魔法科高校の詠使い   作:オールフリー

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初めまして皆様。オールフリーと申します。
いよいよ我慢できずやっちゃった小説投稿!亀更新なの上展開が遅いですが、ごめんなさい。

とにもかくにも、まずはこれが記念すべき第一話!どうぞっ!!


【 第一章 入学式編 】
プロローグ~始まりの約束~


「ところでさ二人とも………そろそろ離してくれないかな?」

「「ヤダ。ぜったいヤダ」」

 

 五月上旬。桜の花びらが散り終わった頃。

 また、青々とした緑の葉が木に生い茂り夏に向かう時期。

 東京郊外のある大豪邸で、一人の少年が困っていた。

 

「しずくちゃん、そろそろ……離してくれない?飛行機に乗り遅れちゃうよ………」

「ヤダ」

「ほのかちゃんも……ね?」

「やだ」

「…………」

 

 困っていた。

 小さな子供用のリュックサックを背負い、半袖短パンといういかにも少年らしい恰好をしたその子は、両腕にしがみついた二人の女の子に対して困り果てていた。

 早く行かなければ飛行機に乗り遅れてしまう。困った時に助けてくれた人達へ挨拶を済まし、そしていつも一緒にいたこの少女達にお別れを言いに来たのだが、いざ『さよなら』と言ってしまうと二人がぎゅっとしがみついて離してくれない。

 無下に扱うなど到底出来ず、かといってこのままではいけない。

 本当に、困ってしまった。

 

「雫、そろそろ離してあげなさい。冬夜(とうや)くんもこまってるでしょう?」

「ヤダ。離したら、行っちゃうもん」

「ほのかも。冬夜くんは今日、『お別れ』だって言ってたでしょう?」

「やだ。『お別れ』なんて絶対やだ」

 

 二人の少女の母親がなんとか言って聞かせようとするが、二人はますます強く抱きしめる。

 本当にお別れしたくないのだろう。ぎゅっ、と締め付けられる両腕の感触から、冬夜と呼ばれた少年の内で嬉しさと悲しさの二つの感情が沸き上がってきた。

 

「パパ……どうにかして……?」

 

 雫、と呼ばれた少女は振り返って自分の父親を見た。すでに泣き始めた娘の姿に見つめられた父親は困ってしまう。いくら大事業家として名が知られていても、それが愛しい娘の願いだとしても、こればっかりはどうにもならない。父親は力なく首を横に振るしかなかった。

 

「パパのバカ……うぅ……」

 

 とうとう、雫はしがみついた腕を抱きしめながら本気で泣き始めてしまう。それにつられて反対側でしがみついていたほのかも同じように泣き始めてしまう。

 困った。これはもうどうしようもない。と少年は思った。だけどこのままでいることは出来ない 。

 一緒にいることが出来たらどれだけ良かったか。だが、どうすることも出来ないからお別れを言いに来たのだ。

 でもこの二人を悲しませることはしたくない。

 だから、彼は決めた。

 

「──じゃあ約束しようよ。しずくちゃん。ほのかちゃん」

「「え?」」

 

 二人に少女は顔をあげて彼の顔を見た。

 

「オレ、絶対帰ってくるよ。何年かかっても絶対に、帰ってくる。だから、帰ってきたら――」

 

 二人は見た。泣きそうな顔で、けれども精一杯笑った彼の顔を。

 少年は約束した。

 

 

 ――また一緒に、遊んでね?

 

 これが始まりの約束。

 そして、物語が始まるのはそれから数年後の話。

 




これから気長に読んでいた嬉しいです。
感想等、いつでもお待ちしています!

次回予告

 時間は進んで五年後、三人の幼馴染みたちは成長し高校生となった。
 再会の期待に胸を躍らせる雫とほのか。しかし魔法科高校には夜色名詠士と校長がなぜか密会していた。
 彼ら三人は、無事に再会を果たすことが出来るのだろうか?

2014/2/2 サブタイ変更。


 

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