ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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この内容は黒太陽さん作「東方大魔王伝」の重大なネタバレを含みます
未読な方はご注意ください。


太陽と王 ~後編~

「「・・・・・・んっふっふっふ・・・ 

余の真意、望みか・・・ ハドラーよ ふたたび余の片腕となれ」」

 

       >はい

        いいえ

 

・・・オレはかつて魔王として勇者アバンに敗れた死の瞬間

このお方から同じようなことを言われ 「はい」と答えたことで

命を救われ 以前よりも若く 強靭な肉体を授かった

・・・同時にとんでもないものも授かったが

その時の選択に一片の後悔もないが 今は状況が違う

それに気になることがある

 

「どういう意味ですかな?」

 

「「おまえの描いた紙芝居を通じて あの戦いを

余の強さ 恐ろしさを語りつぐのだ」」

 

・・・一見 筋が通っているように聞こえるが おそらくその真意は

 

「お言葉ですが 仮にあなたの助言で完成度の高い作品が出来上がったとしても・・・

奥方様にお渡しする手段がございません」

 

「「・・・!!!!」」

 

どうやら オレの読みはあたったようだ

 

「「見抜いたかハドラー 別に隠していたわけでもないが

何故わかった?」」

 

「あなたが 太陽を得たと語った際に

バランが自分の最愛の妻と息子を太陽と表現したことを思い出したもので

それに あなたはあの戦いを伝えたいとおっしゃった・・・

あの戦いは あなたの強さだけではなく敗北さえも伝えてしまうもの

ダイとの決戦では敗北よりも二度と戻れぬ魔獣となることを選んだあなたが

それでも伝えたい相手がいる・・・ということでは?」

 

「「・・・素晴らしいぞ ハドラー

余は既に肉体を失った身 余の右腕となり あの日々を形に遺す

やはりおまえ以外にこれを任せられる者はおらぬ

紙芝居の内容については おまえが描くものを実名にするだけでよい

それをもうひとつ作って置いておけば 後はどうにかなるであろう」」

 

・・・かなり肝心な部分だと思うが いいのかそれで?

 

「・・・オレはこのコーセルテルの地に入った際に

『他者をコーセルテルに連れてこない』

という条件を呑みました

あなたとの接触はその約定に抵触する可能性がある」

 

「「・・・フッ その心配も無用だ

余は太陽となった とも語ったはすだ

太陽は直接近づかずともその光は大地を照らしている そういうことだ

おまえが今のように太陽の下で瞑想をすればこのとおり会話が可能となる」」

 

・・・・・・・・・まあ いいのか

 

「最後にひとつだけ お答えいただきたいことがございます

・・・あのオレとダイとの最終決戦の決着がついた際の死神の姑息な罠

あれはあなたの差し金ですか?

何人たりとも手出し無用っ!!!

寄らば生命が無いと思っていただきたいっ!!!!

と言ったのが聞こえなかったとは 言わせませんぞ」

 

あれは我らがハドラー親衛騎団の誇りと生命を賭けた勝負・・・

この答え次第では・・・!!

右拳に力が入る・・・

 

「「おまえとの・・・真竜の闘いをも乗り越え

レベルアップを果たした勇者ダイの力に驚愕したのは事実だ

あの戦いで消耗しきった最大のチャンスに暗殺 大いに結構・・・」」

 

・・・・・・!!!

 

「「そしてあの勇者アバンが生きていたとわかったときは即暗殺を命じた

かつて おまえに命じたように・・・!

奴・・・アバンには力を越えた何かがある・・・!

余が信じる強さとは 全く異質の強さを感じる男・・・

それがアバンだ!」」

 

・・・・・・

 

「「あの頭脳 地上一の切れ者がダイに合流する 

余の最大の障害 アバンの使徒の力が異常に増幅されると感じたからだ」」

 

・・・何ということだ オレの宿敵たちが あの大魔王に それほど・・・

 

―――――――――――――――それがこれほど嬉しいとは!!

オレの気持ちは固まった

 

「・・・もう一度 この手をお貸しいたしましょう あなたの叡智を借りる為に」

 

オレは右手を差し出した

 

「「・・・・・・・・・

命が尽きかけ その身が崩れながらも アバンの暗殺を防いだあの一撃

・・・余は正直見とれた

叛旗をひるがえしたとはいえ おまえへの敬意は変わらんがあれは別格だった

余が肉体を失ったときも同じように身体が灰となっていったが

あの状況下でさえ 尽きぬおまえの覇気 痛恨の一撃

それを生み出した右腕の力を借りる これほど頼もしいことはない」」

 

        !!?

なんだ!?この湧き上がる 熱いものは!?

・・・・・・やはりかなわぬか このお方には・・・

更に器が大きくなっておられる・・・!

・・・・・・だが!

 

「折角の機会 奥方との馴れ初めなどお聞きしたいところですが」

 

       ハドラーのこうげき

 

「「・・・ふふふっ よい よい・・・

我らには最早 時間に大した意味はない じっくり話すとしよう

兵士ヒムがヒュンケルとの一戦で起こした奇跡・・・などもあるぞ」」

 

「!詳しい話を聞きましょう」

 

       バーンはうけながした

 

「「・・・では 作り上げようぞ最高の紙芝居を 余とおまえで

互いの『太陽』の為に・・・!」」

 

・・・

・・・・・・

 

    \ Zzz~~Zzz~~ く~・・・ /

 

オレのひざの上ではジゼルがぬくぬくと寝ていた 

また寝ながら飛び込んできたか

 

『あなたも寝ていたのでは?』

 

・・・いいところだったのだが

聖母竜 瞑想中に何かあったか?

 

『いいえ 特には』

 

夢・・・ではなかったようだな 太陽が雲に隠れたのか

雨ではなさそうだ

 

「・・・・・・フッ いくぞジゼル 昼食の準備がある」

 

寝たままのジゼルを抱き上げ 家に帰る

ジゼルから太陽のにおいがする

 

『どのような においなのですか?』

 

「さあな ・・・まあわるくはないぞ」

 

 




バーン様は夢オチではないので今後も出番があります。
・・・洗濯物乾かしたりとか 太陽は偉大ですねー
結局 元魔王と元大魔王が揃ってやることが紙芝居づくり・・・
絵的にはすごい地味ですが小説なので問題なしということで

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