ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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おやすみの一時

 

                     \おやすみなさーいっ/

 

〔おやすみ みんな〕

 

「ああ、おやすみ」

 

子竜たちが寝る時間になり各々部屋に戻っていく

 

〔ハドラーさんも お疲れ様でした 部屋を用意してますので朝までゆっくり休んでください〕

 

「オレは人間ほど睡眠を必要とせん 休息も必要ないが そうだな時間があるなら

食事のときに話題となった 竜王竜術士とやらに会ってみるか 地下にいるのだろう 会えるか?」

 

〔ああ 地下の竜王竜術士の幽霊さんですね 地下の術部屋に住んでますから声をかければ会えますけど

あの、ご案内しましょうか?〕

 

「そうだな 変なところに入り込んでも面倒になるだろう 頼むとしよう」

 

『どんな人物でしょうね』

 

さて 幽霊というからには既に死んだ身 元人間で会話が成り立つようなら かなりの人物だろう

怪物化せずにそれができるのは人間ではかなり稀な例だがオレも聞いたことがある

つまらぬ相手なら挨拶だけして この家の書物でも読み漁ればいい

 

『そうですね ここでの目的である子守り修業には実戦だけでなく知識も必要ですから』

 

マシェルの案内で地下を下りると妙な気配のする部屋に入った 

そこは地下でありながら花に満ち溢れ中心には大きく丸い寝床のようなものがある

これが術部屋か、たしかに呪文の契約や訓練を行う部屋のような雰囲気も感じる

 

〔・・・・・・ここです 元は墓所なんですけどね 今呼んできます〕

 

‘はーい こんばんはマシェルちゃん

そして はじめまして 私は竜王の竜術士フェルリと申します 元・・・ですけどね’

 

「挨拶が遅れたな オレの名は魔王ハドラー 元・・・だがな 今は竜の保護者見習いといったところか」

 

名乗ったフェルリに合わせオレもかつての素性を明かした 別に隠してはおらんしな

 

‘いっしょにいる 竜さんのお名前も聞かせていただけるのかしら’

 

「ほう わかるか オレに融合しているこいつは・・・」

 

『私は聖母竜マザードラゴン 竜の騎士の生と死を司る神の使い 元・・・ですが

今はこのハドラーとともに竜の騎士を見守っています』

 

‘ご丁寧にありがとうございます 同化術かしら? 常にいっしょなのは珍しいですね’

 

オレが通訳をする前に返事があった どうやら聖母竜と直接会話ができるようだな

 

〔それでは フェルリさん僕は部屋に戻りますね おやすみなさい みなさん〕

 

「ああ 案内 礼を言おう」

 

『ありがとうございます おやすみなさい』

 

‘おやすみなさい マシェルちゃん’

 

マシェルを見送ったあとオレ達はこのコーセルテルについて色々と話を聞けた

コーセルテルというのはその地に眠る月の精霊(コーセルテル)からついた名前らしい。

長い歴史がある竜の都のある国と聞いていたがその規模は思ったよりもはるかに小さく 

大樹海と山と谷により外界から遮断された土地の中に少数の竜と獣人と人間が住んでいる。

現在オレが世話になっているマシェルはコーセルテル一番の竜術士(本人は否定しているが)とよばれ

かつての竜都でも7種7竜を預かる竜術士はいなかったようだ

この土地では竜術士とその見習い以外の人間は住めず

現在魔族は住んでいないらしい。(過去魔族の幽霊やハーフはいたらしい)

と、ここまではオレにとっても有益な話だったわけだが・・・

 

‘心残りはなくなったけど楽しみができちゃったの マシェルちゃんの子竜ちゃんたちがかわいすぎて’

 

『わかります! 私も手元で成長するダイを見ていたら 遠くから見守って

生と死だけに関わるなんてできなくなってしまいました』

 

すっかり聖母竜とフェルリが意気投合してしまいオレは会話に参加しなくなった

 

これはこのまま夜を明かしそうだな・・・

まあ聖母竜がこの地でオレ以外と直接会話できる相手がいるのは貴重かもしれんし 

こやつは3000年前の竜都の時代の竜術士とのこと おそらく竜の神に導かれたこの地は

オレの知る『地上』とは 別の『地上』のようだ 得られる知識は貴重そのものだろう。

・・・この会話にはつきあいきれんが ・・・まあよいか。

 




コーセルテル編ももう3話目 でもまだまだ出したいキャラはいっぱいいるのがちょっと困り物。
人が多いと勝手も変わるあたりもなれないところですがこの後書きも読んでいただきありがとうございます。

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