プロローグ
「ミッチェル!核の発射を阻止するんだ!」
無線からキーティング将軍の声が彼を急がせる。メキシコ国境にあるフアレスの廃工場、そこはアメリカとテロリストとの戦場であった
核ミサイルが運び込まれ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントンをも射程に収めたそれは、まさにアメリカの危機であった
それを阻止すべく送り込まれたのが彼等……アメリカ陸軍第7特殊部隊ゴーストである
「前方に敵車両!吹き飛ばせ!」
ゴーストリーダーが敵車両をマークし、部下に指示を出す
「了解!」
背負っていたミサイルランチャーを構え、走り迫ってくる敵車両に合わせ引き金を引く。白煙と共にミサイルが飛翔し、敵車両と正面から衝突し大爆発を起こした
「敵車両撃破!」
ミサイルを放った部下が新たなミサイルを装填しながら報告する。すると、廃工場の方から敵の戦車が現れた
≪こちらゴースト、前方に敵戦車だ。排除してくれ≫
建物に隠れながら無線で援護要請をだす。すると彼等が隠れている建物の角からアメリカ軍の
前方にいる敵戦車を捕捉し、120mm劣化ウラン弾が飛翔していく。砲弾が直撃した敵戦車は大爆発を起こし、周りにいた敵兵も爆発巻き込まれ全滅した
「よし!行くぞゴースト!」
廃工場の前を陣取っていた敵車両とテロリストの排除を確認し、ゴーストリーダーを先頭に廃工場内へと突入する
「ミッチェル、核ミサイルを攻撃目標に指示するのだ!」
廃工場内に立て籠もっているテロリストを排除しながら進んでおり、この奥にある核ミサイルは既に秒読み段階であり急いで目標の場所を指示しなくてはいけなかった
「敵兵排除!」
攻撃指示をだしていた部下が排除完了の報告をする
「よし前進!」
階段を上がって進んでいると
「大尉、ホワイトハウスから通信です」
オペレーターが大統領からの通信を接続する。すると
≪ミッチェル大尉、私は今
大統領からの懇願であった。このままだと民間人を犠牲にして核弾頭を破壊するしかないと言うのだ
≪お任せください大統領。すぐに核弾頭を無力化します≫
その返事は力強いもので微塵に恐怖も諦めもなかった。その姿に大統領は静かに頷き、通信を切った
すると反対側の建物の屋上から銃撃をしてくるテロリストが現れる
「応戦しろ!早く核弾頭へ向かうぞ!」
手に持ったSCARで敵兵を撃ち殺し無力化すると、すぐさま先を急いだ
廃工場の屋上に到着し、激しい抵抗にあいながらも目視で核ミサイルの姿を見つけた
≪将軍!ミサイルを発見!核弾頭が搭載され既に発射体制に入っています!≫
ゴーストリーダーが直ぐに無線で核ミサイルの状況を報告する
≪よくやった、ミサイルを攻撃目標にしろ!長距離支援部隊のEMP弾で無力化する!≫
無線で将軍が言いながらも、ゴースト達はヘリと撃ち合いをし、激しい攻防が続いている
≪こちら、ブラックジャガーリーダー。準備完了≫
既に空中で待機していた戦闘機が準備完了の知らせを入れる
≪目標指示完了!いそいでください、ミサイルが発射シークエンスに入りました≫
ヘリを撃ち落すが、状況は悪くなる一方である
≪こちらブラックジャガーリーダー。目標の近くに大尉達がいます。このままでは大尉達も爆発に巻き込まれ……≫
≪いいから撃て、誰かが目標を指示しないで命中させる気だ≫
既にゴースト達の覚悟は決まっていた
≪……将軍、ご指示を≫
パイロットも腹を括った
≪ミッチェル……それはできない……≫
将軍は許可をださない。それだけゴースト達が大事であり切り捨てられない存在だったのだ
≪将軍、これが私の任務です。やらせてください≫
その言葉に将軍は苦渋の選択を強いられる……だが
≪将軍、時間切れです。撃たないと≫
パイロットからの報告には既に選択の余地など与えられないものだった
≪……目標を攻撃せよ≫
そして……将軍は決断を下した
≪ミッチェル!岩だ!大きな岩を探せ!そして隠れろ!君は私の最も優秀な兵士だった……私は決して忘れない≫
その通信を最後に将軍との通信が切れる。将軍の最後の姿は親指を立て友を見送るような姿だった
≪こちら長距離支援部隊。いつでも支援できるぞ≫
支援できることを確認し、ゴースト達は屋上からミサイル周辺にいるテロリストを排除する。4人の姿は連続の戦闘により既にボロボロであり、銃弾がカスってBDUに血が滲んでいた。しかし、彼らはそれでも戦い抜く、祖国を護る為に……その身が朽ち果てるまで戦い抜く覚悟であった
排除しても排除しても湧いてくるテロリスト共、だがそれにも限界があり、屋上から撃ち続けテロリストの勢いが弱まる。この隙を逃さすはずがない、ゴーストリーダーが急いでミサイルをマークした
≪目標確認、発射≫
パイロットの声から数秒後、ミサイルにEMP弾が命中した。爆発とEMPによりゴースト達が吹き飛ばされる
「(どうにか……まにあったか)」
吹き飛ばされているゴーストリーダー……ミッチェルは最後まで信頼できる部下と自分を信じてくれていた将軍と大統領……そして祖国を守れたことに満足間を感じていた
「(俺はここで死ぬだろうが……問題ない、まだゴーストは死なない)」
ここで自分達が死んでもゴーストを継ぐ者や、サードエシュロンの……サムや連中もいる。これでいい……と思っていたら
……ミツケタ……
何かの聞き間違いかと思った、吹き飛ばされている自分に少女の声など聞こえるはずが無いと……だが
……ミンナヲ……タスケテ……
再び少女の声が聞こえた所でゴーストリーダー……スコット・ミッチェルは気を失った
≪ミッチェル、聞こえるか?ミッチェル!ミッチェル!応答しろ!≫
指揮所から将軍が必死にミッチェルの名を呼んでいた
≪大尉、そちらに向かいます。動かないで撤収を待って≫
オペレーターが回収部隊を送ると連絡を入れる
≪死ぬんじゃない!聞こえるか!死ぬな!救急搬送!≫
将軍が悲痛な表情と声で必死に無線で呼びかける……しかしそれは全て無意味に終わる。何故なら……既にスコット・ミッチェルはこの世界にいなかったからだ……
初めての方は始めまして、前の作品から読んでいただいてる方は今回もよろしくお願いします
さて、この作品を始めていきますが、これも何年掛かることやら……前も2年近くの歳月を掛けてやっと完結できましたし……まぁ、それでも完走目指していきますがw
しかし、前作の駄モンと違い、キーティング将軍は本来支援してはいけない地域でゴーストを助ける為に支援要請を許可したり、どんな状況でも部下を信じ、そればかりか部下の命を捨てることができないと、なんとも情に厚いよきお人です。しかも「死ぬな!」とまで言ってくれるんですから、同じ将軍なのに此処まで違うのかとw
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