ストライク・ザ・ブラッド~神代の剣~   作:Mk-Ⅳ

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戦王の使者
プロローグ


前回のあらすじ

やめろシ○ッカーァァァァァァァアアア!!!

 

「はぁ…。だりぃ~」

 

良い子は眠る頃合となる夜間に俺は、港湾近くにある古い倉庫街にいた。

何でも、黒死皇派と呼ばれる獣人のテログループがここで武器の取引をするとのことで、那月ちゃんに連れてこられたのだ。

それで、アイランド・ガードが取引現場である倉庫を強襲したが、幹部クラスの一人を逃がしてしまったので俺の出番となった訳である。

 

「別に、俺がいなくてもいいと思うんだがどうかね?」

「いや、どうって言われても…」

 

目の前の猫型獣人の男に問い掛けると困惑しているようだ。

 

「たっくさ、この前の件で俺頑張ったんだよ。割とマジで死に掛けたんだよ。少しくらい学校休んでもいい?って聞いたら鎖で縛られてベランダに一晩吊るされたよ。それで遊びに来た父さんが羨ましいって言ってたんだよ、気持ち悪いね仕方ないね。つーか眠い帰っていい?」

「うるせぇ!?いきなり現れて、何長々と愚痴ってるんだよ!何なんだよお前は、何しに来たんだよ!?」

「えーと、何だっけ?」

「知るかぁぁぁぁぁぁあああ!!」

 

額に血管を浮かび上がらせながら力の限り叫んで、ぜぇぜぇっと肩で息している男。

 

「いいツッコミだな、気に入った」

「貴様ッ!ふざけているのか!」

 

真面目に言ったら、威嚇するように唸る男。ぶっちゃけ怖くはないが。

 

「いやだって、こんな小物相手じゃやる気起きんよ」

「このガキが!俺を舐めるんじゃねぇ!」

 

殺気を漲らせながら、鋭く尖った爪で切り裂こうと襲い掛かって来た。

 

「うらぁ!」

 

振り下ろされた腕を弾き、腹部に蹴りを放つと、軽々と吹き飛んでボールのように転がっていった。

 

「ぐっがぁ…」

「ほう、思ったより根性があるじゃねえか」

 

加減無く打ち込んだのだが、よろよろと立ち上がる男。少し見誤ったようだ。

 

「俺もまだまだだなぁ」

「この糞ガキが!これを見ろ!」

 

頭を掻きながら止めを刺そうと歩み寄っていくと、懐からリモコンらしき物を取り出し、見せつけてきた。

 

「それ以上近づいたら、アイランド・ガードの連中が居る倉庫を吹きぶべらぁ!?」

「ならその前に潰すだけだ」

 

竹刀袋に包まれたままの獅子王を男に投げつけると、狙い通り顔面に突き刺さり、その衝撃でリモコンを手放し仰向けに倒れる男。

 

「よっと」

 

空中を舞うリモコンを掴み、男へ歩み寄り獅子王を拾い上げる。

 

「終わったか」

 

今まで誰もいなはずの背後から声を掛けられるも、舌足らずな口調が誰なのか知っているので驚く必要は無い。

 

「ああ、そっちは那月ちゃん?」

「ちゃんはやめろ。こっちは既に終わっているよ、後はその男をアイランド・ガードに引き渡すだけだ」

 

何時もの決まり文句を言いながら、俺の足元でのびている男を見下ろす那月ちゃん。

 

「にしても”戦王領域”のテロリストがこんな極東の島に何しにきたのかねぇ」

「さぁな。そこらへんの尋問はアイランド・ガードの連中に任せるさ」

「何ぁんかやな予感がすんだよねぇ。オイスタッハの時みたいにさ」

 

そう言や、あいつ捕まって直ぐにロタンギアにリリースされたんだっけか。まあ、口封じなんだろうけど。

 

「確か聖遺物って返還されるんだっけ?」

「ああ、とは言っても変わりの物に代えるには、島に居る者を退避させないとならんから、数年はかかるだろうがな」

 

事件が終わって直ぐに聖遺物関連を公表し、対応策を提示したのもあってか思ったよりは、波風は立たなかったらしい。

 

「ま、そこらへんは父さんらに任せるさ」

 

この前遊びに来た時に「いやー、聖遺物を返すいい機会になったわ。人工島管理公社も重い腰を上げたしねぇ」とか言ってたし。

 

「そうだな。さて、そろそろ帰るぞ。明日の授業の準備をせねばならんからな」

「あーい」

 

那月ちゃんが扇子を横に軽く振るうと、空間制御の魔術が発動し、俺達の姿がかき消えるのだった。

 


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