オレは今、水竜家に来ていた
ジゼルが火竜家で装備した髪飾りを見て マータとタータが装飾品の話で盛り上がり
子竜の中で一番詳しそうな水竜家も交えて じっくり話し合いたいと言いだしたのがきっかけである
装備品を見る目を養うことは 一朝一夕で できることではない
そういった経験を早くから積むこともジゼルにとってプラスになる。
それに なかなかキリがつかない紙芝居の新作に水竜術士・エレを巻き込む狙いもある
その思惑からまずは紙芝居を披露していた
今回の見物客はオレが連れてきたジゼル・マータ・タータ
水竜家の水竜術士エレ・子竜リリック・クララ・ラティ・ティルク
コーセルテルで農業・畜産を担当している獣人ニアキス族の少年オルタ・ジリー・キイト達だ
意外なことに水竜家で一番盛り上がったのは
アバンのカール騎士団時代を元にした勇者編だった
・・・
・・・・・・
「青年は森を出て騎士として 国のため 王女のために仕えることになったが
あえて修業により得た力を見せるようなことはしなかった
ダテメガネをかけ騎士団の公務をぬけだし 知恵を生かすことを選んだ
ドラゴラムの一件から人との距離をおいていた青年にとって・・・
敬愛する主君に仕え 気のいい友ができ 蓄えてきた知識が国のため人のためになることに
かつてない充足感を感じていた」
≪いーなあ王女さま 知的でかっこよくてやさしくてつよい男性がいっしょにいてくれて!≫
〔クララこの前言ってたことと・・・ちょっと変わってる?
でもそのお姫様の公式行事をほったらかして調理場で笑って料理してるなんて・・・〕
≪まるでエレの初こ・・・≫
〔リリック!!〕
ゴン!!
エレの拳骨が リリックの脳天に刺さった
\ \ お~~~ / /
『・・・これは紙芝居で盛り上がったのとは違うのでは・・・』
知るか
「青年は 騎士団長の友の背中が見えなくなった後に 確信をもって呟く・・・
戦いが近いようだ ・・・つづく!!」
パチパチパチパチ
「やれやれ・・・」
\ ハドラー様~~~♡ /
とびついてくるジゼルはとりあえず放っておく
今日はマータの青色の古着にサータのバンダナをつけていた
≪ジゼル 紙芝居も終わったし水竜家に来た用事に入ろうよ≫
<みんなで色々試してみよう だれの部屋に行く?>
マータとタータがジゼルを連れて行こうとする
ジゼルは最初は抵抗しオレに張り付いていたが 気が変わったのか
クララやラティもいっしょについていった
『ジゼルが色々楽しみを おぼえていくのはいい傾向ですね
・・・少し寂しい気もしますが』
その場に残ったのはリリックにティルク、オルタ・ジリー・キイトか
≪見事に男の人ばっかり残っちゃったね・・・≫
ゴンッ!
〔リリック~ 私もいるんだけど〕
またリリックが失言をしたのか エレに殴られていた
〔うう・・・ お茶の用意してくるよ みんな待っててね〕
「ちょうどよい エレ このつづきの紙芝居を持ってきている
仕上げを手伝ってくれ」
〔・・・いいわ〕
\ \ お~ おれらも みたい! つくってるところ / /
オルタたちが興味をしましたが
「ダメだ」
\ \ え~~~!! / /
『バッサリですね かわいそうですよ』
知るか
〔ここで見てしまうと楽しみが減っちゃうわよ
それに新作はあなたたちが一番乗りよ
コーセルテルでだれよりも最初に楽しめるんだもの
みんなに自慢できるわよ〕
〈おれっ いいこでまってるぞ!〉
〈たのしみにしてるっ〉
〈うんうんっ〉
\ ぼくも~ リリックのお手伝いしてまってる /
流石水竜術士だな エレの言葉でこうも態度が変わるとは
現在新しい職場となり それまでお客さんとして利用していた施設の裏側 関係者以外立ち入り禁止のところで働くことになりました。
ドラクエでいうところの新しいカギを手に入れて今まで行けなかった、入れなかった所に行けるようになった感覚に近くてちょっと楽しいです。