ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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~夢物語~

とある朝食

 

〔夢?〕

 

{うん ちっちゃいころの夢を見たの

みんなで遊んで楽しかった}

 

光竜らしく朝からテンションの高いカータのこの発言から

食卓は夢の話題で盛り上がった

 

「夢か・・・」

 

オレは瞑想中に大魔王バーンに会った事があるが・・・

あれは夢といえるのか?

 

『どうでしょう?

私はあなたよりも睡眠を必要としないので夢というものを

見たことないですし』

 

「ジゼル お前はどんな夢を見ている?」

 

    \ 夢ってなんですか? /

 

そこからか・・・

ジゼルに適当に説明してやったところ

 

  \ いつでもハドラーさまといっしょです! /

 

『・・・あの ジゼル 私のことは?』

 

 \ ・・・お母様は 見たことない・・・かも /

 

『・・・・・・・・・・・・・』

 

沈むな聖母竜よ うっとおしい

 

《マシェルさーーーんっ》

 

「この声は 地竜家のロービィか」

 

〔ロービィ!?〕

 

家の外から聞こえた声にマシェル達が出迎え行く

オレとジゼルは食事を続けているが外の会話は聞いている

 

地竜術士ランバルスの娘ヴィアンカがコーセルテルに

やって来る日が決まったらしい

 

「七日後か・・・ 意外と早かったな」

 

『離れ離れだった親子が多くの障害を越えてついに再会・・・

是非とも見逃せませんね』

 

「地竜家からマシェルたちに何かを頼むことがあるようだ

同行するのはたやすいだろう

・・・オレも興味がある」

 

\ サラダおいしいです /

 

・・・・・・

 

それから二日ほどたったマシェル家

 

〔ナータ! 正直に言って!!

やっぱりどこか具合が悪いんじゃないの?

顔色もよくないし〕

 

マシェルがナータに問い詰められている

大王イカのような まっ白い顔をしていては当然だろう

 

「具合が悪いというよりも ナータはここ数日

消耗した体力や魔力が回復してないようだが」

 

《ナータ

よく眠れてないんじゃないの?

夜時々寝言 言ってるよ》

 

流石アータ おそらくそれが当たりだろう

竜とはいえ 睡眠による回復は重要だ

 

トントン     カチャ

 

〔こんにちは マシェル君〕

 

〔ミリュウさん〕

 

ナータの話が核心に触れそうなところで来客か

 

・・・

 

風竜術士ミリュウの用件は地竜術士親子の再会時に立会い

一騒動がおこった際に その見届け人としてやって来る

地竜の里の守長が止めに入らないように止めてほしいと

 

〔守長の方を止めるんですか!?〕

 

〔ヴィアンカさんは大丈夫!

考えなしな事はしない人だからね〕

 

「その立会い オレとジゼルも同行してもよいか?」

 

〔ハドラーさん ありがとうございます

そうしてもらえれば助かります

頭が固い人を止めるならハドラーさんにもいてほしいですから〕

 

・・・さてどうなることか

 

『あなた・・・ ひとつ提案がありまして

地竜術士の親子とは直接関係ありませんが』

 

・・・

聖母竜の提案は夜ジゼルが寝るときのことだ

 

「・・・ド・ラ・ゴ・ラ・ム!!(竜変化呪文)」

 

    ドドオオオン!!

 

『この姿も久しぶりですね

どうですか? ジゼル フェルリ』

 

 \ハドラーさまがお母さまに変身するとハドラーさまはどこへ?/

 

‘ちゃんと聖母竜さんの中にいますよ’

 

「このとおりな」

 

『では 早速はじめましょうか

ジゼルこちらにいらっしゃい

今日は私があなたを抱っこして いっしょに寝ましょう』

 

‘まあ! 素敵ですね’

 

『子守唄もおぼえました 是非聞いてください

・・・これなら私もジゼルの夢にでられるかも』

 

・・・お前 そこまで気にしてたのか

ジゼルと抱き合った聖母竜が以前他家の子竜たちから聞いた

子守唄をうたいはじめた

 

『おやすみおやすみ かわいいよい子

夢のお国へ行っておいでね』

 

ドラゴラムにより実体化した聖母竜の声が地下の術部屋に響く

いつもの念話のようなごく限られた者にしか聞こえない声ではなく

またオレの声とも違う聖母竜自身の声が・・・

 

『おやすみおやすみ かわいいよい子

夢のお国で遊ぼうね』

 

・ ・・そういえば 以前オレが昼寝のときにこの子守唄を

うたったときはだれ一人眠らなかったな

別に気にしてはいないが・・・

 

『お星はきらきら光る 風もお花もきらきら歌う

きっとそんな場所だから』

 

じっと聖母竜を見上げるジゼルの瞳が・・・

 

『行っておいでねかわいいよい子

夢のお国でいっしょに遊ぼう』

 

ゆっくり閉じていく・・・

 

『夢のともだち 夢のおはなし

起きたらいっぱい 聞かせてね』

 

・・・ふと思いついたことがある

オレがこのまま寝た場合変身が解けるのか

それとも魔力が尽きるまで聖母竜のままなのか

魔法力が回復するのか・・・などなど

それを試すために・・・

 

『おやすみおやすみ かわいいよい子

夢のお国へ行っておいで』

 

オレは眠りについた・・・

 

・・・

・・・・・・

 

“よかった! ようやく会えました

お話しをしましょう

お話ししましょう”

 

「・・・だれだ?」

 

オレは眠りについたはずだが

目の前には見知らぬ女がいた

はじめて見る顔と声だ

少なくとも聖母竜やジゼルではないな

 

“私はこの地に眠る月の精霊コーセルテル

あなたはハドラーさんですね

ナータさんの妹ジゼルさんのお父さん”

 

「いかにもそうだが・・・

おまえはなぜここに? ここはオレの夢ではないのか?」

 

“そう ここはあなたの夢の中

私は夢を渡る術であなたの夢におじゃましております

先ほどまでナータさんの夢でお話していました”

 

「ナータの不眠の原因はおまえか」

 

“ええ 夢でお話しすることがそんなにくたびれることになるなんて

先ほどマシェルさんに叱られるまで知らなかったもので

もうしわけないことをしました”

 

「マシェルは気づいたのか

そして夢の中まで子竜を守りに行ったと

流石 コーセルテルで1番の竜術士といったところか」

 

“はい それでマシェルさんに夢の外の世界で

精霊の姿でお話しすることができると聞きまして

その方法を探しにきました”

 

「ほう それでこのオレのところに」

 

“はい ナータさんに ハドラーさんなら

夢におじゃましても大丈夫そうと聞いていましたが

あまり眠らないようなので今まで機会がなかったのです”

 

あやつ 自分の竜術士と弟妹のためなら容赦ないな

 

“それにハドラーさんは竜術以外の術に精通していると

聞いてますので 外に行く術も知っているかと・・・”

 

「たしかに心当たりはある

この術を応用すれば

体の一部を切り離し会話をしたり

遠隔操作でキラーマシーンを操作

自らの映像を送り会話をすることもできる

おまえの望みにもっとも近いのは後者だな」

 

“素晴らしいですハドラーさん

是非!是非!!お話しましょう!!!”

 

・ ・・目の前にいるのはただのおしゃべり好きの女のようだが

こやつはあの大魔王バーン級の力をもった月の精霊だ

興味深い存在であり向こうから接触してきたこの機会

生かすのも面白かろう それに・・・

 

「おまえやその片割れの寝ぼけた行動が

ジゼルの誕生の一因だったからな

その礼 ということにしてやろう」

 

“まあ! お子さんの誕生に私達が関わっていたのですか!?

そのお話しも ぜひしましょう!!”

 

・・・

それから一晩中 こやつと話をしたわけだが・・・

本当によくしゃべるし よく聞いてくる

この調子で何日もつきあえばナータの顔色が

大王イカになるのも当然だろう

 

“ああ! ごめんなさい!

ついたのしくて いっぱいお話ししてしまいましたけど

ハドラーさんお疲れでは?

私ったらマシェルさんに注意されたばかりなのに・・・”

 

「このオレを見くびるな 子竜や人間とは出来が違う

それにおまえが外に出てくるのを待っている者がいるのだろう?」

 

“はい ハドラーさんのおかげでできそうです

またお話しましょう 今度は外の世界で”

 

「オレも待っているぞ いつでもな」

 

外ならば 話し相手を聖母竜に押し付けられる

 

・・・

・・・・・・

 

オレは目をさました

 

姿はオレにもどっているが魔法力が空だ フェルリに聞いたところ

どうやら聖母竜はオレの魔力が尽きるまでジゼルを抱いていたようだ

今ジゼルはオレの腕の中で寝ている

 

『結局 ジゼルの夢に私がでたかは本人にしかわからないのですね』

 

「当然だろう

・・・いやあのコーセルテルのように夢を渡る術を使えば

そうでもないのか?」

 

『それは興味深いですね』

 

「興味があるなら おまえが直接聞くのだな

せいぜい楽しみにするがいい クククッ」

 

 

 

 

    せいぼりゅうはレベルがあがった

 

    かしこさが2あがった

 

    うんのよさが3あがった

 

    かっこよさが1あがった

 

    こもりうたをおぼえた

 

 




最近同じ日に買った まったく別々のマンガの単行本で大王イカネタが被ったため
自分のSSにも大王イカを盛り込んだウジョーです。

今回珍しくレベルがあがった聖母竜さんですが実体がないのでほとんどステータスが
変化していません
でも子供を寝かしつけるという子守りっぽい特技をおぼえたのは大きい
ちなみに今まで特に表記してないだけで聖母竜さんも何度かレベルは上がってます
・・・多分

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