【凍結中】亡霊の軌跡   作:機甲の拳を突き上げる

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善も悪も、生も死も越えたところを
淡々と歩いてきた。

幸も不幸もない。喜びも悲しみもない。

白と黒が私を切り裂いて、天と地が私を嬲って。

どこから始まってどこで終わるのか。

私はどこにも属さない。
私は歩んではいないのだ。

ただ、世界が回っていた。

私の知らないところで、世界だけが……


18話 真実

泣き崩れていたレンとコリンを抱き上げ、一同は支援課へと向かう。

 

支援課に到着すると、コリンをロイド達に預けミッチェルはレンを自分の自室へと連れてきた。ベッドに座らせると、湯を沸かし飲み物の用意を始める。

 

「……」

 

その間レンは一言も喋らずに俯いたままであった。あの、明るい雰囲気が完全になく唯々俯くばかりであった。

 

「レンはココアでよかったな?」

 

そんな重苦しい雰囲気など関係ないかのようにココアとカフェオレを入れたマグカップを持ち、サイドテーブルに置く。俯くレンの頬に手をやり、目線を合わせた。その眼には今だ涙を溜めており、その涙をミッチェルがすくう。

 

「温かく甘いものは心を穏やかにする。ミルクもたっぷりと入れてある」

 

サイドテーブルに置いたココアをレンに差し出す、その時のミッチェルの顔を安心させるような笑みを浮かべていた。それを見たレンはおずおずとココアを受け取り、口を付ける。それを見たミッチェルは自分も淹れたカフェオレを飲む。その時もレンの頭を撫でて落ち着かせていた。

 

「……レン、話して……くれるか?」

 

ココアを飲み多少は落ち着いたレンの隣に座り尋ねると、レンは少し間を置き、頷いた。

 

「話すわ……全部。何があったのかを……」

 

連れ去られたレンにあった出来事を……ミッチェルは真剣に聞いた。あの連れ去った男、レーヴェ……レオンハルトと名乗ったあの男が連れ去った場所は秘密結社『身喰らう蛇(ウロボロス)』と言う名の組織に連れていかれたと言う。そこで戦闘・座学・精神などの様々な訓練をおこない、その全てに瞬く間に適応し、己を昇華させていったと言う。その適応力から『あらゆる周囲の状況に対応できる天才』だと言わしめた。

 

「その中で私に目を付けたのが博士だったの」

 

博士……結社の技術所である『十三工房』の所長であるという。その人物がレンの適応性に目を付け、巨大兵器の操縦候補者として連れて行った。その巨大兵器は被験者が何名もの命を落とすような危険な接続実験だったらしく、それを聞いたミッチェルが拳を握りしめた。

 

「でもレンには適正があって、死なずに正式な操縦者としてなったの」

 

握りしめるミッチェルの拳に手を置いて、笑いかける。その笑みを無理をしたような笑みではあり、ミッチェルも自分の心を落ち着かせた。

 

「すまない、話の続きを」

 

それにレンが頷き、話を進める。その巨大兵器の操縦者となったレンは、結社でも指折りの戦闘員としての称号・執行者(レギオン)の地位に就き、執行者No.XV『殲滅天使』となり、様々な任務で多くの人を殺し、博士号を持っており論文も出していると説明していく。

 

「博士号とは……レン、その結社の組織構造はしっているか?」

 

博士号をもって論文を書いてるのに驚いたり、様々な人を殺してきたと言うレンにミッチェルは悲痛な思いをしていた、だがそれとは別に結社『身を食らう蛇』が想像以上の巨大組織であることを理解し、直ぐに情報収集につとめたのだ。

 

「えぇ、しってるわ」

 

レンが言うには『盟主(グランドマスター)』を頭に幹部クラスである『蛇の使徒(アンギス)』が7柱おり、その下に執行者がおり、そこから下は多くの構成員で構成されており、その技術力も数歩先をいくレベルとのことだ。更に執行者に関してはレンの知る限りの人物名も話してくれた。

 

「まさか……そこまでの巨大組織が」

 

いままでルーチェなどのマフィアに四苦八苦していたが、それが赤子の様に見える組織力にミッチェルは絶句であった。幸いに敵対関係でもなく、結社はこちらの存在など露知らずであり、先にその存在を認識できたのは大きかった。

 

「……所でだ、レン。君の親についてなのだが」

 

ミッチェルはレンの父母であるハロルド夫妻について尋ねようとした。コリンの行方不明の際の取り乱しようから、訳ありであるとは考えていた……だが

 

「えぇ、パテル=マテル(パパとママ)のことね」

 

笑顔で答えるレンにミッチェルは違和感を覚えた。パパとママと言ったが、その話してる内容はハロルド夫妻でなく先程の話ででた巨大兵器についての話ばかりであった。それを嬉しそうに話すレンの内側に潜む狂気にミッチェルは息を飲んだ。

 

「いや、君を生んでくれた両親についてだ」

 

だが、その闇にミッチェルが踏み込んだ。それにレンの表情が無くなり

 

「知らないわ、そんな偽物なんて」

 

体の奥底から凍えるかのような声色で言うレン。それには、ミッチェルも冷や汗を流す程だった。その闇は想像以上の深さだったのだ。

 

「だが、君はコリン君を助けた」

 

そんな闇にも臆することもなく踏み込むのを止めない。

 

「それは……」

 

言い淀むレンに、ミッチェルがレンの頭を撫でながら

 

「君に深く傷ついた過去があるのは分かった。それは君を救えなかった私の責任だ」

 

そういうミッチェルに反論しようとするレンだが、それをミッチェルが止める。

 

「だが、真実はどうだろうか?君が何を見て、何を感じて、両親を偽物と呼ぶかは分からない。だが、真実を知るチャンスがある……真実を知ってから偽物呼ばわりしても遅くはないのではないか?」

 

それにレンは俯く。憎いと思っている家族を助け、涙を流すのだから。まだ、彼女の心の闇を払うチャンスがあると。

 

「ねぇ、スコット……貴方も教えて。貴方が何者なのかを」

 

すると、顔を上げたレンは不安そうにミッチェルに尋ねてきた。

 

「レンが執行者になって、結社の力を使ってスコットを捜したわ。でも、影も形も情報は入ってこなかった……肩にあった骸骨のマークと雷に剣のワッペン、アメリカと言う名の国の軍人であることは覚えていたわ。でも、見つからなかった……」

 

レンが再び顔を俯かせ、体が微かに震えていた。

 

「だから教えてスコット……貴方は一体だれなの?」

 

眼尻に涙を溜めて尋ねるレン。それにミッチェルは悩んだ、自分が異世界の人間であると言うべきか否かを。僅かの沈黙の後にミッチェルは溜息をつく。

 

「……このことは他言無用にできるか?」

 

そう尋ねると、レンは笑みを浮かべて頷いた。同じ仲間であるロイド達にすら話したことのない真実を話すことに決めたのだ。

 

「私はスコット・ミッチェル、アメリカ合衆国陸軍、第7特殊部隊所属の軍人だ」

 

自分は異なる世界の人間であり、大統領の命を受け、大量破壊兵器の排除のためタイムリミット72時間の間に戦場を駆け抜け、部下と共に命をかけて作戦に成功させたことを。

 

「爆風で吹き飛ばされ、気を失い、目が覚めると森の中だった」

 

そして初めてこの世界で目覚め、あの違法研究所入り口や内部での戦闘、初めて出会った所まで話す。そしてレンが攫われた時には激しい頭痛で気を失い、目が覚めたのが約2ヶ月前であると話した。

 

「そして、今に至る。これで全部だ、この話を信じるか?」

 

異世界の軍人で突然この世界にきて、レンとティオを救い、また気を失って目覚めると7年後であると言うのだから、普通なら病院に連れていくか、愚弄しているのかと怒る処であるが。

 

「えぇ、信じるわ。だってスコットの言うことですもの」

 

疑いもなく笑みを浮かべて信じると言うレンに、ミッチェルも笑みを浮かべて頭を撫でた。

 

「でも、本当は37歳のおじ様なんて思いもしなかったわ」

 

そう笑うながらレンが言う。元は37歳であることも言い、見た目が18歳の青年でもあって、そのギャップにレンが笑いを零したのだ。

 

「それはなぁ……私も戸惑ったさ」

 

それに困ったような表情を浮かべて溜息を零すミッチェル。すると、ドアがノックされ。

 

「スコットさん、ハロルドさん達が来ました」

 

ティオがハロルド夫妻が来たことを連絡しにきたのだ。それにレンがビクンッと体を震わせた。

 

「分かった、直ぐに向かう」

 

そうミッチェルが言うと、ティオが部屋の前から離れていくのを確認し、クローゼットの中に入れてあるバックパックからある物をとりだした。

 

「レン、これを」

 

それをレンに手渡す、レンはそれに首を傾げ。

 

「これは?」

 

手渡された物を尋ねるが。

 

「真実を知るための道具だ、ここで待っていなさい」

 

そう言い、ミッチェルは部屋をでた。コリンのいるロイドの部屋の中へと入ると、コリンの無事な姿に涙を流して喜ぶハロルド夫妻の姿があった。

 

「(スコット、レンちゃんは?)」

 

一人だけ入ってきたミッチェルにレンのことを小声で尋ねるエリィだが。

 

「(部屋に置いてきた)」

 

そう言って手に持った物を見せた。それに何か事情があるなとロイド達は感じた。

 

「皆さん、本当にありがとうございました。何とお礼を言ったらいいか……この御恩は決して忘れません!」

 

深々と頭を下げながら感謝の言葉を述べるハロルド

 

「そんな!どうか頭を上げてください!」

 

それに驚きながらもロイドが頭を上げるように言い、エリィや他のメンバーもただ捜索しただけだという。

 

「いいえ!いいえ!皆さんが見つけてくれなかったら、コリンは……この子は……」

 

ソフィアが悲痛な顔をし、涙を流して息子の無事に安堵した。

 

「本当に……本当によかった」

 

ハロルドもつられるように涙を流し笑みを浮かべていた。

 

「ふむ……」

 

その様子にランディが疑問に感じ、その疑問は支援課全員が思っていた。子供が大事であるとは分かるが、その喜びようが、余りにも鬼気迫るものを感じていたからだ。

 

「ん……」

 

すると、コリンが目を覚まし、目をこすりながら部屋を見回す。

 

「あれぇ?どうしてパパとママがいるのぉ~?」

 

目の前のハロルドとソフィアの姿に首を傾げると、ハロルドは笑みを浮かべて抱きしめる。

 

「良かった……本当に!ダメだぞ、ママたちに心配をかけたら」

 

そう優しく頭を撫でて注意をするハロルドに。

 

「あのね、あのね~!とってもたのしかったのー!」

 

そんな心配とは裏腹に、あの出来事を楽しかったというコリン。それにはミッチェル達も苦笑いを浮かべていた。

 

「みっしぃのクルマを追いかけて、知らないトモダチもいっぱいできて!かくれんぼしてたらニモツばっかりのクルマにのったらまっくらで~!おそとにでたらキレイなチョウチョウみつけて」

 

これまでの出来事を嬉しそうに語り、ハロルド達もそれを笑みを浮かべて聞いていた。すると、コリンは頭を傾げて。

 

「あれぇ?スミレ色のおねえちゃんは~?」

 

目的の人物がいないのに気付き、コリンが尋ねた。それにハロルド達も頭を傾げた。

 

「あのね!あのね!とってもつよかったのー!やさしくっていいにおいがして……それでね!パパとおんなじスミレ色のカミをしてたんだよ~!?」

 

その説明にハロルド達が度肝を抜かれたかのような表情をした。

 

「あ、あの!その娘は今どこに!」

 

ハロルドがロイド達に説明を求めると。

 

「申し訳ありません、共にハロルドさん達に会わないかと誘ったのですが、どうやら用事があるようで、すぐに去ってしまいました。身元も判らないままで」

 

咄嗟にミッチェルが嘘の説明を言った。それにハロルド達は信じられない表情をしていた。

 

「おねえちゃん……また会いたいなぁ……そしたらもういちど……あそんでもらって……むにゃ」

 

するとコリンが再び寝てしまい、ソフィアがコリンの頭を優しく、ゆっくりと撫でた。

 

「本当にありがとうございます。しかし……私と同じ髪の色の娘さんか……」

 

再び礼を言うハロルドは同じ髪の少女に思い更けていた。

 

「これも女神とあの子のお導きかもしれないな……」

 

ひどく悲しい笑みを浮かべて言うハロルドにソフィアも頷いた。

 

「どうやら、深い事情があるようですね」

 

ミッチェルの言葉にハロルドは少し戸惑ったが、ソフィアが静かに頷き、ハロルドはミッチェル達の方を向いた。

 

「……私たち夫婦には、かつて娘が一人いました。もう7年以上前のことです」

 

いた、その言葉は過去形であり、どういう意味であるかを察したミッチェル達。

 

「不幸な事故……いえ、事故ではありませんね。あの子は……私たちは殺したようなものだったんです」

 

ハロルドの言葉に、エリィやティオが息を飲み、ロイドにランディやミッチェルも真剣な表情になる。

 

「あれは8年前でした……」

 

駆け出しの貿易商だったハロルドは拡大するクロスベルの貿易市場で何とか勝ち残ることに必死であった。その結果、共和国方面の危険な相場に手を出し、多額の債務を負う事になった。

 

「幼い娘を連れながらの逃亡生活……逃げども逃げども債権者に追われ、安住の地がありませんでした。このままでは悪名高いマフィアも出張ってくるのを恐れ、娘を信頼できる友人に預けました」

 

その友人がいる場所はカルバート共和国であると言い、全ての借金を片付け、完全に身綺麗にしてから娘を迎えに来るつもりだった。そこから頼りになる先生の助言を請い、債務を整理し、ツテやコネを生かして事業を立て直し、死にもの狂いで働いた。そこから1年で借金の全額返済に成功した……だが。

 

「これでやっと娘に会える……また一家3人でくらすことができる……そう思って、娘を預けた友人の元を訪ねたら……」

 

ハロルドが手で顔を覆い、その声も震えていた。

 

「……不審火、だったそうです」

 

その言葉にエリィは口元を抑え、ロイドも目を見開いて驚いた声を出す。

 

「その頃、組織だった放火強盗事件が共和国方面で頻発していたらしく……私の友人宅も、その被害に遭いました。友人宅は郊外にあったため、当局による発見も遅れて……そして、預けていた私達の娘もそれに巻き込まれていました」

 

そこからハロルド達じゃ半狂乱になって娘を捜した。だが、遺体の状況が酷く……結局、家にいた全員が亡くなったという検視結果が現実となった。何物にも替えがたい娘と言う大切な宝物は永遠に失われてしまったのだ。

 

「もう……私達には絶望しか残りませんでした」

 

自分の娘を死の運命に追いやるながら、何のために生きているのか分からず、夫婦二人で心中しようかとまで考えていたのだ。

 

「ですが、わかったんです。妻がコリンを……あの子の弟を身篭っていることが。現金なもので、それが判ってから私達は生きる気力を取り戻しました」

 

二度と失敗しないように、手堅く誠実な商売だけを心に誓い、コリンが生まれたことでハロルド夫婦は徐々に立ち直っていった。

 

「ですがその間、私達は目をそらし続けていたんです……自分達の不甲斐なさのせいで娘を亡くしてしまった痛みから……私達が犯してしまった罪から」

 

涙を流し自分に言い聞かせるかのように言うハロルドに、涙を流し悲しみに暮れるソフィア。

 

「これが……私たち夫婦が背負った罪です」

 

話が終わると、エリィやティオは悲痛な表情を浮かべ、ロイドとランディは何とも言いきれない表情をしていた。ミッチェルも冷静にいながらも心の中では放火犯と違法研究所の連中に猛火の如く怒りを抱いていた。

 

「ですが……この子が大きくなり、娘の面影を次第に見せるようになるにつれ……いつしか私達は罪悪感に苛まれるようになりました。あの小さな手を……手放さなければよかったと」

 

懺悔をするかのように重く苦しそうに言うソフィア。

 

「苦しくても、辛くても親子で一緒にいればよかった……そう後悔ばかりをするようになっていったんです」

 

泣きながら言うソフィアは、その後悔に蝕まれた姿を露わにしていた。

 

「そこで私達は改めてこう思い込む事にしました……コリンを授かることができたのは、亡き娘と女神が導いてくれたからと。だからこそ私たち一家は……絶対に幸せにならなくてはならない。それが娘に報いることができる、たった一つの方法なんだと」

 

目元を涙で赤く腫らしたハロルドが言う。その姿は悲しみにくれていた。

 

「そうでしたか……辛いことを言わせてしまいました」

 

ミッチェルが謝罪の言葉を口にすると、ハロルドも気にしないでくれと言う。

 

「変に悔やんで立ち止まるより、諦めずに進んでいる方が遥かにいいぜ」

 

ランディも慰めるかのように言い、それにハロルドも感謝を言う。

 

「しかし……不思議なこともあるものですね。コリンを助けてくれたお嬢さん……私と同じ髪の色だったそうですが、あの子も……亡くなった娘も同じスミレ色の髪だったんですよ」

 

それで助けてくれた子のことを気がかりにしたのかとロイド達も理解し、ソフィアも天国からコリンを守ってくれたと言う。

 

「あの、皆さん。そのお嬢さんが見つかりましたら、ご連絡いただけませんか?改めてお会いして……心からお礼をお伝えしたいんです」

 

そうソフィアがお願いすると、ロイド達は快く頷いた。そこから目を覚ましたコリンを連れてハロルド達を見送る際にミッチェルが尋ねた。

 

「その亡くなった娘さんの名を……尋ねても?」

 

それにハロルドは頷き。

 

「レン……と言います」

 

ミッチェルは名前を教えてもらったことに感謝し。

 

「お嬢さんを今なお愛し続けている……たとえどんな姿になろうとも……違いますか?」

 

それにハロルドはミッチェルに向き合い、真剣な表情をする。

 

「もちろんです。私たちの娘はレンだけであり、何があっても愛し続けます」

 

先程の泣いてた姿から一変し、頼もしい父親としての姿を垣間見た。

 

「わかりました、共にいた子についてはこちらも全力で当たらせてもらいます」

 

そう言うと、ハロルドとソフィアは笑みを浮かべて頭を下げ、コリンは笑いながら大きく手を振っていた。一家の姿が見えなくなると、ミッチェル達は速足でミッチェルの部屋に向かう、部屋には涙をながしているレンの姿と、その隣に置かれたある物……小型の無線機があった。

 

「……」

 

何も言わず、ただ涙を流すレンにミッチェルはその涙を拭い、目線を合わせる。

 

「今なら間に合うぞ?」

 

追いかければ会える、そう尋ねるも。

 

「ううん、いいの……レンがこの街にきた理由……その1つが無くなったから。だから……これでいいの」

 

腫らした目元であったが、憑き物が落ちたかのようにすっきりとした表情で笑みを浮かべた。その笑みは本当の意味で笑っていると言える笑みであった。

 

「……そうか」

 

納得したように頷くミッチェル。

 

「そんな!本当にいいのレンちゃん!貴女は明らかに!」

 

納得いかないように言うエリィであったが。

 

「エリィ」

 

それをミッチェルが止め。

 

「やめとけ、お嬢。世の中には、真っ当な人間には想像も付かない事情だってある。他人が口出せることじゃねぇ」

 

ランディも口出し無用だと言い、それにエリィも口を紡いだ。それを確認したミッチェルはレンに近づき、抱きしめた。それは優しくあやすかのように、大切なものを扱うかの様に。

 

「……ん……」

 

レンも抱きしめ返し、頬ずりもした。この子の心の闇を払うことができた、それはミッチェルも心から喜ばしいことであり、無垢な笑顔を浮かべたレンに年甲斐もなく涙を零しそうになった程であった。

 

「……ありがとう、スコット」

 

ミッチェルから離れて、ベットから立つと背筋を伸ばした。

 

「……いくのか?」

 

そう尋ねると

 

「えぇ、レンはこれで失礼するわね」

 

明るい笑顔で手を振るレン。そのまま扉まで近づくと。

 

「あ、そうだわ。これ借りていくわね」

 

悪戯が成功したように悪い笑みを浮かべるレンにミッチェルがギョッとした。それはバックパックに入れていた、愛用のデザート使用のシュマグであったのだ。目の前で首に巻き、白いゴシックドレスには合いそうになかったが、とても喜んでいた。

 

「ふふ、似合うかしら?それじゃあねぇ~」

 

そう言うとレンは部屋から出ていき、ミッチェルは苦笑いし、ロイド達も苦笑いを零していた。

 

「よかったの?」

 

エリィがミッチェルに尋ねると。

 

「あぁ、あの子なら大丈夫さ」

 

それは信頼できるからこその、お互いの秘密を分かち合ったからこそ言える言葉であった。

 

「あの~ごめんくださ~い」

 

すると下から声が聞こえ、一同が下に降りると、そこにはエステルとヨシュアの姿があった。

 

「えへへ、こんにちは。いきなりゴメンね?連絡も無しに訪ねちゃって……」

 

申し訳なさそうに笑みを浮かべながら謝るエステルであったが。

 

「いや、こちらも君たちに会いたかった」

 

すると、ミッチェルがそう答えると、ヨシュアの方を向き

 

「7年ぶりとでも言うべきか?」

 

それにヨシュアは目を見開き、エステルやロイド達は首を傾げた。

 

「『身を食らう蛇(ウロボロス)』にレオンハルトのこと……すべて聞かせてもらった」

 

それにはエステルも度肝を抜かれた顔を浮かべた。

 

「思い出したのですか!あなたは!」

 

ヨシュアも驚きながらも尋ねると、ミッチェルは頷き。

 

「あぁ、レンに全て聞かせてもらった」

 

すると、エステルが驚いた顔から真剣な表情になり。

 

「あの子は!レンは元気でしたか!?」

 

突然声を上げての質問にミッチェルは面を食らいながらも。

 

「あぁ、元気だった。先程まで部屋にいたからな」

 

知り合いかとロイドが尋ねると、ヨシュアが肯定し、数ヶ月ほど顔を合わせてないと言う。

 

「でもやっぱり……まだクロスベルにいるんだな」

 

レンがいることに安堵の笑みを浮かべるヨシュアであったが、突然エステルが膝から崩れ落ちた。それに全員が驚いたが。

 

「だ、大丈夫……安心したら気が抜けちゃって」

 

自分で立ち上がったエステルにミッチェルが。

 

「よかったら情報交換がしたい。お互い知りたいことが山ほどあるはずだ」

 

そう提案すると、ヨシュアとエステルは頷いた。ロイド達は話しについていけない状態ではあったが、共に応接間で話を聞くことにした。

 

「……そうか、そんなことが」

 

先にエステル達がレンとの出会いの話をしてくれた。リベール王国で出会い、様々な事件や陰謀を解決していき『異変』の真相と結末、謎の組織『結社』のことを話してくれた。そして、レンと巨大兵器相手に正面からぶつかり、真っ直ぐな愛情を向け、傷つきながらもレンを愛し続けて彼女を癒していたのだ。

 

「……ありがとう」

 

ミッチェルは深々と頭を下げた。自分に出来なかったことを目の前の少女がやってくれた。これほど恩義を感じることがあろうかと言うほど、感謝を表していた。

 

「い、いえ!頭を上げてください。あたしとしては、当然のことをしただけですから!」

 

エステルが目の前でぶんぶんと手を振り、慌てた。真っ直ぐに感謝されて、むずかゆいと言い、苦笑いしていた。

 

「でも、そうですか。貴方があの……」

 

意味深にいうエステルにミッチェルが問うと。

 

「レンがいつも騎士(ナイト)がいるって話してくれたんですよ。暗い闇の底から救い出してくれた騎士、優しく抱きしめて暗闇を切り開く勇敢な騎士だって」

 

その騎士=ミッチェルという構図であり、柄じゃないなと苦笑いを浮かべる。

 

「でも、その騎士は今はいないって言ってたわ。どこを探しても見当たらない、早く会いたいって悲しそうに言ってたのを覚えてるわ」

 

それには申し訳ない気持ちがあったが、自分とは別の何らかの力で動かされていた身に歯痒さをミッチェルが感じた。

 

「そうか……所で、あの銀髪の青年……レオンハルトは元気なのか?」

 

そう尋ねると、ヨシュアとエステルは悲しそうな顔をした。それに察したミッチェルは。

 

「そうか……奴が」

 

僅か会合ではあったが、レーヴェの力に戦慄を覚えたミッチェルからしたら、死ぬとは思えなかった。だが、戦場にいたのならばどんな人間でも死ぬ時は死ぬ。これはどんな世界でも変わらない真理であった。

 

「僕も貴方に聞きたいことがあります」

 

すると、ヨシュアが真剣な表情で尋ねてきた。

 

「貴方と会ったのは、7年前であるあの場所だった。なのに、貴方は姿形がまるであの時と同じだ。それに、突然消えたことも」

 

7年前と同じ姿である。それは、ロイド達も少なからずの衝撃があり、ティオは再び会えたことの嬉しさから目を逸らしていたことでもあった。

 

「だから問いたい……貴方は何者ですか?」

 

真剣に貫くかのような目線を向けるヨシュア。

 

「……それは俺たちも知りたい」

 

隣にいたロイドも真剣な表情で尋ねてくる。

 

「俺達は仲間だ。どんな過去があっても、スコットが同じ仲間であることには違いない……だから、おしえてくれないか?スコットのことを」

 

それはロイド他、ランディにエリィ、ティオも同じ気持ちであった。ミッチェルは天を仰ぎ、深く息を吐いた。そこから沈黙の空気が流れ……。

 

「……突拍子なことだが、お前たちは信じるのか?」

 

その問いに、この場にいる全員が頷いたのだ。

 

「潮時か……分かった、話そう」

 

その言葉にロイドやエステル達は笑みを浮かべた。

 

「まず、私はこの世界の人間ではない」

 

だが、次の瞬間には目が点になるかのような発言が飛び出し、ロイド達を唖然とさせた。そんなことを気にせずに、ミッチェルは続ける。

 

「私は、アメリカ合衆国陸軍、第7特殊部隊所属の軍人だ」

 

自分のことを隠さずに説明した。本来隠すべき所属も世界が違えば問題なしであるとミッチェルが考えたのだ。本当の年齢のこと、大量破壊兵器のこと、祖国の為に部下と共に命をかけた事、それを無事阻止して祖国を救った事を話した。

 

「そして私は目を覚ますと、この世界にいたのだ」

 

この世界で目を覚ましてから、違法研究所に潜入してレンを救出したこと、その救出したレンをヨシュアとレーヴェに攫われたこと、突然の激しい頭痛で気を失い目を覚ますと、二ヶ月前の森の中にいたことを話し。

 

「そして、クロスベルにつくと、ロイドと初めて会った。これで全部だ」

 

その内容に、困惑の表情を浮かべるしかなかったロイド達であった。

 

「まぁ、信じられんだろうな。こんな突拍子もない事を言われたら、私は間違いなく病院を薦めるさ」

 

そう笑みを浮かべて言うミッチェルであったが。

 

「いや……なんと言うか納得いったって言うか……」

 

苦笑いを浮かべながらロイドが言い。

 

「そうね、祖国を救った軍人だなんて凄いわ」

 

エリィも納得したように言い。

 

「あの強さは只者ではないと思ってたが、その説明には納得できる所があるぜ!てかお前37歳なのかよ……いや、その貫禄から納得できるけど」

 

ランディも笑いながらミッチェルの肩に手を回していた。

 

「スコットさんの言うことを信じます。貴方は嘘を言わないと信頼していますから」

 

どこか誇るように言うティオ。

 

「まったく……このお人よし共め」

 

そう悪態をつくが、口元には笑みを浮かべていた。異世界にきて、自分を知る人など1人もいなかった、だが孤独とは無縁にしてくれた仲間たちに感謝して。

 

「はぁ~それにしても、祖国の為にねぇ。やっぱりスコットはいい人ね!」

 

エステルもうんうんと、頷き、名前で呼びながら笑みを浮かべた。

 

「それにスコットがレンを救ってくれなかったらどうなってたかわからないし、あたしからも言わせて、ありがとう!」

 

その感謝の言葉にミッチェルは、どこか照れくさいものを感じ、頭を掻いた。

 

「よ~し!レンめ~今度は絶対に逃がさないわよ!」

 

そう意気込むエステルに。

 

「そういえば、エステルとレンはどういう間柄だ?」

 

ミッチェルが尋ねると。

 

「う~なんていうか……あたし達からしたら身内同然の子で、レンを捕まえて、またお話して、それで……一緒の『家族』になるの!」

 

その言葉にロイドやミッチェルの支援課メンバーは衝撃を受けた。

 

「……何か、深い間柄のようですね」

 

エリィがどこか思う所があるかのように言うと。

 

「それに……クロスベルにきていろいろ知っちゃったし……」

 

明るい雰囲気のエステルがどこか落ち込む。

 

「ほら、君がそこでへこたれてどうするのさ。ヘイワース夫妻の情報も集まったし、あの子の心を開かせるんだろう?」

 

落ち込むエステルにヨシュアが声をかけたが、そこに気になる名前があった。

 

「ヘイワース夫妻とはハロルドさんのことか?」

 

そのことをミッチェルが尋ねると。

 

「えええっ!?なんでスコット達がその名前しってるワケ!?」

 

声を大きくしてのエステルの問いに、ミッチェルは苦笑いを浮かべた。

 

「とんだ偶然もあったものだ」

 

そう言い、説明をした。既にハロルド達の腹の中をすべてレンに聞かせたことを。

 

「入れ違いだったが、レンは帰っていったが……おい、大丈夫か?」

 

説明をしていたミッチェルだったが、対面に座っていたエステルが大粒の涙を零していた。

 

「や、やだな……どうしてこんな……うぐっ……ひっく……うぅ……ああああああああ」

 

そしてエステルは大声をだして泣いた。だが、それは悲しさからではない。

 

「エステル……」

 

ヨシュアもそれを穏やかな表情で見ており、その涙がなんの感情から着たものかも理解できたのだ。悲しい過去から優しい真実へとたどり着き、心に光が差し込んだ……そのことが嬉しくてたまらなかったのだ。

 

「辛くて哀しくて、優しい真実……」

 

エリィがポツリと言い。

 

「……幾つもの哀しい偶然と誤解があった。その結果……とても過酷な道を歩いてきたあの子は自分自身を騙すことにしてしまった。偽物の両親(パテル=マテル)を作り出すことで、真実を突き止めることを放棄したんだ」

 

それを哀しい表情で言うヨシュアに。

 

「……なるほど。幼いがゆえの自己防衛か」

 

何とも言えない表情を浮かべて言うランディ。ミッチェルが救う前にあった辛い過去、救った後も哀しいすれ違いで起きた未来、その両方がレンを苦しめていた。だが、それを本当の意味ですくってくれた彼女(エステル)に。

 

「……本当に……本当にレンの救ってくれて感謝する。ありがとう」

 

ミッチェルは机に額がつくほどに、深々と頭を下げた。もしエステルがいなければ今頃どうなっていたか想像もつかない、そんなレンを救ってくれたエステルには感謝以外なにもなかったのだ。

 

「う゛ん゛!……ズビッ……スコットもレンを救い出してくれてありがとぉ!」

 

いまだ泣きながらエステルもミッチェルに礼を言う。ミッチェルが違法研究所(地獄)から救ってくれなければもっと心に傷を負っていたであろうと思いながら。

 

「あの子も話を聞いて、すべて理解してくれたみたいだったよ」

 

その時の状況をロイドが説明し、それにヨシュアも嬉しそうに頷いた。

 

「……うん、!決めた!最大の障害が無くなった以上、もう手加減してあげないんだから!見てなさいよ~、レン!このまま外堀を埋め尽くした上で絶対にウチの子にしちゃうんだからねっ!」

 

その泣いてた姿から一目瞭然、満面の笑みを浮かべて宣言するエステル。それに苦笑いを浮かべるミッチェル達であったがお互いに警察や遊撃士などの蟠りなど関係ないほど仲が深まった。その中で、まるで太陽のような笑顔を浮かべる子だとミッチェルは思った。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

その後、エステル達と東通りの『龍老飯店』にて夕食を共にしたミッチェル達は、お互いに親睦を深め合った。

 

驚きに満ちた様々な情報を聞きながら、記念祭4日目の夜が明けた翌日の創立記念祭・最終日

 

「しかし、昨日は様々なことがあって凄かったな」

 

支援課にて皆と食事をしていたランディが笑みを浮かべながら言う

 

「特にスコットのことなんざ、おとぎ話と疑うレベルだったぜ」

 

既に二ヶ月も共に過ごした事もあって、遠慮はいらないとミッチェルが言い、いつも通りの翌日を迎えたのだ。

 

「私だって、こんな奇想天外なことなど予想だにしていなかったさ」

 

溜息をつきながら言うミッチェル。実際の年齢と見た目のギャップから今朝、顔を合わせた瞬間に笑われたランディの関節を決めたばかりである。

 

「しかし、あの二人……どんな修羅場を潜ってきたんだよ」

 

ランディの言う通り、とても16か17かの少年少女が潜ってきたものとは思えないレベルであった。

 

「リベールの異変については、色々と話はきいてたけど……真相はそれ以上に驚くものだったみたいね」

 

エリィの言う大陸全土にて導力器が止まった異変についても、ミッチェルは図書館にて調べており、まさかそんな大事に関わっていたとは信じられなかったほどであった。

 

「そして『結社』、最先端技術でエプスタイン財団やZCFを超える勢力があるというのは噂程度には耳にしていましたけど……まさか、そのような規模で本当に存在していたなんて」

 

結社『身喰らう蛇』のことを聞いた面々もその規模と先取りした技術力には舌を巻くほどであった。

 

「あぁ……正直いって実感がわいてこないよ」

 

まったくだと、ロイドの言葉にミッチェルも同意した。幸いなのが、このクロスベルには『結社』の手が殆ど及んでいないことであった。

 

「どちらにしろ、厄介なのには変わりねぇな」

 

椅子の背もたれに身を預けながら、ランディが溜息を吐きながら言う。すると、支援課にライムス運送会社から荷物が届いた。配達員も昨日の出来事に巻き込まれたトラックの運転手であった。

 

「朝一番の速達で頼まれたお届け物だよ」

 

配達員がそう言って、荷物を手渡された。そのまま配達員は次の配達先へと向かっていった。

 

「……差出人の名前がある」

 

荷物を調べていたロイドがそう言うと、全員が差出人の名前を見た。そこには『仔猫(キティ)』という名が書かれていた。

 

「レンからのか」

 

差出人が誰か分かったが、中身がきになるミッチェル。それは他のメンバーも同じであり、中身を取り出すと、メッセージカードと共に漆黒のカードが入っていた。

 

『昨日のお礼にそのカードをプレゼントするわ。面白い出物があるみたいだから、覗きにいこうかと思ってたんだけど、お兄さん達に譲ってあげる。うふふ、有効に使って頂戴ね』

 

そのメッセージカードと共に入っていた黒いカードには金の薔薇が刻まれており、その薔薇にも本物の金箔が使われていた。その裏にも。

 

『本日夜7時、保養地ミシュラムのハルトマン議長邸にて開催』

 

と書かれており、これは間違いなく『黒の競売会(シュバルツオークション)』への招待カードであった。

 

「レンの奴……一体どこでこれを」

 

ミッチェルが、その招待カードを手に取り、悪戯を成功させた小悪魔の笑みを浮かべたレンが脳裏に出てきて溜息をつく。するとランディがニヤニヤした表情でミッチェルを見ているのに気づいた。

 

「なんだ、その気色悪い表情は?」

 

そう尋ねると、ランディがメッセージカードを渡してきた。そこには先程エリィが音読した内容が書かれていたのだが……。

 

『P.S.

   また一緒にお茶会しましょ。愛しの騎士へ

                      仔猫(キティ)より』

 

その内容を見たミッチェルは全てを察した。

 

「いや~スコットってば歳の割に小さい女の子(レディ)にモテモテだねぇ~」

 

何をいわれるのかを、そして……。

 

「やっぱりロリコンだったんだな。歳の差がかなり離れてるけど愛さえあればもんだいな」

 

いまから自分がすることもだ。

 

「あ、あだだだだだだ!ヤバイ!それはヤバイ!イクゥ!イッテしまいますぅ!」

 

ミッチェルがランディの肩の関節を限界まで決めていたのだ。

 

「スコットさん!いや、スコット様!俺が悪かった!許して~スコットさん許して~アッアッアッ……アァッー!」

 

その汚い声と共に嫌な音が響いた。その際にティオが静かにガッツポーズして守備範囲と呟いていたのは誰も気が付かなかった。




はい、大変長らくお待たせしてしまい申し訳ありません、許してください何でも(ry。

職探しを最優先ししていまして、まったく小説に手つかずの生活をおくっていました。そのせいでこんなに待たせてしまい申し訳ありません。

さて、今回やっとレンの所が書けて一安心です。次の戦場が室内戦だと思うと、割と楽しみです。

次回までゆっくり待ってくれると幸いです。

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