日がちょうど一番高くなったあたりで 訓練に一区切りつけたようだ
「頃合だな」
（ハドラーさん おひるごはんだよー）
サータとナータがやってくるのを確認し 弁当をあけた・・・
（おおーーー）
サータが声をあげて蒸気の中をのぞきこむ
（これ中身 パンだったの！？）
【・・・この石の玉は 石釜だったのか】
「そうだ これなら焼きたてのパンをそのまま食える まあこれを持ち運べる力と
その場で熱を伝えつづけることができねば意味はないがな」
オレの呪文は標的を攻撃しつづけることが可能だ 火力の調節が一番の難題だったが
試作のときよりも上出来のようだ
（だったらハータがいれば火竜術でこれ使えるね）
【持ち運ぶのにアータの地竜術も必要だろう・・・】
やるな子竜ども・・・
『将来が楽しみですね』
「それより さあ 食ってみるがいい」
石釜からパンをとりだしナータとサータに渡す
（あちちち！！）
【・・・ ・・・！】
どうやら熱すぎたようだ そこまでは気付かなかったな ナータも少々持て余し気味だな
＼いただきまーす／
まもなく子竜たちが食べ始めた
他の子竜たちもそれぞれ食事をしている
リリックとマリエルはおかずを交換しているようだ あれは興味深いな
グレイスも交換しながら 他の弁当を食べてまわっているようだ
ロービィとエリーゼは完全に二人の世界だな・・・ あれはマシェル家にはない世界だな
（おお おいしい！）
サータが喜びの声をあげ パンをがっついている
ナータも表情がよめないが黙々と食っている ・・・好感触か？
『・・・もくもくと もぐもぐ・・・』
・・・・・・・・・
（あれ？ ハドラーさんは たべないの）
「・・・あ そういえばオレの分はつくってなかった」
『・・・気付きませんでしたね・・・』
【何やってるんだ・・・】
まあオレは食わなくてもあまり問題はないのだが・・・
[なら オレの食うか オレ精霊だから別に弁当 必要ないって言ってるんだが
いつもばーさんが用意するんだ]
[カシちゃん！フルーおばあさんの真心に失礼よ！
それにこの人さっきのこわい魔族の人よ！ すごい強そうだよ]
[『強そう』じゃなくて『強い』んだよシイ それに俺がいるんだ こわいことなんかねえよ]
小さな精霊を肩にのせたカシが やってきた シイというのが肩に乗っている精霊の名前だろうか
「よいのか？」
[ああ まあそっちのパンと違って よく冷えてるがな 食ってみなよ
ばーさんの飯はそこの子竜どもに好評だぞ]
別段腹は減っていないが 他人の料理は気になるところだ
それにフルーの名はマシェルの食卓でも話題にあがるほどだ これは食う価値がある！
[食いながらでいいから再戦のことを含めて色々話たいことがあるんだが]
その後・・・ 訓練が再開するまでカシたちを交え色々と話をした
[うわーん なにこのパン！？]
「そのパンはタータの薬草がはいっていてな。
栄養は申し分ないが常温以下だとかなりエグイ味になるのだ」
[じゃあわけてもらうときに 止めてよー]
「止めるヒマがなかったものでな クックック」
（うわー ハドラーさん 悪い笑顔）
どうせなら 常温以下のパンを食べた反応も見たかったからな
[うわ～ん カシちゃん やっぱりあの魔族の人怖いよぉ～]
[いちいち泣くなシイ]
あの小さな精霊シイが泣くたびにそのまわりに雪がふっている オレの精霊のイメージはこっちだな
そんな一幕を交えながら昼休みを過ごした
「再戦はヒマさえあればいつでもかかってこい」
と言ったらカシが
[あまりに 話がうまくいきすぎて かえってやる気がそがれたぜ・・・]
と答えたのが印象的だったな
原作のコーセルテルがなんかえらいことになってるみたいで さてどうしたものか・・・
まあそれはさておきまして
水竜の主な特徴
ちょっと惚れっぽくて社交的 術を使わなくても水中が平気で溺れる事もないが暑いのは苦手
水竜術は おいしい水をつくりだしたり濡れた物を一瞬で乾かしたりと便利なものが多い
青を基調とした服を着ている
水竜・マータ
四番補佐竜
活発でおませな女の子 アータが孵化した翌日卵の状態でタータと同時に預けられ
タータより早く孵ったため四番竜となった
女の子同士のためかタータと特に仲がよく（ケンカもするが）最初に部屋割りしたときも
望んで同室になった。
幼竜の頃からよくマシェル家に来るカシに懐いており そのカシから
[やる気あるのに行きあたりばったりで空回りする 一番子守り術士（マシェル）に似てるんじゃないか？]
と評され喜んでいる。