俺ガイル~二次 雪ノ下父が贈賄容疑で逮捕!雪乃が独立する? BT付き 作:taka2992
その日、6時間目は数学だった。捨てている数学の授業を聞いていたって所詮わからない。眠い。俺は机に突っ伏して寝た。10分くらいしかウトウトしていないはずだ。しかし、目覚めると、周囲の景色が変わっていた。6時間目が終わってみんな帰って、周囲には誰もいない。が……振り返ると材木座義輝がいた。
「むふぅ~ 八幡よ、やっと目が覚めたか。我はこのときを待ちに待っていたのだ」
「なんだ材木座か、今日は何の用だ?」
「我に向かってそのような言い草をするのは千年早い! 面白い小説の案ができたのでお主に見てもらいたくてな」
「またかよ……懲りねぇな。これから部活だから話はそこで聞く。いいか?」
「ぶはぁ~ それは困る。また全身に矢を浴びるような酷評に晒されたら、我、死ぬぞ」
「じゃあ、どうすんの?」
「これだ、これを読んで感想をくれればよい」
そういって材木座はまたコピー用紙の束を差し出した。
「まだ冒頭部分しか書いておらぬが、読めばすぐにその面白さがわかるであろう。ではさらばだ!」
目の前には材木座が残して行った文章があった。また読むのかよ。なになに? 最初に但し書きがある。
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ありきたりのトランスジェンダーものです。ふうせんかずらが出てきて「人格入れ替わりイベント」を宣言します。その後、ふうせんかずらが大雪を降らせて総武高を封鎖し、生徒にバトロワをさせる予定です。
ドタバタコントを目指しますがうまくいくかどうか。
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どうやらこの高校が舞台になっているらしい。どこかの投稿サイトにアップする予定のようだ。続きは部室で読むことにした。
部室で材木座の未完小説をまわし読みした。登場人物が実在で、しかも俺たち奉仕部がメインだ。人格が入れ替わり? なんかそんなアニメ見たような気がする。
「ちょっとヒッキー、何でヒッキーと私が入れ替わってんの、やだ、これ! 私とじゃなくてゆきのんと入れ替わってよ!」
「俺に言われても困る。だけど、雪ノ下と三浦が入れ替わっているのは面白いかも。マジでバトりそうだな。見ものだ」
「面白いかしらね。ここに書いてあるように、私は絶対嫌だわ。あんな人と入れ替わるのは」
「小町はなんで入れ替わらないんでしょうねぇ」
小町が紙の束をパラパラめくっている。そのうち、パサッと長机の上に放り出す。
「あ、思い出したっす。ふうせんかずらが出てくるアニメ見たことあるっす。たしか、年齢と体が幼稚園児に戻るのもあったような気が」
投げ出された紙の束を取って、大志がめくり始める。
「そのあとバトロワだろ? すげぇ安易だな。発想が。俺たちに殺し合いをさせて、一体誰を生き残らせるつもりなんだ?」
そのとき、平塚先生がノックもなしにソロリと入ってきた。しかし、その表情はまるで精彩を欠き、青白い。まるで幽霊のような雰囲気だった。
なにこれ、デジャブ? 俺は変な感覚を振り払って「平塚先生、どうしたんですか?」ときいた。
「ん? ああ、ちょっと昨晩飲みすぎてな、今日はずっと吐きそうなんだ。うぐっ。だから君たち、あとは頼む。適当にやってくれ。うげっ」
平塚先生は、半眼のままボソリボソリと話し続けた。用件を伝えると、先生は体を反転させてロリノロリと部室を出て行った。
「よかった。まるでふうせんかずらを名乗ってもおかしくない雰囲気だった。先生も最近色々あったものだから、精神的にまいっているのかもしれないわね」
「結婚詐欺師と昔の彼のバッティングだからな」
「でも、このまえ平塚先生、お礼におごってくれるって言ってた」
「またラーメンかな? それともお好み焼き? どうせそこには……」
俺は陽乃さんが来るんだろと言おうとしたが怖くてやめといた。