ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

25 / 71
竜の夢

「・・・ム?」

 

オレにしがみついたまま寝ているジゼルの額にある 鱗のような模様が消えていった

 

‘まあ おめでとうございます ジゼルちゃんがまたひとつ成長しましたね’

 

「成長なのかこれは」

 

『ヤチやプレアたちのようですね

手の甲の模様もなくなって つるつるおててとおでこになりました』

 

‘そろそろ 心言葉でおはなしできるようになりますよ’

 

「心言葉?念話のようなものか? ヤチたちがやっていたな

そういえばお前もやっているな聖母竜 竜の姿のときと現在では多少違うようだが」

 

『と いうことは 私はジゼルと直接話ができるようになるのですか!?』

 

‘どうでしょう? ジゼルちゃんが 起きたときに話かけてみては どうでしょう?’

 

『・・・・・・・ !!  ハドラー 一生のお願いです! ジゼルが起きたときにドラゴラムを使ってください!』

 

「竜形態での心言葉を先に試そうというのか?」

 

・・・

 

「・・・なんだそんなことか 別にかまわんが 

おまえたしかダイのときにもそんなことを言ってなかったか?」

 

『あのときは自重してしまいましたが 今度は後悔したくないので 

あ もう目を覚ましそうです はやく!!』

 

「仕方ない・・・ すまんがフェルリ ジゼルとともに少し 下がってくれ

竜化すると 少々でかくなるのでな まあこの地下室ならどうにかおさまるはずだが」

 

‘わかりました ではジゼルちゃんをお預かりします’

 

ジゼルを部屋の隅に置きフェルリに任せた

幽霊で実体がないものの 流石は元竜王竜術士 実子と竜王を育てた経験者

頼りになるやつだ

 

「ではやるぞ      ・・・ド・ラ・ゴ・ラ・ム!!」

 

            ゴアアアアア

 

む 呪文は発動したが 抑えられる感触だ!?

そういえば ここは術部屋 術の練習などのために 力を安定させ暴走させない仕掛けか?!

 

                ズゥゥン・・・

 

『以前よりも身体が小さいですね この地下室にはちょうどよいですが

フェルリ これが本来の私に近い姿です

こうやって直接顔を合わせるのは はじめてですね』

 

‘ええ 聖母竜さん やっぱりおきれいですね

ジゼルちゃんも 目を覚ましそうです さあ・・・’

 

          \  ・・・ /

 

目を覚まし 緩慢なまばたきをするジゼルに聖母竜が顔を向け 

フェルリはジゼルの視界に入らないように移動した

 

『ジゼル・・・ 私は聖母竜マザードラゴン あなたの母です』

 

          \  ハ  /

 

『!?』

 

        \   ハドラー様 どこ?  /

 

                 ズゴーーーーン

 

‘あらあら’

 

聖母竜がひっくり帰った

こやつの狙いはジゼルの第一声に自分のことを呼んでほしいというものだった

かつて天界でダイを世話したときは バランがやや強引に自己主張して掴み取ったのを

憶えていた いや 次の機会があればと狙い続けていたようだ

 

「・・・まあ結局はオレの名が呼ばれたわけだが」

 

オレは別に狙っていたわけではなかったのだが 何か こう・・・

 

『・・・素直に嬉しいと言っていいのですよ』

 

聖母竜がうらみがましいような声を出していた が・・・

 

            \   おかあさま? /

 

『!!!』

 

どこでそんな言葉を憶えていたのかジゼルのつぶやく声に

聖母竜にまるでライデインを受けたような衝撃が走った

 

『もう思い残すことはありません・・・!!』

 

急に満足げになり そのまま昇天しそうになった

 

「またんか 別に天界に召集されたわけでもないのに行こうとするな!

お前に行かれては困る」

 

やれやれ・・・ まったくこんなことに一喜一憂しおって

 

『! そうですこの機会にあのジゼルがつくったというお菓子を食してみたいのですが

ハドラーひとつだけ持って帰ってましたよね!?』

 

ああ あったなそういえば 暗竜家でほぼラルカとエリーゼが作ったものだろうが

たしか そこの畳んだエプロンといっしょに置いてあったはずだが

 

‘これですね そうだジゼルちゃん お母様に食べさせてあげてみては?

元竜の姿では食べにくいでしょうから’

 

             コクコク

 

フェルリに提案にうなずくジゼル 上機嫌だった聖母竜のテンションが更にあがり

大きく口をあけた

 

         \   こわい・・・  /

 

            ズゥゥン・・・

 

聖母竜はたおれた

 

「・・・まあムリもあるまい いきなり目の前で巨体の竜が口を開ければ多少おびえても・・・」

 

‘ごめんなさい聖母竜さん! 私が余計なことを言ったばっかりに!

大丈夫ですか?’

 

慌てるフェルリだったがそれに反応も返せずに・・・

 

            シュウウウウウ・・・

 

‘聖母竜さん! 聖母竜さん!!’

 

         \   おかあさま!? /

 

           シュウゥゥ・・・

 

「心配いらん フェルリにジゼルよ やつはショックで少々気落ちしただけだ

その影響でオレの姿に戻ったが 別に消えたわけではない」

 

         \   ハドラ様―!!  /

 

姿を取り戻したオレに飛びついてきたジゼル

さらにオレにかみついてきたがまるで痛みはない

たしかにこの程度の歯しか もたないものが

あの尖った牙がズラッと並んだ口をいきなり見れば 実母相手とはいえ

ひるむのは仕方なかろう ・・・だからいつまで沈むな聖母竜よ

 

『・・・いいんですよ 結局 お菓子は食したのですし 味はわかりませんが

ジゼルにも私のことを 呼んでもらえましたし』

 

         \   元気でた?おかあさま  /

 

『ええ あなたのおかげです』

 

        \   ハドラー様 元気でたって!  /

 

「まあ そもそもお前のせいで沈んでいたのだが・・・

それよりも会話はできるようだなその状態でも」

 

『ああ そうですね たしかに』

 

‘よかったですね それと本当にごめんなさい’

 

『いいえフェルリ 私こそ 取り乱して心配させたようで申し訳ありません』

 

「もう気にするな それよりもジゼルが ウトウトしだした 

まだ眠り足りなかったのだろう 夜明けまではまだ時間がある

オレも消耗した魔法力の回復のために休息が必要だ ここで休ませてもらうぞ」

 

‘ええ もちろんどうぞゆっくりお休みください マシェルちゃんが起きる時間には

私が起こしますから’

 

          \  おやすみなさいフェルリ /

 

‘まあ! もう立派なごあいさつが おりこうさんね ジゼルちゃん

はい おやすみなさい’

 

笑顔で挨拶をしたジゼルを抱きしめたフェルリを余所に オレは眠りについた

間もなく ジゼルもオレにしがみついてすぐに眠った・・・

 

 




今回聖母竜さんメインでしたが 普段目立たないけどいつもいる人が急に前にでてくると色々と違う面が見れて話を作るの楽しいですね
私の書く聖母竜さんは結構残念な感じになってしまいますが

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。