ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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兵どもが夢の跡

幼竜たちの茶会はパンを食べ終え

花の香りや陽気につられたのか

みな眠りについていた

 

『ジゼルもみんなに馴染めたようでなによりですね

暗竜の翼も消えてあんなにいい寝顔・・・は

ちょっとよく見えないですね』

 

今のオレはアグリナ達といた時よりもさらに離れている

あやつらがわざわざ口にするとも思えんが

隠し事ができるほど器用でもなさそうだからな

 

『どうせなら空から見てみましょうよ

花に囲まれて寝ているジゼル・・・是非!』

 

やれやれ・・・

まあよいわ・・・ もう紙芝居は完成し やつらも寝ている今

このまま潜むような真似をする必要もない

ゆっくりとこのコーセルテルを空から眺めるのもよかろう

 

「トベルーラ」

 

・・・・・・

 

花畑の中寝ている幼竜たちを見下ろし

 

「この季節感のない花畑 その一角に残る焦げ跡

延焼を防いだ水壁 炎を一瞬で消した暗闇の力

みな《竜の力》によるものか・・・」

 

『様々な可能性を感じる力ですね

火竜術でもその応用で大体実現できると聞きますし』

 

「そうだな 竜が秘める力 それを十二分に引き出す人間の竜術士

かつてはこのコーセルテルには竜の都があったと聞く

今よりも多くの竜が住み その竜一体に竜術士が一人

竜術を秘めた術道具も開発され その影響力は全世界に及んでいたと」

 

『フェルリが生きていた時代ですね』

 

「だが三千年前にその都は滅び一度は更地となった」

 

『フェルリが亡くなった時・・・らしいですね』

 

「今やその痕跡は地下や一部の遺跡に残すのみ

地上に広がる人間の目から隠れるように点在し住む・・・

まさに兵どもが夢の跡・・・か」

 

『そのようですね 私も詳しくは知りませんが』

 

「・・・強さとは空しいものだ」

 

『それでもあなたはさらなる強さを求め

ジゼルにも強くなってほしいと願う』

 

「そうだ」

 

『・・・少なくとも私は

今あなたを通して見るこの光景が空しいものとは思えません

ここで出会ったフェルリからも』

 

多くの精霊が宿る森 山 空 湖

獣人たちの住む小さな里 点在する子竜と竜術士の家

今の景色か・・・

 

「この地に住む強大な力を持ったものは竜だけではない

あのジゼルが生まれた日に感じた

大魔王バーンに匹敵する力を持つ

眠る月の精霊コーセルテル

いずれ直接会ってみたいものだな」

 

『ええ 私も・・・

ジゼルが生まれたきっかけとなる力を与えてくれたことに感謝を』

 

そうだな それもまた 力だったのだな

 

『ですが 今は眠る月よりも

眠る私達の太陽を迎えにいきましょう』

 

「・・・・・・わかった・・・ この新作の紙芝居を披露してやるか」

 

相変わらず足下で寝ているジゼルの元に降り立った

 

 




ダイの大冒険のタッグ 三条先生 稲田先生のマンガ
冒険王ビィトの連載再開が発表されワクワクしているウジョーです
休載中に雑誌の月刊ジャンプがなくなっても音沙汰なく10年もたっただけに
まだ疑っている気持ちがありますがはじめてジャンプSQクラウンを買う予定です

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