あなたが生きた物語   作:河里静那

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ご無沙汰しております。
ほぼ一年ぶりの投稿となります。

ここまで放置してしまった上に申し訳ないのですが、今回の話、そして今後の投稿の内容は、非常に簡潔なものとなっていきます。
プロットそのままではなく多少の肉付けはしますが、基本的にストーリーを追うだけのものだと思ってください。
更新をお待ちいただいていた方には申し訳なく思うのですが、これが今の自分の限界なんです、ごめんなさい。


42話

2000年、5月。

帝都、帝国本土防衛軍朝霞駐屯地。

 

草木も眠るといわれる時間。

漆黒に染まる世界の中、眠りの魔力の及ばぬ虫達の求愛の歌がりんりんと、何処からか聞こえてきていた。

……いや、砂男が砂を撒かなかったのは虫達だけではないようだ。暗がりの中で灯台のように存在を誇示するその戦術機格納庫の前では、周囲を包み込む静けさに反する激しい熱気が溢れかえっていた。誰ひとりとして口を利く者はなく、整然と無機質なまでに居並ぶ姿。それでいながら彼等の心と体から溢れ出す暑さは、気温計の針を数度押し上げている。

 

ハンガーのキャットウォークから、彼等へと眼差しを向ける男が一人。固く引き締められたその顔にはただ覚悟の色だけが浮かび上がり、その内面を推し量ることは出来ない。

彼はやがて、その場の支配者とも見える全高20mの巨人へと視線を移す。94式戦術歩行戦闘機、不知火。その漆黒の機体を白く染め抜く、烈士の二文字。その称号は革命において功績を残した、或いは犠牲となった人物へと捧げられるもの。敢えてそれを機体に印すこととは……つまり、そういうことなのだろう。

 

「いよいよですな……こちらも準備はできとります。最後の御奉公だ、念入りにやらせていただきました」

 

整備班の長と見える老齢に片足を踏み込みかけた男が、培ってきた経験と技術に裏打ちされた自信を持って、そう告げる。最後の奉公、おそらくその言葉は現実のものとなるだろう。この計画が成就するなどとは、老兵は思っていない。だが、それでも。

日本に戦術機が導入されて以来、裏方の立場から兵士たちを支え続けてきた男。スパナを握れなくなるその日まで愚直に己の本分を貫き通すつもりであった男が、叶わぬと知りながらそれでも託した願い。

 

「あんたが立ち上がって、そこに皆が手を挙げた。それだけでも、あんた方は立派に道を示したんだ。変わりますよ、日本は。……必ず」

 

そっと背中を押す言葉。

己の背に積み重なった、皆の想い。その重さ、自分の呼びかけに応えてくれた者達の人生の重さを感じながら、男は烈士の文字を見つめ続ける。

……自分には、その重さを背負う資格などありはしないのだと。心の中で皆に詫び、自身を断罪しながら、それでもその面を崩すことはなく。

 

「時間です。……参りましょう、沙霧大尉」

 

その時が来たことを告げる、副官の声。

沙霧はそっと目を瞑ると、3人の人物の顔を思い返す。

一人は恩師。汚名を背負わされながら、それでも国の為に命を捧げた男。

一人はその忘れ形見。自分の手で幸せにしてやりたかった少女。

そして、もう一人。

 

──……蒼也……。

 

これから彼は、自身の下に集ってくれた者達の命を使い、芝居を一つ打ち上げる。それは悲劇か、或いは喜劇か。

許されることではないだろうし、許してもらおうとも思っていない。汚名を背負うなどという自己満足があるわけでもない。それでも、これが最善なのだと信じたからこそ。そして、妹分、弟分にこの重みを背負わせる訳にはいかないからこそ。だから、自分がやる。

 

再び開いた沙霧の眼には、静かに燃える炎。

確かな足取りで、一歩一歩、踏みしめるように歩きだす。彼を待つ、烈士たちの元へと。

そして、告げた。終わりと始まりの宣言を。

 

「決起の時は来たっ!」

 

西暦2000年5月15日02時30分。五一五事変の本幕が上げられた。

 

 

 

 

 

 

 

1999年12月。

帝都、帝国本土防衛軍朝霞駐屯地側、和光樹林公園。

 

「今……国内で、政府を打倒しようとする動きがあります」

 

街灯の光によって周囲の闇から切り取られ、浮かび上がる世界。蒼也の言葉が空気に溶けていく。

まるでスポットライトに照らされた、舞台の1シーンのようだ。これが舞台だというなら、主役は蒼也か。なるほど、絵にはなっている。

沙霧の頭の中では、そんな場違いなことが徒然と思い浮かんでいた。それほどに、目の前の光景にも蒼也の言葉にも、現実感というものが感じられない。

 

……逃避するのはやめよう。

確かに普段から本気と冗談を混ぜこぜにして真意をなかなか見せようとしない奴だが、冗談では済ませられないことを口にする男ではない。ならば……やはり、そういう意味なのか。

 

耳から入った言葉が脳へと伝わり、やや迷走しながらもその意味を理解した時、沙霧の心に浮かんだ感情は驚きと、呆れ。

 

「クーデター……だと? このような時に、なんと愚かなことを」

 

現状において日本は、横浜ハイヴが陥落したことにより当面の最大の危機を脱したとは言えよう。また現在の政府に対して様々な不満があるのも理解は出来る。

だが、だからといって苦しみと悲しみが収束したわけでは決してないのだ。このタイミングで政治的混乱を起こそうなどとは、愚の骨頂。

西日本の復興はまだ始まったばかりであるし、未だ帝都近隣には多くの民が避難生活を余儀なくされている。困窮極まる彼等の生活を、さらに壊そうというのか? 何より、どこの馬鹿だか知らないが、そいつには日本は未だ佐渡という喉元に短刀を突き付けられているという現実が見えていないのか?

 

「確かに愚かな行為です。ですが、このままで行けばそれは現実になる。そして、計画の裏に関わっているのは……おそらく、アメリカです」

 

……アメリカ? また、アメリカだと?

日本から手を引いたはずのアメリカが、クーデターの混乱に乗じて復権を目論もうとでも言うのか。……いや、混乱に乗じて、ではなく。まさか混乱そのものを自らの手で引き起こそうと? そのような卑劣な手段をとってまで、己の力を誇示したいというのか。

彼の国は、一体どこまで傲慢だというのだ。

 

知れず、沙霧の右手に力が込められていく。強く、固く、皮膚が裂けんばかりに握りこまれる拳。

蒼也の言葉が事実であるとするなら、必ずやその企てを未然に防がなくてはならないだろう。疲弊した日本そして人類には、人間同士で争っている余裕などありはしないのだ。

 

だが、そこで思い浮かぶ疑問。何故に、こいつは俺にそんなことを話す?

たまたま蒼也、或いは第四計画がこの計画を知ったとしてだ。対処するために協力者を求めるとして、話を持っていく先は政府や帝国軍の憲兵といった警察力を持つ組織となるのが筋だと思う。自分は戦術機に乗るしか能の無い、一介の大尉に過ぎない。こんなことを話したところで、情報漏洩の危険性が増すだけだろう。それくらいのことは沙霧にもわかる。

蒼也、お前は一体何を考えている?

 

「クーデターとはなんだかんだと綺麗事を言ったところで、暴力をもって自分にとって都合の良い要望を通すことに違いありません。だから、賛同者や民衆の指示を得るためには、彼等を惹きつけるお題目が必要になってきます」

 

それはそうだろう。

本来、沙霧は権謀術数などには縁のない人間であるが、別に知において劣っているわけではない。考えたくない類のことではあるが、そうする必要があるというのは理解できる。

 

「クーデターの目的は将軍殿下の復権、そしてアメリカの影響力からの脱却。この二つの目的において、象徴として頂くにふさわしい人物が存在します。常に国のことを想い、民のために身を挺してBETAと戦い続け、そしてアメリカの思惑のために汚名を背負って散っていった人物が、います」

 

……まさか。

 

「そうです。彩峰中将ですよ」

 

沙霧の心を震わす怒り。中将の名前をそのような謀に使おう、だとっ!?

 

「そして、中将の名声を利用しようとするなら、首謀者として担ぎ上げる人物は限られてきます」

 

考えるまでもなく、一人の人物の名が思い浮かんだ。

 

「一人は、彩峰慧。中将の忘れ形見であり、あの事件で人生を狂わされた少女です。現在は訓練生ですらないただの民間人ですが、その若さがかえって悲劇性を煽り、民衆の目を惹くことでしょう」

 

慧に、あの傷ついた少女に、これ以上の重みを背負わせようというのか。

そんなことを、決して許す訳にはいかない。自分に何が出来るかは分からないが、なんとしてでも未然に防がなくては。

拳を握り決意を示す沙霧だったが、しかし蒼也はそれを無視して言葉を進める。

 

「二人目は、中将の親友にして大戦の英雄である黒須鞍馬、その血を受け継ぐ僕です。ただ、僕の所属は国連軍で、何よりアメリカの血が入っています。神輿に乗せるにはややふさわしくない」

 

ここで蒼也は目を伏せ、言葉は思い悩むように途切れる。

ゆっくりと十は数えたろうか。視線を上げると、無表情に。しかし思い悩む気持ちを乗せて、続きの言葉が紡がれた。

 

「そして、三人目は。中将から実の息子のように思われ、その思想を色濃く受け継いでいる人物。中将と共に大陸で戦い、BETA大戦の理想も現実も知り尽くした戦士。……尚哉さん、あなたです」

 

蒼也の気遣わしげな声に、沙霧はその意図を悟る。

 

「……つまりは、俺を餌にしてそんな最低なことを考えつく奴らをおびき出そうと、そういうことか」

「……尚哉さんには危険な真似をさせることになります。一歩間違えば汚名を背負うことにもなりかねない。なんなら、断っていただいても……」

 

ふっと。沙霧の顔に優しい笑みが浮かぶ。何をらしくもない遠慮なんかしてるんだ、こいつは。

 

「これも年長者の勤めってやつだ。割りを食うのはいつものことだ、いいから気にせず使い倒せ」

 

間違っても、お前や慧に背負わすわけにはいかないからな。

 

「……ありがとうございます」

「だが、やるからには絶対に食い止めろよ。こんな企てで心を悩ますのは俺とお前だけでいい。……わかっているな?」

「ええ、もちろん。慧ちゃんに話が行くようなことにはさせません」

「なら、いい。……蒼也、絶対に阻止するぞ」

「ええ、尚弥さん。……でも……」

 

言いよどむ蒼也を不審に思い、その顔を覗き込む。

そこには、悲壮な色が浮かんでいた。

 

「どうした?」

「……でも、失敗することを大前提とするなら。きっと、何もかも上手くいく。患部を摘出するためには、思い切った手術が必要だとも思うんです。……だから、僕が立てば……」

「……蒼也。滅多なことを考えるんじゃない。そんな自分を犠牲にするような方法は、きっと……間違っている」

「……そうですよね、ごめんなさい。忘れてください」

 

 

 

蒼也と別れ、基地の自室にて先ほどの会話を思い返してみる。

 

──失敗することを大前提とするなら──

 

その言葉が、沙霧の胸に刻みつけられ、何度も何度も頭のなかで繰り返されていた。

 

 

 

 

 

 

 

1999年、10月。

国連軍横浜基地。

 

「クーデターねえ」

 

香月がしみじみと、呆れたようにこぼす。

 

「確かに愚かな考えですけど、あの事件の黒幕は別にいたと思います」

 

一介の訓練生にしか過ぎなかった白銀には知り得なかったが、あの件に裏があったのは間違いないと、蒼也は考える。

そう考えないと、不自然な点が多すぎるのだ。そして、ことが成就したとして最も特をするのは誰かと考えると……

 

「第5計画派ね」

「ええ、おそらくは」

 

断片的な情報を組み合わせて全体像を浮かび上がらせていくと、自ずとそういう結論が見えてくる。

一度は失った極東での支配権を取り戻したかったのだろう。あわよくば、日本を完全に支配下に置ける可能性もあった。

だが、それは両刃の剣でもあったのだ。事態は、彼等の思惑とは真逆の結末へと行き着いた。

 

「結果として、クーデターの失敗はアメリカ派の失墜に、将軍権力の復活へとつながりました」

「で、どうするの? 未然に防ぐ?」

「いえ、やりましょう。アメリカ情報部には自らが黒幕であると勘違いして貰う形で、最後に泥をかぶってもらいましょう。白銀が来るまでに環境を整えるには、これが一番効率がいい。というより、他に方法がないです」

 

まっとうな手段を取るだけの時間がない以上、どこかで非合法、非人道的な方法を選ばざるを得ない。

ならば、最小限の労力で最大限の効果を得られる選択をするべきだ。

それに、仮にここでクーデターを未然に防いだとしても、だ。

 

「それに……僕は尚弥さんのことをよく知っています。あの人は、たとえ今回何もしなかったとしても、いつの日か、背負って立ちますよ、きっと。なら、コントロール出来るうちに済ましてしまったほうがいい」

「じゃ、その方向で計画を立てましょうか」

「なら、鎧衣課長に顔通ししてもらえます? あの人の協力は絶対に必要でしょう」

「……あいつ、苦手なのよね」

「それはまあ……わかりますけど。でもまあ、協力は惜しまないと思いますから。XM3の普及には今のアメリカ派が邪魔なんですし、そうしないと日本の利益に結びつきませんから」

「わかったわ。……一応、確認だけはしておくけど……いいのね?」

 

それは何に対しての問だったのか。

 

「……ええ、構いません」

 

それは何に対しての答だったのか。

 

 

 

 

 

 

 

2000年、5月15日。

国連軍横浜基地。

 

「これは訓練ではない」

 

ブリーフィングルームにて、伊隅の声が響く。

 

「今作戦において相手取るのはBETAではない。相手は反乱兵……人間だ。

 この戦いは、これまでBETAを相手として戦ってきた我々にとって、様々な意味において特殊なものとなる。疑問に思うこともあるだろう。納得出来ない点もあるだろう。だが、悩むのは作戦終了後、生き残ってからにしろ。さもなくば……死ぬぞ」

 

これが初陣となるものもいる。初めての実戦が人間相手。やりきれない気持ちもたしかにある。

だが、今はそれを押しこめるしかない。

 

それに、伊隅にとってもまた、これが初陣。

はじめての、連隊指揮官としての戦い。知れず、手にジットリと汗をかいていた。

 

「総員、出撃準備!」

 

掛け声と共にブリーフィングルームから駆け出していく隊員たち。

実戦要員の中で最後に出ていこうとした伊角に、声がかけられる。

 

「伊隅中佐。出撃前に申し訳ない、少しだけよろしいでしょうか?」

 

いつになく真剣な顔をした蒼也の姿があった。

彼は伊隅の瞳をじっと見つめた後、おもむろに腰を折って最敬礼をする。そして、そのままゆっくりと言った。

 

「……中佐。自分は、伊隅みちるという人間を尊敬しています。衛士としての実力も、指揮官としての能力も、心より信頼し、信用しています。

 ……あなたになら、任せられる。A-01を、どうかよろしくお願いします」

 

ずっと目標とし、憧れてすらいた相手からのその言葉。

伊隅は、それに言葉を返すことが出来なかった。

何かを声にしてしまえばきっと同時に、涙が溢れてしまうだろうから。

だから、これまでの感謝を、信頼に応えようとする気持ちを、心に湧き上がる全ての思いを込め、これまでの人生で最高の敬礼を返した。

 

決意を秘めてブリーフィングルームを出ると、扉の影に、壁により掛かるようにして、碓氷が待っていた。

 

「……少し、妬けるな。少佐にあそこまで言わせるなんて」

 

瞳を閉じ、少し寂しそうな笑み。

だが一転、蒼也のものがうつったかのような、悪戯な笑み。

 

「ねえ、みちる。いま、泣きそう?」

「……うるさい」

 

そして、今度は。すこしだけ、真剣な言葉。

 

「ねえ、みちる。……あたしも、信頼してるからね」

「………………う゛るざいぃぃ」

 

 

 

 

 

 

 

クーデター勃発後、将軍は帝都城を脱出。

”たまたま”演習のために展開していた月詠花純中佐率いる斯衛第十二大隊を護衛として、塔ヶ崎城に籠城。

将軍を手に入れんとするために塔ヶ崎へと向かうクーデター軍を、斯衛から要請を受けたA-01が道中迎え撃つ。

XM3を搭載したA-01の能力は高く、突破は無理と判断した沙霧によって、奥の手である空挺部隊が出撃、空路から一気に将軍奪取へと向かう。

 

その時、佐渡近海に配備されていた帝国海軍艦隊へと指令が入る。曰く、レーザーの射程外から佐渡へと向けて主砲を撃てと。

狙いは適当で構わない、ただ佐渡へと向けて撃てばそれでいい。

この瞬間に自分達がこの海域に居合わせたこと、そして推測されるこの命令の真意に、全ては予定されたことであったのかと疑惑を抱きつつも、軍人として命令に従う艦長。

 

佐渡の地表にいた光線級が砲弾を撃ち落とす。

同時に、攻撃をしてきた相手に反撃するべく、索敵を開始。だが、艦隊は水平線の彼方にいるために捕捉できない。

代わりに、彼等は見つけてしまった。遙か山間を縫うように飛ぶ、戦術機をその腹に抱え込んだ輸送艇の一団を。

 

空挺隊の一機がレーザーにより撃墜されたのを見て、沙霧は賭けに負けたことを悟る。

船を捨て飛び出し、散り散りになる烈士達。沙霧もまた数機のみでそれでも塔ヶ崎を目指そうとするも、その前に月詠花純が駆る武御雷が立ちはだかる。

 

「貴官の気持ちはわからなくはない。だが、貴官は方法を間違えた。真に国を想うのならば、貴官は政治の道を志すべきだった。それならば……私も、その旗に集うこともできたろうに」

 

その時間がなかった。自分が立ち上がらなくては、そしてここで討たれなければ、アメリカの介入を防ぐことは難しかった。

だがそれを口にすることは出来ない。その資格もない。

自分の下に集った人間を裏切り、ただ負けるために戦った自分には、もうどちらの側につくことも出来はしない。

 

「介錯仕る」

 

だから、こう。一言呟くことしかできなかった。

 

「是非もなし」

 

──あとは……よろしく頼む……

 

 

 

 

 

 

 

──……尚弥さん、ごめ……

 

──…………

 

──……………………さようなら。

 

 

 

 

 

 

 

こうして、帝都を揺るがしたクーデターは終わりを迎え、そして世界中を巻き込む新たな混乱が始まることとなる。

そして一連のゴタゴタがようやく収束へと向かった時、世界の指導者の座はアメリカから日本へと移り変わっていたのである。

 

その後、日本はXM3を全世界へと向けて発表。

五一五事変でその能力を魅せつけていた事に加え、ライセンス料が極めて安価に設定されていた事もあり、各国はこれに多大な関心を示した。更に自国での改修作業が難しい国に対しては、海外向けへと調整されスーパーファントムと呼称された撃震改を輸出することで、瞬く間に世界中へと広まることになる。

 

一連の事件の事件の裏側にいた真の黒幕の存在に関しては、最後まで明るみに出ることはなかった。

 

 

 

そして、ついに世界は運命の日を迎える。

世界中の殆どの人々にとっては、特に何も意味することのない日付。

もちろん、後世の歴史においてもこの日に何か突出したことが起きたという記録は残っていない。

だが、2001年10月22日。この日こそが、人類の運命が変わった瞬間なのである。

 

 

 

 


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