\ ハドラさま~~・・・ /
秋の長雨と曇り空で ぬるい日がつづき
火竜の身にはこたえるのか グロッキーな声をだしている
「情けない声をだすなジゼル」
朝食を終え 後始末の手を止めず適当に返す
『せめて振り向いてください!
あなたが直接見ないとジゼルの様子がわかりませんよ』
ナータたちに任せておけ聖母竜 つまらん心配をするな
〔ジゼル あったかいミルクをどうぞ〕
\ うん コクコク・・・ ぷ~ ごちそうさま /
少しはマシになったようだが
「・・・ジゼルよ 今日は新作の紙芝居を披露するはずだったが
おまえは下で寝てい」
\ハドラーさま!わたしみんなといっしょに楽しみにまってます!!/
たったったっ・・・
ジゼルが元気よく走っていく足音が聞こえる
『・・・元気になりましたね』
そんなものだ
\\ わ~~!! //
カチャ・・・
子竜たちの歓声が聞こえたところで ちょうど洗い物が終わった
・・・やれやれ 仕上げを急がねばならんな
『完成も発表も明日の予定だったのでは?』
余計なことを言うな聖母竜
あのまま放っておけばマシェルが際限なく甘やかしそうだったからだ
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
\\ ごちそうさまでした~! //
〔ティータイムの後はみんなお待ちかねのハドラーさんの紙芝居だよ!〕
《おやつを食べながら ずっと気になってたんだ~》
(先に昼寝もすませたし!)
<さっきのお茶で目も覚めたしね>
たしかに 子竜たちの目に眠気は感じられんが・・・
『みんな 期待で目がキラキラしてますね』
これを恐怖と絶望に変えてやりたいところだが・・・
残念ながら今回は勇者編、
勇者アバン 戦士ロカ 僧侶レイラ 魔法使いマトリフ達の話がメインだ
何度も恐怖と絶望をひっくり返してきた 恨み重なるあやつらのな
『でも あなたはどこか楽しそうですよね』
・・・でははじめるか
・ 魔王打倒のために騎士団長の友と二人で母国を旅立った勇者
・ その行く先々で魔王の野望の種を打ち砕いていった
・ 多くの闘いを経てレベルアップを繰り返していく勇者たち
・ 女僧侶と老魔法使いを加え さらに戦力を増強していったのだが
・ 快進撃をつづける勇者パーティーは常にある問題を抱えていた
・ 内輪もめ いわゆるケンカだ
・ 元々友人同士の二人でもケンカは絶えなかったが仲間が増えたことで内容が多様化した
・ そんなとき 魔王が力を求めた研究の成果のひとつの形
・ 地上最強の金属(オリハルコンは除く)の装甲と武器を持ち魔王の魔力で動く
・ 勇者抹殺を目的に造られた殺人機械(キラーマシーン)が完成した
「呪文をはじき 同じ素材で作った剣に遠距離用のボウガン
大王イカ以上のパワー・・・ こんなところか
いくつか問題点もあるが今の勇者どもを始末するには十分だろう と、
魔王は完成した3体のうち実働試験を終えた1体を勇者一向に送り込んだ」
(なんでひとつだけ? 3つもあるのに)
《サータ! お話の途中で聞かないの!》
「気にするなアータ もっともな質問だからな 理由は簡単だ
一度に操作できるのが一体だけだからだ
魔法力による遠隔操作で魔王は動かなくてもいいが
キラーマシーンのいくつかある問題点のひとつだ
ではつづきにいくぞ・・・」
・ 勇者一行は 褒美として借り受けた舟で旅を続けていた
・ その舟は聖水を流しながら航海をしているため怪物を寄せ付けない
・ 舟により行動範囲が大幅に広がったことは魔王にも無視できないものだった
・ 舟を破壊したいが配下の怪物も近づけない
・ 自身が行けば確実だがいい機会と 港にキラーマシーンを配置
・ ついに 地上最強兵器が 勇者一行と激突する
・ 勇者や戦士の攻撃は装甲をわずかに削るのみ
・ 勇者・僧侶・魔法使いの魔法はダメージにならない
・ しかし・・・
「キラーマシーンの攻撃が舟に届かない!
勇者と戦士は圧倒的パワー差を恐れず立ちはだかり
それを援護する魔法使いの氷系呪文がキラーマシーンの動きを一瞬止める
大岩をも破壊するボウガンも 僧侶の真空系呪文で矢が届かない
互いに決定打がないまま舟は沖に避難した」
\\ ふ~~~~~・・・ //
子竜たちがいっせいに息を抜く
少しは緊張感が伝わっているようだな
「舟の破壊は失敗したが魔王はこのまま
キラーマシーンの製造目的である勇者との戦闘を継続
ここで手を緩めれば勇者たちは必ず対策を練ってくると
操作に更なる魔法力を注ぎ込む!!」
紙芝居を握る手にも力がこもりそうになるが・・・どうにかおさえた
かわりと言ってはなんだが 子竜たちのこぶしがプルプルしていた
「キラーマシーンの攻撃が激化するなか
魔法使いは最後の魔法力を絞り出しひとつの呪文を唱えた
・・・天空に散らばるあまたの精霊たちよ・・・
我が声に耳を傾けたまえ・・・ ラナリオン!!
カァッ と魔法の光が空に届いた」
〔これって精霊術ってことかな?〕
「魔法使いの唱えた呪文は攻撃呪文ではない
空は雲に覆われ 戦場に雨が降り出した」
<なんで雨?>
《金属だから錆に弱いのかも?》
≪でも今までも海の近くだったよね?≫
(わかった! みんなのどが渇いたんだ!)
[それだよサータ! すごーい!]
【・・・いや おそらくそれは違うだろう】
{じゃあどうしてかなあ?}
子竜たちがそれぞれ色々な考えを巡らせるなか
ジゼルは紙芝居をじっとみいっていた
「魔王は不穏なものを感じ 先に魔法使いに狙いを定めたが・・・
マヌーサ(幻惑呪文)!!
僧侶の唱えた呪文で魔法使いが無数にいるように見えた
キラーマシーンからの視界に異常が発生したのだ
キラーマシーンの装甲をもってしても呪文による魔法の霧は防ぎようがなかった
こうなれば狙いなどさだめようがない 剣を振り回すしかないと
掲げた剣に・・・
ライデイン(電撃呪文)!
ドガーーン!!!!」
\\ うわあ!!? //
いきなりだしたオレの大声に子竜たちも大層驚いたようだ
・・・ちょっと楽しいかもしれん
『大人気ないですよ』
「勇者が雨雲から呼び出した稲妻がキラーマシーンに直撃した!
ぐっ!! 動けキラーマシーン! くっ!
魔王が魔法力を送るがキラーマシーンが動かない」
バチバチと光をまとい動きを止めたキラーマシーンの絵は
今回もっとも力をいれたところだけに子竜たちの反応が気になる
「キラーマシーンの体に内臓してある『キメラの翼』による撤退を
魔王が決断したまさにその瞬間!!
うおおおおおおおおおおおお!!!!
ズガァン!!!!
キラーマシーンが落とした自分の体よりも大きな剛剣を手にした
戦士の会心の一撃がキラーマシーンをまっぷたつにした!」
バッ!!!
\\ うわあ!!? //
この一枚の絵のみ切れ目をいれており
台詞に合わせて絵が割れる仕掛けに子竜たちが驚いていた
あのナータですら目をひらき息をのみ
ジゼルもマータと抱き合ってひっくり返りそうになっていた
「すでにピクリとも動かなくなったキラーマシーンを通じ
魔王の耳に勇者たちの声が聞こえてくる
まったく今日ほどおまえのバカ力をすげえと思ったことはないぜ
おれも今日ほどおまえが頼りになると思ったことはねえよ
いやー 今回もなんとかなりましたね~
本当に・・・ 舟の上でもあんなにケンカしてたのに・・・
ライデインができたってことはおまえが勇者だって天も認めたってこったな
そいつはすげえな!
いえいえ みんながいてこそですよ 今回の勝利もあの呪文も!
勇者さま とりあえず一休みしましょう みんな消耗しきってますから
そうですね せっかくの港ですからとびっきりの魚料理をふるまいましょう
おおっ 期待してるぞ!
こればっかりはおまえにしかできねえ せいぜい楽しみにしてやるぜ
・・・魔王にとって人間はとるに足りない存在だった
勇者一行ですらあくまでうっとうしい程度の力を持つという認識だったが
まさにこのとき 勇者一行の見せたチームワークという魔族にとって
異質な『力』をはっきりと感じたのだった・・・
つづく・・・」
\\ パチパチパチパチ!!!! //
今回も好評だったが オレにとっては今回の内容は
負け戦に等しい過去だったからな 正直複雑なものがある
『でも大まかな流れは変えていないのですよね?』
・・・そうだ だからこそ 意味があるのだ
痛恨のミス!!僧侶レイラさんの名前をうっかりエイミと書いていました ごめんなさい『イ』しか合ってないのに・・・
コーセルテル編50話目にして はじめてオリジナルで戦闘シーンを書いた気がするウジョーです。
文字だけで戦闘を表現するのは難しいと思いつつも本家ドラクエ(特にダイ大連載時のⅢやⅣ)は
シンプルな絵と文字という演出であの緊張感や臨場感を持たせたことに改めてその偉大さたるや・・・
DQ11にドラクエヒーローズ2と最新作も期待が膨らむ情報が続々と出してくる
ドラクエはやっぱりすごいとしかいいようがないです。
今回の戦闘はダイVSキラーマシーン戦とドラクエヒーローズのキラーマシーン戦を参考にしておりますが
やはりいつも以上に色々と表現に苦戦しました 何か反応をいただければ幸いです。