【凍結中】亡霊の軌跡   作:機甲の拳を突き上げる

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1話 D∴G教団

「がっ……くそ……」

 

頭が突き刺すような頭痛に酷い倦怠感、吐き気も感じながらも、体をのそりと無理やり起き上がらせる

 

「まさか生き残るとはな……つくづく悪運が強いのか悪いのか……」

 

生き残れたことを幸運に感じていたミッチェルは顔を上げた……そしてその光景に激しい疑問を感じた

 

見渡す限りの木々に空には月が浮かんでいる。先ほどまでいた戦場はメキシコの国境近くであり、廃工場の屋上であるはずであった

 

回収部隊に回収されたのかと一瞬考えたが、それを否定した。どこかの薬品臭いベッドの上ならともかく緑の匂いが漂う森の中では回収してもらったにしては余りにも不自然なのだから

 

「いったいどうなっている……」

 

ミッチェルは直ぐに無線を手に取る

 

≪こちらゴースト、将軍聞こえますか?≫

 

無線から聞こえるのは将軍の安堵した声ではなくノイズの音だけであった

 

≪将軍!将軍!クソ、ラミレス!聞こえるか!ノーラン!マーカス!≫

 

自分の信頼する部下に呼びかけるが、聞こえてくるのはノイズだけであった

 

その事態にミッチェルは慌てることなく、まずは冷静になることにした。これも訓練と数多くの戦場で培った力の1つだ。「常に冷静な判断を忘れるな。しかし、行動は大胆に」これを自分の尊敬していた隊長から教わったことである。これをミッチェルは忠実に守っていた

 

なにか手掛りはないかと辺りや身の回りの物を探っていると、HUDの中に音声ファイルがあった

 

≪大尉、将軍から君のことを聞いた。ゴーストにしかできない任務を成功させたそうだな、君は自らの命を犠牲にして祖国を守ってくれた。ありがとう大尉、君の勇気ある行動に対して全国民を代表して感謝する≫

 

その音声ファイルは大統領からの感謝の言葉だった。それを聞き、核発射を完全に阻止できたのだと一先ずホッとした

 

とりあえず行動に移そうと銃器を確認していく。殆どの弾薬を消費したはずなのだが、マグポーチには弾が入ったマガジンがしっかりあり、使い切ったはずのミサイルまであった

 

何故かは分からないが、冷静に銃器の点検を行う。SCAR、ZEUS T2、Px4……全ての銃火器の点検を終える。不調な所は無く、整備したてのように完璧だった

 

「とりあえず、人を探すとしよう」

 

暗闇の森の中を歩くのは危険だが、ミッチェルはサーマルを起動させとりあえず北を目指して歩いた

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

歩き始めて45分、森の中を行軍しながら今の状況を整理していた。夜の寒さから気候は秋から冬、HUDの外気温度は最低で10度。近くにある木も葉も見たことのない種類であり、GPSのリンクもオフラインのままである

 

GPSがオフラインであることからここは衛星との通信が行えないとなるが、それはありえないはずだった。アメリカ固有のGPS衛星が30以上地球を周り続けているのだから通信できないということは本来ありえない事態である

 

この奇妙な事態も相まってミッチェルも少々混乱していた。現在地が何処の国なのかが分からなければ状況の進展もないと結論し、一先ずGPS等の事態を置いといた

 

するとサーマルに熱源を見つけ、そこには小屋と小屋の前に一人だけ立っていた。サーマルからナイトビジョンに切り替え状況を確認した、そしてミッチェルは警戒を高めた

 

小屋の前に立っている男が持っているものが銃であったからだ。見た限りでは小銃であり、小屋の中にも複数人いるのも確認できる。どこの国かは分からないが、下手に武力衝突したら国際問題になるだろう

 

だが、彼はゴースト……そこにいるはずのない亡霊である。政府から国外での武力介入認められている。なぜなら、彼らはそこにいないからだ(・・・・・・)

 

しかし、ミッチェルは誰これ構わず殺すような男ではない。さらに情報を集めようと、小屋の裏側に回りサプレッサーを装備したPx4を手にしている。光が漏れている窓から内部を確認する

 

そこには椅子に座って雑談している2人の男がおり、机の上には銃と剣が置かれている。この時代にマチェットやナイフではなく剣を使うのかと思いながら大体の作戦を決めていた

 

服装はどうみても正規軍ではなく、PMCにも見えない。民兵かテロリストのどちらかではないかとミッチェルは考え作戦の手順を決めた

 

「ふわぁ~……たく、暇でしかないぜ」

 

小屋の入口で歩哨していた男が欠伸をしながら目元の涙を拭った。ここが大事なのも分かるがこれだけ暇なのも辛いと男が思っていると……角の方で声が聞こえた

 

「なんだ?」

 

部屋の中ではなく角なのが不審に思い、担いでいた銃を構え警戒しながら近づく

 

「おい!誰かいるの……ムグッ!」

 

角に近づいたところで誰かに手を引っ張られ、口を押えられながら男が拘束された。拘束したのはミッチェルであり、なるべく死人を出さないように制圧する考えだった

 

拘束した男の鳩尾に渾身の一撃を食らわせ気絶させる。中の連中は気付いた様子はなかった。足音をたてずに入口の近くに張り付くと、入口のドアをあけた

 

「ん?どうした?」

 

歩哨が中に入ってきたのだと思ったが、だれもいないのに首を傾げ、自分の獲物を手にとった

 

「おい、どうした?」

 

剣を手にした男が入口に近づいて様子を見に行った、すると先ほどと同じように拘束からの気絶コンボを食らわした

 

「で、出てこい!いるのは分かってるんだ!」

 

この小屋の近くに敵がいるのを認識した最後の1人が入口に銃口を向け吠える。正面からくると思い込んでおり、冷や汗を流しながら目の前に集中していた……それが敗北の原因だった

 

窓を突き破ってミッェルが内部へ突入した。窓を突き破ってくると思っていなかった男はそれに度胆が抜かれ、体が硬直した。その隙に銃を叩き落とし男を組み伏せ後頭部に銃口を突きつけた

 

「素直に答えれば殺しはしない。まずお前たちは何者だ?」

 

武器をもった男達が何者かを尋ねる。言葉が通じるか不安であったが

 

「くそっ!貴様も空の女神(エイドス)に誑かされた者か!」

 

拘束された男が叫ぶ。どうやら言葉が通じることに内心で一安心するが、表情にはださない

 

「エイドスなんてものは知らん。もう一度訪ねる、お前たちは何者だ?」

 

再び質問をするが

 

「黙れ!貴様と会話する口など持たん!」

 

どうも自分の立場が分かっていない様子だった。ミッチェルは男の頭を掴み、壁に力いっぱいブツけた。それに鼻血を出して悶える男を拘束し銃を突きつける

 

「これが最後だ」

 

そういうと男が喋り出す

 

「わ、分かった!言う!ここは『D∴G教団』の『楽天地』だ!」

 

男が言う単語にミッチェルは聞き覚えなどなかった

 

「そのD∴G教団とはなんだ」

 

教団と言うからにはどこかの宗教団体であると考えていると

 

「D∴G教団は真実を教えとく崇高な組織だ!七曜教会のエイドスなどの甘言に誑かされた者達を救い、『儀式』により高みの存在へとなるのだ!」

 

その言葉からカルト教団である可能性が高いと考えていると

 

「では『儀式』とはなんだ?」

 

それを尋ねるが、男は黙って喋らない。再び頭を掴み、今度は机にブツけ、その反動で顔が上がった所に殴る。顔を腫らし口と鼻から血を流しながら、悲鳴を上げる男を拘束し銃を突きつけると再び喋り出した

 

「ぎ、『儀式』とは人を高みへと導くための実験だ!子供に人体実験を行い、より高みへ目指す改良が行われている!」

 

それにミッチェルは一気に怒りを感じた。子供を人体実験の被検体にしているというのだ

 

「貴様……それで何人の子供が死んだんだ!」

 

男の胸ぐらを掴み上げる、すると男は口元に笑みを浮かべ

 

「多少の犠牲はしかたない、高みへと導く尊い犠牲なのだ。それに、高みへと導く礎となることは名誉だ」

 

この男は狂っている。そう、ミッチェルは理解した。だが、ここで殺すわけにもいかなかった

 

「では、その入口はどこにある」

 

怒りに燃えていても、頭は冷静にさせ再び質問をする。笑ったまま何も言わない男に対して、ミッチェルはガラスが散乱している床に顔を叩きつけ、その上から踏みつけた。男の顔に裂傷が多数つけられ、悲鳴を上げるが、ミッチェルは男を掴みあげる

 

「言え!入口はどこにある!」

 

声を強くし言うと、男は床を指差した。そこに放り投げると

 

「開けろ」

 

ただ一言言う。それに従い、男は床の扉を開けた。其処には地下へと続く階段が伸びていた

 

「ゆ、言う通りに従った!だから命だけ……ブワッ!」

 

男が言い切る前にミッチェルは男の顔面に蹴りを食らわせた。吹き飛ばされた男は頭が壁にぶつかり、その場で気絶した。男が動かないのを確認したミッチェルはPx4をホルスターにしまい、SCARを構えながら地下へと降りて行った

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

地下を進んで行くと、研究所っぽい見た目であり、一部屋ずつクリアリングしていく。部屋の中にコンピューターを見つけて調べてみるも、破損が酷く文章が読めないことで一時放置し、先に生存者を探した。子供を人体実験に使うと言っていたことから誘拐された子供がどこかにいるはずだ。と、考えていたミッチェルは一部屋ずつ確認していた

 

すると、目の前から見たこともない獣が現れる。明らかに此方に敵意を向けているのが理解でき、一匹に照準を合わす。すると、獣がミッチェルに向かって襲い掛かってきた。ミッチェルは慌てずに一匹の頭をダブルタップで撃ち貫き排除、残り2体の内もう一匹を撃ち殺すが、最後の一匹が飛びかかってきた。だがその獣の首を掴むと地面に叩きつけ、腰のMOLLシステムに装備してあるカランビットを抜き、首を掻っ切った

 

無傷で3匹を無力化すると、目の前の掻っ切った獣の死体が消え、代わりに宝石のような物が落ちてあった。死体が消えた事に驚きながらも撃ち殺した獣の方を向いても同じ現象が起きていた。目の前に落ちている宝石は黒や銀に赤といった多種多様であり、念の為にミッチェルは宝石を回収しておいた

 

先へ進むミッチェルを邪魔するかのように襲ってくる獣モドキや敵の構成員がいたが、その障害を難なく排除していったミッチェルは少し焦りを感じていた

 

「(かなりの部屋を確認したが、子供達の姿が見当たらない。これは……手遅れの可能性もあるか)」

 

この研究所らしき場所に来て、捜しているが一向に子供達の姿が影も形もなかった。既に実験に使われ死んだか処分されたのではないかと言う考えが脳裏をよぎるが、最後まで諦めずに調べていく

 

そこから探すも、出てくるのは獣モドキと箱の中に入った宝石のようなのと薬であった。薬はサンプル用に少数だけ入手していた。研究所の奥の方まで来たなと感じながらも扉を開け、中を警戒しながらクリアリングしていく左右に敵なし、奥にも敵の姿なしを確認すると、改めて部屋を調べていく

 

この部屋にはベッドが敷き詰められていた。明らかに多くの人間を寝かす場所であることは明白であり、少し期待がでてくる。だが、どのベッドにも人の姿はなく脇などを調べていく。すると、一番奥の方で何かが動く気配がした。ミッチェルは銃口を気配のした方に向け、ゆっくりと進んで行く。一番端っこのベッドに付き、素早く脇を確認した

 

すると、その場所にいたのは紫の髪の少女と青い髪の少女がいた。生存者がいたことに一安心するが、明らかに紫の髪の少女が警戒をしていた。ミッチェルは銃を下し、屈んだ

 

「私は君たちの敵ではない。助けに来た」

 

なるべく安心させようとぎこちない笑顔を作るが、紫の髪の少女は警戒を解かない

 

「……自分の名前を言えない人は信用できないわ」

 

そう言い、ミッチェルは驚いた。まだ幼いのに随分としっかりした子なのだと

 

「それは失礼した。私はスコット・ミッチェル、軍人だ」

 

自分の名前を名乗ると幾分か紫の髪の少女の警戒心が下がる

 

「……レンよ」

 

紫の髪の少女はレンと名乗る。ミッチェルはレンに近づき頭を撫でる

 

「よく無事だった。怖かっただろうに、よく頑張った」

 

いくらレンがしっかりしているとは言え、まだまだ幼い少女には変わらない。こんな場所に閉じ込められ、後ろにいる青い髪の少女を守っていたのだろう。それに頭を撫で安心させると、レンもミッチェルがここの人間でないと感じ、涙を流して抱きついた

 

声を押えながらなくレンの頭を撫でながら、青い髪の少女の状態を確認する

 

「君も大丈夫か?自分の名前は言えるか?」

 

だが、青い髪の少女はどこか心ここに有らずの状態でボーッとしている

 

「……ティオ……」

 

自分の名を言うが、それでも意識が朦朧としているような状態であった。ミッチェルはティオが何らかの薬物を投与されたのだと考え、一刻も早く搬送する必要があると判断する。だが、そう簡単にいきそうになかった

 

部屋の外から歩いてくる音が聞こえてくる。それに気づいたミッチェルが直ぐに銃を手に持つ

 

「ここでジッとしていなさい。何があっても声を上げてはダメだぞ」

 

真剣な表情でレンに言うと、レンは頷いた。ドアを開け誰かが入ってくる音がする、足音からして三人と判断したミッチェルは静かにSCARからPx4へと持ち替えた。一人が近くに寄ってくるのが足音で分かり、タイミングを計る後五歩……後三歩と間近に迫るその時、ミッチェルが行動に移した

 

傍に来た奴の腕を掴み後ろに回して後頭部に銃を突きつける

 

「全員動くな」

 

拘束した男の陰に隠れながら状況を把握していく。目の前に二人、若く日本刀らしき物を持ってるのが一人とショットガンを持った中年が一人。中年の方は防弾チョッキらしきものを着ていると情報を取得していく

 

「ぐっ!……放せ!」

 

男が拘束から逃れようともがくが、更に肩の関節を決めて動きを封じ込める。目の前の男達も仲間を人質に取られたのか、動きを見せなかった

 

「質問だ。お前達は何者だ?」

 

まず何者かを確かめた。この三人は排除してきた構成員と同じように見えなかったのだ

 

「……俺たちはクロスベル警察の者だ」

 

中年の男が質問に答える。ここが違法研究所であると知っているミッチェルが警察の人間が現れたのは別に不思議では無いと思っていた。だが、それにしては数が少なすぎるとも考えていた

 

これほど大きな研究施設ならもっと大多数の警察官が押し寄せても不思議ではない、にも関わらず目の前の二人は応援要請をしようともしなかった

 

「その証拠は?」

 

だかこそ、まだこの三人を疑って掛かるミッチェル。すると中年の男が一冊の手帳を取り出した、その手帳の表紙にはC.P.Dと書かれた星がトレードマークの紋章が描かれており、少なくともすぐに取り出した所を見ると警察の人間である可能性も考慮しだす

 

「で、その警察が何故こんな場所にいる」

 

その理由は大体分かるが、あえて問うと

 

「ここにいる教団の連中を逮捕しに来たからに決まってるだろ!」

 

拘束した男が言う。どうも熱血漢っぽいなとミッチェルが思いながらも気を引き締める

 

「お前達がその教団の人間でない証拠はあるのか?」

 

再び問いを投げかけると

 

「逆にお前が教団でない証拠があるのか?」

 

中年の男が聞き返してくる。若い男が腰にある刀に手を少しずつ近づけていくのをミッチェルが見ていると

 

「……俺はこの場所がどの国でどんな場所なのかも知らん。唯一分かっているのは、ここの連中がカルト集団で子供を誘拐し人体実験をしてることぐらいだ」

 

此方の情報をある程度話す、すると目の前の二人も少し警戒度を上げる

 

「……嘘をつくなら、もう少しマシな嘘を言いな」

 

中年の男がゆっくりとショットガンを持ち上げていく。ミッチェルは仕方なく、後頭部から側頭部に銃を突き付けて相手にも見えるようにする。すると持ち上げようとしていた手が止まる。二人とも脅しが本気であると感じたのだろう

 

「残念ながら事実だ。俺はここの連中が言っていたエイドスとやらを知らん」

 

その言葉を聞くと、目の前の2人が驚いた顔をする

 

空の女神(エイドス)を知らないだと?日曜学校に行っていないのか?」

 

中年の男が訪ねてくるが

 

「エイドスと言う名はしらん、どこかの神話の女神か?それと、日曜学校と言うのも知らん。小学校か中学校の名前か?」

 

ミッチェルの回答にとうとう二人と拘束した一人が混乱しだす

 

「日曜学校って言ったら、七曜教会が勉強を教えている所だぞ?そんな当たり前のことを知らないのか?」

 

拘束した男が不思議そうに聞いてくるが

 

「知らん。七曜教会と言うのも知らないし、俺が知っている教会はキリスト教会ぐらいだ」

 

まったく知らない名前を出されて双方共に話が進まなかった

 

「……お前、いったいどこ出身だ?」

 

中年の男がミッチェルにとってかなり重要な質問をしてくる。これは一種の賭けであった

 

「……アメリカ合衆国だ」

 

普通なら名乗るはずがない、何故ならどこの組織の者かを相手に教える行為であるからだ。だがミッチェルは敢えて言う……すると

 

「アメリカ合衆国だと?聞いたことの無い国だ」

 

若い男がそう言うと流石のミッチェルも混乱する。世界で1,2を争う大国であるアメリカ合衆国を知らないと言うのだ。こればかりはミッチェルもどうするか判断に迷い

 

「レン……来てくれ」

 

最終手段を使うことにした。ベッドの陰からレンが出てくると男達が驚く

 

「レン、この研究所で彼らを見たことは?」

 

聡明なレンなら研究所の人間かどうか見て判断できると考えたのだ

 

「いいえ、この人達は見たことないわ」

 

そのレンの言葉にミッシェルは少し考え……男の拘束を解いた

 

「……どう言うつもりだ?」

 

中年の男がショットガンの銃口を向けてくるが

 

「こちらに敵対意志は無い。それと、俺はここの研究員や構成員でもない」

 

そう言いながらPx4をホルスターにしまい、ベッドの陰に隠れていたティオを持ち上げた。ティオの嫌がった様子もなければ、レンもミッチェルを嫌っている風にも見えず、とりあえず男達は武器を下した

 

「お前、名は?」

 

中年の男が煙草に火を付けながら聞くと

 

「スコット・ミッチェル。軍人だ」

 

本当なら武力介入している地で自分の名を言うのは禁じられているのだが、少しでも信用を得るために自分の名前を言った

 

その姿恰好に、先ほどの動きを見たら納得してしまう所があるなと男達は思った

 

「俺はセルゲイ。こっちの長髪はアリオスで、そっちの茶髪はガイだ」

 

セルゲイが指さしながら部下を紹介していく

 

「ガイと言ったか、先ほどの行動を一応謝罪しておく」

 

ミッチェルはガイに近づきながら謝罪すると

 

「大丈夫だ。お互い疑ってた所もあったし、怪我もしてねぇし問題ねぇ」

 

そう笑顔で答える。それに関係が悪化することがないようなので一安心するミッチェル

 

「あと、この子が薬物投与された可能性がある。恐らく人体実験の被検体になった可能性も高い」

 

そういうとセルゲイ達の表情が真剣になる。生存者が見つかったのは幸いだが、危険な状態かもしれないと言われたのだ

 

「レン、君も大丈夫なのか?」

 

ミッチェルが普通に歩いているレンに尋ねると

 

「えぇ、大丈夫よ。そう……大丈夫……大丈夫……」

 

と呟くように言い、身体を震わせ自分自身を抱きしめる。それを見たミッチェルは危険と判断し、持ち上げた

 

「きゃっ!」

 

突然持ち上げられたレンは可愛らしい悲鳴を上げる

 

「じっとしていろ。すぐにここから出してやる」

 

誰かに持ち上げられ、温かい言葉を掛けられたのが相当久しぶりのレンはどこか安心し身体の震えが止まっていた

 

「大丈夫……うん、大丈夫。自分で歩けるわスコット」

 

レンがミッチェルの方を向いて言う。確かに先ほどに比べて落ち着いているが、どうするべきかを悩むと

 

「俺が面倒を見る。お前は自分のことに集中しろ」

 

セルゲイがミッチェルにレンを預かるといい、少し考えレンを預けた。地面にしっかりと立つレンを確認してから、ティオをしっかりと抱え、Px4を抜いて警戒しながら部屋をでた

 




さて少し補足を

D∴G教団の『楽天地』とは研究施設と原作の『楽園』を一緒に行っている一大拠点のことであり、オリジナルの拠点です

いろいろの原作の時系列等を改変してしまってますが、注意事項の通り嫌悪感を感じた人は回れ右でお願いします。

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