はオイラを手放さなかったし、見捨てもしなかった。自分がどれだけオイラから理不尽な目に合されても、恨み言を言われても、アホみたいに・・・笑ってた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・言いたいことは沢山あるけど・・・・・・この場で敢えて言うことがあるとしたら・・・・・・・・・・・・・・・」
そう言うと、ドラは誠の遺体が納まった棺を一瞥し、祭壇に飾られた遺影を凝視する。
屈託なく笑う誠の遺影をドラはじっと見つめ、しばし沈黙する。
やがて、長い沈黙を打ち破ってドラの胸の裡から込み上げる言葉が寺院全体に響き渡る。
「バッ――――カヤロ――――――――!!」
それが、ドラが誠にかけた正真正銘最後の言葉だった。
生前に誠が書き残した遺書に基づき、彼の遺骨は小樽から60キロ離れた場所に位置する倶知安町(くっちゃんちょう)という場所にある墓に埋められた。
納骨後。誰もいなくなった誠の墓前でドラはポツンとひとり佇み、どれだけの時間が経過しようとも、墓の前から一歩も動かなかった。
ポツン・・・ポツン・・・ポツポツ・・・
途中、雨が降ってきた。
住職がドラを気遣って近づいた時、雨に紛れてはっきりとは分からなかったが、ドラの瞳が潤んでいるように見えた。
雨が額から止めどなく零れ落ちる様が、涙に見えても仕方ない。
ただ、ロボットであるドラが涙を流す事があるのかという疑念が強かったため、何かの冗談ではないかとも思った。
ポツポツポツ・・・ポツポツ・・・ポツポツ・・・
真偽は定かではないが、少なくともいつものドラとは違っていた。
その証拠に―――墓前に立ち続けるドラの表情からは魔猫らしい覇気が何ひとつ感じられなかった。
なにひとつ・・・・・・なにひとつ・・・・・・
◇
時間軸1603年 3月16日
アコナイト研究所・最深部 メインコントロール室
幸吉郎が真の黒幕である蟒蛇大吾を屠り去った。
だが、戦いに完全に終止符が打たれたわけではない。
アコナイトという、今は亡き命を精密に再現した最強のナノマシンと対峙したサムライ・ドラは、嘗てない危機に直面する。
ナノマシンは破壊を試みても瞬時に自己修復を行い、そして鋭利な蔓や武器となってドラの体を四方八方から貫く。
アコナイトは鉄仮面越しに、既に体のあちこちから火花を上げ、生体機能を維持することもままならない虫の息に近い状態のドラを見つめながら、淡々とした言葉を紡ぐ。
「・・・悲しきものだ。私と同じ存在でありながら、ここまで考え方も力の差も隔たっているとは。どうやら君は少し人間に感化され過ぎたようだ。もう少し魔猫らしくしていれば、こんなことにはならなかったのだ。同情するよ・・・そして憤る。君をこれほどまでに人間に感化した故に、君を惰弱させた武志誠に―――」
アコナイトの無機質な言葉に対して、ドラの返事はない。
当然だ。最早喋ることもままならないほど、ドラは瀕死の状態なのだ。
造られたまがい物の命とはいえ、人想いにドラに止めを差そうと思い立ったアコナイトは、鋭利な蔓の一突きをドラの体に突き刺そうとする。
「いや・・・止めも勝利の余韻もまだ早いよ・・・」
不意に聞こえてきた謎の声。
アコナイトが振り返ると、現れたのはドラと激闘の末に敗れ去った、あの螻蛄壌だった。
満身創痍になりながら、壌はアコナイトを凝視する。
「おっと・・・・・・・・・・・・すっかり忘れていたな。確か『出来損ない』が一匹まだ残っていたな・・・」
ドラに止めを差すのを一旦中断し、アコナイトは今頃になってこの場に現れた意外な人物の方へと顔を向ける。
「それで・・・?出来損ないの虫螻蛄がただ一匹で、この場で何をしに来た?」
「アコナイト・・・事実は事実として、僕が負け犬と言われれば否定はしないよ」
壌はボロボロな体を引きずる様に、一歩一歩前に出ながら、目線の先に倒れるドラを一瞥し、こう弁明する。
「でも、その負け犬との闘いに応じたため、サムライ・ドラは本来不要のはずだった傷を負い、体力を消耗した。その事もまた否定出来ない事実だよ・・・」
「・・・つまり、その分をお前が補うというコトか・・・」
アコナイトが問いかけた直後、壌は語らずして前に出る。
そして、両腕に装備した蟷螂の鎌で敵の首を狙る。
―――カキンッ!
防衛装置が働き、アコナイトの周囲には無数の鋭利な蔓が現れる。
その悉くが、負傷によって動きが本来よりもずっと緩慢な壌に対して襲いかかる。
壌は苦い顔を浮かべ、防戦一方の状態の中、アコナイトの攻撃を凌ぎ続ける。
「・・・安い考えだ。今のお前の攻撃力はほとんど皆無。今お前に出来ることと言えば、最初から一つ。ただの『時間稼ぎ』・・・」
―――グサっ!
次の瞬間。
不意を突く様にナノマシンが壌の死角へ入り込み、彼の右肩を鋭利な蔓で射抜く。
「グ・・・っ」
壌の表情が大きく歪む。
その後もナノマシンは徹底して壌の体を貫いた。
「グッ!!」
そうして、ドラを庇ってアコナイトと戦った壌もまた、ナノマシンの力によって体の自由を奪われる。
「・・・惨めなものだな。一度は限りなく修羅に近づけた男が、今となってはただの時間稼ぎが精一杯とは。だがいくら時間を稼いだところで、サムライ・ドラが二度と立ち上がらないとなっては意味がない」
「そうかな・・・・・・僕としては、彼がどこで死のうが生きようかは、正直どうでもいいけど・・・・・・サムライ・ドラが同じ機械の君よりも弱いとは、僕にはどうしても理解できないんだけど」
壌は未だに目を覚まさず、地面に這いつくばうように倒れているネコ型ロボットを見つめながら、アコナイトの方を見る。
彼が何を考えているのかは分からないが、ドラはこの状況において、何を考えているのか?
心の中で、どんな思いを馳せているのか・・・・・・
この世に生まれ出でたからには、みんなそれなりに死ぬまでの人生を謳歌しようと努力する。ダラダラと生きることも、その人にとっては人生を謳歌することの一つだと思っている。
他人が何を言おうとも、全部を自分の中で受け入れた上で、ここぞという時にはしっかりと腹をくくる。つまり、メリハリっていうのが一番大事なんじゃないかとオイラは思う。
人間って奴は、メリハリをなくすと本当にどうしようもなくなる。ダラダラしてる奴でも、メリハリをしっかりつけてる奴とそうでない奴がいる。
後者は非常に危ない。こうなると、人間はどこまでも堕落する。
ネコは違う。
ネコは人間の様に自由意思の元で何かをするという高度な知性はない。
人間の様に、自分で決めてその事に責任を負うということをしない。あるのはただ・・・摂食行動と睡眠、そして本能の裡に眠る生殖原理、これを全うしようとすることだけ。
魔猫であるオイラも例外ではない。あのまま、魔猫として生きていたのなら、オイラも普通のネコと変わらない味気ない一生を送っていたはずだ。
それを変えてしまったのが、武志誠――――――博士だった。
あの人に見つけてもらって、一緒に生活を送る様になって、オイラは魔猫は魔猫でも・・・以前のようなただ冷たく、凶悪な存在ではなくなった。
博士がオイラに与えた付加価値が何であったか、そんなのは正直どうでもいいが・・・強いて言えば良くも悪くも、このオイラを”人間っぽく”感化したということか。
意見の食い違いで喧嘩をすることがあった・・・ほとんどはオイラの八つ当たりだったけど。
それでも、“ゴメンね”と言えないオイラを、あの人はどんなときでも“おかえり”と何もなかったように優しく微笑んでくれた。
博士が死んでオイラはやっとわかった。
オイラはずっと守られてきたんだ・・・毎日の中で、あの人のたくさんの言葉に笑顔に。
今までなんとなく過ごしてきた日々が、すべてまるごと本物だった・・・そして間違いなくオイラの側には博士がいた。
すべてを包みこむ大きなものを持っていた。
いつもそばにあるから、そのぬくもりって奴がどれだけ自分を温めてきたのか・・・博士が死んで、それがやっとわかった。
気付いた時には取り返しの付かない状況・・・死んでしまった物を取り戻すことは不可能だ。
幸か不幸か、タイムトラベルシステムがあるから、その気になれば過去に戻って死者に会いに行くことは出来る。勿論、それ以上の事を望む人間がいるから厳しく規制がかけられているのだが・・・
少なくとも、オイラにはそんな真似できないし、しようとも思わなかった。
別に博士にもう一度会いたいって気持ちがさっぱり無い訳じゃないけど・・・・・・ただそれをすることが、すごく惨めに思えた。
過去に戻って、そこで死者と対面して、一体何を得るというのだ。また別れるときの虚しさが一層膨れ上がるだけだろう。
そうじゃない・・・博士が教えてくれたのはそんな惨めなことじゃない。
あの人がオイラに教えてくれたのは、もっとずっと前向きな事だったはずだ。
これは褒められる言葉なのかは、よくわからない。でも、博士が生前に言い残していた言葉に「己の意地」というものがある。
意地って奴は結構大切だ。
プライドなんて言い方も出来るけど、そんなクールでスマートな言葉で置き換えるのはやや乱暴だ。意地って言葉はもっと深い意味があるような気がする。
その意地を貫き通すことはこの上も無く難しい。
恐らく、真面な周りの色んな圧力に屈せず意地を貫くことができる人間はまずほとんどいないだろう。そう言うことができる人間は常識とかその他色んな既成概念に捕われないアウトローな人間が多い気がする。
博士はそんなアウトローな人間だった。
社会人としては多方面において問題がある人だが、見方を変えれば一番自分に素直であり、自分と言うものを大切にしていたのだろう。
だとしたら、なぜ博士は自分の欲望の障害となり得るこんなオイラを受け容れてくれたのか・・・さっぱりわからない。
実の親に捨てら、その結果としてグレるという人は大勢いるが、根本的に他を排除しようとしている存在は別だ。
オイラがこれに該当する。
悲しいから他を排除するわけではない。
自分の不幸を分かってもらえないから怒っている訳ではない。
ただ・・・・・・このオイラに近づかなければ、そいつが不幸になることはないっていうだけのこと。
現にオイラは動物だろうと人間だろうと、近づく者はすべてこの手に掛けて来た。徹底的にそいつの息の根を止める。魔猫らしいっちゃらしいのだが・・・・・・どうしてだか、博士にだけは、牙を向けることができなかった。
あの出会いから20年近くが経とうとしている。
オイラは博士から貰ったドラというふてぶてしく、平気で余所の領域に踏み込む典型的な悪たれを意味する接頭語と同じ名前の後ろに、「サムライ」という言葉を付け足した。
どうしてサムライにしたのか・・・理由は特にないのだが、これでオイラがただの動物から人間のようなものになったことはピンとくるはずだ。
サムライ・ドラと改名して、腰に剣を携えて、服を着るようになって・・・・・・嘗ての魔猫が嘘のように、オイラはどんどん人間に感化されていった。
「ま・・・ち・・・な・・・」
「・・・!」
ドラが唐突も無く起き上がったことに、アコナイトは目を疑う。
ナノマシンによって徹底的に体を射抜き、主要な回路と言う回路、ケーブルと言うケーブルを切断し、物理的には動くということ自体があり得ない。
だが、ドラは物理的な理屈を無視した様子で立ち上がり、砂嵐が起こったテレビのような雑音混じりに声を発すると、剣を握りしめアコナイトの方へと向かってくる・・・ゆっくり・・・ゆっくりと。
「・・・驚いたな。君の四肢は完全に潰したはずなのに・・・・・・まるで君に何かが取り憑いているかのようだ」
ドラの動きが常識的にあり得ないと思うかたわら、ドラを突き動かしているものが他でもなく彼の中に宿る『魂』そのものであるともアコナイトは解釈する。
一歩一歩とアコナイトへ近づいて行くドラを、壌は途切れそうな意識で見つめる。
「・・・残念だよ、サムライ・ドラ。つまらん人生だったな」
今一度剣を構えたドラを、アコナイトは煩わしい光景をこれ以上見たくないとばかりに、ナノマシンを起動させ、今度こそドラを捻り潰そうとする。
―――バシュ!バシュ!バシュ!
ところが、ドラの剣筋は実に鋭く、四方八方から死角を突いてくるナノマシンの鋭利な蔓を目にも止まらぬ速さで斬り捨てる。
「・・・・・・!」
この光景にアコナイトはまたしても面を喰らってしまう。
そんな彼に、ドラは不敵な笑みを浮かべながら真剣な眼差しで先ほど彼が言った言葉に反論する。
「オイラの人生はつまらなくなんかないっ!・・・―――ようやく、分ったんだよ。自分にとって何が一番たいせつなのか。それを教えてくれたのは博士と―――幸吉郎たち(みんな)なんだ!・・・お前にも分けてあげたいくらいだよ。このぬくぬくした感じを・・・―――」
「く・・・・・・・・・」
すべてのナノマシンの機動力をマックスまで上げ、アコナイトはこの忌々しい存在を、記憶の中に焼きついた科学者が造りだした心を掻き乱す存在を、この世から始末しようとする。
ドラは本当に何かが取り憑いたように、常識では考えられない動きで襲いかかるナノマシンを斬り伏せ、途中で壌のことを救い出すと、彼に対して呼びかける。
「おい壌。ちょいと相談があるんだけど・・・」
「なに?」
「お前はオイラの言う事を聞かなくていいから、自分の好きなようにしなよ。その代わりに、オイラもお前のいうことは聞かない。こっちも自分の好きなようにやらせてもらう。だから、この条件でいいなら・・・―――力を貸せ」
それは条件と言うよりも、契約と言った方が正しいのかもしれない。
互いの利害を考慮した上でドラが提示した条件は、ドラにも、そして壌にも一定の損益を与える。
五分五分の条件で壌が了承してくれるかどうかなど、正直期待していなかったドラだが、意外な事に壌はドラに向かってくるナノマシンを斬り伏せ、ボソッと呟く。
「―――君を倒すのは僕だよ。忘れないでね」
壌はドラを倒すのは飽く迄自分であると主張し、この瞬間において一時的に彼と力を合わせることにした。
「はっ。上出来!」
契約が無事に効力を発揮すると、ドラは壌と協力してナノマシンと言うナノマシンを悉く斬り倒す。
二人の力が合わさった瞬間、アコナイトが操るナノマシンがまるでそれに恐怖しているかのように、動きが鈍り始める。
(なぜだ・・・なぜこのようなことが・・・)
アコナイトは目の前の光景が嘘であると思いたかった。
だが現にナノマシンの精度は秒単位で衰えていき、次第に自分の制御が追いつかないようになる。
そして、一瞬の隙を突いてドラがドラ佐ェ門片手にアコナイトの元へと飛んでくる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「まだだ!」
咄嗟にナノマシンで壁を作る。
しかしドラはその壁を真っ二つに斬り裂き、アコナイト目掛けて剣先を突きつける。
「博士に、よろしくな――――――似非科学者!!」
――――――グサッ。
ドラの突き立てた刀の切っ先が、アコナイトの仮面ごと、額を貫く。
鉄の仮面に亀裂が生じ、割れると同時にノッペラボウな表情が浮かび上がり、バチバチと電気が生じる。
同時に、アコナイトの体はナノマシンの素材として利用された金へと還元される。
制御システムとしてのアコナイトが消滅すると、他のナノマシンも機能を失い、そのすべてが大量の金となる。
アコナイトとの激闘の末、ドラはその手に勝利を掴んだ。
戦いが終わると同時に、力の全てを使い果たしたドラは力なくその場に倒れ込む。
バタン・・・・・・無機質な音だった。
本当に、機械が機能を失った時のような・・・物理的な音が響く。
視界不良の中で、ドラの脳裏に浮かび上がる人物たちの事を浮かべながら、内心こんな事を思う。
人間に感化されると、要らない感情まで持つようになってしまう。厄介なのは、身内を失う事への言い表せぬ胸の痛み。
死別した博士のことを思うと、今でもそんな感覚に陥る。
博士と過ごした日々は、ほとんどが形に残らないものだった。
生前に博士が使っていたものは全部処分したはずなのに・・・・・・あのドラえもんの目覚まし時計はどうにも捨てられずに、結局今はオイラが使っている。
ドラ佐ェ門だって、元はと言えば、博士が倉庫の中に長いこと閉まって放置していた曰くつきの刀だ。
なんだってそんなものが倉庫に眠っていたのかはこの際どうでもいいが・・・・・・意外とオイラは、あの人の記憶に執着しているようだ。女々しい話だが・・・―――
そして現在。
性根の女々しいオイラの前に現れた幸吉郎たち。
興味深いことに、幸吉郎たちと一緒に行動をしていると、昔の記憶の一部が蘇ってくる。
幼い頃・・・遠く世間から疎まれ、忌み嫌われていた魔猫が、はじめて人間の腕の中にいる感触を“心地よい”と感じた、あの過ぎた日のことを――――――
この20年近く、オイラはずっと肌寒い思いだった。元々寒がりだから、寒いのはとことん苦手だけど、そういう寒いとは意味が異なる。
例えるならば、墓の前で決して降りやむ気配の無い土砂降りの中で、じっと堪えるように声を押し殺して、立ち尽くす感じ・・・・・・あの日のオイラそのものだ。
あの日を境に、オイラの中で時間が止まってしまった。
同時に、二度とあんな面倒なものは背負い込まないと心に誓った。
にもかかわらず、またいつの間にか大事に背負い込んでしまっている自分・・・一体どっちなんだと、自問自答した。
でも、あの6人が現れてから、心の中で降り続いていたあの日の雨が、急にすっと止んでしまった気がする。
過ごした時間は極めて少ないが、その僅かな時間の短さを埋めるだけのものは確かにあった。
オイラが求めた訳じゃないけど、気がつけば後ろには幸吉郎たちが付いていた。
みんながオイラを見て笑うんだ。嘗てオイラの心を許してくれた、博士と同じ笑い方で。
長らく厚い雲に覆われていた空に、一筋の光が差し込む。
顔を覗かせたのは久方ぶりの太陽。そう・・・・・・待ちに待った日の入りだ。
久しぶりの日の入りだ。ずっと暗い闇の中にいたオイラには刺激が強すぎた。
だけど・・・・・・・・・・・・・・・ずっと欲しかった。ずっと我慢してたんだ。
もうこんな肌寒いのは、うんざりだ・・・・・・・・・
だから――――――――――――・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう。
気がつくと、ドラの掌はごつごつした手の中にあった。
視界不良のまま、彼がそのごつごつした手の正体を確かめると、タコができるまで刀を握りしめて来た幸吉郎が、自分を見、その傍らには駱太郎と龍樹、写ノ神と茜、それに壌もいる。
ドラはいつの間にか自分の所に集まった皆の姿を見て、ほっとした反面、急に自分の中で堪えていた想いが湯水のように湧き上がってきた。
「ううう・・・・・・・・・」
血も涙も無い魔猫と言われてきたドラ。
そんな魔猫の双眸の淵に、潤んだものが見える。
辛うじて堪えているようだが、それは確かに「涙」と表現できるものだ。
震える声を必死で押し殺すドラの手を握りしめる幸吉郎は、皆を代表してドラに優しく問いかける。
「兄貴。俺達(・・)がわかりますか?」
「ああ・・・・・・あぁぁ・・・・・・」
ドラは幸吉郎の声を聞き、胸の奥で突っかかっていたもの全てを曝け出すように、一際掠れた声を発する。
幸吉郎たちはそんな弱々しいドラを、温かい眼差しで見守り、そして包み込んだ。
◇
こうして、世界に多大なる影響をもたらし、歴史を歪めたアコナイト・モンクスフードと黒幕・蟒蛇大吾の目論んだ計略はドラたちの活躍によって事なきを得た。
あの後、ドラは幸吉郎たちには何も告げず、迎えのタイムマシンで自分の世界へと戻った。
ドラとしても胸が締め付けられるような選択だった。
だがそれでも、彼と幸吉郎たちは住むべき世界が違う。過去と未来の人間が一緒に同じ時間を過ごすことあってはならない―――それ自体が世の理(ことわり)に反している。
ドラはこのときまで、そう思っていたのだ・・・・・・。
西暦5537年 7月20日
TBT本部 特殊先行部隊オフィス
「ふう~~~~~~」
事件が解決して間もない時分。
あの戦い以来、ドラは何故だか仕事に身が入らず、溜息をつく回数が増えていた。
そうして、窓の外を覘いては物思いに考える。あの過去の世界で出遭った仲間たちとの鮮明な時間を思い出すように――――――
「お茶が入りましたよ、兄貴」
「ああ。ありがとう・・・」
何事もなかったように、ドラはお茶に手を伸ばす。
だがその直後、ドラは自分の耳を疑うと同時に恐る恐る横を振り向いて見た。
「・・・え・・・・・・」
そこに立っていたのは、紛れも無く山中幸吉郎だった。
「兄貴、また会いましたね!」
満面の笑みを浮かべながら、幸吉郎の後ろに隠れていた三遊亭駱太郎、龍樹常法、八百万写ノ神、朱雀王子茜が姿を現す。
「よう、来てやったぞドラ!」
「ここが未来か・・・実に興味深いものじゃ!」
「どうよ、ドラ!この制服似合ってるか!」
「みんなで来ちゃいました♪」
「の、のおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
盛大に驚愕の声を上げ、ドラはその勢いのまま窓ガラスを突き破り、高所から落ちそうになる。
「は、は、は、は、は、は・・・・・・な、なんでいるんだよみんな・・・!」
「いや~~~あの後、杯彦斎とその息子が俺らの前に現れましてね・・・なんでも俺たちは“特異点(とくいてん)”とかいう体質みたいで、過去だろうが未来だろうが特別時間の影響を受けないってことが判明しましたね・・・!」
「その長官の計らいで、俺たち今日付けでこの部署に配属されることになったんだよ!」
「現代の日本と言うのはすごいのう!拙僧は新し物好きでな!もう胸がざわついておるわい!」
「またみんなで一緒に居られるんだぜ!おっと、茜もな♪」
「はい♪私たち、正式に交際することになりました♪あ、ドラさんは甘いものが嫌いでしたよね。なるべくドラさんの前では行動を慎みますので、どうかお許しを」
それぞれが勝手な事を呟く中、もう一人の特異点としてこの時代にやってきた螻蛄壌は、群れることを嫌い、遠目から彼らの様子を見守っている。
一方、上司から何も知らされずにいたドラは、杯家の計略にまんまと嵌められた上に、このような自分にとって非常に有益なサプライズまでもが飛び込んで来るとは夢にも思わなかった。
当初こそは言葉を失っていたが、直ぐに表情が綻び、幸吉郎たちを見ながら言葉を返した。
「・・・ったく・・・・・・わかったよ」
ドラは幸吉郎たちを見据えると、誠が死んで以来ずっと出来なくなっていた、一点の曇りもない清々しい笑顔を向けながら、威勢のいい声で呼びかける。
「現代に来たからには、しっかりとこの世界の規則、ルールをしっかり学んでもらうからね!あと、写ノ神と茜ちゃんの交際については・・・・・・全面的に認めてやろう!いいかお前ら!これからオイラがビシビシ鍛えてやるから、覚悟しとけよ!」
「はい!兄貴!」
「おうよ!」
「それは楽しみじゃの!」
「よろしくな、ドラ!」
「ありがとうございます、ドラさん♪」
「・・・ふん」
これが、俺の知る限りのアコナイト事件と、俺たちの出会いの全容。
誰よりも孤独の闇に居ながら、それ故に心を閉ざし、片意地を張り続けていた俺たちのリーダーは、ようやく本当の笑顔と居場所を取り戻した。
俺たちは、そんな優しいリーダーを太陽の様なものと捉え、優しく、時には乱暴な彼に振り回されながら、その振り回れることに幸福を見出している。
間もなくして、俺たちチームに最もふさわしい名前が付けられた。名前を考えたのは勿論、リーダーであるサムライ・ドラの兄貴だ。
鋼鉄の絆-アイアンハーツ-
決して一言では言い表せない、絆と言う糸で結ばれた俺たち7人を象徴するかのような、素晴らしい名前が――――――
これからも、俺たちは笑顔でいる――――――
鋼鉄の絆誕生編
完
参照・参考文献
原作:和月伸宏『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 17巻』 (集英社・1997年)
ドラさん語録~サムライ・ドラが残した語録集~
その53:オイラの人生はつまらなくなんかないっ!
ドラは本来人間ではなくロボットなのだ。その彼が人生と言う言葉を口にするとは・・・・・・それだけ、自分でも人間に感化されたと理解しているのだ。(第62話)
登場人物
アコナイト関係
アコナイト・モンクスフード(Aconitum Monkshood)
声:右門青寿
身長183cm 体重63kg 型 5497年9月28日生まれ
40歳(5537年)。一人称は「私」。56世紀から17世紀へやって来た時間犯罪者で科学者。甲冑と鉄仮面に身を包み、厚手の黒いロングコートを着ている。マサチューセッツ工科大学生物工学科出身。嘗てドラの育ての親である武志誠と一緒にあるプロジェクトに参加していた。徳川家康を殺害した後に新政権を発足させ、軍事用に開発した改造生物の軍団を作り圧倒的な戦力で17世紀全体を掌握、歴史を改竄した。
幼少期に、筋ジストロフィー治療の現場を目撃し、難病に苦しむ人々を救いたいという一心で、科学を学び始め、病気に対して強い抗体を作り出すという経緯から、バイオテクノロジーで改造生物を作るようになった。作中ではサムライアリの兵士を始め、メロンペロン(口と舌があり、人を舐めるメロンの改造生物)、カメレオンコウモリ、ヤキイモムシ(火を吐き出す焼き芋型の生物)、ハンバーガープラント(ハンバーガーの姿を模した食虫植物の改造生物)、クモバチ(蜘蛛と蜂の合成生物でハチの羽を持つクモ)、トラゾウ(ゾウとトラの合成生物)、キメラ(ライオンとワシの合成生物)などの合成生物を多数作っていた。これを「生体兵器の開発」につながる研究だとする誠の内部告発により学会から追放されたが、彼自身にはそのような気持ちは一切なかったと蟒蛇が作中で語っている。内部告発をしたのが誠であることからドラとは浅からぬ因縁がある。
研究を続ける中で、科学が進歩すればするほど、人の平均寿命が延びて却って地球が人で溢れるという一種のパラドックスに直面し、その事が切っ掛けで科学が人類にとって有益なものであるという考えが揺らぎ始め、以来江戸城の地下に潜って隠遁生活をしていた。
実はアコナイト自身は事件の2年前に病死しており、事件の要としてのアコナイトは蟒蛇がGMS理論を元にして作り出したナノマシンの制御装置である。最後は瀕死の淵から復活したドラの刀を額に受け、鉄仮面が二つに裂かれると同時に、自らの正体であるナノマシンに戻り、金の砂となった。自身がナノマシンであることは、本人の口からは明かされなかった。
名前の由来は、「鳥兜」の学名・英名。花言葉では「厭世家」、「人嫌い」、「復讐」を意味する。
能力
ナノマシン(Nano machine)
アコナイトの体に組み込まれた機械装置。強固な外装と、壊されても瞬時に修復する自己修理機能を備えており動力は光、材料は金を原子レベルで変化させた物が使われている。アコナイト自身がナノマシンであると同時に制御装置があり、彼の意思によってナノマシンを自由に操ることができる。体のあらゆる場所から先端を鋭利な刃物やハンマーに変えた赤銅色をしたツルのような物を出し、対象を殺傷する。アコナイトは生前これを、医療目的のために研究を進めていた。作中では人類最高のマシンと口にしている。
蟒蛇 大吾(うわばみ だいご)
声:井上剛
身長169cm 体重60kg 型 5512年月日生まれ
25歳(5537年)。一人称は「私」。純白の白い制服に身を包む青年。本章における真の黒幕。
巨大資本・財団Xから出向してきたアコナイトの出資者であると同時に、アコナイトの右腕として力を貸していた。だが、実際はアコナイトの死後、GMS理論に基づきナノマシンとしてのアコナイトを作り出し、陰で彼を操りながら改造生物技術で資金を集め、それを元手に武器商人となり、更に巨万の富を掌握し、地球の歴史そのものを手中に入れようとを画策していた。
肉体強化によって強化された自身の能力を誇りに思い、その技術の粋を集めて改造された自分は人間を超えた者であると自称する一方で、その姿を化け物と呼ばれることを最大限の侮辱と捉えていて、そう呼ばれると激怒する。幸吉郎の挑発に乗り、激昂して闘うも右腕を負傷して呆気なく敗れてしまう。最期は財団Xの人間らしく幸吉郎を金で懐柔しようとしたが、心臓を貫かれて殺害される。
名前の由来は、大きなヘビのことを意味する「蟒蛇」。
能力
生体融合(クリーチュアリング)
アコナイトがGMS理論をベースに独自に開発した人間の肉体に動物の遺伝子を組み込んだ秘 薬を体内に注入することで、体の部位に特定の変化を起こさせること。
蟒蛇に掛け合わされた動物は、アオダイショウ。右手が一般人の2倍ほどの長さがあり、同時に掌が蛇の頭部となっている。牙には猛毒があり、噛まれると毒が回り、体を麻痺させる(幸吉郎は咬まれたにもかかわらず、麻痺しなかった)。
技
土砂の防壁(どしゃのぼうへき)
蛇と一体化した巨大な右手で地面をえぐり発生させる砂の防護壁。
スネークバニッシュ(Snake Vanish)
右腕の先端にある蛇の頭部から生えた猛毒の牙で、敵を痺れさせその隙に頸動脈に噛み付き死に至らしめる。
オリハルコン・アダマント(Orihalcon Adamant)
声:加瀬康之
身長178cm 体重75kg 型 5502年月日生まれ
35歳(5537年)。一人称は「私」。アコナイトの忠臣で、アコナイト同様に優れた科学者。
「メタルの魔術師」の異名を持ち、10年ほど前に『爆発圧着における金属の流体的挙動の解析』というタイトルの学術論文を発表している。金属の性質を極めて正確に熟知しており、彼にかかればどんな金属もその形を自在に変形することができる。武器は超伝導電磁石を用いたライフルを所持している。
一度目はアロガンスと茜を引き連れて、たたら場の温泉で寛いでいたドラを襲撃するも失敗。研究所では駱太郎と戦い、最後は黒御簾万砕拳によって両腕を破壊され、頭突きを喰らい敗れる。
名前の由来は、古代ギリシア・ローマ世界の文献やアトランティスに存在したという幻の合金・金属の「オリハルコン」と、金属など非常に堅固な物質を示すのに使われる語「アダマント」。
技
レールガン(Railgun)
ガウス加速器の原理を応用して作り出したオリハルコンのライフルから撃ち出される電磁砲。弾丸として鉄球を用い、電磁加速を加えると音速の3倍以上で放つことができる。攻撃力及び貫通力は高く、弾道上にある物を全て薙ぎ払い、一枚岩に直径2mの風穴を開け衝撃波を撒き散らすほど。弾丸の質量を変えれば威力や射程を伸ばすことができる
メタルスラッグ(Metal Slugs)
金属の爆発発着における理論に基づき、コートの下に隠した無数の金属片を先端部が尖った状態で撃ち出す。体に貫通すると、刀で刺したような痕が残る。
イグナチオ・デ・レダム(Ignacio de Redam)
声:上條恒彦
身長172cm 体重70kg 型 1549年月日生まれ
54歳(1603年)。一人称は「私」。イエズス会より布教のためにやってきたカトリック教会の信者で司祭。作中で「レダム司祭」と呼ばれている。
アンデレ十字を首から掛け、ややけばけばしい黒い修道服に身を包んでいる。敬虔で厳格なまでのキリスト教信者で、神の国にいけなければ存在する価値もないとさえ考えている。
研究所で龍樹と衝突し、仏教の考え方に基づく輪廻思想に真っ向から対立する。アンデレ十字を媒体に魔術的な干渉を起こすことができる他、服の下に隠した超小型のマイクロ波放射装置を高出力で人間に浴びせて、体内の水分を沸騰させることができる。龍樹と一騎打ちの末、千手金剛杵の力によって煩悩を浄化される。
名前の由来は、カトリック教会の修道会イエズス会の創立者の一人にして初代総長「イグナチオ・デ・ロヨラ」と、白騎士物語に登場する架空の司祭「レダム」。
能力
送年(そうねん)
念を送ることで、人間の淀んだ心を浄化する。実際は、超小型マイクロ波放射放置による過熱現象に過ぎず、超電磁遮断グラスをつけた龍樹には効果がなかった。
断罪の雷(だんざいのかみなり)
獄中で祈りを捧げ、聖アンデレの力を再現する。亜空間より雷を落とす。
ミトラ兄弟(Mitora Brothers)
声:KENN(兄ミラー)、下野紘(弟トミー)
身長174cm 体重65kg、身長176cm 体重67kg型 5514年8月10日生まれ5515年9月11日生まれ
兄:23歳。弟:22歳。一見すると双子に見えるが双子ではでない。アコナイトの部化として仕え、研究所に忍び込んできたドラたちをモニターで監視しながら、数々のトラップで嵌めようとした。弟のトミーはかなりの変態で、操られていた時の茜の着替えや入浴を隠れて覗いており、戦闘の最中も彼女の胸を鷲掴みにしていた。兄弟の絆は固く、合図を送らずともお互いの考えが手に取るようにわかり、写ノ神と茜を苦しめた。
最後は『光(ディバイン)』の特殊魂札(スペシャルソウルカード)を使った効果でパワーアップした写ノ神と茜の攻撃を受け、茜によって股間を踏みつぶされ昏倒するという最も悲惨な目に合う。
能力
生体融合(クリーチュアリング)
ミトラ兄弟に掛け合わされた動物は、カンガルー。非常に強靭な脚力を手に入れ、ジャンプ力にも優れ、身軽な動きが可能となる。
技
喧嘩独楽(けんかごま)
息の合ったコンビネーションで、兄弟同時に回し蹴りを叩きこむ。
アロガンス・ベルセルク
声:大友龍三郎
身長218cm 体重105kg 型 1570年10月7日生まれ 土佐藩出身
33歳(1603年)。一人称は「俺」。アコナイトに仕える幹部のひとり、オリハルコンの部下。
怪力の持ち主で、かなりの巨漢を誇る。旧名は大渡六助。元々土佐藩の隠密だったが、徳川幕府反旗の機会を調査する目的で江戸へと侵入した際にアコナイトに倒され、それを機にアコナイトに忠誠を誓う。元々筋力に恵まれており、それをGMS理論に基づく秘薬によって強化した。アロガンスの肉体にはサイとワニの能力が掛け合わされているため、単身での殲滅戦に秀でている。
温泉に居たドラを夜襲し、オリハルコンや茜と共にドラを迎え撃つが、事態に気がついた幸吉郎たちの協力もあり、最後は駱太郎の崩壊の力で腕を絶縁体に変えられ、殴り倒される。
名前の由来は、傲慢を意味する英語の「arrogance」から。
能力
生体融合(クリーチュアリング)
アロガンスに掛け合わされた動物は、シロサイとイリエワニ。サイのように固い皮膚と破壊力抜群の突進力で相手を一網打尽にするだけでなく、ガントレットに改造したワニの頭部はダイヤモンドをも軽々と砕き割る。
次回予告
ド「ゴールデンウィークに旅行したい人の気が知れない!なんていいながらも結局家族ぐるみでオイラたちもキャンプに出掛ける事となった」
「湖で魚釣りをしていた時だった。釣れた獲物がとにかくでっかかった。何せ体長十数メートルもある巨大な怪物が釣れるとは思いもよらなかったもん」
「次回、『白亜紀からこんにちは』。お察しの通り次のテーマは恐竜だ!!オイラ、ワクワクっすっぞ!!」