ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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~ある日の夏模様~

     カッ

 

夏も終わろうかというある日

いつもはぬるい気候のコーセルテルが

突然の熱波に襲われた

 

「といってもオレや火竜のジゼルにとっては

どうということはないが・・・」

 

〔コーセルテルに住む大多数の獣人たちは

この暑さにまいっています

ハドラーさん オルタといっしょに先に獣人の村へ

行ってもらえますか!僕もすぐにいきますが

こちらも子竜たちと対策をとりますので

村で保冷石を配ったり色々とお願いします〕

 

「任せておけ いくぞジゼル オルタ つかまれ」

 

  \\―――はい!//

 

ジゼルと獣人の小僧オルタをつかみ呪文を唱えた

 

「ルーラ!!」

 

〔行くよっ みんなっ!!〕

 

   \\おーーーっっ//

 

 

     ――――ドーーーン!!

 

「・・・さて獣人の二アキス族の村についたか」

 

〈うわ 速かった! すごいな紙芝居のおじさん!!〉

 

『・・・紙芝居のおじさんですか』

 

この土地でのオレの認識などそんなものだろう

そんなことよりオレは村を見回しオレより少し大きい

手ごろな岩を見つけ ヘルズクローで2つに割り

切断面を上に転がし 熱波が来る方向を指差した

 

「ジゼルよ おまえは熱波を集めこの岩へ流し続けろ

それで村の温度上昇は落ち着く

オルタ おまえは族長の息子だったな

保冷石を配りながら動けるやつに今日料理予定の食材を

ここに持ってくるように伝えろ

オレはここでジゼルが熱した岩でその食材で料理をする」

 

〈紙芝居のおじさんそんなことできるの?!〉

 

「まかせておけ

あと 調理道具はこちらでどうとでもしておくが

食器は自分たちで用意するように言っておけ

塩とミルクを忘れるなよ」

 

〈はい!〉

 

 \はい!ハドラーさま!!/

 

「よし いけ!」

 

  \\おーーーっっ//

 

オレは岩を右手に左手を熱波に向けてかざし

ジゼルに軽く術の手本を見せてやる

 

  ポゥ     ゴオオッ

 

「左手に熱を集め右手で岩を焼く

やってみろ」

 

 \はいっ! うーーーん!!!/

 

・・・

 

『・・・うまくいきませんね』

 

「まあ 練習したこともないからな

岩を熱するだけなら可能だろうが 熱し続けるには

熱波を利用できねばすぐに力尽きる

・・・体勢をかえてみるか

両手を岩にあて背中を熱波に向けろ」

 

   \はい!/

 

「背中の暗竜の羽で熱波を受け止め両手で岩を熱しろ」

 

 \はい!! うーーーん!!!/

 

・・・・・・

 

『・・・どうですか?』

 

うまくいかんな 術はイメージと集中力が必要だが

特に最初はイメージがつかめんことには・・・

ジゼルが力を込める岩を触れてみたが

元々日差しを受けて熱くなっていた岩の表面部分と

切断面の温度差がありすぎてこのままでは料理に使えん

 

『ジゼルは熱くないのでしょうか?』

 

「こやつは幼くとも火竜だ

どんなに熱くなってもどうということは・・・・・・

! 逆に考えれば」

 

オレは ジゼルが熱する岩とは別の片割れの岩を

ヘルズクローで切断面からくりぬき大きめな鍋のような形にし

その中に入るように・・・

 

「ヒャド(氷結呪文)!」

 

呪文で氷塊を生み出した

 

「ジゼル それはもうよい この氷に両手で触れろ」

 

  \は~い  ・・・つめた!!?/

 

「いいかよくきけ 熱とは熱い方から冷たい方へ流れる

おまえが『冷たい』と感じたのはおまえの手から

この氷へ熱が流れた と思え」

 

ジゼルがうなずくのを確認し話をすすめる

 

「その流れをもっと広げ 熱を背中の羽から体を通して

手から氷へ流し続けるイメージだ」

 

  \はい~・・・  う~・・・/

 

「この氷はオレがつくりだしたものでそう簡単には溶けん

そして氷はそこにあるだけで周りから熱を集め続ける

これでジゼルは周囲から熱を集める手間を省き

熱の流れを感じやすくなるはずだが・・・」

 

   \は~・・・  う~・・・/

 

『ジゼルがつらそうですが・・・』

 

火竜は冷えが苦手だろうからな

・・・だが成果はあったようだ

 

「見ろ・・・! 溶けはじめている・・・!!」

 

    \お~!!!/

 

ジゼルの手のまわりの氷が溶けはじめ

岩鍋に少しずつ水が溜まっていく・・・

その確かな成果を目の当たりにし

ジゼルのテンションがあがった

 

『でもジゼルのおててが・・・』

 

体でおぼえるとは口で言うのはたやすいが

痛みをともなうことだ

その痛みがこやつ自身の経験となる

・・・しかし考えてみれば熱気を集めることと

その熱を氷に注ぐのは別の技術だったな

いきなり同時に行うのは高等技術すぎて

そもそも無理があったか・・・

 

『だったらやらせないでください』

 

オレは氷が溶けるのを横目にもう片割れの岩の

切断面を熱し料理の支度にかかる

 

・・・

ジゼルが溶かした氷の水が鍋の3分の1ほど満たしたところで

オルタが食料を抱えた数人の獣人を連れてきた

 

〈紙芝居のおじさん 保冷石配り終わって

動ける人連れて来たよ!!〉

 

「ご苦労 ジゼルおまえも一度手を止め

オルタたちといっしょにその水を飲んでみろ」

 

チャプ・・・

 

    \\つめた!?//

 

  ゴクゴク・・・・・・

 

 \\うわ 飲むと一段と冷たい!!//

 

「持ってきたミルクは缶ごとそこにつっこんでおけ」

 

  \ハドラーさま 力が湧いてきます!/

 

「・・・もとがオレの魔法力でできた氷のせいか」

 

『飲みすぎると おなかをこわしませんか?』

 

「ほどほどにしておけ では野菜を・・・む」

 

〈あ! マシェルさんたちだ!〉

 

〔おまたせしました!〕

 

マシェルとナータ、サータ、ハータが飛んできた

 

「ご苦労 オルタが保冷石を配り終え

ジゼルがオレのつくった氷を溶かしていたところだ

どうやら熱波がおさまりつつあるようだな

後は術で村に残る熱気を集めこの岩鍋で調理しつつ

そこの氷水の冷気を適当にばら撒けばしのげるだろう」

 

〔なるほど それでは〕

 

    \ハっくシュン!/

 

〔ジゼル!? 

ハドラーさん 術は僕達で全てまかなうので

ジゼルを休ませてあげてください!!〕

 

「そ、そうか」

 

『マシェル・・・こわいですね 今日は武装もしてますし』

 

武装といっても杖を一本持ってるだけだろう

だが たしかになかなかの闘気だ

子竜ならばオレの子でも過保護なのが

この子竜バカの困ったところだ

 

「ジゼルよ おまえはオレの背で休憩していろ

そしてマシェルたちの術やオレの料理を特等席から盗め」

 

\はい・・・ あ!ハドラーさまの背中あつ・・・くシュン!/

 

   たら・・・

 

(あ、ジゼル鼻水たれてる ハドラーさんとおそろい~)

 

    \おそろい!/

 

「まてサータ 別に今のオレは鼻水垂れていないだろう」

 

背中で嬉しそうな声をあげたジゼルは放っておき

サータをたしなめる

 

(じゃあこうすれば)

 

ピッ  ―――――   ピト

 

サータがとばした やや大き目の水滴が

料理で手がふさがっているオレの鼻の下にひっついた

 

(おそろい!)

 

\おそろい!/

 

「やめんか!」

 

くっ これは容易な術ではないぞ

 

〔そうだよサータ!

竜術をいたずらにつかっちゃ めっ!!〕

 

「オレが叱っているのはそこではないぞマシェル!

このままではオレの呼び名が『紙芝居のおじさん』から

『鼻水オヤジ』になってしまうだろうが!!」

 

『あなたが怒ってるのはそっちですか?』

 

名誉の問題だからな・・・

おまえとてジゼルが『鼻水親子』と呼ばれるのは嫌だろうが

 

『たしかにその呼ばれ方だと・・・

私だけが含まれない感じがして嫌ですね』

 

おまえにとって重要なのはそれか・・・

 

『もちろんです

ジゼルは鼻水をたらしても可愛いですから』

 

〔夏の精霊さんの話では熱波はもうおさまるそうだから

この村に残る熱気をおさえればもう大丈夫なはず

ナータ、サータ、ハータ同調術でいくよっ!!〕

 

  \\おーーーっっ//

 

暗竜・風竜・火竜の3種3竜による同時同調術が

獣人の里中の熱気を根こそぎかき集め

オレの作った氷をみるみる溶かしだし

オレが調理に使っている岩が一段と熱くなった・・・が

 

「どうしたマシェル・・・

あとはその氷から生み出した冷気を村中に送れば

それでケリがつきそうなものだが」

 

〔いえハドラーさん カディオさんから聞いたのですが

こういった場合急に環境を変えるのはかえって体に悪いそうで

特にニアキス族は全身厚い毛皮に覆われていますから

暑さに弱っているところを急激に冷やすようなことは

避けるようにと・・・〕

 

「さすがだな あの木竜術士・・・」

 

たしかにニアキス族はどちらかといえば

オレの知る獣人の中では リカントに近いタイプだ

その対処は適正といえる

逆に地底湖に住む水棲獣人ハイネリ族は

クロコダインやマーマンに近い連中だった

所変わっても やはりどこか似るものだ

 

 \やっぱりおにいちゃんたちもすごい・・・/

 

「たしかに同時に三種の術を扱い 使いこなしている

あれは今のオレでも無理だ

しかもあやつはその気になれば七種七竜同時同調術も使える」

 

〈竜術祭りで見たことあるよ マシェルさんたちの

七竜同時同調術!すごかったよ夜に花がこうぶわっと〉

 

「ほう それは面白そうだな」

 

『竜術祭り・・・たしか子竜の術の発表会でしたか?』

 

「いつかはジゼルもそれをするときがくる

・・・まだ「みせる術」がないがな」

 

    \!?/

 

〈うわ それ楽しみ 絶対に見に行くよ!〉

 

\がんばる!っくしゅん!!!あ・・・ごめんなさい・・・・・・・/

 

「よさんか!ジゼル!!」

 

『ジゼルの鼻水はあなたのせいですが』

 

それはそうだが食材に鼻水で汚すわけには・・・!!

・・・この際 オレの背中への被弾はやむなしか

この鼻水爆弾が竜術祭りで一芸を披露できるときを

 

『待っていますよ!!』

 

一刻も早く来いっ!!

 

 

 

      ジゼルはレベルがあがった

 

      ちからが2あがった

 

      すばやさが2あがった

 

      みのまもりが2あがった

 

      たいりょくが1あがった

 

      かしこさが1あがった

 

      うんのよさが3あがった

 

      さいだいHPが1ふえた!

 

      さいだいMPが2ふえた!

 

      1Pの スキルポイントを かくとく!

 

      ジゼルのドラゴンがスキルアップした!

 

      やけつくいきをおぼえた!

 

      ジゼルのメイドがスキルアップした!

 

      いやしの雨をおぼえた!

 




残暑お見舞い申し上げますウジョーです。

復刻少年ジャンプ最大部数号購入しました
この頃はジャンプを毎号買っていたので
色々と見覚えがありますが「ダイの大冒険」は
ハドラー・ポップが死神の罠で炎に包まれたところへ
それを救った光の魔法陣 そして2ページ見開きのアバン先生復活!
合併号なので2週間後までその正体が明かされることがなく
モヤモヤを抱えた年越しを思い出しました その後も結構長いこと疑ってましたが。

西日本と東日本で随分違うようですが
残暑厳しく じっとしているだけで体力が削られるような日もありますが
お疲れのでませんように

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