ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

33 / 71
火竜家への出稽古 後編

         \ \ ごちそうさまでした / /

 

昼食を終え ここに来たもうひとつの用事を思い出した

 

「アグリナ ここに頑丈な土鍋があると聞いてな ひとつくれ

かわりに こんなものを用意している」

 

と 持って来ていたジャムをとり出した

 

〔土鍋? ってことはメオが作ったやつね

でもマシェルの家にはオヤジが作った立派なお鍋があったよね?〕

 

「つい力が入ってな 少し曲がったのだ 一応直したが・・・

それに自分用の調理道具も揃えておきたいのでな」

 

〔それはいいですけど メオが作ったのはデザインが・・・

まあ持って来ますから いるならそのまま持って帰ってくださいね〕

 

といってアグリナが持ってきたのは 持ち手やフタがハニワのようなデザインの土鍋だった

 

〔このゆかいなデザインは風竜家に伝わるロッタルク像がモデルなんだって〕

 

「ほう これがあのロッタルクか なかなか味のある顔をしているではないか

強度もなかなかのものだ 気に入った」

 

『・・・これがかつての風竜王をモデルにしたとは とても思えないのですが・・・』

 

  \ \ かっこいいー (おナベを真剣にみてるハドラー様がー♡)! / /

 

〔やっぱり男の子には人気ね ジゼルは見てるとこ違うし〕

 

「さて ここでの用事はとりあえず済んだな

この後グイ族の村で紙芝居をする約束がある おまえたちも来るだろう?」

 

          \ \ いくー! / /

 

アグリナ達を連れグイ族の村に入ると集会場のような場に案内された

思ったより見物客が多いようだな 暇人どもめ 

これほどの人数を前に紙芝居を披露するのははじめてだが 

世界を相手に魔王をやってたことを考えれば

何人相手にしても変わらんがな

 

・・・

・・・・・・

最前列で紙芝居を見ているジゼル達が一番反応しているのは

魔王編の終盤、オレがかつてバルトスのみを連れ

竜の巣穴にドラゴンを配下にするためのダンジョン探索を元にした場面だった

 

「伝説の武具『シャハルの鏡』を手にいれたがドラゴンの炎には効かん

お前が持っていろ、と供に渡し ついに最下層に辿り着いた

この熱気 目当て火竜がいるのは間違いなかった」

 

やはり火竜だけに ジゼル・ハータ・ヤチそれにアグリナの緊張が伝わってきた

 

「巨体とそれに見合うパワー 鉄よりも硬い肌 その呼吸さえも必殺の力を持つ

まさに地上最強の種族! だからこそ その力がオレの軍団に必要なのだ!!」

 

バルトスの剣が弾かれドラゴンの火炎の息をしのぎ洞窟そのものを揺るがした

激しい戦闘シーンに 手に汗を握る最前列だったが面白いのは

オレの闘気を込めた回し蹴りでドラゴンを倒し決着が着いたときの反応が

ジゼルとハータ・ヤチ・アグリナで正反対だったことだ

 

『ジゼルはこの魔族が かつてのあなたがモデルだと知らないはずですが

何度見ても火竜よりもひいき目で見てますね』

 

まあ話の主役だから感情移入しやすいのだろう

 

「竜の目が怪物の目に変わったことを確認し

供の地獄の騎士から魔法の筒を受け取り

『イルイル!』 と唱えると

あの巨体が小さな魔法の筒におさまった

ここに地上最強の軍団が誕生したことに高揚し 高らかに宣言した

オレはこれより魔王を名乗る!

全世界に宣戦布告をせよ!! 世界征服に乗り出す!!!」

 

昔のオレの行動になんの後悔もないが こうやって何度も口にするのは不思議な感覚だ

まあそれなりに場は盛り上がっているからいいか・・・ この後の勇者編も好評だったようだ

次も書きはじめてはいるが まだ完成には遠い・・・ 今日のところはここまでと場をおさめた

 

    \ \ \ \  パチパチパチパチ!!!! / / / /

 

人数が多い分拍手も大きく 不思議とオレの気分が高揚した

・・・

これは あの竜を配下にし バルトスからはじめて『魔王様』と呼ばれた時ともどこか違う・・・

だが・・・わるくないがな

 

『素直に嬉しいと思っていいんですよ

・・・まあ あなたはある意味とても素直ですが

ハドラーはテンションがあがった』

 

うるさいぞ聖母竜!

 

紙芝居後 グイ族から裁縫の手ほどきを受けている・・・

 

『・・・あの ハドラー たしか布の切れ端を縫い合わせて雑巾をつくるはずでは?

・・・なぜ逆に切れ端が増えていくのですか?』

 

布の守備力が低いからだ

 

〔もー! なんで針に糸通すって こんな大変なのよっっ〕

 

隣で同じように手ほどきを受けているアグリナも苦戦中のようだ

ジゼルはオレの前で グイ族の着せ替えモデルをしている

ここに来たときに着ていた火竜の赤い服から 視線を移すたびに違う色になっていた

 

〔あ、ジゼルその色もかわいいー! ヤチも違う色の服着てみてよ〕

 

『ほらあなたも視線上げて 私も見たいです』

 

うるさいぞ聖母竜 いっそお前も裁縫をやってみるか

 

『竜の姿の私が針を持てるわけないでしょう』

 

相変わらず役に立たんなお前は

 

「ム 針が折れた」

 

゜あ ハドラーさん 折れた針はこちらの針山に刺してください 後で供養しますから

怪我はしてませんか?゜

 

「ああ この程度の針でオレは傷つかん」

 

゜あの この服も着せてみてもいいですか? こちらのリボンも!゜

 

「・・・好きにしろ」

 

・・・結局今回の成果は拭いてる間に分解しそうな小さな雑巾ひとつと土鍋か ム?

 

「ジゼル そのガラスの髪飾りはどうした?」

 

ジゼルの頭にはいつの間にか髪飾りが装備されていた

 

    \ アグリナからもらいました どうですか? /

 

「守備力は低そうだが・・・ お前にはちょうどよいな」

 

『一言余計ですよ 大変可愛らしいですよジゼル』

 

[前にリタが作って女の子に配ってたのだね ジゼルかわいいよ]

 

           \ ~♡♡ /

 

・・・帰り道 ジゼルの方向音痴を試すために先頭を歩かせてみた

 

[ジゼルが迷子にならないように手をつないでていい?]

 

ハータならともに迷うことはあっても正しい道へ誘導することはあるまいと許可した

 

       \ ・・・こっち・・・かな? /

 

早速逆方向へ歩き出した ・・・まあ努力次第で克服できると火竜家で聞いた

 

『ルーラで来たから方角がわかりにくかったのですよ

・・・多分』

 

            \ いたっ! /

 

ジゼルが声を上げた どうやら栗のイガを踏んだようだ

 

『秋ですからね それより回復呪文を』

 

ジゼルの足を見たが大したことはない 針が残っているわけでもない

呪文は不要だ

 

[ごめんジゼル! 下をよく見てなくて

そうだ! これを見てジゼル!!]

 

ジゼルに詫びていたハータが 栗のイガを割り中の実をとりだした

三つともかなり大きいな 皮が割れている

それを両手で握り・・・ これは火竜術・熱調節の術か

 

[これでちょっと待っててね]

 

ジゼルの注意がハータの両手と術に向かっていた

もうダメージのことなど忘れているだろう

 

・・・

・・・・・・

おそらく10分ほどだろう その間 温度にムラがなく常に一定に加熱している

 

「これはなかなかのものだな」

 

『そうですね マシェルの教育の賜物でしょうね』

 

        \ ハータおにいちゃんすごい・・・ /

 

[ほら 食べてみて ジゼル! ハドラーさんも!]

 

笑顔で焼いた栗をすすめてくるハータ

ジゼルとオレがそれぞれ一つずつ手に取ったがジゼルはどう食べればいいかわからないようだ

 

「この黒い皮を剥がして 食えばいい」

 

黒い皮をはがし 渋皮がついたまま口にいれた

 

「フム いい焼き具合だ」

 

面白い これは術の練習に使える

ジゼルも不慣れな手で皮をむいて頬張っている

 

    \ おいしい~♡ ありがとうハータおにいちゃん /

 

ジゼルの笑顔にハータも満足そうだった

これは思わぬ収穫だったな

 




ドラゴンクエストヒーローズを予約しましたウジョーです。
無双並のキャラエディットがあったら是非ハドラー様を作りたいところです。
すっかり冬めいてきましたがみなさまお体を大切に。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。