【凍結中】亡霊の軌跡   作:機甲の拳を突き上げる

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13話 真犯人

市庁舎から鍵を借りれたロイド達は、住宅街の水路の近くにあるゲートのロックを解除する。中はジメジメした雰囲気があるが、この先に『銀』がいるのだとロイド達は思っていた

 

「エリィ、持っておけ」

 

ミッチェルは持っていたMP5と弾倉をエリィに渡す。差し出されたエリィは驚きながらも突きつけれて、半ば強制的に持たされる。ミッチェルは武器屋で買ったZCF製のモデル・16………元の世界ではM16A2と呼ばれた銃のチャージングハンドルを引く。慣れた様子で扱うその銃は、最も使い慣れた銃であり、キャリアハンドルの上にはドットサイトが装備されていた

 

「拳銃だけでは不安が残る。試に使って気に入らないようなら、言ってくれ」

 

拳銃のみしか装備していないエリィは威力不足と今後の戦闘に少し不安をミッチェルは感じていた。そこで、買った短機関銃を渡し、使いこなせるようならそのまま渡しておこうか考えてたのだが

 

「……やっぱり、返すわ。私にはこれがあるもの」

 

だが、エリィはMP5をミッチェルに返すと、愛銃を手に持つ。どうもエリィはフルオート系よりスナイパーライフルなどの遠距離系の方が性にあっているみたいだとミッチェルは思った

 

「……競技用でも長物はあるはずだ。一応考えといてくれ」

 

M16を構えて、先へと進んでいく。すると、見たことのないロボットがいた

 

「なんだ……あれは?ティオ、アナライズだ」

 

まさかロボットがこの世界にいると思いもしなかったミッチェルは少し驚くも、すぐにティオにアナライズを要請する

 

「了解です……分析完了。故障した清掃用機械人形ですね、破壊すると爆発するので注意が必要です」

 

破壊すると爆発するのは厄介であると思っていると、機械人形であるトルゾーBがミッチェルの方へと向かってくる、直ぐにM16を構えて片足の関節に発砲する。故障と劣化で脆くなっていたのか、ものの数発で間接が破壊され、その場に転倒する。そこへ、すかさずティオのアーツがトルゾーBを押しつぶした。すると、潰れたロボットが光だし爆発した。爆風と破片から身を守るものの、爆発の威力も破片の飛距離も思った以上に小さかった

 

「爆発は予想より小さいが……すぐ傍なら火傷だけじゃすまないな。あれは私が担当しよう、それ以外の魔獣はランディとロイドが前衛だ」

 

爆発するロボット系はミッチェルたち遠距離系が担当し、普通の魔獣はロイドとランディが壁になる隊形になった。こんな場所で手こずるようなことなく、奥の部屋へとたどり着いた。先へ進むと4体のロボットとその指揮官タイプと思われる巨大なロボットに囲まれた

 

「チッ!ランディ、デカ物の足止めだ、ティオはその援護。他は周りの排除だ」

 

ランディ一人にとロイドは思ったが、そのタフさと力強さ、武器の長さから考えてランディが最適であり、その援護にティオをつけているので周りを排除するまで粘れるとミッチェルは判断した

 

「任された!さっさと援護頼むぜ!」

 

ミッチェルの指示に従い、ランディはデカ物のトルゾーDXへと突撃する。ミッチェルが周りのを攻撃しようとしたら、突然吸い寄せられる

 

「なっ!」

 

吸い寄せられたミッチェルはロボットにぶつかりダメージを受ける。だが、そんなことお構いなしに吸い寄せられた勢いを使って前蹴りする。蹴り飛ばされた小型は転がりながら手摺に衝突、横倒れになった所をM16のハンドガードと一体になった導力グレネードランチャーを発射する。動けない小型は避けれるはずもなくグレネードが着弾、爆撃をくらい自身も爆発させる

 

「(まずは一体)」

 

思った以上に手ごわいと判断するミッチェルは打たれ弱いエリィの方を向くと、吸い込まれかけている姿を確認し、その場に膝をつく。狙いを脚部に定めて関節部に発砲、銃弾は逸れることなく関節部に着弾して片足を破壊。転倒して吸い込まれかけて宙に浮いていたエリィは尻餅をつく、転倒した小型はロイドが攻撃して避けるかのように転がる。爆発するとロイドは立ち上がり、エリィに手を貸す

 

「ロイドとエリィはそのまま小型を撃破しろ、私はランディの援護に回る」

 

残り一体となった小型をロイド達に任せて、ランディの方へと向かう。ランディも攻撃を食らっていたがダメージを負っているようには見えなかった、どうやらティオが攻撃より回復を優先していたみたいだった。ミッチェルはランチャーで足の関節部を狙うが、一撃で破壊はできそうになかった

 

「足だ!足を狙え!」

 

胴体を攻撃しても有効打になるとも思えず、目を潰して暴れ回られても厄介であった。なら足を潰して機動力を奪う作戦にでることにした

 

「りょ~かい!足だな!」

 

ランディは狙いを足に定める。得物のスタンハルバートを遠心力を使って叩き付け、その後にミッチェルのランチャーが続く。すると関節部から火花が散り、足から煙が噴き出す。小型を片付けたロイドとエリィが此方に向かってくるのを確認できた

 

「総員、最大火力で叩き込め」

 

ミッチェルの号令が入り、ロイドとランディが突貫する。渾身の一撃を二人が叩き込んで離れると、エリィがアーツを発動して攻撃するとトルゾーDXの片足が吹き飛ぶ。転倒した所にティオがエネルギーを充填させたオーバルスタッフの先端を向ける

 

「ガンナーモード、起動します……オーバルドライバー出力最大、エーテル……バスター!」

 

青い極光がトルゾーDXを飲み込む。光が消えると、体から煙を出し、閃光を漏らしながら大爆発する。ティオの傍にいたミッチェルが庇いながら伏せ、ロイド達もその場に伏せる。爆発が収まると、立ち上がり周囲を見回し敵がいないのと全員生きているのを確認すると

 

「全員生きているな?」

 

ミッチェルが確認の声をかけると、全員が返事をする。怪我なくとはいかなかったが、行動に支障をきたさない程度であった。M16の弾倉を交換して、ランチャーのカートリッジも交換する。回復をして先へと進みゲートを潜ると、大音量で音楽を流している部屋を確認する

 

「(おそらく『第8制御室端末』はこの先にあるのではないかと……)」

 

小声でティオが言うが、伝説の暗殺者と言われている『銀』がこの音楽が外まで聞こえるくらいの部屋にいるのかと疑問に感じながらも配置につく。扉の両側に配置につくと、ミッチェルがポーチからスタングレネードを取り出す。指で突入までの秒読みをして、0になるとロイドがドアを開けてミッチェルが部屋にスタングレネードを投げ込む

 

「ぬわぁぁっ!」

 

中で少年のような声が聞こえたが

 

「GO!GO! GO!」

 

お構いなしに突入。先頭を切ったミッチェルが素早くクリアリングをして椅子から転げ落ちている人を確認。そのまま警戒しながら近づき、銃口を後頭部に当てる

 

「動くな、特務支援課だ」

 

踏みつけて動けなくしてから、ミッチェルがそう言うと

 

「な、なんでここを!しかも、特務支援課だって!?」

 

それは少年のようで、ここがバレたことに心底驚いていると

 

「……相変わらずですね、ヨナ・セイクリッド」

 

ティオが溜め息を付きながら名前を呼ぶ、どうも知り合いのようであった。話を聞くとエプスタイン財団の同じ研究所にいた事があり、ヨナはその財案から出奔したのだと言う

 

「くそっ、そうか……アンタのあのモードを使えばボクの痕跡を追えるハズだよな……ああもう、分かってたらもっと念入りに仕掛けたのにっ!」

 

ヨナが悔しそうに言い、ミッチェルはティオの方を向く。するとティオはコクリと頷き、ミッチェルは銃口と足をどけた。銃口をどけても大丈夫かとアイコンタクトで会話したのだ。ヨナは立ち上がって椅子に座ると

 

「しかし、なぜ出奔したんだ?」

 

ティオ曰く、ヨナは財団のシステムエンジニアになるべく英才教育を受けてたのだが、悪戯が酷くて研究成果の一つを台無しにしてしまう大損害をだしてしまった。それに怒られるのを恐れて出奔したのだと言う。それにロイド達が呆れていると

 

「ク、クソ……言いたい放題いいやがって……ティオ・プラトー!財団に告げ口したりすんなよ!?したらアンタの恥ずかしい秘密を導力ネットにばらまいてやるからな!」

 

ヨナがティオに脅すかのようなことを言うと、ティオは無表情でヨナをみる。明らかに激怒している雰囲気であった。その表情にヨナが驚くと

 

「どうぞご勝手に。別に、知られて恥ずかしい秘密なんてありませんし……あったとしても、あなたに掴まれるような隙は見せませんし。ネットにばらまかれたとしても、すぐに対処できるでしょうから」

 

淡々と言う姿は、まるで死刑宣告をする裁判官のようであり、それにヨナが通常では考えられないティオに体を震わせていた。ロイドがヨナにここで何をやっているかと聞くと、ネットワークを使った『情報屋』をしていると渋々いう。ネットにある様々な国の情報を掠め取って売り払っており、ロイドが違法ではないかと言うが

 

「いえ、まだ試行段階なので取り締まる法律はありませんね。いずれ法制化は時間の問題かと思いますが……」

 

ようするに法案のない今の状態を利用して甘い汁を吸っている所ということであった。更に『仔猫(キティ)』の相手で忙しいやら、ティオが『仔猫』ではないかと意味不明なことを言っていたが

 

「それで、君は『銀』とどういう関係なんだ」

 

ロイドが本題を尋ねるが口を開こうとしない。それにミッチェルがホルスターからM1911を取り出して足に銃口を突きつける

 

「痛い思いをするのは嫌だろ。これが最後だ、『銀』との関係を話せ」

 

たとえ女子供でも情け容赦のないミッチェルがヨナの目を見ながら言うと、ヨナが冷や汗を流しながら頷く。それにミッチェルが銃口をどけるが、その手には銃を握ったままだ。すると、ヨナがロイドに銀色のカードを渡す。そこには、こう書かれていた

 

『今こそ門は開かれた。いざ『星の塔』に挑み、我が望みを受け取るがよい』

 

と書かれていた。『銀』が、ここにたどり着いたら渡せと言われていたことをヨナが説明する。更に、『銀』が直接赴く時があるとも説明する

 

「どんな人物なんですか?」

 

ティオが質問するが、ヨナも黒衣をまとって仮面をつけていること以外は知らない様子であった。ただ、『銀』はロイド達を試したがっているとヨナが伝ええると、ロイド達が怒りを感じていた

 

「しかし、『星の塔』とはいったいなんだ?何かの暗喩なのか?」

 

星の塔と言うのが何を指しているのかミッチェルが悩んでいると、エリィがクロスベル郊外にある『星見の塔』の可能性があると言う。手掛かりがない今、ロイド達は星見の塔へと向かう

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

武器屋と道具屋に寄って準備を整えて、星見の塔へと向かう。その時にミッチェルは後ろ腰にある、何かを確かめてからロイド達の後を追う

 

森を抜けて、見えてきたのは中世に建てられたとされる『星見の塔』、その入り口に警備隊の軽装甲機動車があった。何をしているのか疑問に思いながら近づくと

 

「う~ん。一体、誰の仕業なのかな……こんな場所に入る物好きなんていると思えないんだけど……」

 

それはノエルであり、この塔の内部は危険で警備隊が封鎖していたのだが、定期巡回をしていた所で破壊されたフェンスを見つけたのだと言う

 

「これで、ここにいるのは確実か」

 

ミッチェルが塔を見上げながら言う。ロイド達も頷いているが、ノエルが分からない様子なので、これまでの経緯を説明した

 

「カルバートの東方人街からやってきた暗殺者!」

 

その説明にノエルは驚き、その暗殺者が塔で自分達を待ち構えていると説明する。ノエルが本当に誘いに乗るのかと聞いてきた、それにあえて乗るとミッチェルが答える。ノエルの言う警備隊に増援を頼んでも感づかれて逃げられる可能性があり、少数精鋭で挑むしか手段がなかった

 

「……分かりました、だったら止めません。その代わり……あたしも助太刀します!」

 

なんとノエルが付いてくると言うのだ。警備隊として見逃せなく、妹の受付嬢のフランがお世話になっているのもあり、手助けすると言うのだ。実力的には正式な戦闘訓練を受けていて、階級も曹長ならば実戦経験があるとミッチェルが判断すると

 

「曹長、君の武器はなんだ?」

 

ミッチェルがノエルに尋ねる。それは付いてくることを許可した意味でもあり、ノエルは二丁の銃を取り出す。短機関銃の二丁持ちというトリッキーな装備だが、連射できる戦闘員が増えるのは嬉しい誤算である。ミッチェルがチャージングハンドルを引くと

 

「隊形は縦列隊形(カラム・フォーメーション)。トップは私に背後は曹長が付け、後ろはランディが警戒しティオは中央で索敵重視だ」

 

塔への突入陣形を指示する。その迷いなし指示にノエルは驚くものの、ロイド達は疑うことなく指示に従う

 

「そういえば、スコットが前にいた所は軍だったよな?階級は何処までいったんだ?」

 

ランディが先頭に立つミッチェルに問う。ミッチェルは前の職場が軍であることを全員に説明していたのだ。正確には、まだ退役していなのだが

 

「……最終階級は大尉だ」

 

ミッチェルは渋々といった様子で答える。そういえばキーティング将軍に作戦が終われば少佐に無理やりにでも昇進させると言っていたのを思い出していたが

 

「た、大尉殿でしたか!」

 

ノエルが直立不動な姿勢で、ミッチェルに敬礼するが

 

「敬礼も敬語もいらん。今の私は警察に雇われている人間だ」

 

少なくとも現状では階級でもなければ軍人という立場でもなかった。ノエルも納得した所で内部へと突入すると、中は浮世離れしたような雰囲気で、中世の建物だというのに明かりが灯り幻想的であった。ノエルが言うには10年間放置していて、何がいるか分からないと言うと

 

「この場所……少々変わっています」

 

ティオがそんな風に言い、ミッチェルが説明を求める。なんでも、導力である地・水・火・風の4属性以外の上位属性が働いていると言うのだ。それが導力魔法を指していることをノエルが訪ね、ティオが頷く。すると、なにやら足音が響いてき、ミッチェルはその方向に銃口を向ける。そこから現れたのは巨大な甲冑が2体、ひとりで迫ってきていた

 

「総員、攻撃開始!」

 

言うと同時にミッチェルが引き金を引く。銃弾が甲冑の頭部に当たり、一体がたたらを踏む、それに続き、ノエルも弾幕を張ってもう一体を足止めすると

 

「そこだ!」

 

ロイドが足止めされた一体を殴打する。すると甲冑が倒れて紫色の光に包まれて消える。ミッチェルもランチャーが着弾して爆発すると、目の前でバラバラになり、先ほどと同じく紫色の光に包まれて消えた

 

「な、何だ今のは!?」

 

突然現れたかと思うと、すぐに倒れて消え去った物に戸惑いの声をロイドが出す。明らかに普通の魔獣でなければ、中に人がいた様子がなかった

 

「ま、ま、まさか……幽霊とか?」

 

声を震わせながらエリィが言うが、実際の所はよく分からなく、導力仕掛けのカラクリではないとティオは言う。どうもゴーレムみたい見え、随分とファンタジーらしい場所に来たなとミッチェルは思いながらも

 

「進むぞ。ここで足踏みしていても、埒があかん」

 

どの道、攻撃すれば倒せるのだ。なら、恐れる必要はないとミッチェルは考えていた。M14より小口径のM16で倒せるのならランチャーにフェザーライトとあれ(・・)があるなら遅れをとらないと

 

ミッチェルの提案に従い、ロイド達も先に進む。最初に言った隊形を維持しながら進み、道中では先ほどみたいなゴーレムが徘徊しているものの、爆発しないのだから大した障害にはなりえなかった

 

「しかし……随分と変わった所だ」

 

塔の内部には外見の石造りに反して、内部は全く崩れている様子もなければ、本棚や手摺まで綺麗に残されている。それは明らかに不自然と言えるほどに

 

「中世の建物なのに、装飾品も綺麗なまま……不自然と言えなくもないわね」

 

エリィも傍にある装飾品を手で触って確かめる。クリスタルのようなものから放たれる光の原理がどうなっているのかなんて分からないが、中世と呼ばれていた頃からの物であるのは間違いない

 

そんな摩訶不思議な光景を見ながらも昇っていくと、オレンジとブルーの球体がある広い場所へと出る。注意しながらクリアリングをするミッチェルだが、人影は見当たらなかった

 

「巨大な書斎……あれは天球儀のようなものかしら?」

 

周囲を観察しながら何かないかと見回っていると

 

「フフ……古の錬金術師どもが造った夢の跡といったところか」

 

突如として声が響き、声のした方に銃口を向ける。そこには黒衣をまとい仮面をつけた人物がおり、先ほど確認した時には誰もいなかった場所にいた

 

「初めまして、特務支援課の諸君。どうやら余計な者が一人、紛れ込んでいるようだが……フ、まぁいいだろう」

 

飛び降りてロイド達の前に立つ黒衣の人物、それにロイド達が武器を構える

 

「……お前が『銀』だな」

 

眉間に照準を合わせたまま、ミッチェルが問いかけると肯定する

 

「お初にお目にかかる……『(イン)』という者だ。まずはここまで足労願ったことを(ねぎら)おう」

 

内部にいた奇妙なのは銀の罠かとロイドが問うと、銀は元からあったものだと答える。すると巨大な剣を取出し構える

 

「まずはその前に、最後の試を……ッ!」

 

銃声と共に銀が何かを弾く。ミッチェルが撃った弾丸を剣で弾いたのだ

 

「随分とせっかちなのだな」

 

先手必勝と言わんばかりの射撃を防がれたのに内心舌打ちするも

 

「ランディとロイドは銀の動きを食い止めろ、エリィとノエルはティオの援護、ティオはアーツにて補助と攻撃を優先、前衛二人の援護は私がする。攻撃開始!」

 

何時もと変わらない声色での指示、それはロイド達に勇気を与える。ミッチェルが動揺もしない、それはいつも通りに倒せる相手であると認識させるかの如く。これも数多くの戦場で培った技能の一つであった、指揮官が動揺しなければ部下も動揺せずに力を発揮できるのだ

 

「(なるほど……)」

 

無論、それは銀も見抜いていた。集団戦闘の時には指揮官が最も重要であり、その指揮官が有能であるのならば、その集団は恐ろしく手強いのだ。故に

 

「なっ!くそ!」

 

ランディの一撃を避け、ロイドの殴打を飛んで回避すると、向かうはミッチェル一直線であった。相手が本物の暗殺者なら頭を潰しに来るのは既に分かっていたミッチェルは焦ることも冷や汗を流すこともない、頭部に3発、脚部に4発と発砲。それを全て弾かれるものの、ミッチェルは既にランチャーのトリガーを引いていた

 

「フッ!」

 

銀がサイドステップでそれを回避すると

 

「おらよっ!」

 

銀に迫っていたランディがスタンハルバートを振り下ろす、それを銀が受け止めると

 

「そこだ!」

 

ロイドが側面から突っ込む。だが、銀はランディに蹴りを入れて吹き飛ばすと、ロイドの殴打を受け止め、そのまま弾き飛ばす

 

「そこですっ!」

 

ティオがアーツを発動。今発動できる最大火力『ガリオンタワー』が巨大な魔法陣から現れる、タワーの上から無数の光の矢が降り注いだ

 

「くっ!」

 

逃げ場を無くすように降り注ぐ光の矢を切り払うには余りにも矢の数が多く、直撃を食らう。動きが止まった所を見逃すミッチェルではない

 

「電磁ネット射出!」

 

ノエルが暴徒鎮圧用の電磁ネットを銀に被せると

 

横隊隊形(ライン・フォーメーション)!」

 

エリィとノエルがミッチェルの横に並び、動きが止まり、ネットに絡まった銀に集中火力を浴びせる。正面への最大火力を発揮するこの隊形は制圧射撃などにも用いられ、光の矢と電磁ネットを受けて動きが止まっている銀は恰好な的であった。銃撃を浴びせ、ノエルに至ってはミサイルまで撃ち込むが

 

「なめるなっ!」

 

ネットを切り裂いた銀が一枚の符が付いたナイフが飛んでくる。ミッチェルは咄嗟にエリィとノエルを押して倒させると、符がM16に刺さる。符が光だし、咄嗟にM16を前に投げ捨てると、M16が爆発して粉々になった。ミッチェルは背負っていたフェザーライトを構えるが、すぐ傍まで迫ってきていた銀の剣を受け止める

 

「やはり、貴様が最も厄介だ!」

 

剣と銃の鍔迫り合いとなり、銀がミッチェルに聞こえる声で言う

 

「そう思えて貰えるなら光栄だ……なっ!」

 

ミッチェルは力任せに押し離して、構えるが、銀の蹴りでフェザーライトが吹き飛ばされる

 

「セアァッ!」

 

そこへロイドが銀の側面を突くものの、防がれる

 

「お前の相手は俺達だ!」

 

そこにランディも加わり、激しい攻防を繰り広げ始める

 

「ノエル、二人の援護をしろ!」

 

直ぐに傍にいたノエルに指示をだすと

 

「イエス、サー!」

 

返事と共に前に出て、銀に銃撃を放つ

 

「ティオとエリィはアーツで攻撃だ、手を休めるな!」

 

ティオとエリィは頷いてアーツの発動準備に取り掛かる。ミッチェルは拳銃を抜こうにも威力が弱すぎて牽制程度にしかならない、故に切り札を抜く。後ろ腰のホルスターに入れていた拳銃を抜くと、片膝をついて照準を合わせる。ランディと鍔迫り合いになったその時……発砲。重く響く銃声に銀はランディを吹き飛ばし、防ぐが……吹き飛ばされてしまう

 

「なっ!」

 

吹き飛ばされて着地した銀は驚きの声を上げる、剣を握っていた手が痺れているのだ。そして、ミッチェルの方を向いて、その手に握っていたのは

 

回転式拳銃(リボルバー)か!」

 

そうラインフォルト社製のモデル・29。44.マグナムエネルギー弾を撃てるこの銃は塔に来る前にこっそりと買った物であり、その威力もジロントお墨付きである

 

「ランディ、ロイド!足止めしろ!」

 

前衛の壁2人が銀の動きを止めて、止まった所にミッチェルのM29が撃ち抜く。そのような構図ができあがったが、それを打開すべく銀がミッチェルに突貫。迫ってくる銀に2発、3発と撃ち込むも全て避けられる、目の前に迫り、振り下ろされる剣を……その腕を掴み、軸足を足払いして、地面に叩き付ける

 

「グッ!」

 

肺から酸素を無理やり叩き出されたような呻き声を上げる銀の喉をカランビットを切り裂く。既にミッチェルはスイッチを切り替えて殺す気でいたのだ、その光景にロイドやエリィ達が驚き止めようとするも、既に喉を掻っ切った。だが、ミッチェルはホルスターから前もって買ったヴェルヌ社製のハイパワーを抜いて誰もいない所に構える。それにロイド達が疑問に思うも、ランディも同じ方向にスタンハルバートを構えていた。すると喉を掻っ切った銀の体が消えて、その場には符だけが残されていた

 

「そこの2人は、なかなかできるようだな」

 

すると、銃口を向けている方から銀が現れた。現れた銀にロイド達は驚くものの武器を構える

 

「戦闘中に分身だけ残して、そこで高みの見物ってわけか……恐ろしく腕が立つようだが、あまり良い趣味とは言えねぇな?」

 

どうやら戦闘中に身代わりを置いて、その間の戦闘を見物していたのだ

 

「ふふ……気に障ったのなら謝罪しよう。しかし、戦闘中に私の動きが見切られるとは……なかなか大した動体視力だ」

 

余裕な声でミッチェルとランディに言うが、2人が実戦経験があるのことを既に銀はしっている事柄だった

 

「フ……まぁ、いいだろ」

 

銀が武器を仕舞うと、ロイド達も武器を下す。ロイドは今の実力では銀に勝てないと言い、要件を聞く

 

「フフ……ロイド・バニングス。薄々、見当は付いているのだろう?」

 

それにロイドは黙り込み、銀の要件は脅迫状についてだと言う。その脅迫状の差出人が目の前の『銀』ではないと言うのだ。それも最初に送られてきた怪文書みたいな脅迫状と、自分たちをここまで誘き寄せた文章の書き方自体がまったく別の書き方であり、ロイドはそれを疑っていたのだ

 

「ふふ、その通り……あれをイリア・プラティエに送ったのは、この『銀』ではない。私の名を騙る何者かというわけだ」

 

それにランディ達は驚くものの、ミッチェルは驚いた様子ではなかった。なぜなら銀にメリットがないのだ、イリアを銀個人で狙う理由が不明ないま、銀に明確なメリットもなく、文書からも違う人物であることは考えられていた

 

「あの脅迫状は、まるでお粗末な物だ。貴様が本気で書いたのなら、感が鋭いイリア・プラティエなら本物と気づくはずだ」

 

イリアに送られた脅迫状の内容は、とても目の前の伝説の暗殺者が書いたとしてはお粗末なものだとミチェルが言う

 

「ふふ……その通り、イリア・プラティエは天才だ。おそらく直感的に、あの脅迫状が本気で自分を狙ったものではないと気付いていたのだろう。だが……ならば何故、あんなものがアルカンシェルに送られたかという話になる」

 

ならば誰が、何のためにアルカンシェルに送ったのだという問題が残る。銀の名前をしっていることから、マフィアか捜査一課等の関係者くらいしかしっているはずがなく、只のイタズラの線は消えるとミッチェルが言うと

 

「そう……だが、脅迫状一つで、アルカンシェルが新作の公開を中止することはありえない。さらに名指しでイリアを狙うと宣告したことについても不可解だ、その結果が捜査一課の介入を招きイリア周辺の安全に関しては、万全の体制が敷かれる事になった」

 

それこそ舞台中も襲われても、それを未然に防げる程にだ。これは犯人が別の狙いがあり、その状況が達成されたとティオが言い、銀も同意する。

 

「改めてお前たちに依頼する。我が名を騙ったその何者かの企みを阻止してもらいたい」

 

先ほどまで殺し合いをしていた人物からの依頼、それにロイド達は何が目的かと問うが

 

「……なぜ貴様が動かないのかは知らんが、今の状況では誰が何を狙っているのかは分からない。捜査一課も知らない情報を持っている私達がアルカンシェルに向わざる得ない」

 

そういう状況を目の前の人物が作り出したのかは分からないがな……と言い、ミッチェルは銀を睨み付ける。それに銀は口元に笑みを浮かべ

 

「そういうことだ、犯人の行動にも心当たりがある。もし、その真犯人がアルカンシェルに関することで何か仕掛けてくるとすれば……本公演の初日かプレ公演だろう」

 

その両方とも可能性があった。最も盛り上がりを見せる初日か、関係者一同が招待されるプレ公演、どちらも格好のターゲットなのだ。捜査一課に黙って密かに劇場を巡回して、一課の裏をかかれたときに行動に移す。実に筋が通る内容であった

 

「しかし、随分とアルカンシェルを……いや、イリア・プラティエに気を掛けているな……」

 

何の関係もないはずの銀がここまでアルカンシェルとイリアに拘るのか理解できないとミッチェルが言う。名前を勝手に使われたのなら、そいつを見つけ出して自分で仕留めればいいのにだ

 

「……お前たちには関係のないことだ。それでは私は、このあたりで失礼しよう。朗報を期待しておく」

 

そういい、銀が上へと逃げていく。それをロイド達が追いかけるが、その速さは同じ人間なのかと思いたくなる程の速さであった。屋上の鐘楼部分に来たが、銀の姿は見当たらない

 

「ティオ、索敵だ」

 

この中で索敵ができるティオに指示をだし、ティオが索敵を開始する。すると見つけたというだが、驚いた声をだす

 

「……地上のあたりに、わずかな反応がありました。どうやら直接、ここから飛び降りたみたいです」

 

この塔の頂上から飛び降りたと言うのだ。ミッチェルが下を見るが、少なくとも24m以上の高さがある。人間でなく本物の亡霊なのかと思わずにいられなかった

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

クロスベルに帰り、ノエルと別れた後、武器屋に言ってM16が粉々にされたと言うと

 

「お前はどんな扱い方をしたんだ!」

 

と本気でジロントに怒られたが、訳を話して、交渉して格安で銃を売ってもらえた

 

「まったく……今日入荷したばかりの物だから、次は壊すんじゃねぇぞ」

 

渡されたのがZCF製のSIG550と呼ばれるアサルトライフルだ。見た目はシグ社SG550と同じで、値段から見ても破格の価格であった。さらに、これはマガジンをアタッチメントいらずに連結できて、クイックリロードがし易くなっている

 

「すまんな、カートリッジはいつも通りだ」

 

エネルギーの補充を行い、リボルバーは専用のカートリッジを購入してビルへと戻った

 

そして、プレ公演の当日、アルカンシェルの前には多くの人で賑わいを見せていた。様々な高級車がアルカンシェルの前で停車し、その中にはヘンリー市長とアーネストの姿もあった。ロイド達の警備は捜査一課に見つからない為にも中と外で分けられ、外はランディとティオにツァイトが担当した

 

≪いま、マクダエル市長が通ったのを確認した≫

 

扉の隙間から来客者を確認していたミッチェルが言う。予めロイド達全員とエニグマで通信チェックをしており、ミッチェルもエニグマをポーチに取り付けてある。建物内部とのことで装備もMP5とハイパワーだけと軽装であり、プレートキャリアもMP5もジャケット内部に隠していた

 

「市長が今回の公演を全面的に支持していると言うが……今回見れないのが残念なくらいだ」

 

すぐ傍には衣装を着たリーシャがいた

 

「あはは……期待に応えられるといいんですけど。それより……『銀』という人が言ったように、本当に何か起こるんでしょうか?」

 

リーシャに今回で分かった経緯を説明しており、不安そうにミッチェルに聞くが

 

「分からないが、可能性はある。だが、最善を尽くす」

 

イリアには捜査一課がついているから問題はない。来客席にも捜査二課、VIP席には捜査一課が担当して万全であると言えた

 

「今回の件はプラティエには伝えていないが、よかったのか?」

 

リーシャに話した経緯を団長には話したのだが、イリアには話していなかった。これはリーシャと団長双方とも同じ考えであった

 

「はい……いいんです・あの人には……イリアさんには余計な心配をしないで輝いていて欲しいですから」

 

演技に集中できるために言わない……これもリーシャがイリアを思ってのことであった

 

「……了解した、先ほども言ったが最善を尽くす。君も演技に集中すると言い」

 

リーシャがキョトンとした表情をすると

 

「プラティエがそうであるように、リーシャもこの劇の主役であるのだ。リーシャが演技に集中できなければプラティエも輝けない、君の力も彼女には必要なものだ。此方のことは任せてくれ」

 

真面目な顔で言うミッチェル。劇など子供の頃に親と見に行ったきりだが、リーシャが夜遅くまで練習をした成果が表れる日だ。こんな時にリーシャに迷いがあってはいけないというミッチェルの心遣いだった

 

「……はい!ありがとうございます。わたしはそろそろ行きますので、スコットさんも頑張ってください」

 

驚いた顔をした後に、リーシャは笑顔を浮かべた。何事にも全力を尽くす……ミッチェルの心情が揺れ動くことは無い

 

ブザーが鳴り、演技が始まる。その演技は初めて見たイリアの動きよりも格段と美しく、来客の殆どがその演技に目と心を奪われていた。ステージの様子を見ていたミッチェルも奪われかけて、頭を振る。ここで見続ける訳にもいかなかった、リーシャとの約束を守るために

 

≪こちら、スコット。外の状況は?オーバー≫

 

ミッチェルがエニグマのスイッチを入れて、ランディに通信を繋ぐと

 

≪こちら、ランディ。問題なしだ、今の所……ングッ不審な奴が近寄る様子はねぇオーバー≫

 

ランディが何かを食べながら返事をする。外にはティオとツァイトもいるから問題はなかった

 

≪了解、何か不審なことがあれば報告しろ。アウト≫

 

無線のスイッチを切って、劇場の巡回をする。捜査一課に見つからないよう慎重に巡回する。劇場内のスタッフに声をかけて、異常がないか確認し、ロイド達と出会ったら情報の交換をする。今ところは異常なく、ステージの方から喝采の声が聞こえる

 

「(第一幕は無事終わったか)」

 

ステージの中を除くと、次はリーシャの演技で、イリアとは違う光を観客者に魅了させる。演技からは迷っている様子はないとミッチェルは思い、ランディに報告を入れて巡回を再開する

 

「(第二幕も無事に終了……)」

 

リーシャの演技が終わり、次はイリアとリーシャのコンビの演技であった。VIP席や貴賓席を見て回っているが、貴賓席にいる制服警官がどうも演技に魅了されている様子であった。ミッチェルは、その方向を重点的に巡回することにした。第三幕も無事に終わり、場面は最終幕へと移る。するとエニグマに通信がはいり

 

≪こちら、ロイド!支配人から不審な人物がいると報告があった!場所は右側のS席入口!≫

 

ロイドからの通信は不審者の発見の報告であった。ミッチェルはジャケットからMP5を取り出して、コッキングハンドルを引き、エネルギーを装填する。反対側にいるミッチェルが急いで階段を駆け下り、ホールに出た所で再び通信が入る

 

≪あー……不審者だけど……グレイスさんだった≫

 

その報告にミッチェルが足を止める。なんでも裏技を使って忍び込み、取材をしに来たのだとロイドはいう。人騒がせなとミッチェルが思っていると

 

≪スコット!おじいさまの所へ急いで!早く!≫

 

突然エニグマからエリィの叫ぶかの声が聞こえてきた。その声から只事でないことをすぐに察し、来た道を戻る。一番上にある貴賓席の前まで来ると、制服警官が横たわっていた。ミッチェルはドアを蹴り破る、そこにはアーネストがヘンリー市長に刃の切っ先を向けていた

 

「動くな!警察だ!」

 

すぐにMP5を構えるが、アーネストはヘンリー市長を人質に取った。いくらドットサイトを装備しているとしても、アーネストと市長の距離が近すぎて容易に撃てなかった

 

「おじいさま!」

 

後ろからエリィとロイドに何故かタドリーまで駆けつけていた。それに気を取られたアーネストの隙を付いて、腕に銃弾を当てる。そのショックに手からナイフを落とす

 

「クッ!」

 

腕を抑えて、しゃがみ込むアーネストに銃口を突き付けて、ヘンリー市長はエリィが保護しようとした。だが、懐から小型の拳銃を取り出して再び市長を人質にする。突然の展開にタドリーは状況がまだ把握できていなかった

 

「ククク……まさか君たちがここに現れるとは。やれやれ……これも女神の巡り会わせか」

 

側頭部に押し付けられた拳銃に、ミッチェル達はおいそれと手を出せなかった

 

「アーネストさん……いったいどうして!あれほど、おじいさまを尊敬して支えてくれた貴方がどうして!」

 

目の前の人物が裏切ったことに信じられないエリィが問いかけると

 

「……エリィ、君と同じだよ。私もいいかげん、この状況にはウンザリとしていたんだ……結局、何かを変えるためには、より強い者に従うしかない……だから私は行動したんだよ!」

 

アーネストは市長とは別の下に行くために行動を起こしたのだと言う

 

「そのために『銀』の名を騙り、イリアさんに脅迫状を送って……『銀』が現れると思い込ませて、市長の抹殺に図ったのか!」

 

これまでの証拠と状況が一筋に纏まり、ようやく結論に至ったロイドがアーネストに問う

 

「クッ、そう言うことか……随分と舐めた真似をしてくれるじゃないか!」

 

『銀』という存在に踊らされたタドリーはアーネスト睨みつける。アーネストはそれに肯定し、無能な警察官もルバーチェも黒月も『銀』すら自分の掌の上で踊っていたにすぎないという。

 

「大人しく武器を捨てろ、今なら未遂ですむ」

 

タドリーが懐から大型拳銃を取り出して投降するよう言うが、アーネストは聞く耳を持たずに市長を殺すと脅し、道を開けるよう要求する。それに苦虫を噛み潰したような表情をしながらも、道を開ける。するとアーネストが市長をロイドの方に放り捨てて、逃走を図る

 

「市長はエリィに渡せ!いくぞロイド!」

 

そういい、ミッチェルがアーネストを追いかけ、それにタドリーとロイドが続く

 

≪ランディ、市長の秘書が外に逃亡を図っている。そいつが真犯人だ!絶対に逃すな!≫

 

返事を聞く間もなくエニグマを閉じてアーネストを追いかける。外に出るとアーネストを拘束したランディとティオの姿があった。無事に確保した様子に安心する

 

「お前たち……これはどういうことだ?バックアップまで用意して一体、何をしていた!?」

 

タドリーが説明するよう要求するが、突然アーネストがランディの拘束を無理やりに破り、逃亡を図る。だが、ずっと警戒していたミッチェルは直ぐにMP5を構えてアーネストの足に3発撃ち込む

 

「がぁっ!」

 

それに悲鳴を上げながら転倒するアーネスト。だが、かなり執念深く、地面を這うように逃げようとするが、ミッチェルに腕を捻りあげられ、膝を背中に押し付けて身動きを取れないようにする

 

「貴様を殺人未遂の現行犯で逮捕する」

 

捻り上げた手に手錠をはめ込む、だがアーネストは必死に拘束から逃れようと藻掻く

 

「放せ!わたしは……わたしは……」

 

だがその抵抗も無意味で、グレイスが現れると、それを大スクープと言わんばかりに写真を撮る。それにタドリーが怒り、ロイド達が苦笑いし

 

「グググ……放せ!わ、わたしは……わたしは絶対に……絶対に次期市長になるんだあああ!」

 

その叫びは虚しく夜空に響き、劇場では華やかな喝采に包まれていた

 


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