ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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ハドラーの・・・???の巻 パート2

夕食の用意がひと段落したがやはり卵がまだかなりあるな

 

「とりあえず 明日の分は別にとっておくとして・・・

あの石釜を使って大きな焼きプリンでもこしらえるのも一興か・・・」

 

『子竜たちも喜びそうですね・・・ 

ハドラー 私は少しひっこんでいます 何やら呼ばれるような

引っ張られる力を感じます・・・

私が抜けてはあなたも困るのですから 離さないでくださいよ』

 

オレにどうしろと・・・ まあいい

卵を割りいれプリン液をつくりはじめ・・・

最後の卵を手にとったところで・・・

 

           ゴゴゴ  ドドド!!!

 

いきなり地震が!?

 

いかん! 手から卵が落ちる!?

 

手の中の卵を落としそうになり握る手に力を込めた

だが割っては意味がない 地震が続く中 手の中の卵に全神経を集中した

 

・・・

・・・・・・

 

揺れがおさまったようだな・・・

 

掌中の卵は割れることなくしのげたようだ

ほかの料理も無事のようだ やれやれ・・・

 

「さて つづけるか」

 

         コンコン

 

ム、最後の卵を割ろうとテーブルの角に軽くあてたが殻にヒビがはいらない

軽すぎたか・・・

 

         コンコン!

 

音がでるだけで割れる気配がない

さっきまで割るまいとおもっていた卵が今度は割れないとは妙な感じだ

 

         カンカン!

 

ぬぅ 割れんな・・・ 

この調子ならさっきもそれほど気にしなくても割れなかったのでは?

 

           ガンガン!!

 

バ バカなつ

こんなニワトリの卵が・・・ これまでの卵は難なく割れたのに

このオレの力を凌ごうというのか・・・!?

 

          ガンガンガン!!! ピシィ・・・

 

ヒビがはいったな・・・      テーブルに・・・・・

 

アストロン(鋼鉄変化呪文)でも使ってるのかこの卵は!?

・・・どうやらこのオレを本気にさせたようだな

以前オレが作った携帯用石釜に向けて卵を振りかぶったところで・・・

 

             ザワ・・・!?

 

外からとんでもない魔力を感じた!!

 

「これは オレ以上 バーン級か!?」

 

そう遠くないな 少なくともコーセルテル内だろう しかもそれが二つだと!?

もしや聖母竜が警戒し マシェルが子竜たちを全員連れ

竜術士達が集まったのもこれが原因か?

 

オレが外に出るよりもはやく それは収まり 外を見てもさほど異常は・・・

   !!! いや月の輝きが違う!?

二つあった異常な魔力が月で重なり合い 再び別れた・・・ように感じたが

何だったんだ今のは?

 

様子を見に行こうとしたが マシェル達がその月の方角から帰ってきた

詳しい話が聞ければいいが・・・

 

・・・・・・

 

マシェル達の話を聞いたところ・・・

あの膨大な魔力はこの地に宿る眠る月の精霊と

その半身旅の月の再会したことによるものだそうだ

 

「あれほどの魔力を出しながら大した天変地異がなかったのは

お前たちが抑えこんだということか?」

 

〔いえ そんな・・・ それよりハドラーさん 

なんで卵を握りしめて 外で待ってたんですか?〕

 

「ああ これは焼きプリンをつくっていたところでな・・・

ああそうだ この卵なんだが異常に硬くてな 

コーセルテルにはこんなものを産むニワトリがいるのか?」

 

〔あの ハドラーさん この卵・・・  竜の卵ですよ!?〕

 

           \\ええっ!!//

 

子竜たちからも驚きの声が上がる

 

「ほう 意外だな ここは竜が竜の卵も 食うのか?」

 

〔そんなわけないでしょう!! なんであの卵の中に!?

しかもこの小ささは生みたてサイズですよ!〕

 

「そうなのか? 他の卵の中に普通にまざっていたのだが」

 

〔まさか僕の子竜の卵ちゃん!?〕

 

(あのマシェル・・・)

 

〔ええっ!! サータが生んだ卵ちゃんなの?!〕

 

混乱しすぎだろマシェル、メダパニ(精神混乱呪文)でもかかったのか・・・ 

そもそもサータは男だろ・・・ 

それにお前の子竜はどいつもこいつもまだダイよりもちいさい子竜だろうが

たしか生後三年程度ではなかったか

 

(そうじゃなくて この卵ちゃん ハドラーさんと同じにおいがするよ)

 

「それはオレが握りしめていたからだろう 

あの地震が起きたときからずっと手にしたままだからな」

 

(でも風竜は一度覚えた風は忘れないよ ハドラーさんと同じ空気だよ)

 

「なんだと・・・?」

 

いくらオレでも禁呪法も使わずに命を生み出したりはできんぞ・・・

いや、まて竜・・・の、卵?

おい・・・聖母竜

 

『・・・ええ 聞こえています・・・』

 

どうした? やけに声が小さいようだが

 

『あの月の精霊に呼ばれた時に一瞬すごい力を得たのですが

引っ張られまいとがんばっている間に逆にものすごく消耗したようです・・・

どうやらそのときに私の力の一部が あなたが割らないように注意して

握りしめていた卵に乗り移ったのではないでしょうか?

まあ今の私に紋章の力はないですから竜の騎士ではないはずです』

 

「そうか わかった」

 

〔ハドラーさん?〕

 

「どうやら オレに同化している聖母竜が生んだ卵のようだ

どうも もてあますほどの強力な力が急に湧いたせいらしいが

オレの体を通してニワトリの卵に力が入ったのだろう

卵からオレの気配がするのはそのせいだな」

 

{じゃあハドラーさんがお父さんで その聖母竜さんがお母さんなんだね}

 

その解釈はあっているのか?

そういえば あの地震が起きた時 持っていた卵が割れないように注意して握り

オレの中で聖母竜がその力を急激に高めていた状態は

かつてオレが禁呪法で核をもとに子をつくっていたのと近いともいえる

 

「さて まあ飯にするか 料理はできている

だがこの卵はどうするか さっき割ろうとして散々試したが中身があるなら大丈夫なのか?」

 

〔竜の卵は頑丈ですから この星を貫通して太陽に入っても割れないほどですよ〕

 

「なんだその馬鹿げた強度は・・・ オリハルコン以上じゃないのか?」

 

『それなら安心ですね』

 

「そもそもそれを子竜に割れるのか?」

 

〔卵の殻を割るのは親竜か竜術士の助けが必要なんですよ

それと卵を成長させるのは親竜にしかできないことなんです

それから・・・ いえここから先は食事の後にしましょうか

子竜たちがおなかを空かせてますから〕

 

 




さてここで問題です サブタイトルの『ハドラーの・・・???』の???に入る言葉はなんでしょう
正解者には・・・何もないですが


火竜の特徴
元気で豪放だが短気 すさまじい方向音痴 竜族でもっとも成長が速い
火竜術の練習には火を使った職人仕事がありそれを趣味にしている あつさに強く火傷をすることがないが水が苦手

火竜・ハータ
六番補佐竜
火竜にしては貴重なおだやかでおとなしい性格
マシェルに卵を届けようとした火竜が迷子になったため到着が遅れ六番目に預けられた後 間もなく孵化し六番竜となった 
かつては火竜家の子竜のだれよりも幼く マシェル家でも六番目のためか少し甘えん坊気質だったが
火竜家が代替わりでいっせいにコーセルテルを卒業し新入りが入ったことで火竜で一番の年長者となったことからいいお兄ちゃんを目指し急成長中

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