ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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新たな挑戦

ジゼルの術暴走による熱も下がり オレも一眠りし そして夜があけた

 

「ジゼルの熱も完全に下がった オレの魔法力も回復した 

ならば早速 熱調節の術練習をするぞ」

 

『ジゼルはまだ眠って・・・ あ、起きましたね』

 

           \ ハドラー様 おはようございます~♡ /

 

「ああ おはよう 早速だがジゼルよ 朝食の準備だ お前の力を借りるぞ」

 

(なるほど術練習というのは そのことですか)

 

「ああ まずは朝食の支度で実践していくつもりだ マシェルやハータといった手本もあるしな」

 

日々の生活の中で術を使うことで経験を重ね レベルアップをはかるコーセルテル流

昨日のこともある 今のオレとジゼルにもっとも必要なものだ

 

1階で朝食の支度をはじめようとしているマシェルに 術練習を兼ねた調理助手を申し出た

 

〔僕は助かりますけど ジゼルは疲れてるんじゃあ・・・ 

ハドラーさんはハータの力を借りた方がいいと思いますけど 術道具もありますし〕

 

         \ ハドラー様のお役にたちたい!やらせてマシェル! /

 

[・・・マシェルぼくからもおねがい ジゼルにやらせてあげて

ムリしないように ぼくもいっしょにお手伝いするから]

 

〔ハータ・・・ 

わかった じゃあハータはジゼルといっしょにハドラーさんのお手伝いをしてね

僕の方は術道具を使うから しっかりお兄ちゃんするんだよ

ハドラーさん よろしくお願いします

火竜術については ハータはがんばりやさんだから 頼りになりますよ〕

 

「ああ ハータよ よろしくたのむ」

 

[うん! がんばろうねジゼル]

 

               \ よろしく ハータにい様 /

 

[・・・ジゼル おにいちゃんって呼んでほしいな]

 

               \ うん ハータおにいちゃん /

 

『ジゼルもハータもはりきってますね 微笑ましい』

 

はりきってもらわねば困るからな・・・

 

〔ハドラーさん スープをお願いします〕

 

「ああ わかった」

 

材料を切り終え 水の入ったナベで出汁をとる

 

「さて ここで火竜術か この出汁は沸騰よりも手前でじっくりとろ火が定石だが・・・」

 

[じゃあ まずはぼくがやってみますね・・・

んーーーーっっ]

 

              ・・・ぷく ぷく  ぷく

 

ナベの水が湯にかわり 出汁の香りが漂ってきた

ハータが発する熱も変化し 沸騰手前で水温も安定している

成る程 得意だと言うだけはあるな

 

「よし オレが代わろう ジゼル力を貸せ」

 

             \ はい! ハドラー様♡ /

 

ジゼルがオレの背中の首の近くに飛びついてきた

・・・たしかにそこならナベの様子も見えてオレの邪魔になりにくいが

 

「ジゼル 台所でとぶな ホコリが舞う

オレは支えん そのまま落ちるな」

 

           \ はい!ハドラー様を絶対離しません♡ /

 

「いや お前にもやらせるから その時は離せ」

 

                ポゥ・・・

 

ハータと立ち位置を代え ジゼルの力を借りナベに直接手をあて術を使う

ほう ハータが手をあてていた部分以外も 均等に加熱してある いい仕事だ

ナベを熱するだけならメラ系よりもギラ系の要領だな

 

           ぐっ・・・    くつ くつ くつ・・・

 

「いかんな 煮えすぎる

やはりただ火力を上げるより 弱く持続させる方が難しいな」

 

集中し 魔法力をコントロールする ジゼルからの借り物の力のせいか ハータ程うまくいかん

だがオレはジゼルに手本を見せねばならん もっと集中せねば・・・

 

              ・・・ぷく ぷく ギイィ ぷく・・・

 

[ハドラーさん!  おナベ! おナベがゆがんでるよ!!]

 

「ム!?

いかんな 術に集中しすぎて 手に無駄に力が入っていたか

意外と難しいぞこれは・・・」 

 

[おナベを曲げちゃうのは ハドラーさんだけだとおもうけど・・・]

 

ナベの歪みを直し 具材をいれ 再び術を使う

具材に火がとおり切るまでに 2度ほどナベが歪んだが スープはこぼさなかった

 

「後で ナベをまた直さねばならんな 力ずくで直すのはわけないが

何度もすると金属疲労で脆くなる もっと丈夫なナベはないのか?」

 

[うちの鉄のおナベは先代の火竜術士のイフロフさんが作ってくれたものだから他には・・・

あ そうだ たしかメオが作った陶器はすごい頑丈だから おナベもあったら・・・

うちにはないけど アグリナなら知ってるかも!]

 

「土鍋か・・・ ちょうど火竜家に行くつもりだったから丁度よいか

ふむ マシェルの方はもう少しかかりそうだな

ジゼルよ 今度はお前が直接やってみろ

マシェルの料理が終わるまで 冷めすぎない程度に保温するのだ」

 

オレは術を止め ジゼルを抱きかかえナベに手をあてさせる

火竜は火傷をしないとはいえ やはり専用のエプロンがあった方がいいな・・・

 

               \ んーーーーー・・・・・・ /

 

『ジゼルがんばって』

 

[ジゼル 火の力をまずは手に集中させて 強すぎても ぼくがおさえるから大丈夫だよ]

 

・・・どうやら術がうまくいってないようだ

まあ最初からうまくいけば苦労はないが これならナベにフタをした方がよっぽど保温になる

術は成功しなかったが 意外に早くマシェルの方は料理が完成したので問題なかった

 

               \ ハドラーさまぁ~・・・・・・ /

 

ムウ・・・ やはり火竜家で火竜術のことを基礎から身につけた方がよさそうだな

マシェルもアグリナも各竜術士のもとで 竜術を学んだと聞いた

独学と実践だけではレベルアップが はかどらん ・・・土鍋の件もある

手土産を用意しておくか

 




灼熱の息ができてもナベの保温ができない 意外とそんなものである

・・・

というのは簡単だがそのままにしておかないハドラー様 次回は火竜家修業編・・・か?

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