ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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~目指すところ 目指す未来~

「さて では行くぞ ジゼル ハータ」

 

    \\はーーい//

 

今日はハータが火竜家に行くというので

ジゼルとともに同行することにした

ジゼルはハータのお下がりの火竜の赤い服に着替え

ハータも用意はできたようだ

他の子竜たちは 今日はいつもより暑いということで

家にいるらしい

ここコーセルテルは暑さに弱い村人が多いため

夏の精霊との約束を交わし

夏でもおだやかな気候だが今日は比較的暑い

オレや火竜にはどうということはないが

水竜のマータや木竜のタータなどは日向にでようともしない

 

『あまりにも涼しい日が続くからてっきり

とっくに秋になっているとあなたが勘違いするほどでしたのに

急に暑くなるなんて どうしたのでしょうか?』

 

天気などそんなものだろう 夏に暑い日があるのは

なんらおかしいものでもあるまい

 

「ではいってくる」

 

   \\いってきまーーす!//

 

〔はい いってらっしゃい アグリナやヤチによろしく〕

 

火竜たちが迷子になると面倒だな

 

「ルーラ!」

 

      ギューーーーーーン

 

 

 

  じゃーーーーん

 

と 火竜家では ヤチの初作品展示会をおこなっていた

 

[このクッキー ヤチが作ったの?

とってもおいしいよっ]

 

    \おいしい/

 

 \うん アグリナといっしょにつくった/

 

〔う~ん〕

 

笑顔でクッキーをほうばる子竜たちのむかいの席で

火竜術士アグリナがクッキーと陶芸作品を見比べながら

なにやら うなっている

 

「どうしたアグリナ?」

 

〔うう~ん 竜術士の欲目じゃないですけど

ヤチはとっても器用だと思うんですよ

このお花のクッキーなんて型を使わずにヤチが

自分の手で作ったんですよ〕

 

『ジゼルと同じ小さくて短いおててで よくできましたね』

 

「まあ そうだな」

 

[う・・・うん そうだね]

 

〔それがどうして陶芸やガラス細工だとこうなるのかなって・・・〕

 

どうやらクッキーと陶芸・ガラス作品の出来に

ムラがあるのが気になるようだ

そもそもあの陶芸が何を作ろうとしたのかわからんが・・・

 

『これはこれで素朴で味があると思いますが』

 

[えっとね アグリナはお菓子作るの好きでしょ?]

 

〔え?うん〕

 

[ヤチもお菓子作り大好きでしょ?]

 

   \すきーっ/

 

[陶芸は好き?]

 

   \う・・・/

 

「わかりやすい反応だな」

 

[ヤチはあんまり工房仕事が好きじゃないみたい]

 

[ええ!?火竜ってみんな工房が好きになるんじゃないの!?]

 

「どんな種族だ」

 

[みんなって事はないと思うよ]

 

〔でもこれから火竜術の勉強いっぱいしてかなきゃ

いけないんだし やっぱり私が何か工房仕事できるように

なった方がいいのかな〕

 

「お前 たしかパン作りで火竜術を磨いたと言ってなかったか?」

 

[ぼくもはじめは台所で火竜術の練習をしたよ

おナベのスープをちょうどいいあったかさにあたためるの

すごくむずかしかったけど 上手にできるようになったら

うれしかったよ]

 

「火の力は制御が難しいからな

適温の管理は特に経験が生きる

オレもおぼえがある」

 

[ナータは今でも家事で術練習してるみたいだけど]

 

〔そう言えばっ〕

 

「やっていたな たしかに」

 

[――――あのね

これはぼくが思ってるだけなんだけど

コーセルテルで一番料理上手な補佐竜はナータだと思う]

 

〔ええ!?ユイシィやリリックじゃなくて!?〕

 

   \\ほぉーーーっ!//

 

『さすがコーセルテル1の竜術士の一番竜ですね』

 

「マシェルがコーセルテル1の料理上手と聞くからな

そもそもオレがコーセルテルでやつの元に住んでる理由のひとつだ」

 

『マシェルとアバン どちらの方が料理上手ですか?』

 

食糧事情が違うから味で判断はできんが・・・

作れる料理の種類は世界を旅していたアバン

一つ一つの料理の完成度はマシェルに分がある

 

〔はあーっ たしかに・・・

それなら一番って言われてもわかる気がする〕

 

 \いちばん・・・ すごいなー いちばんっ/

 

『ヤチの目が輝きましたね』

 

アグリナも気付いたようだな

 

〔じゃあ ヤチも目指してみる?

お料理上手の補佐竜〕

 

ヤチのテンションがあがった

 

  \うんっ いちばんになる!!/

 

〔よしっ じゃあさっそくマシェルん家へ行こう!〕

 

[え!?]

 

「オレたちは今 そこから来たばかりだぞ」

 

〔だってヤチに教えるなら私だって上達しなきゃ

工房仕事よりずっとがんばれるっ〕

 

「もうおまえがとっととマシェルに嫁入りした方が早くないか」

 

〔ヨメ!?〕

 

   \\おーーーっ!//

 

\ハドラーさまっ!わたしはハドラーさまにヨメイリしたいです!/

 

「そんなことより おまえも料理をおぼえろ

ほぼ同時期に生まれたヤチに遅れるなよ」

 

  \はい!ハドラーさまっ!!/

 

「ならオレはこの上のグイ族のところで

エプロンを完成させてくるか」

 

〔あ・あのハドラーさん!なんで あの!?〕

 

「ことあるごとにマシェルに会いに来ておきながら

マシェルに対する好意を気付かれないと思っていたのか?

・・・マシェル自身はともかく」

 

〔あー・・・ あの ハドラーさん

私マシェルとこのコーセルテルで出会ってから

2年くらいしかたってないんだけど・・・

それぐらいでこんなこと考えるのっておかしいかな?

オヤジ・・・父さんと母さんは昔からのご近所で

今の私よりも小さい頃にはプロポーズみたいなことを

言われたこともあるって母さんは言ってたけど・・・〕

 

「参考にはならんだろうが オレが知る夫婦で言えば・・・

好き合ってから結婚するまで20年かかったやつがいた」

 

『アバンのことですね』

 

「ほかには・・・出会ってから1年ほどで子供をつくって

駆け落ちしたやつもいたな」

 

『・・・バランのことですね』

 

〔ええ・・・ なんでそんな極端な・・・〕

 

「二人ともそれぞれ惚れた女が特別な身分でな

人間の世界はいろいろと面倒なことが多い

一組は賢すぎるほどに賢い二人だったから だれからも

求められ 祝福される状態になるまで時間がかかった」

 

『あなたのせいでは?』

 

いやむしろオレや大魔王との戦いがあったからこそ

学者出身の騎士のアバンと希望の女神王女フローラとの結婚

までに20年程度ですんだといえる

 

「逆に・・・もう一組は純粋すぎ、また世間を知らなすぎた

互いに惹かれあうままに結ばれたが為に

周囲からの反発を招き 親子で逃げることになった」

 

『これはあなたのせいでは?』

 

バランが魔物と疑われ追放されたのは

人間どものよくあるお家騒動に過ぎん

王族の、国という面倒なものの中で理由などなんとでも作れる

 

『・・・むしろバランの育児放棄していた私が悪い気がしてきました』

 

・・・おまえがいたところで役に立つとは思えんが

 

〔・・・・・・〕

 

「オレは どちらが正しいとは言わん」

 

バランがアバンと同じ行動をとっていれば

未だにダイが生まれていない事態もありうる

アバンが終戦まで生きていたのは多くの奇跡の積み重ねだ

オレに殺されそうになっただけでも一度や二度ではない

 

「おまえとマシェルの未来がどうなるかは

オレの知ったことではないが・・・

おまえの望む未来があるなら武運を祈ってやろう

・・・分が悪そうだからな」

 

〔う、うん

・・・じゃあまずはお料理とヤチのエプロン作りを習いに

マシェルの家にいってきます!!〕

 

「そうか ハータとヤチはそっちについていくか

ジゼルは・・・」

 

   \ハドラーさまといっしょに!!/

 

『聞くまでもなかったですね』

 

これでジゼルにも同じ土俵で腕を競う相手ができたか

面白くなってきた

ニヤリと笑うオレにジゼルが抱きついてきた

 




お天道様の暑さよりも職場の冷えすぎた冷房のほうが苦手なウジョーです
こちらの投稿は随分と久しぶりになりましたがまだまだ続きます

DQMJ3Pゴメちゃんは仲間になったもののまだ大魔王バーン様に会えてないののに
DQ11発売目前!!もちろん楽しみなだけに・・・

梅雨が明け真夏日が続いております 脱水状態に熱中症 夏バテ・・・
注意することはいっぱいありますが くれぐれもお疲れのでませんように

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