ハドラー子育て日記 コーセルテル編   作:ウジョー

24 / 71
暗竜家のお茶会 後編

ジゼルをラルカ達他の暗竜に任せ 別室に移動させ 

メリアたちと紙芝居の内容の打ち合わせをはじめた 

 

「オレの構想ではまず・・・」

 

・ 一人の魔族が力を求め躍起になる

・ 地道な修業の日々の中 年齢による伸び悩みを意識する

・ 力の象徴である『竜』の力を研究

・ 竜の騎士の存在を知る

・ 竜化術(ドラゴラム)を習得しようとするが失敗するも 

    火炎系呪文(メラ)などの攻撃呪文や飛翔呪文(トベルーラ)など魔法力に磨きをかける

・ 禁呪を習得し仮初の命を生み出すことに成功 

    また自らの邪悪な意志で怪物を配下にすることができるようになる

・ 直接 竜を配下にする

・ 魔王を名乗り世界征服に乗り出す

「・・・といったところだ」

 

これがオレの過去話であることはあえて明言を避けたが 

魔王を名乗るまでの約300年程のレベル上げの過程の中から竜に関するものを中心に多少脚色した

 

〔なるほど コーセルテルではまず見かけないダークヒーロー物ですね

ぼくは結構好きだな〕

 

ウィルフが童心に戻ったのか一人称が変わっていた 手ごたえはあったようだな

 

〔人間社会では子供向けでも人気がありそうな題材ですね 私も面白いと思います〕

 

テイムも興味を示したが

 

〔・・・世界征服というのは ムリがありませんか?

伸び悩みを意識するほどの年齢になってまでこんなバカな夢を・・・〕

 

メリアが難色を示していた

 

「いや オレも魔族に生まれた身だ この気持ちはわかる

貪欲に力を求め 世界征服の野望に燃える この魔族にとって命をかけるに値するものなのだ」

 

まあ そもそもオレのことなのだから当たり前なのだが

 

『あなたみたいな方がいるから竜の騎士が必要になるのですが・・・』

 

〔・・・ハドラーさん あなたはこの紙芝居をとおして 子竜たちに

いえ ジゼルに何を伝えたいのですか?〕

 

メリアの問いにオレは・・・

 

「ただ力を求めた者の末路を知り・・・ 

そしてその上で あやつには強くなってほしいのだ」

 

〔末路? それではこの話はこれで終わりではないのですか?〕

 

「ああ 少なくともこの魔族が闘いの中で死ぬ瞬間までは かき続けるつもりだ」

 

オレはこの紙芝居を通じ

オレを・・・ 宿敵たちを・・・ ジゼルの兄姉たちを知り・・・ 

このオレを超えるほど強くなってほしいのだ

 

『逆効果ではないのですか?』

 

おまえはジゼルを見くびっているのではないか?

・・・オレの子だぞ この程度で怖気づくような者など オレの子には一人もおらんわ

 

『私の子でもあるのですよ もちろん私も信じていますよ』

 

〔昔――― 魔族の若者が一人 壮大でバカげた野望をいだいて魔族の里を飛び出したわ

そして人間の村で一人の娘と出会ったの

村に色々思うところがあった娘は ついそのバカな若者について行ってしまった・・・

このウィルフの父 甲斐性なしの私の連れ合いのことです〕

 

〔か・・・母さん〕

 

なるほど このウィルフは人間と魔族のハーフか まあ あることだな

 

〔この子は あの人のムチャな冒険話をよろこんでくれるから よくはなしていたわ

はずかしい話ばかりだからあえて お父さんのこととは言えなかったけど あなたも・・・〕

 

どうやらメリアは気付いたようだな 最後の台詞は周りに聞こえないように囁いたつもりだろうが

オレの耳には余裕で聞き取れた

 

『そのとがった大きい耳は便利ですね』

 

〔私も協力します ハドラーさん

ラルカとエリーゼには事情があって最後まで見れないでしょうが 

プレアにも読み聞かせてくださいね〕

 

「ああ 約束しようメリア 協力に感謝する」

 

〔私も協力させてください これでも天文学者のはしくれ 著作もいくつかあります

子供向けも書いたことがありますから少しはお役に立てるかと〕

 

〔ぼくも出来る限り お手伝いします ぼくも一人の魔人としてこの物語が気になりますから〕

 

帽子をとったウィルフの額には第三の目 そして頭には角があった

暗竜家にこれほど 心強い協力者ができるとはな・・・

 

ともあれ 紙芝居の作成にとりかかった 実際に紙芝居に触れたことのあるメリア親子と

子供向けの本を書いたことがあるテイムの協力は大きく 

一人では気付きそうもない問題点も多く解決し はじめての紙芝居作りは思いのほか順調に進んだ

 

・・・

・・・・・・

 

            コンコン

 

【メリア母さん そろそろ夕飯の準備をはじめるよ】

 

「もうそんな時間だったか」

 

外をみれば 日も大分傾いていた

 

〔つい熱中してしまいましたね 今日はこのくらいにしておきましょう〕

 

「そうだな まだ序章だが おかげで格好がついた・・・ありがとう」

 

『あなたのこういうときちゃんとお礼が言えるのは ジゼルも似るといいのですが』

 

いらんことを・・・ ム?

 

         ギュン! ドーーン!

 

・・・オレの胸にまたジゼルが飛び込んできた

 

           \   ~♡! /

 

「フン この程度でオレにダメージはあたえられんぞ」

 

          \ \ おにいちゃんっっ / /

 

〔うわっ ラルカ!!? エリーゼ!!?〕

 

向こうではラルカとエリーゼがウィルフに飛びついていた

 

【・・・ついジゼルにつられて】

 

【・・・みんなでクッキーを焼いた プレアもジゼルも手伝った】

 

          \ おっさんにもいっこだけやる /

 

〔ああ ありがとうプレア がんばったんだね〕

 

プレアもテイムのもとに自分で歩いていた

それを見守るように微笑んでいるメリア ・・・どこの家も色々あるのだな

 

『・・・ハドラー 私もジゼルが手伝ったクッキーを食べてみたいのですが』

 

・・・ドラゴラムは場所を選ぶからな またの機会にしておけ

とりあえずひとつだけ とっておいたがそもそもあの状態でものが食えるのか?

 

「では 今回できたところまでをここでお披露目してから 帰るとするか」

 

              \ !  ♡! /

 

   \ まあ 菓子をつまむついでに聞いてやるか    わくわくっ /

 

【・・・ロービィも楽しみにしてた ちゃんと聞く】

 

〔ラルカも見ておいで ぼくも手伝ったんだ 楽しんでほしいな〕

 

【おに・・・ ウィルフさんもいっしょに】

 

〔ああ うん それはいいけど 家ではお兄ちゃんでいいんだよ〕

 

【はいウィルフさん】

 

ウィルフがわたわたしているが 無視して読み上げた

オレのかつての戦いの日々

ドラゴンクエスト ~序章~ を・・・

 

 

 

            ジゼルはレベルがあがった

 

            ちからが1あがった

 

            すばやさが2あがった

 

            みのまもりが1あがった

 

            たいりょくが1あがった

 

            かしこさが3あがった

 

            うんのよさが2あがった

 

            さいだいHPが 2ふえた!

 

            さいだいMPが 3ふえた!

 

            1Pの スキルポイントを かくとく!

 

            ジゼルのドラゴンが スキルアップした!

 

            あまがみをおぼえた

 

 




ハドラー様のコーセルテルでの仕事が「紙芝居のおじさん」になるとは10日ほど前までには考えもしなかったのに
どうしてこうなったのか しかもちょうど暗竜家が内容的に相性がよかったのか 思いのほか話が作りやすかったのは幸いでした

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。