ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

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ジゼルお休み中・・・

術練習の疲労から“卵がえり”となったジゼルをフェルリに任せ一階に戻ると

タライを抱えたマシェルとマータがいた

 

〔ハドラーさんお疲れ様です はじめての術練習どうでしたか

ジゼルは?〕

 

「ああ 術練習は上出来だった

ジゼルは魔法力を使い果たしようでな

オレにしがみつくこともなく 術部屋で寝たから フェルリに任せてある」

 

〔なるほど 卵がえりですね

そういえば いつも 寝ているときでもジゼルがいっしょでしたから

ハドラーさんが一人でいるの久しぶりですね〕

 

「そういえば そうだったな」

 

『もうジゼルが生まれるより前のことが思い出せないほどですね』

 

それはおまえだけだ

 

〔それではハドラーさん お洗濯お願いできますか?

今日はいい天気ですし今日のお留守番当番はマータですから

いっぱいやろうと思って〕

 

他の子竜達は食後に外出したようだな

 

≪ねえマシェル 私達が幼竜のときに着てた服もみんなとってあるんでしょ

あれもキレイに洗ってジゼルに着てもらおうよ≫

 

〔そうだね ヤチにあげようかとも思ってたけどハータの服ならたしか・・・〕

 

≪ううん ハータの・・・火竜の服だけじゃなくて みんなの

折角七竜分もあるんだもん 女の子なんだからオシャレにできるよ≫

 

〔なるほど じゃあ今日は めいっぱい洗濯しようか

じゃあハドラーさん マータとこの洗濯物お願いしますね

僕はみんなの古着を持って来ますから〕

 

「ああ 助かる」

 

『本当ありがたいですね 色んな服を着たジゼル・・・ 楽しみです』

 

「さてマータ お前には礼を言わねばな」

 

≪気にしないでハドラーさん 

ジゼルが起きたら タータと二人で色んなお着替えさせるの楽しみなんだから

ジゼル可愛いから 今から楽しみ~≫

 

「聖母竜と同じようなことを言っているな・・・」

 

『多分フェルリも同じようなことを言いますよ』

 

≪そうだ! いっそのこと他の家の女の子にも声をかけてジゼルをモデルに

ベストドレッサーコンテストをやっても面白いかも≫

 

「まあ それは好きにすればいいが・・・

洗濯用の水を用意してくれ タライがまだ空だ」

 

≪あ はーい≫

 

           じゃぶ じゃぶ じゃぶ・・・

 

「水がどんどん濁っていくな

さほど汚れていたようには見えなかったが・・・」

 

『これを見ると お洗濯って大事なんですね』

 

「マータ オレは洗ったものを 干してくる 

この汚れた水を また使えるようにしておいてくれ」

 

≪はーい≫

 

洗濯は思いのほか はかどった なぜか今日はいつもより体が軽い

 

『ジゼルの卵が生まれてからはずっといっしょですからね

これほど離れているのは はじめてでしょう』

 

「このオレがあの程度の重さに 負担を感じていたわけがあるまい・・・

今干している洗濯物全てと ジゼル一人そう変わるものではないぞ」

 

〔いやいや 子どもってのは あれで重たいもんなんだ 久しぶりハドラーさん〕

 

「地竜術士ランバルス・・・」

 

〔しばらく見ないうちに もうすっかり竜術士だな〕

 

「オレがか?」

 

〔ああ あんたいつもそれだけ子竜を大事にしてるってことだろ?

できてるじゃないか〕

 

「・・・・・・」

 

『あなたがランバルスがアバンに似ているというのが わかる気がします』

 

「・・・何の用だランバルス マシェルなら家の中にいる」

 

〔いや今回はあんたに用があってな

地竜家の昼食会にあんたとジゼル アータを招待したくてな これが招待状だ〕

 

「・・・・・・明日か明後日の可能な日だと?」

 

〔ああ 実はロービィがエリーゼから例の紙芝居のことを聞いたらしくてな

ロービィだけじゃなく それを又聞きしたうちのほかの子たちも是非直接見たいと

それで地竜家全員でここにお邪魔するよりも うちに招いた方がいいだろうと

うちの補佐竜がいいだしてな・・・

そっちにも事情があるだろうから 都合のいい日を指定してほしいと

それ以外の日がよければ応相談ってわけだ〕

 

「わかった どうせ近々 ジゼルの祝いの返礼で行く予定ではあったからな・・・

明後日がいいだろう ・・・フム、今時間はあるかランバルス?」

 

〔ああ うちの子竜はみんな頭がいい上 補佐竜は俺よりもはるかにしっかりしてるから

おかげで俺は気楽に一人で出歩けるんだよな〕

 

『流石「知恵の竜」ですね』

 

「うらやましいことだ なら都合がいい 

紙芝居の新作をジゼルが卵がえりしている 今日の内にかいておきたい

明後日の昼食会が初披露にちょうどよいし 協力しろ」

 

〔そいつは面白そうだな いいぞ その話乗った!

洗濯が終わったらだろ? 俺が干しとくからとっとやってしまおう〕

 

「ああ では頼む 洗濯が終わればマシェルに言って 紙芝居の作業に移るとしよう」

 

・・・

・・・・・・・

 

これは思いがけない援軍だった

ランバルスは新作の内容的にちょうどいい協力者だ

知恵の竜の竜術士だけあって読書量も多い知恵者であり

また子竜向けに物語を脚色・演出する作業も手馴れたものだった

何より今回の主役はオレが聞いた話をもとに作りあげた人物像だったせいで前作よりも

動かしにくい上に オレよりもランバルスに近いやつだったからだ

 

・・・そして俺の構想をもとに新作はほぼできあがった

明日仕上げれば 明後日の昼食会にちょうど間に合うだろう・・・

 

「おかげで どうにか形になった ありがとう」

 

〔俺も面白かったよ また機会があれば手伝わせてくれ

これは竜術士にとってもいい気分転換になりそうだ

俺に限らず 他の竜術士も誘ってみたらどうだ?〕

 

「たしかに前作も暗竜家の助力がなければ完成は難しかった上

最初の構想よりもいいものが生まれたのも確かだが・・・

・・・まあ気が向けばな」

 

‘くすっ 私でよろしければいつでもお手伝いしますよ

ハドラーさんの紙芝居 私も楽しみですから’

 

「フェルリには卵がえり中のジゼルを見てくれるだけで十分助かっている」

 

『そうですよ こうやって作業をジゼルのそばでやっていても

ハドラーは集中しているとまるで気にも留めませんから』

 

フェルリのもとで安らかな寝息をたてているジゼル 

・・・オレにしがみついて寝ているときよりも気持ちよさそうに見えるな

 

『まあそもそもあなたにしがみついている時はほとんど顔が見えませんが

 

〔あんたも意外と・・・

おっと 流石にこれ以上遅くなるとうちの補佐竜が色々と言ってくるんでな帰るとするよ

内容は内緒にしとくんで 明後日のお披露目 みんなで楽しみしてるよ

じゃあ またな〕

 

「ああ さらばだ」

 

‘お気をつけて’

 

            \・・・zzz/

 

ジゼルが寝ている内に完成させた方がよさそうだな・・・




残暑お見舞い申し上げます
今回ジゼルはほぼ出番なし
卵時代含め生まれてからずっとハドラーといっしょだったのでたまにはこんなのもいいかも

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