前回のあらすじ
ホモラー
ヴァトラーとの会合を終えて、船を降りた俺達。ちなみに煌坂も着いて来ている。
「悪かったな古城、手間をかけた」
「礼なんかいいけど、あの間に割って入るのは心臓に悪かったぜ…」
疲れきったように脱力する古城。あのまま止めてくれなかったら、ここら一帯焦土にするところだったよ。
「さてと、テロリスト共が蛇にちょっかいを出す前に片付けないとな」
アイツが暴れだしたらマジで洒落にならん被害が出るからな。
「って言っても、居場所がわからなきゃどうどうしようもないだろ?」
「何古城。そこらへんは専門の人達に任せるよ」
「専門の人ですか?」
スマフォを取り出しながら告げると、首を傾げる姫柊。
「
「「「「うわぁ!?」」」」
突然俺達の背後に現れた父さんに、揃って間抜けな声を上げてしまう。
「だぁからいきなり現れないでよ!」
「面白いからやだ」
声を荒げて抗議すると、子供のような反論をする五十路目前。つーか、まだ呼んでないのに来たよこの人。
「ビックリした…」
「全然気が付かなかった…」
「はっはっはっ、驚かせてすまんね。少し試させてもらったよ」
完全に背後を取られたことに驚愕している姫柊と煌坂に、豪快に笑いながら謝る五十路目前。
「俺は神代 勇太郎、勇の父親だ。以後よろしく」
「神代先輩の?」
姫柊が俺と父さんを見比べるように交互に視線を向ける。
「ああ、俺は母さんに似たからちょっと違和感あるかな?俺も時々疑問に思うし」
「そうなの!?マジで傷ついたよ!今度の家族関係に大きく響くこといったよお前!」
かなり狼狽える父さん。だって似ている要素が少ないし。
「そんなことより、伝えたいことがあるんだけど」
「そんなこと!?かなり大事なことだと思うんだけど!今後俺が生きていく上で!」
「うるさいなぁ。そんなんだから母さんに「よく鳴く豚野郎ですねぇ」って言われるんだよ」
「確かによく言われたけど!いや、気持ちよかったからいいけどね!つーか、お前性格も母さんに似てきたな!?」
今にも泣きそうになる父さん。ホントいい声で鳴きやがる。
「そうだね。父さんみたいなのを見ていると無性に苛めたくなるね」
「どこで教育を間違えたし。いや、しかし息子に罵られるのもイイ…」
「おい、話が脱線してるぞ変態オッサン」
「礼を言う」
「喜ぶなよ!?罵倒されれば何でもいいのかアンタは!」
呆れている古城にツッコまれて、喜んでいる父さん。ホント見境が無いなこの駄目親父。
「悪いか!!」
「悪いわ!!」
恥じることは何も無い!と言わんばかりに胸を張る
「おおふぅ。どうせ蹴るならもう少し強めに頼む!」
「古城…」
「おう」
とても嬉しそうに四つん這いで尻を突き出してくる
イラッとしたので古城に目配せすると、察してくれたようで、
「アビャビャビャビャビャビャビャビャバラァ!!!」
放電が止むと全身黒焦げでアフロヘアーとなり、地面に突っ伏す
「この俺をイカせるとはさすがは第四真祖の眷獣よ」
「加減しすぎたんじゃねえか古城。もういっちょだ」
「いや、これ以上やっても喜ばすだけだと思うんだが…」
「チッ!このどMめ…」
「そうだ私はどMだ。それ以上でも以下でもない」
何か迷言をほざいている
ふと、肩を叩かれたので、振り向くとアスタルテがいた。
「どうしたアスタルテ?」
「そろそろ本題に入った方がよろしいかと。ミス姫柊達が引いてますので」
そう言えばこの
「くやしい…!でも…感じちゃう!」
「もう、黙ってろ」
ビクン!ビクン!と反応している
「なるほどナラクヴェーラか。確かにそれだけの物を隠せる場所は限られて来るな。わかった後は俺達に任せなさい」
「俺は出なくていいの?」
「今回は俺も出る。お前は休んでいなさい」
「父さんが?歳だし止めといたら?」
「バーローまだ若いもんには負けんわい」
確かに俺に獅子王を託して現役を退いても、その実力は今だに衰えてないしな。十分真祖とも張り合えるだろう。
「それなら任せるけど、必要なら呼んでね」
「ああ、と言うかそろそろ足をどけてくれないか?」
「はいよ」
父さんに言われて乗せていた足をどける。
「さて、さっきの放電で体が痺れて動かないんだが、だれか助けてかれないかな?」
「じゃあ帰ろうかね皆」
「あれ?放置?放置プレイなの?くそっさすがは我が息子わかってるじゃないか。でも後で助けに来てくれるんだよね?そうだよね?ねえ!」
「…ホントに帰っちゃったの?おーい勇ー、古城くーん、誰かー助けてー」
「…悔しいです!!!」
「何と言うか強烈な人でしたね。神代先輩のお父さん」
「そうね男なんて皆死ねばいいのにって本気で思ったわ」
「待てコラ煌坂、男が皆あんなのだなんて勘違いするんじゃない」
「どうせ男なんて変態なんでしょ!獣なんでしょ!」
「何その間違った男像!?」
そんなに男が嫌なのかこの娘は。過去に何があったし。
「にしては俺とは普通に話してるよね?」
「うーん、アンタは男って感じがしにくいのよね見た目的に。今だに男だって信じられないし」
「……」
「泣くなよ、今に始まったことじゃないだろう」
「ちくしょう…」
小学生の頃からことある毎に女装させられるし、男に告白されたり、この容姿のせいで碌な目にしか遇わねぇし散々だよ神様のバカヤロー。
「泣いている勇さんも素敵です」
「……」
興奮気味に俺の泣き顔をスマフォのカメラで撮っているアスタルテ。何か最近この子のキャラがおかしくなってきてね?
「つーか、お前は何時まで着いて来る気だよ煌坂」
「軽々しく呼ばないでよ変態真祖!だって雪菜が私の雪菜がぁ」
「いや、そんな捨てられそうな子犬みたいな目で見られても…」
今にも捨てられそうなペットのような瞳で姫柊に抱きつく煌坂に、困り果てる姫柊。
「ヴァトラー見張る役目があるんだから我慢しなさいよ」
「だって!この変態真祖が私の雪菜に何しでかすか心配で心配で夜も寝られないのよぉ!」
「何もしねぇよ!俺を何だと思ってるんだお前は!」
「鼻血噴出し真祖」
「そこで何でお前が答えるんだよ勇!つーか何だよそれ!?」
「だって、ことあるごとに鼻血噴出すじゃん君」
グラビア本読んだだけで鼻血噴出してぶっ倒れるし。
「ぶっちゃけ君影で”ブラッディノーズ野郎”って呼ばれてるよ」
「マジで!?俺そんな風に言われてるの!?」
「ちなみに流行らしたのは俺と基樹ね」
「元凶はお前らかァァァァァァァァァァアアア!!」
物凄い形相で襟を掴んで持ち上げて揺すってくる古城。いやぁホントからかいがいがあるなぁ。
「あの、紗矢華さんそろそろ離れた下さい」
「う~雪菜ぁ!!」
「やっ紗矢華さんどこ触って!?だ、だめですそんな所、ひゃん!」
ついに我慢出来なくなったのか、姫柊にむしゃぶりつく煌坂。
「待てぇぇぇぇぇぇぇぇ勇!今度と言う今度は許さねえぞ!!」
「ふははははははは!待てと言われて待つ馬鹿はいないわぁ!」
体中に電撃を纏った古城から逃げ回る俺。
そんな俺達を何処か楽しそうに見つけているアステルテ。
こうして夜が明けていくのであった。
話が進まない…。ネタに走りすぎかなぁ。