王様をぎゃふん! と言わせたい   作:ハイキューw

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サブタイトルを徐々に考えて行こうかなと思ってます。

理由は 身もふたもありませんが……、どういう設定? どういうセリフ? を再確認しようとしてたら、結構時間が掛かってしまったので。
サブタイトルに題名が有れば少しは覚えておけるかな? と。

試合中ならまだ良いんですが、試合外ではやっぱり……。

これからも頑張ります!



第82話 決意

今、1階のコートで。

自分達の眼前で行われているのは

 

 

 

【準々決勝 青葉城西 vs 泉石】

 

 

 

この対戦は大方の予想通りの展開だった。

 

総合力で上回る青葉城西が終始リードし続け、結果 2-0で完勝。

 

その結果を見ていた観客は、口々に【烏野との試合の方が凄かった】と言っていた。

称賛の言葉なのだが、今の烏野の彼らには 響く事は無い。

 

良い試合をした所で、最後の25点を取らなければ意味はなく、敗北すれば それ以上先に進めないのだから。

 

その点、泉石も烏野も変わらない。ただ3回戦か準々決勝で負けたかの差。

 

最終的に全国大会へと駒を進める事が出来るのは、たった1校なのだから。

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

日向は、じっと青葉城西の試合を見つめていた。

今までの他校の試合は ただただ 燥いでいただけに見えていた日向だったのだが、今は何処までも集中している。

 

それは恐らく、青葉城西と泉石の試合が始まる前、更に試合後のミーティングが始まる前の武田の言葉が影響しているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

それは遡る事1時間前。

 

青葉城西に敗北し、コートを出て会場の外に出た時の事。

 

この敗北を受け止めるだけの時間は正直無かった。

ただただ、次の試合が始まるからと、慌ただしく追い出されたような感覚。

まるで 【敗者は退け】と言われたかの様だった。

 

 

 

沸騰しているかの様に熱い頭を冷ます為に、影山は外に備え付けられている手洗い場に頭を突っ込んで、水を被っていた。

 

 

「………ミーティング、そろそろだって……」

 

 

そこへ日向が呼びに来る。

他の皆はもう揃っていたが、影山だけが長く―――長く、流水を被っていたのだ。

 

それを聞いた、影山はゆっくりと蛇口を捻って水を止めると、頭をふく事よりも先に、日向の方へと向き直って、顔を俯かせた。

 

 

 

「――――悪かった。最後、完全に読まれた」

 

 

 

恐らく、それは影山が初めて行ったであろう日向に対しての謝罪の言葉だ。

自己中でムカついて、いつでも王様気質な影山からの初めての謝罪の言葉。

 

今まで影山に、どれほど理不尽な事を言われても、どれだけキツイ暴言を受けても まだ自分の力不足を認識していたが故に、ある程度は耐える事が出来ていた日向だったが、今回のこの謝罪に関しては無理だった。

 

 

「謝ってんじゃねぇよ!!!」

 

 

影山につかみかかり、そして押し倒した。

日向の160と言う比較的小柄な体格で、180を超える影山を押し倒す形となった。

後ろ向きな影山の気持ち、そして、その謝罪を許さない前向きな日向との差が顕著に表れた、と言うべきだろうか。

 

 

「おれに上げたのが間違いだったみたいに言うな!!! オレだって、オレだって……!!」

 

 

感情を爆発させる日向。

だが、最後まで言い切る事はどうにか止める事が出来た。

日向は、思わず【誠也の様だったら……】と言おうとしてしまったのだ。

 

自分の力不足は重々承知の上。

そして、あの場面でもしも 火神にトスが上がっていたとしたら……、これまでのプレイ、火神のプレイは目に焼き付けているから、どうにかブロックを躱したり、或いは立て直したりするだろう。……鮮明に頭の中にその光景が浮かんでくる。寸分違わず、まるで その場面を客観的に目撃したかの様に。

 

だが、最後の最後までそれを言ってしまえば、あまりにも惨めで、情けない。

 

難しい事は解らない。上手く言葉に出来ないが、日向にとってのそれは取るに足らないプライドだと言う事も解っている。

でも、信じて託してくれた火神をも侮辱しかねない言葉だと、日向は本能的に理解していたから。

 

 

「ぐっ………!!」

 

 

影山もその点は日向と同意見の部分はある。

勿論、火神についてだ。

 

あの場、あの一瞬、自分はコートの全てを見れていたか? と問われれば 思い返せば返すだけ、否定される。自分自身に否定される。

バレーの技術は負けない、絶対に負けないと言う強い自負と意地(プライド)が影山には強くあるが、視野の広さやチームを纏める言わば統率力。そして、1年のリーダーとして任命された時も、何ら違和感なかった事もそうだ。

司令塔(セッター)である自分が、総合力で圧倒的に劣っているのも紛れも無い事実。

火神に、及川に似た匂いを感じたのは影山も同じだった。

 

 

それでも、そこ(・・)も日向と同じだ。

 

 

あの無念の内にコートを去る時に、しっかりと託された。繋がれた。触れられた部分がとてつもなく熱く感じ、チームとしての力と言うモノを改めて教わった気分だった。外に居ても力をくれる。貰える。

 

何だかんだ言っても、バレーは6人でやるもの。

だから、精神的なものは大なり小なりあったとしても、正直綺麗事だと、前の自分は思っていた。

 

そして菅原と交代して その想いは徐々に薄れていき、軈て 火神の交代で、火神自身が身をもって証明してくれたんだ。

 

 

 

 

「―――ミーティング、始まってしまいますよ」

「「!!」」

 

 

そんな時、後ろから声を掛けられた。

いつの間にか、武田が傍にまで来ていた様だ。

 

 

「火神君なら安心してください。烏養君の計らいで、嶋田さんが病院の方へと連れて行ってくれるとの事です。……本来なら教師である僕が行かなければならないのですが、君達の事を考えて、と嶋田さんたちに()言われましてね……」

 

 

この場に残る選手達の事もある、と烏野のOB組は率先して火神を病院まで搬送する事を提案してくれた。見ず知らずの大人ならいざ知らず、烏養の知り合い且つ烏野のOBであれば、安心と言う事で武田は任せた形だ。……正直、引率している教師としては、最後まで責任をもって付き添いを……と考えていたのだが。

 

 

【間違いなく、翔陽や飛雄は荒れると思いますから……、先生に面倒を見てもらいたいんです】

 

 

火神に()そう言われた。

自分の事もまだ吹っ切るには時間が足りない筈なのに、チームの事を考えてくれているのがよく解る。

 

 

【付き添いなら 私が行きます。随時連絡を入れます】

 

 

そして 清水も同じくだ。

普段の何でもない時ならば、茶々の1つくらい入れても良さそうだが、今回に限っては真剣そのものだったので、武田は任せる事にしたのである。

 

 

 

「(…………言う通りでしたよ、火神くん)」

 

 

武田はそう思いながらも、とりあえず落ち着きを取り戻しつつある日向や影山に向かって労いの言葉をかける。

 

 

「そうそう、火神君と言えば、僕も言うのが遅れてしまいました。……ナイスゲームでした。今日も素晴らしい活躍でしたよ2人とも」

 

 

日向に、そして影山に向かって【ナイスゲーム】と労った火神の言葉を思い出し、これまた教師として、大人として出遅れてしまった事に対して、苦笑いをしつつも、言葉を告げた。

 

でも、日向の表情は変わらない。

 

 

「………負けました。任せろ、って返事したのに……」

 

ぐっ、と歯を食いしばる。

表情は硬く、強張ったままだ。

 

そんな日向に、武田は続ける。

 

 

「はい。確かに負けました。……ですが、実りある試合だったのでは無いでしょうか? 本当の意味での(・・・・・・・)チームプレイ。それを、十全に学べた試合だったと僕は確信してますよ。あの試合には。外で見ていた素人の僕ですらそう思ったのですから」

「…………」

 

 

言葉を続けるが、日向は俯いて何も言わない。返事が無い。

影山も同じだ。日向に応対は任せている様だが、恐らく心情は同じだろう。……もしも、違うのなら、此処で反論の1つや2つ、影山であれば絶対に言うだろうから。

地に伏し、言葉を発せず、ただ俯かせているだけならば、恐らく。

 

そんな2人を見て、武田は続ける。

 

 

「【負け】は弱さの証明ですか?」

「「………??」」

 

 

正直、あまり聞きたくない単語だった。言うのも聞くのも、心を蝕まれるような感覚がするから。あの止められた一瞬を、コートにボールを落とした瞬間を鮮明に思い出させられるから。……敗北、負けと言う単語は。

 

 

だが、武田の言葉を聞いて もっと聞きたい、と思えてしまった。だから、顔を上げたのだ。

2人の顔が上がって視線が交差したのを確認すると、武田は続ける。

 

 

「君達にとっての【負け】は、試練なんじゃないですか? 地に這いつくばった後、また立って歩けるのかという。………もしも、君達がそこに這いつくばったままでいる、というのであれば、それこそが弱さの証明です」

「「ッッ!」」

 

 

武田の言葉を聞いて、今の自分達を改めてみる事が出来た。

日向は影山に飛び付き、地に倒した。それは自分諸共。

影山もそうだ。やり返そうと思えば返せた筈なのに、受けるがままであり、そのまま地を這っている。

 

今の自分達に気付く事が出来た。

そして、武田は彼らの1つの核心をつく。

 

 

「……それとも、手を借りなければ立ち上がる事が出来ませんか? ()が、背を押し、手を差し伸べないと道が解りませんか? そんな君たちじゃないからこそ、彼は()()()()()()()んだと、僕は思いますよ」

 

 

託されたボールをついに繋ぎ切る事が出来なかった。

それは最早変えようがない現実だ。……ならば、これ以上武田の言う()に負担をかけるつもりか?

 

日向は、独り立ちだと言った。

影山は、勝ってない、引き分けだと認めた。

 

 

 

言葉は違えど、()がいなければ何も出来ない自分であって良いワケが無い。

 

 

 

 

影山と日向は、地を蹴りあげ、立ち上がった。

もう下は向かない、地を這ったままではいられない。そう宣言している様にも武田には見えた。

 

それを見届け、武田は笑顔を見せると―――そのまま2人を連れて集まっている皆の元へと引き連れていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合観戦も終わったし、ミーティングも終了した。

後は帰るだけ―――なのだが。

 

 

「うし。じゃあ飯行くぞ。勿論オゴりだ」

 

 

烏養の言葉は、解散! ではなく、飯食いに行く! だった。

困惑している澤村。

ここから先は、自分達が自分達と向き合う為に、それぞれが考える時間だと思っていたから。

 

 

「飯……スか……? いや、でも……」

 

今はそんな気分にはなれない、と言おうとしたが、言葉を繋ぐのが遅かったのか、或いは烏養が最後まで言わせる気が一切なかったのか、澤村の前に立って強引に。

 

 

「いいから食うんだよ。ほらほら、乗った乗った」

 

 

男子運動部を纏めるコーチだ。

これくらいの強引さはあって当然だと思う。……が、これまで以上の強引さを皆は感じつつ、マイクロバスに乗って、烏養の案内の下、いきつけの居酒屋へ。

 

まだ、準備中の看板が掛けられているのだが、事前に連絡をしていたのだろう。到着したのを察したのか、店の扉が自分達が開く前に、開かれ 笑顔で女将さんが迎え入れてくれた。

 

もう既に料理は出来上がっている。

良い匂いが鼻腔の奥を付く――――が、今は食欲をそそるにまでは至らなかった。

 

敗北直後だと言って良いから、気持ちに整理がまだついていなかった様だ。

 

そんな事はお構いなく、どんどん料理が運ばれてくる。

 

 

「おばちゃん、悪い。開店前に」

「なぁんのぉ~~、こんなの前はしょっちゅうだったじゃないの! つーか、うれしいわぁ。……し~~っかり、おじいさんの後継いでるアンタ見るとねぇ」

「はは……。まだまだだけどな」

 

 

烏養は軽く会釈を済ませると、皆が座ってる座席へと移動し、どかっ、と座る。

 

 

「―――走ったりとか、跳んだりとか、筋肉に負荷が掛かればかかる程、筋繊維が切れる」

 

 

誰もが言葉を発しない中、烏養の声だけが響く。

 

 

「んで、試合後の今なんか、当然筋繊維は切れてる。ブッチブチにな。……それを飯食って修復する。そうやって筋肉がつくんだ」

 

 

目の前の選手達の1人1人の顔を見ながら、言葉を繋いでいく。

今すべき事は何なのか、何が一番なのかを教え込む様に。

 

 

「―――そうやって、強くなっていく。だから食うんだ。ちゃんとした飯をな」

【…………】

 

 

まだ、反応が薄いと見た烏養は、更に笑いながら続けた。

 

 

「そんでな。お前ら。……火神は解ってるみたいだったぜ」

 

 

火神の名を聞いて、ぴくっ、と反応を見せる。

 

病院に行った火神の追加情報については 現在全くない状態だった。

元々急患でも何でもないので、病院に行ったら即座に診察される、というワケでもない。それに加え、嶋田達が知っている個人病院は、スポーツドクター、専門医が常駐している為、ここら一帯では、大きな病院に行く前に絶対にお世話になる、という人も多い。

言わば好評で人気のある院だ。

なので、当然待ち時間も長いだろうから、なかなか結果は解らないかも、と聞かされていた。

 

 

烏養は、軽く笑った後、火神との事を思い返す。

 

 

【悪い嶋田! 頼むぞ】

【おう! 任せといてくれ! 今日の烏野MVPだ。丁重に、それでいて迅速に病院まで直行するよ】

 

会場の入り口にまで車を回してきてくれていた。

火神は、嶋田に頭を下げて、礼を言い、そして付き添いの清水も同様に頭を下げる。

 

嶋田は、手をぶんぶん横に振って、そのまま運転席へと座った。

 

 

【じゃあ火神。また連絡くれ。オレが行く方が早けりゃ、学校戻った後直ぐオレも行く】

【……わかりました。ありがとうございます】

【良いって良いって。今、お前は足の事だけ考えろ。後、急ぎすぎんじゃねぇぞ? その辺は……】

 

烏養がちらっと隣にいる清水に視線を向けると、しっかりと頷いてくれた。

首に縄をかけてでも、しっかりと手綱を握っている、というかなり強い意志をその表情と視線に感じた。

いつもクールな清水の非常に強気な視線には、思わず身体を仰け反らせそうになったが、一先ず受け取り、火神を任す。

 

そして、扉を烏養が閉めようとしたその時だ。

火神が何かを思い出した様に、【あっ】と声を上げたのは。

 

その声に反応して、烏養も一度閉めるのを止めた。

 

 

【コーチ! オレ、ちゃんとやります!】

【??】

【コーチに毎日言われてた様に、ちゃんと、メシ! 食います!】

 

 

最初は何を言っているか解らなかった。

 

あまりにも唐突過ぎて、脈絡が無いと思ったから。………でも、その答えを聞いた後は直ぐに連想する事が出来た。

 

そうだ、火神は試合終盤、最後の最後こそは怪我で抜けたが、チームで一番動いていたと言っても、誰もおかしいとは言わない。

今の火神は、ある程度休んだとはいえ、筋肉は傷ついている。はち切れんばかりに悲鳴を上げている筈だから。

 

そして、火神には色々あったし、正直かけて良い言葉が見つからなかったのも事実だが、メシをちゃんと食えるのなら……、そう言えるのなら、もう大丈夫だと安心も出来た。

 

選手に安心させられる自分に 少々情けない気分を味あわされてしまうが、火神相手なら妥当だとも思える自分も居た。

 

だから、烏養は歯を剥き出しにしながら、今日一の笑顔を見せると、嶋田に指さしながら言う。

 

 

【おう! よっしゃあ嶋田ァ! 死ぬほど食わせてやれよ! 後でビールでもなんでも奢ってやる!】

【っしゃああ! 任せとけ! うちのマートの肉系、何人前でも持ってっちゃる! つーか、出来立てほやほや総菜全品種だ!!】

 

 

嶋田も嶋田で、心配していたのだが、火神の一言で、心配する事よりも、してやれる事を全力でする事を決めたのだ。

 

その結果――――、あまりにも……火神以上に、周りがあまりにも盛り上がり過ぎてて……、最初から火神はやる気満々だったのだが、次第に一体何人前食わされる羽目になる? と思い出したのか、顔を引きつらせてしまっていた。

 

 

【……がんばれ、男の子】

 

 

そんな火神に、清水はエールを送るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなやり取りがあったのを選手全員に伝える。

そして、顔つきが明らかに変わっていっった。

 

 

「確かに火神(アイツ)はほんっとスゲーよ。お前らがアイツの事 お父さん(・・・・)って言っちまう本当の意味ってヤツをオレも見た気分だ。(マジで歳上かと疑ったし)……でもな、何もアイツは難しい事をしてる訳じゃねぇ。ちょっとした気の持ち方、ちょっとした考え方。それだけなんだ。お前らもほんのちょっと変えるだけで驚く程変わるもんだ。――――それに、1年坊主が解ってんだぜ? 澤村(キャプテン)。どうすんだ?」

 

 

澤村は、大きく頷く。

 

周囲を見渡すと、全員の顔つきが変わっているのも解った。

あの表情がそこまで変化みられなかった月島でさえ、僅かながら変わった様に見えた。

 

 

「――――――合掌ォぉォぉっ!!」

 

 

澤村の号令で、全員が両手を合わせる。

 

 

 

「いただきます!!!」

【いただきます!!!】

 

 

 

その号令の後はただ只管食べる。

 

食べる食べる食べる食べる食べる。

 

涙を拭うのを忘れてただただ只管食べる。

 

一歩ずつ、少しずつ、確実に、身体を強くする為に。

 

 

恐らく、いや ほぼ間違いなく自分達よりも食べてる(かも)火神に負けない様に。

涙味でしょっぱくなってしまったとしても関係ない。

 

次々に出てくる料理を兎に角口の中へ、身体の中へと入れ続ける。

 

 

 

 

偶然なのか、或いは必然なのか、火神も丁度診察を終え、飯を食べていた。

 

ギプスを撒いて痛々しくも見えるが、嶋田マートの飲食コーナーへと招待されて、そこで只管食べ続けた。

 

同じく涙を流しながら、それでも食べ続けた。

身体を強くする為に。……願わくば、どんな無茶なプレイをしたとしても、ついてきてくれる身体になる様に……と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月3日(月)

 

インターハイ宮城県予選 3日目(最終日)

 

負けた烏野には関係のない事ではある、がインターハイ予選も大詰め。今日、宮城県1位が決まる。……王者が決まる最終日。

 

全国への切符を手にするのは何処になるのか。

 

それも気になるが、それ以上に思うのはやはり、敗戦ショックがまだまだ抜けてない所だ。

 

そんな中で 唯一の幸運と呼べるものは、火神の足の怪我は大したこと無かった事だろう。

見た目かなり派手に腫れていたので、嫌な予感がしたのだが、診断の結果 ただの捻挫だった。

 

自身もバスケのクラブを持つ有名なスポーツドクターが言っているのだ。

信頼はして良いだろう。

そして、火神は1日でも早く治す為に、松葉杖を借りていた。

その杖を利用して筋トレをしてる火神を見ると、自分も、と奮い立つ気持ちだ。

 

本当に良かった。

 

良かったのは間違いないのだが、……やはり、1つの問題が頭から完全に消え去ると、頭の中の全てを占めるのがもう1つの大きな大きな問題。

負けてしまったと言う事実が頭に残り、自分の中で消化するのがあまりにも難しい。

 

 

「飛雄」

「……ああ、火神か。飯は良いのか?」

「体育館で、ボールの音がしてたからな。気になって先にこっちにきた。勿論、メシは食うよ。当然。んで、飛雄とも思う存分付き合う――――って言えないのがツライトコだ」

 

火神は松葉杖をひょい、と持ち上げて苦笑い。

何処で目を光らせているか解ったモノじゃない。【最低でも1週間は安静にする事】と、結構軽い捻挫なら、気軽に【明日から暴れてOK】と言うドクターが、安静と言う言葉を口にするんだから、尚更重みがある。

 

それを横で聞いていた清水もそうだ。

 

「無茶させません」

 

と言っていた言葉の重みも負けずとも劣らない程、迫力満点だった。

 

 

「足使えなくても、ちょっとした壁打ちやパスならオレも、と思ってな」

「ん」

 

影山は、オーバーでボールを上げる。

簡単なオーバーハンドパスとはいえ、一歩も動かずに火神の手の中にまで狙う精度は流石の一言。

 

「怒られたら連帯責任になる。ちょっとだけな」

「おう」

 

 

 

 

互いに簡単なパスし合いを数合続けた時だ。

 

だんっ!! と体育館内で強く足を踏みつける様な音が響いたのは。

 

ちらっ、と誰が来たのか確認した火神は、軽く笑うと 影山に向かって先ほどよりも大きくボールを上げた。

 

その後、下におろしていた松葉杖を拾い上げると、片足でひょいひょい、とその場から離れる。

 

影山もその意図に、そして誰が来たのかに気付いたのだろう。

上げられたボールを思いっきり、来訪者に向かって打ち付けた。

 

バアンッ! という破裂音が響くと同時に、そのボールを見事に拾い上げるのは、来訪者……日向。

 

続いて影山はアンダーでボールを還し、日向もそれに応え―――と続く。

 

 

更に数合、続いた後……、ボールをしっかりミートしきれなかったのか、日向の拾おうとしたボールが、影山が居る方へ飛ばず、日向から見て右側、火神が居る方へと弾き飛んでいった。

 

「腰高ぇよ」

「うん」

 

日向は、今度は火神の居る方へと向かう。

ボールを取りに……ではなく。

 

「……誠也。足、大丈夫なのか」

「もうそれ、12回目な、翔陽。……大丈夫。またバレー出来るってば」

 

火神の足の再々再々………確認である。

 

 

「………そろそろ、決勝始まる頃だな」

「だな。青葉城西と白鳥沢。予想通りのカードらしい」

「………オレ達、負け……ぶっ!」

 

 

俯かせてる日向の顔面に向かってボールを叩きつける! ……まではせず、顔に押し付ける火神。

そして、もう1球持ってたので、それは影山に向かって投げる。

 

 

「オレと違って思いっきり身体動かせるんだから、うじうじ ふにゃふにゃ考えるより、限界いっぱいまで身体動かした方が良いぞ」

「「!!!」」

 

 

その言葉を皮切りに、まずは日向。

顔に押し付けられたボールを半ば毟り取る勢いで引っ手繰ると、奇声を上げながら無茶苦茶にボールを打ち付けた。加えて、持ち前の身体能力を全開、限界まで発揮し、体育館の二階まで、梯子を使わずに跳躍だけでよじ登ると言う離れ業を見せてのけた。

 

そして、影山も同じく。渡されたボールで我武者羅に壁打ち。

2度目は1度目よりも強く、3度目は2度目よりも強く、を意識しながらただ只管に打ちまくった。手元が狂っても、ボールにしっかり当たってなくても関係ない。

軈て、ボールが返ってこなくなった所で、日向同様 まるで癇癪を起こした子供の様な奇声を暫くの間、上げ続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、場面は2年の教室。

2年1組。

 

田中、縁下、西谷、成田、木下と全員が集まっていた。

 

 

「オレは忘れてねぇ。……あの時、影山や日向が馬鹿やった時。大地さんははっきり言った。―――春高に行くって」

 

それは烏野が初めて全国大会に出場、春高に出た時の事を話していた時の事だ。

澤村も菅原も東峰も、全国大会で各県の代表チーム、猛者たちと死闘を繰り広げた烏野を見て、憧れて、鳥肌が立って……、必ず烏野高校へ入ると誓い、そして。自分達も春高へ行く、と言ったのだ。

 

西谷はその時はまだ謹慎中だった事もあり、知る由も無い事だが、他のメンバーはしっかりと覚えていて、大きく頷いた。

 

 

「春高……1次予選は8月だっけか……。誠也も大事無かった様だし、次こそは、だな」

「ああ、ノヤっさん。その通りだ。……大地さんは オレ達でもう一回行くって言ったんだ。言った以上、敗戦に浸ってる余裕なんて、無ぇよ」

 

 

負けた悔しさ、苦しさ、それらを引き摺る余裕は一切ない、ときっぱり言ってのける田中。

それに続く他のメンバー。

 

時間はあるとは言えない。もう少ししたら、……8月の予選なんて、後ちょっとだ。

 

いつもに比べたら気味が悪い程静かな田中、西谷だが、その瞳には いつも以上の炎が宿っている様に見えた。

 

そして、考える事は最早ただ1つ。

 

――もう、負けない―――春高へと行くのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の場面は3年。

 

3年4組。

 

 

丁度ベランダで、澤村、菅原、そして東峰が揃って話をしていた。

澤村に呼び出された、という形ではあるが、この時驚く事を澤村が口にしだした。

 

 

「オレはここで退いた方が良いと……思ってる」

「「!!!」」

 

 

田中ではない、が春高へ行くと言う言葉は、此処にいる菅原ははっきり聞いている。

なのに、澤村から引退の言葉が出てくるのに、驚きを隠せなかった。勿論、東峰も同じだ。

 

 

「春高に3年が出られるようになって、絶対そこまで残って東京いって戦ってやる、って思ってた。……でも、1・2年を見てたら、少しでも早くあいつらに部を明け渡した方が良いんじゃないか? って思ったんだよ」

「…………」

 

 

澤村の言いたい事は解る。

 

現レギュラーでは、1年が半数以上をしめ、2・3年と言う構成だ。

仮に3年が退いたとしても、力は問題なくつけて、次の大会へ……春高予選へと望めるだろう。

 

「将来有望だ。間違いなく。唯一の欠点っていうか、心配事はアイツらを誰がまとめるんだ? って思っちまった所だが、そこはもう心配してないよ」

 

大きくため息を吐きながら言う澤村を見て、菅原は一歩前に出て、遮る様に言った。

 

「大地、それって本音?」

「っ……!」

 

真っ直ぐな菅原の視線は、澤村を怖気づかせる。

そして、その澤村の視線がブレたのを菅原は見逃さない。

 

「確かに大地は主将。重い立場だって事くらい解ってるつもりだ。曲がりなりにも、オレだって副主将だしな。………だからこそ思う。自分を完全に殺す必要なんかないんじゃねえの? って」

 

 

明らかな迷いがあるのは、長い付き合いだから解る。

だからこそ、菅原は言ってやりたいのだ。

 

「前から決めてたっていうなら何も言わないケド、そうじゃないなら、最後くらいもっとやりたいようにやんなよ。……んで、オレは昨日言った通り、居残るつもりだ! 1・2年に【もう出てってください!】って言われたらそん時、考える! 大地と旭が居なくてもな」

「うえ!? オレだって昨日残るって言ったべよ! 元々進学希望じゃないし……、あ、でも1・2年に【出てってください】って言われたら―――……凹む」

「バーカ。例え話だっての。あいつらがそんな事言うワケねーべ」

 

 

昨日の居酒屋で飯を食い終えた後の帰りに、確かに菅原と東峰は残ると言っていた。絶対に残ると。……そして、自分は答えを出せずにいた。直ぐに答えを出せなかった。

 

 

そして、菅原や東峰の言葉を改めて聞いて――――澤村は、もう決めた。

 

 

「……オレは、オレはまだやりてえよ!! お前らと、まだ―――バレーしてぇ!!」

 

 

もう、自分の心に従った。

 

自分の気持ちに嘘はつけなかった。

嘘をついたまま―――このまま一生引き摺るのかと思えば、これ以上怖い事は無い。

それならば、当たって砕けた方がまだマシだ。

 

 

 

勿論 次は絶対に負けない、負けるつもりは毛頭ない。

 

勝つしか考えない。

 

 

 

春高へ行く事しか――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、場面は変わって1年。

 

1年4組。

 

日向や影山が体育館で暴れ、それを見ている火神。

丁度その頃、山口は教室で自問自答を繰り返していた。

 

 

 

それは昨夜、いつも通り、試合に負けても変わらないいつも通り、嶋田マートにサーブの練習に行った時の事だ。

 

 

【忠。試合に出れたな。それにいきなり出たのに、見事に点も決めた。凄かったよ。………試合は、楽しかったか?】

 

嶋田の問いに対して、山口は首を縦には振れない。

振る選択肢はない。

 

【……いいえ。いいえ!】

 

その言葉を聞いて、嶋田は少し笑った。

 

【だよな。……例え1点、25点中のたった1点でも決めた瞬間は、世界の中心に自分が居る!! って感覚があったかもしれないケド、……結果負けた。点は取れた。でも、次は直ぐに獲り返された。もうちょっと打ち方を変えたら? 狙い所は良かったか? もうちょっと力入れても入ってたんじゃないか? 色々考えちまうよな。……負け試合なら尚更だ。あの時オレは、って】

 

嶋田の言葉は、実に的確に山口の考えを、自問自答を言い当てていた。

自分と同じような経験があるからこその言葉なのだ。これも経験ありきだ。

そして、それはサーブにも言えるだろう。

 

 

【……中学までは、皆でわいわいやるのが楽しい、って漠然と思ってました。それがオレにとってのバレーでした。……でも、でも! そういうんじゃない! そういうんじゃなくて!!】

 

高校に入って凄い選手を沢山見た。

本当に凄い選手は、本当に楽しそうで、楽しそうで……自由自在に身体を操っていた。

 

そんな中に入っていけてない。……同じ中学出身で言えば、ついていけてるのは月島だけだ。月島の様な長身も技術も自分には無いのだ。

 

 

【オレも、アイツらみたいに自分の身体を操りたい! ボールを操りたい!! もっともっと、強い奴らと対等に戦いたい! たった、たった1点じゃ満足なんか出来ない!! もっともっと、点を獲りたい!! それに………火神よりも多く獲る、って言ったんだ。有言実行したい!!!】

【ほっ!? そりゃ高いハードル設けたもんだな】

 

 

火神よりも~ という言葉を聞いて、嶋田は山口の成長具合に感嘆した。

何せあの完成度は、大人側の視点から見ても解るし、高校生と言うことを考えたら、間違いなくバケモノに分類される。

その年々で、超高校級プレイヤーと言うのは毎年の如く現れる者だが、嶋田が知る限りでは、世間で、全国で騒がれるクラスのプレイヤーと比較しても何ら遜色は無い。

寧ろ、身内贔屓を入れてるかもしれないが、攻守共にバランスよく、欠点が見つからない事を鑑みれば、火神の方が上だと思えた程だ。

 

そんな男より、点を獲る、と意気込む山口。

戦意喪失までとはいかずとも、敵わない存在として見る事くらいはありそうなのに、あの1試合で本当に成長したんだと心から想えた。

 

 

【それとな忠。勝負事で楽しむ為には強さが要るんだ】

【?】

【これは、烏養監督……爺さんの方のな。オレらん時の監督に良く言われてたんだ。オレは勿論エースじゃなかったし、そもそもスタメンですらなかった。……練習もきっついし、辞めたいと思った事も多々。………でも、今日のお前と同じだ。初めて試合でサービスエースを決めた時、思ったんだ。オレはこの1本の為に、練習し続けてきたんだ。そんで、この1試合、1本、この瞬間をまた味わえるなら、キツイ練習でもやれる、って思ったよ。……その点、忠はオレよりか先に行ってる。……断言してやる。あの火神(バケモノ)を相手にして、より多く点取ってやる! って気概を身に着けてる時点でな】

 

嶋田は最大級の賛辞を送ってくれているのは、肌で感じる。……だが、山口はそれで満足などしない。

 

幾ら凄くたって、バケモノだって言われたって、火神は高校生だ。

大学生でも社会人でもプロでもない。それは火神にも言える事。

現状を満足はしないし、諦めるなんてもっとない。……挑まずにはいられない。

 

 

そう思うと同時に、山口は自然と身体が動いた。

それを合図に、嶋田も一緒に動く。

 

 

【よっしゃ! やるか!! 次の大会までだって時間足んねぇからな!? 火神より点獲りたきゃ、只管練習だ!】

【ハイ!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、場面は元に戻る。

 

山口は もう、迷わない。

考える事はただ1つだけ。

 

練習して練習して練習して―――――そして、しっかり食べる!

 

 

「ツッキー―!! ごはん食べよう!!」

 

そして、月島も巻き込む。

最近じゃ、まんざらでもない月島をしっかり巻き込む。

これは、きっと火神より自分の方がちょっぴり上手だと思うから。

 

「………山口うるさい」

「うるさくてごめんツッキー! でも食べよう!」

「はいはい。………解ったから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、場面は再び体育館。

 

 

今出来る限界の動きを息が続くまで、無呼吸でやり続けた結果、体力バカである日向も影山もコートに突っ伏した状態で倒れていた。

 

 

「かがぁみ……」

「おう?」

 

 

突っ伏した状態で影山は言った。

 

 

「一度しか言わねぇ……ぞ。オレは、昨日、日向に謝っちまった!」

「ん? 謝った?」

「ああ!! だが、その1回だけだ!! オレはもう、謝んねぇ! 誰にも謝んねぇ!! お前にもだ!! 謝んなきゃいけねぇトスは……絶対に上げねぇ!! 頭ん中に入れとけ!! そんで、万が一……クソみたいなトス上げた日には、お前がオレを罵倒してくれ!」

「……そこはオレじゃないのかよっ!」

「ヘタクソに罵倒される謂れはねぇ」

「ふぐっ……」

 

 

まだ、ヘタクソと言われても仕方ない。

日向はそれはとうの昔に知っている。

 

「他人を罵倒する趣味は無いんだが。……変だったらいつでも言ってやるよ。オレは今までも、これからも、王様(飛雄)をぎゃふんと言わせたいんだからな。それにオレだって。……オレだって負けたくない。他のどのチームにも負けたくない。……お前らにも」

「……言ってたまるかよ。絶対。それに勝つ事しか頭にねぇのはオレも同じだ。……もう、負けは十分だ! わかってんのか!? 日向!」

「………ああ! わかってるよ!! だからこそ、止まってる暇は無いんだ!!」

 

改めて心に刻む3人。

 

「おう! そんで翔陽の言う通り、もう倒れてる暇は無いぞ。時間的(・・・)にもな」

「「??」」

「ほら、今の時間がやばい。予鈴が鳴る前に撤収しないと。飯食う時間の確保もしないと」

「あ、やばっ! マジだ!」

「オレも着替えねぇと……」

 

体育館の現在時刻を確認して先ほどとは違った意味で慌ただしくなる2人。

火神はゆっくりとした動作で、松葉杖を拾い上げ、また顔を上げたその時だ。

 

 

 

「っっ!??」

「火神の言う通り。もう時間無いよ。ちゃんとお昼は食べなさい」

 

 

 

本当にいつの間にか解らない。

いつの間にか、目の前に清水が立っていた。

中学陸上部直伝の韋駄天技でもあると言うのだろうか、気配まで感じてなかったので、本気で火神は驚いて仰け反りそうになった。

 

 

「!! き、さ、し、しみず、せんぱい!?」

「あと、あんまり奇声は発しない様に。部室にまで聞こえてた」

「ハッ!! フィ!!」

「それともう1つ。……………」

 

 

「!!!」

 

 

先ほどまでは、視線を合わせてなかったので解らなかったが……、清水の眼力はかなり強い。物凄い威圧感が宿っている。

日向が何故まとも?? に話が出来ていたのか解らない程に。

 

その威圧感満載の眼光が火神の目を貫き、脳にまで到達。脊髄反射で、背筋をぴんっ! と伸ばすと同時に。

 

 

「……………………」

「決シテ、足、使ッテマセン!」

 

 

ビシッ! と敬礼していた。

清水には病院で、そして学校ででも、かなり厳しめに言われている。無理無茶しない様に、と。

 

 

あの会場のトイレでの出来事以来、更に厳しくなった気がするのは気のせいじゃないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

2人を横で見ていた日向は影山に聞く。

 

 

「なんか、誠也は皆からお父さんって言われてるけど、今の誠也とのやり取りみたら、誠也がお父さんっていうより、清水先輩がお母さんって感じ?」

「知るかよ」

 

 

日向は、清水と言う女性に、それも高校生にお母さんとは なかなか失礼な事を言ってる気がするが……、皆して、火神の事をお父さん呼ばわりしてるので、ある意味仕方ないかもしれない。

 

そして、バレー関係以外は興味なし、と言わんばかりにスルーする影山。

 

スルーした、と言うより、漸くこの時点で空腹を思い出した様で、話の内容が頭の中に入ってきてないようだ。

 

その証拠に、今影山は盛大に腹を鳴らせているから。

 

 

 


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