Girls und Panzer雄型外伝~Our Panzer~   作: Friedrich

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戦車道大会は終わり、世界大会や新チームの時期が来た。



第一話 新たな一歩であります!

 

 

「・・・俺達も大会に出るんだな・・・。」

僕はカレンダーを見て、そう独り言を言った。

今は戦車道全国大会が終わって、世界大会だとか、新チームだとかなっている時期である。

僕の名は、東條征爾。

高校一年生で、戦車道部の部長でコマンダー、つまりチーム全体の指揮する役割を務めている。

一年生で主将になっていると聞くと僕のことを天才だとかなんとか思われるかもしれないが、

それとは別の事情が違う。

戦車道部には、二年生以上がいないのだ。

というか、この育英館高校には二年生の二人以外はみんな1年生なのだ。

どういうことかというと、育英館高校は今年開校したばかりの学校なのだ。因みに二年生の二人は編入してきた転校生である。

 

ガラガラガラ。上坂さんが来た。彼女は戦車道部の女子主将を務めて、下の名前は玲奈。容姿端麗で、

少しお嬢様な感じだが、戦車道の実力はチーム随一の一年生だ。カリスマ性のようなものがあるらしく、一部の部員は「玲奈様」と呼んでいるそうだとか。ついでに意中の男子はいるそうだが、その人が誰かは誰も知らない。

「ねえ、今日、幹部は集まれって聞いたけど、何についての話か聞いた?」

「聞いてないよ。新しい戦車のことじゃないかい?」

「そうかもね。今の戦車、リースしているものだって大谷先生も言っていたものね。」

ガラガラガラ~。

今度は欣一が来た。彼のフルネームは石原欣一。男子主将の二年生で、小学生以来の悪友で、同級生。成績は良い方だが、勘とヒラメキに任せて何でもするタイプである。基本的に馬鹿ばっかりしているのに、何故か彼女がいる。

「ぃやぁ~、東條君、元気かね~。」

急に言われたので、はい?って思った。

なんかサ○エさんに出てくるア○ゴさんの真似(?)をしているようだが、全く似てない。いつものことながら、彼が何をするか予想が出来ない。

なぜか上坂さんは爆笑している。どうやら、ツボにハマったようだ。

 

ガラッ

誰かが戸を開けた。「校長先生!」校長のヨシフちゃんこと吉歩(よしあゆむ)だった。

「やぁ、諸君、諸君にちょっとしたお知らせがある。」と言ってプリントの束を渡した。

「このプリントにある通り、次の日曜にブラウダと練習試合することになった。あと、来週の金曜日きくる新しい戦車について資料も渡しとくから。あとは豊ちゃんに聞いてくれ。ワシからは以上だ。」

ガラッ。バンっ

 

「ヨシフちゃん、言うだけ言って何処か行っちゃった。」欣一はそう言った。全く同感である。

 

「お~い、いるか~。」ガラガラガラ

今度は、戦車道部の監督の豊ちゃんこと大谷豊である。

「揃っているね。じゃあ、早速話をするね。えぇと、さっきヨシフちゃんからプリントをもらったかな?」

「それならありますよ。」そう言ってプリントを取った。

「3部あるから配っておいて。」

「えぇ、今日、幹部を集めたのは3つ用事があるからなんだ。1つは、ブラウダ高との練習試合についてだ。」

「えっ、ブラウダ高とですか。」上坂さんが声をあげた。

「ダンコーって隊長がヤバいって聞きましたよ。」

欣一も言った。

「ダンコーに何されるか分からないのが不安でしょ。不安になるのは、わかるよ。ただ、ブラウダの方もそれを考慮して彼をコマンダーとしておいて、世界大会に出る副隊長のノンナ以外は新チームにするって条件をつけてくれたよ。それに連盟も彼を監視しているから、大きな問題はない筈だよ。」

豊ちゃんは言った。

「それなら大丈夫かな。」少し上坂さんは安堵したようだ。

「それでだ、今までは僕が作戦を決めてきたけど、今度からは君たちに考えてようにさせてみようとみようと思うんだ。」

「えっ。」僕も含めて皆驚いた。

「驚くも何も、最初から時期を見て君たちに任せるって言ったじゃないか。」豊ちゃんは言った。そういえば、そうだった。入学してすぐの戦車道部でそう言ったのだった。

「そうですか。」皆納得したようだ。

「一応、ブラウダ高の今年の戦績と戦法などデータはプリントにあるから見ておくようにね。で、次の話だけど、来週の金曜日に新しい戦車と今までの戦車を入れ替える件についてだけど・・・。」

「それなら、校長先生から聞きましたよ。」欣一は口を挟んだ。

「なら、話は早い。木曜日迄に戦車を返せるように、整備と装備の取り外しをしておくように、 言っておいてくれ。最初の時よりも綺麗にしておくようにさせてくれ。あと、新しい戦車についてだけど、誰がどの戦車に乗るか、話し合うから、来週の土曜日の昼にまた集まるように。最後の話だけど、実は、自衛隊から毎週日曜にコーチが来ることになった。栗林忠志と言って栗林流の免許皆伝の師範だそうだ。今度のブラウダ戦に観に来られそうだ。僕からは以上だ。何か質問はないか?・・・ないみたいだから、解散。」

 

今日はチームの練習はないので、寮に帰って勉強と幹部での話し合いをすることを上坂さんと欣一に言っておいた。

寮に帰ると、授業の復習をザッとして、夕食をとった。その後の30分程の自由時間をつかって、幹部と話し合いをした。内容はブラウダ戦での作戦についてだ。豊ちゃんからのデータによると囮を使って相手をキルゾーンで誘い込む「サラミ戦法」を多用するそうだ。最近では対大洗戦でフラッグ車で大洗を包囲し、降伏寸前まで追い込んだという例がある。又、今では反則行為だが、相手の戦意を削ぐ為に休戦中に砲撃をしていたそうだ。ということは、おそらくは反則行為はしないとしても、かなりラフなプレイをしてくることも有り得る。

かなり厳しい戦いだ。

どうにも、良い作戦は出てこない。時間もなかったので、

作戦を考えることを宿題にして一旦解散とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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