ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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それぞれの太陽

『おきのどくですが 冒険の書が 消えてしまいました』

 

「なんだ唐突に・・・」

 

ジゼルの術練習で消耗した魔法力の回復のために久しぶりに眠り

起きたところでの聖母竜のこの言葉に頭がまだついていけない

 

『あなたが寝ている間に 紙芝居の一部が消えてしまったのです』

 

・・・なんだと?

――――――

たしかに 数が少ないようだな

 

‘ほんの少し目を離した瞬間 本当に消えてしまったようなのです’

 

「フェルリもその瞬間をみていないのか?」

 

‘ええ ごめんなさい’

 

確認したところ 消えたのはバーン様に依頼され書き直した

新しい紙芝居のみか・・・ もしやこれは

 

「朝食の後にでも 心当たりをあたってみる 気にするなフェルリよ」

 

‘そうですか ちなみに子竜ちゃんは一度も来てませんよ’

 

「わかっている オレが気配を感じていないからな」

 

・・・

・・・・・・・

 

朝食を終え 洗濯物を干し終えジゼルと共に太陽の下で

瞑想をはじめた ジゼルはまだ逆さまでの瞑想は難しいようで

何度も挑戦したが服が汚れていない部分がなくなるまで失敗したところで

昼寝に移行していた・・・

 

        \ ZZzz~~~・・・・ /

 

「・・・やれやれ 基礎中の基礎の瞑想はまだまだか」

 

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

 

「「よくきた ハドラーよ」」

 

「ハッ・・・ バーン様にご報告がございます」

 

「「ふははっ そうあらたまる必要もないが 聞こう」」

 

「バーン様の叡智をお借りして 新たに作り直した紙芝居が

消失いたしました

あくまで序章・・・ではございますが」

 

「「・・・・・・ん ハドラーよ・・・

その消失した紙芝居は他のものと明確に違うところはあるか?」」

 

「・・・紙芝居の最後に 【著・ハドラー 協力・バーン】と書き足しております

他にもいくつか書き足してはいますが 共通する点はそこのみです」

 

「「・・・ふふふっ 気にやむことはない

余に心あたりがある ・・・今頃幻想の先にある友の手元にある」」

 

      !?

 

首もとのスカーフをなでながら ニヤリとするその表情

見覚えがある 確信があるのだろう

やはりそういうことか

 

「ひとつ懸念が 特に指定がなかったもので紙芝居の文字は

魔族言語ですが問題ありませんか?」

 

「「よいよい・・・ たとえどのような言語であろうと余の友には

それを読み取れる者もいる」」

 

【友】か・・・

 

「奥方だけでなく友までいるのですか その幻想の先に・・・」

 

「「・・・ハドラーよ 知っておるか【悪魔にも友情はある】

余が生まれるよりも前の時代 魔界を支配した恐怖の将の配下

伝説の悪魔騎士の首領がのこした言葉だ」」

 

「・・・それは私も知っております

力と勝利が全ての魔界において伝説となるほどの力を持った悪魔とは

結びつきそうもないあまりにも異質なその言葉・・・」

 

「「・・・まさかそれを実感するときがこようとは

全知全能たる余ですら想像していなかった・・・

【太陽の輝き】という名の男だったと伝わるが・・・

ふっふっふ・・・」

 

「かつて クロコダインやヒュンケルが魔王軍を離れたように

バランが竜の騎士の歴史を変えたように

アバンが学者から勇者に変わったように

その生き方も 死に方さえも変えてしまう存在【太陽】・・・」

 

「「余はかつて太陽こそ 唯一の存在であり

最も孤高な存在だと思い それを手にすることこそ念願であったが・・・

太陽こそが友を求め 必要とし 尊ぶ・・・ それもまた一興よ」」

 

「・・・・・・・・・」

 

「 「「 ・・・ふふ ・・・ふはははは!!! 」」 」

 

どちらともなく笑い出した かつて誰よりも魔族らしく生きた

魔王と大魔王が太陽を肴に 新たに情報を交わした

 

「「余はおまえに全幅の信頼を置いておる

期待しているぞ」」

 

「お互いの太陽のために ですな」

 

オレがニヤリと口元をゆがめてこたえると

 

「「・・・」」

 

ニマリと返された

 

互いにかつての立場を捨て このお方の寛大さから考えれば

以前のようにへりくだる必要はないが

かつてはこのお方こそオレにとって太陽と呼ぶべき存在だった

あのアバンストラッシュで死の淵と絶望に落ちた際

さらに深い闇からの声が、力が!オレを救い出した

死をも超越した まさに不死鳥たるお方・・・

その力に畏怖し憧れ いつかはそれさえもと野望を秘めた日々

そして人間どもの いや地上の太陽とも呼ぶべき

ダイやポップらアバンの使徒たちに出会い その闘いの中で

オレや おそらくこのお方も変わったのだ・・・

今は遠い地で大冒険を再開しているだろうあの勇者たちに

ほんのひととき・・・・・・

 

 

 

 




最近 準夜勤と地下仕事続きでお天道様とご無沙汰気味のウジョーです
今回バーン様のはなしにでてきた恐怖の将と悪魔騎士首領は
ダイの大冒険やコーセルテルの竜術士 東方大魔王伝とは関係ありません
ジャンプキャラではありますが「魔界」「輝く太陽」「悪魔にだって友情はあるんだ」
など以前から絡めたい要素があるとは思ってました
まあ一番の理由は単に好きだからですが 歯止めがきかなくなるのもまずいので今回だけの登場(の予定)です
笑顔のステキなあの悪魔が主人公の二次創作とかだれか書いてないかな・・・
グォフォフォフォ・・・

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